チャラノ小路チャラ隆の野望   作:ぺこりーにょ

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内緒やでぶっちゃけこれ書いてる作者のムーブがダサいと思ってんねん
筆を取るの遅いクセに話が進まんから急に終わっても良いように短編としてんの
予防線がないと連載できんってことやし
意外とおるかどうかは知らん







思考のポーズと論理的飛躍

 本日のカリキュラムはすべて終了している。

 教師である茶柱が教室を去った後、クラスを支配していたのは奇妙な熱気と緊張感だった。

 放課後──自発的に行われた自己紹介タイム。

 それは、これから三年間を共に過ごすDクラスという群れの中で、各々が自らのステータスをアピールし、カーストの立ち位置を決定づけるための極めて重要な儀式となるはずだった。

 

 そう、俺が「ダース単位の彼女募集」と「得意科目はベッドでの実技体育」という、生物学的本能に直接語りかける究極の自己紹介(プロトコル)を放つまでは。

 

 俺の華麗な自己紹介のあと、まだ数名自己紹介を終えていない者たちがいたが何故か続くものはいなかった。

 

 教室は、まるで真空地帯に放り込まれたかのような無音に包まれていた。

 次に自己紹介をするはずだった後列の男子生徒は、椅子から半分腰を浮かせた中途半端な姿勢のまま、完全に石化している。女子生徒たちは皆、俺と絶対に目を合わせないよう、机の木目を親の仇のように睨みつけていた。隣の席の堀北鈴音に至っては、すでに鞄を抱え込み、いつでも窓ガラスを突き破って逃走できるような前傾姿勢をとっている。

 

 この圧倒的な静寂。俺が放った『チャラ男としての究極のバイブス』が、彼らの常識という名のハードルを粉々に打ち砕き、絶対的なカリスマとしてこの場を支配した証拠であることは疑いようがない。

 

 その時、最前列で痙攣していたクラスの中心人物が、震える声で沈黙を破った。

 

「きょ、今日はこのくらいにしておこうか。み、みんなも初日で忙しいだろうからね。あ、ははは」

 

 声の主は、平田洋介。彼の顔に張り付いた爽やかな笑顔は、もはや引きつりを隠しきれず、額には大粒の冷や汗が浮かんでいた。その目は「これ以上、この空間にいたら群れの主導権を奪われてしまう」という恐怖の色が浮かんでいる。

 

 なるほど。

 俺の脳内演算装置が、平田のこの行動の意図を瞬時に弾き出した。

 

 やはり俺の後というのはハードルが高いので、残り数名が哀れだと打ち切りの判断を下したようだ。

 

 当然の配慮である。俺という、ヒエラルキーの頂点たる規格外の存在が場を完全に制圧してしまったのだ。この直後に、例えば「趣味は読書です」などという平凡極まりないパンピーの自己紹介をしたところで、誰の記憶にも残らないどころか、俺の放った強烈な残滓に飲み込まれ、惨めな思いをするだけだ。

 平田は、まだ自己紹介を終えていない残りの生徒たちの尊厳を守るため、あえて自ら泥を被り、この場を強制終了させたのだ。

 

 目下最大の障害、イケメンフェイス(平田洋介)はなかなかの好敵手といえよう。

 

 俺は心の中で、彼に惜しみない賛辞を送った。ただの爽やか野郎かと思っていたが、群れを率いるリーダーとしての『視野の広さ』は本物らしい。俺が「孤高のアルファオス(圧倒的チャラ男)」ならば、彼は「群れを守るバランサー」だ。今後の三年間、彼との高度な心理戦(マウントの取り合い)は、俺の知的好奇心を大いに刺激してくれそうだ。

 

 自己紹介が打ち切られた直後、教室内では「え、あ、うん」「帰ろう」「早く出よう」といった、逃亡者たちのひそやかな囁きが交わされ始めた。

 

 俺は椅子に深く腰掛けたまま、その様子を気怠げに(そして極めてフラットな無表情で)眺めていた。

 チャラ男たるもの、周囲の慌ただしさに流されてはならない。常に泰然自若とし、大物感を醸し出すのがセオリーだ。

 

 然して俺もホワイトルーム最高傑作と言われた男。平田洋介という好敵手を前に武者震いがする。

 チャラ男ムーブなどやったこともないが、最適化し己の血肉とすることができるのが最高傑作たる所以。

 

 ふと、自分のルーツについての思考が脳裏をよぎる。

 感情を排除され、ただ効率と結果のみを追求するシステム。そこで俺は、あらゆる学問と武術を修め、最終的に並ぶもののない領域にまで達した。

 だが、勘違いしてはならない。俺は己の力を誇示するために努力したわけではない。

 

 最高傑作とやらも別に自称した覚えもなく最後まで残っていただけに過ぎない。

 

 与えられた課題を淡々とこなし、次々と脱落していく他の子供たちを横目に、気づけば俺だけが残っていた。ただそれだけの話だ。そこに情熱や野望など存在しなかった。

 しかし、今は違う。俺は『チャラノ小路チャラ隆』という明確なペルソナと、「モテる」という人生の目的を獲得したのだ。

 

 これしきのことでへこたれていては、ホワイトルームの教官と愛するダディーに申し訳が立たない。……こともない。教官連中にもあの髭面をパピーともダッドとも読んだことはない。

