竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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20回目-69 三人目の相談者-2

  失礼いたしますです

 

君は俺のところへ戻ってきてくれた

 

(ああ、よかった)

 

この重苦しい空気から解放されたからだろう

少し落ち着いたようでいつもの無表情に戻っていた

 

それとも御札なんて作ったのだから一種の精神修養をしてきたのと同じだったのかもしれないな

 

君は毎朝、信奉する神様のために身を清めて神楽を舞ってる生真面目な女の子だし

 

まだまだ相談者くんは喋り続けていたけれど一旦止める

竹刀ちゃんは悪くはないか、という顔をしていたけれど目配せして先を促した

 

  あの、相談者さん、えと、此ちら、あの、どうぞ…

  魔除けのお札でございますです

  あの、改めまして、私は、此方の宗教施設にて先日より宗祖様にお世話になっております、小さな神社にお仕えする巫女にございますです

  一応、お札の扱いなどは、其の、多少なりと心得が、です

 

(ふむ、ちょっとこれじゃ不審に思って警戒されちゃうかもしれないな)

 

俺は助け舟を出すことにした

 

  相談者くん、この子はね、凄ーく霊験あらたかな神通力を持っていてね

  おまけにとっても優しい子なんだ

  だからこのお札も君が少しでも幸せになれるようにと思って真心込めて作った品だよ

  受け取ってあげておくれ

 

これでいいかな、と思って竹刀ちゃんを伺うが…

 

あれ!?

なんか青褪めてない!!??

 

相談者くんはなんとかお札を受け取ったが

 

  ありがとうございます

  これは本当に有難いことでございます

  私などのジジイのために、こんな美しくお若い娘さんが心を砕いてくださるなど…

 

とか涙を流してちゃっかり俺の竹刀ちゃんの手を取っている

 

相談者くんは最後に

 

  あなたはまるで女神様のようだ

  本当にありがとうございました

  私をお救いくださり感謝します

 

とにっこりと笑っていた

 

しかし、竹刀ちゃんは俯き

 

  いえ、私などにできることなど何もなく、あの、あと、私は巫女で決して神様にはなり得ませんですゆえ…

 

何かまた震えながら尻すぼみになったが、取り敢えず

 

  じゃあまた何かあったらうちにいつでもおいで

 

俺が相談者くんに声を掛けてお開きにした

 

相談者達を全員帰らせたのでようやく竹刀ちゃんと二人で話ができると思ったら、竹刀ちゃんはずっと俯いて黙ったまま何事か考えていた

 

やがて顔を上げ

 

  すみませんです

  狩衣さん

  私、至らぬところが多々あり…

 

「最初はそんなものだから気にしないで」と俺は言ったのだが

 

君は何を思ったか、また俯いて

 

  ごめんなさいです

  ちょっと私、頭冷やして参りますです

 

  え?竹刀ちゃん、どうし…

 

次の瞬間、君は存在ごと掻き消えていた

 

  は!?

  え、竹刀ちゃん、どこか行っちゃったの!?

 

君がご自慢の疾風の脚力すら使わず、あれほど使わないって豪語してた瞬間移動術で去るだなんて一体何があったっていうんだ!?

 

 

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