竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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20回目-7 正体

え…?

あの、宗祖様、半刻後に戻られるはずでは?

 

私は思わず可愛い子を抱き上げて隠した

 

いや君が厠からすぐに戻ってきたからそれなら続き付き合ってあげたほうが

良いかなあと様子見してたら独り言喋り出したから何やってんのかと思ってさ

 

で、よく見たら見知った子取り出してんだもの

そりゃあびっくりして観察しちゃうよね?

 

それにしても俺の陰口まあ思いっきり叩いてくれたもんだよね

 

なんだっけ

顔はかっこいいけど意地悪で性格悪くて第一印象とは裏腹に中身はチャラくて最悪…だったっけ

 

いやあ、初めてやってきた他人の家で床に頬杖ついて足伸ばしてる君も言えたもんじゃなくないかい?

 

私は開いた口が塞がらなかった

(見られた?聞かれた…?)

 

で、なんで術者の俺ですらもできない継子を喋らせられてんの?君

 

術…者…

あなたの言葉を反芻する

 

傷つき倒れた胡蝶カナヰ

帰ってこない胡蝶シノハユ

この辺りで霧散した気配

現れた宗教施設

周囲には集落はおろかあばら家一つないと言うあなたの情報

誰かに似ている氷人形

 

その全ての情報が符合する

 

あなたは!

 

(まさか…)

 

羅刹さん!?

 

私はその可能性を微塵も考えていなかった自分に愕然とした

 

うん、そう

 

改めて自己紹介しとく?

俺は二十四節巍大寒の弐番の羅刹 琉堂狩衣

ふーんそっかあ竹刀ちゃんがそうなのかぁ

君が羅刹狩りとはねえ

 

おかしいとは思ったんだよねえ

わざわざカナヰちゃんを生かしてあげて警告したんだもの

 

ノコノコやってくる馬鹿な子はいない、と思ったけど

まさか俺の氷結の継子の完璧な追跡を当人を懐柔なんて方法で躱してくる子がいたとはね!

驚いたよ

 

どうやら事実は小説よりも奇なりってやつらしいねえ

ねえ、恋愛小説好きの鳥土里竹刀ちゃん!

 

魏術 氷原への誘い

 

私が立ち上がるのも待たずに其れは動いた

 

視界が一瞬で銀世界へと変わる

空気が凍り付き

吐く息が白い

足元に広げていたお菓子の皿が温度変化に耐え切れず

次々に音を立て割れた

 

あーっ!

 

手元の可愛い子は破壊されたお菓子に未練を残していたが構ってなどいられない

私が手を翳すと残骸たちは私の胸元へと帰った

 

あはは

面白いねえ

それ君の神通力かい?

 

明らかに本が何冊も胸元から出てくるから妙だなあとは思ってたけどどうやら君は

俺達羅刹と似た何かの術を持ってるみたいだねえ

その力で俺の氷人形を服従させて操ってるのかい?

 

私は其んな問いかけなど無視して刀を取り出し応戦するはずだったが

 

違うよ!

竹刀のお姉ちゃんは溶け掛けた俺を助けてくれたんだよ!!

 

いつのまにか私の可愛い子が離れ勝手に眼前の相手と対峙していた

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