竹刀ちゃんと狩衣くん   作:星が好き

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20回目-93 比翼連理

二人が対決する少し前―—

 

越後のとある場所に、小さなかまくらがあった

その中では、黄緑の光が絶えず生み出されており、入口から静かな光が覗いていた

 

一定間隔でその光は、この小さな雪でできたお宿の主たる、二羽の小鳥の雪像によって吸収されていく

そのたび、雪像は小さな音を立てた

 

ことんことんことんことん

ことんことんことんことん

 

やがて、二つの雪像はかまくらを突き破り天空へと消えていった――

 

 

  竹刀ちゃん!?竹刀ちゃん!?竹刀ちゃんってば

  ねえ、起きてよ!俺を殺すんでしょ?

  ねえってば!!

 

俺は叫び続けた

自分でもこんな声出るんだって知らなかったのに

 

声が枯れても涙が止まらなくても、

そんなのどうでもよくて、

ただ、俺は君と「一緒にいたい」だけ――

 

それだけなのに!!

 

  竹刀ちゃん!竹刀ちゃん!!

 

君を抱えて泣き叫ぶ俺に、ふわっと影が舞い降りた

 

(白い髪の…女の子と男の子?)

 

瞳が黄緑と虹色の…

どっちも俺達に似た

 

二人はにっこり笑って

お辞儀を一つ

 

  「「お父さん始めまして!」」

 

  私は比翼

 

  僕は連理

 

  ねえ、一緒にお母さんを助けようよ!お父さん!

 

二人の少年少女は確かに言った

 

  比翼…

  連理…?

 

その名前は…

 

《君は俺の可愛い小鳥ちゃんだからさあ、それに因んだものがいいと思うんだけどどうかな?》

《それでねえ、女の子だったら…》

 

女の子だったら比翼、男の子だったら連理

 

俺が以前、悪ふざけ半分で君に提案した名前

 

君の剣の技名で、出会った日の決闘で俺が食らって倒されたやつで、小鳥みたいな印象の君に合わせた名前

本当は絶対に無理だとしても、末永く一緒にいたいって俺の願いだけが籠っている絵空事の名前

 

(それが、どうして…)

 

  ほらあ

  お父さんぼーっとしてるじゃん!

  だめじゃん、比翼

 

  えー、連理だって早く言わなきゃって言ったじゃない!

 

  それは比翼が…!

  

  連理だってー

 

――嗚呼、なるほど

そっくりだ

 

(そっか…)

 

なんだよ、竹刀ちゃん

ちゃんと遺してくれてるじゃないか

 

たまたま

気紛れ

単なる奇跡

 

うん、何だっていいや

俺は目元を手で覆った

 

そして決意する

やるべきことは一つだけだ

 

  うん、そうだね

  「お母さん」をちゃんと助けなきゃね

 

俺がそういうと俺達の子は万歳をして喜んだ

 

  お父さん、手を翳して

 

  お母さんに向けて!

 

  こうかい?

 

  そう

  そう

 

  じゃあ一緒にやろうね

 

  「「うん!」」

 

比翼は連理と手を繋ぎ、連理は俺のもう一方の手を掴む

すると

 

俺の翳した手から黄緑の光が出て竹刀ちゃんの中へと吸い込まれていく

多分、竹刀ちゃんから受け取っていた俺たち三人分の力が、竹刀ちゃんに流れ込んで戻っていくみたいだ

 

幾ばくかして、黄緑の光が竹刀ちゃんの全身を包みこむほどになった

 

と思った刹那―—

 

眩しいほどの光の洪水が、竹刀ちゃんから溢れ出した

 

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