 

 俺は小さく鼻で笑った。

 不良やチャラ男は、父親のことを「ダディー」や「パピー」、あるいは「クソ親父」と呼ぶのが一般的であるらしい。

 あの冷徹で、野望のためなら実の息子すら単なるモルモットとしてしか見ていない男を「愛するダディー」と呼ぶのは、我ながら極めてハイセンスで、アメリカンジョークの効いたチャラい表現だと言えるだろう。もっとも、彼を直接そう呼んだら、いかなる冷静なあの男でも数秒はフリーズするかもしれないが。

 

 まぁそれは置いておき……。

 

 思考を過去から現在へと戻す。

 今はあの男たちのことなどどうでもいい。重要なのは、俺がこれから築き上げる華々しい高校生活と、ダース単位の彼女(ハーレム)の形成だ。

 

「……ウェイッ」

 

 俺は気合いを入れるため、小さくチャラい挨拶を口にしながら、机の中から事前に用意しておいた「面接用チェックシート」を取り出した。顔面偏差値、身長・体重、バスト、ウエスト、ヒップの推定値から、俺の放つギャグへの適応能力までを5段階で評価するための精密なフォーマットだ。

 

 さあ、来るがいい。俺の魅力に取り憑かれた雌たちよ。

 俺はペンを回しながら、最初の希望者が俺の席へ歩み寄ってくるのを待った。

 

 ……。

 …………。

 

「おかしいな」

 

 一人つぶやく。

 俺は無表情のまま、教室の入り口から窓際まで、ぐるりと視線を巡らせた。

 

 他に誰もいないクラス。

 

 そこにあるのは、無人の机と椅子だけだった。

 日が差し込む教室には、俺以外の人間はただの一人も存在していなかった。

 つい数分前まで、三十名以上の生徒がひしめき合っていたというのに、まるで神隠しにでも遭ったかのような静寂。隣の席の堀北鈴音も、俺がダディーの髭面について思索を巡らせている数秒の間に、音も立てずに忍者のような速度で消え去っていた。

 

 自己紹介を終えた後で、散り散りとなって解散。

 

 見事なまでの統率力だ。

「解散」の号令がかかった瞬間、全員が一切の私語を交わさず、荷物をひったくるようにして教室のドアに殺到し、無言のまま廊下へと消えていったのだろう。俺が思考に没頭していたとはいえ、これほどの集団移動を察知できなかったのは不覚だった。

 

 だが、問題はそこではない。

 

 俺の予定では彼女希望の候補者の面接をするつもりだったのだが、人っ子一人いない。

 

 これは俺の緻密な計算において、極めてイレギュラーな事態だ。

 あれほどまでに強烈なアルファオスとしての魅力を見せつけたのだ。「ベッドでの実技体育」という、ストレートかつ情熱的なアピールを聞いて、女子たちが黙っているはずがない。

 少なくとも、12人の枠を巡って、俺の席の前に長蛇の列ができるか、あるいは女同士の血で血を洗うキャットファイトが勃発しているのが、チャラ男の法則(恋愛マニュアル本P.124)に基づく正しいリアクションのはずだ。

 

 それが、どうしたことか。

 面接会場である俺の席には、立候補者どころか、野次馬の一人すらいない。

 

 俺は手元の面接用チェックシートと、誰もいない教室の扉を交互に見比べた。

 心拍数は平常通りの60BPM。パニックを起こすような俺ではない。真のチャラ男は、いかなる想定外の事態に直面しても、常にクールに、そしてロジカルに状況を分析しなければならない。

 

 とりあえず足を机の上に乗せて顎に手を当て考える。

 

 重心を後ろに預け、両脚をクロスさせて机の上にドカッと乗せる。右手は顎に添え、左手はポケットの中。雑誌で見た『西海岸の天才ハッカーが難事件を前にした時のポーズ』の応用だ。これで俺の脳内のCPUは最大限にクロックアップされる。

 

 なぜ、女子たちは面接に来なかったのか? 

 

 仮説1:【圧倒的プレッシャーによる戦意喪失】

 俺の放ったチャラ男としてのオーラが強大すぎたため、大和撫子の女子たちは「私なんかがチャラノ小路くんの相手になるわけがない」と恐れをなしてしまった。太陽に近づきすぎたイカロスのように、俺の眩しさに焼かれることを恐れた結果の、悲しき撤退。

 

 仮説2:【身だしなみの再構築(リビルド)

 これから三年間のパートナーを決める重大な面接だ。今の汗ばんだ制服姿で俺の前に立つのは失礼だと判断し、全員が一度寮に戻ってシャワーを浴び、最高に気合の入った勝負服と下着(ランジェリー)に着替えている最中である可能性。

 

 仮説3:【裏での選抜試験(バトルロイヤル)

 俺が設定した「ダース単位(12人)」という絶妙な枠に対し、クラスの女子20名全員が立候補を希望した結果、定員オーバーとなった。俺の前に出る前に、彼女たち自身で裏庭や体育館裏に集まり、「誰が面接を受ける権利を得るか」を決めるための凄惨なデスゲームを開始している可能性。

 

「……なるほどな。マジありえるわ」

 

 俺は顎に手を当てたまま、小さく頷いた。

 どの仮説も、俺の圧倒的な魅力と、女子たちの複雑な心理を論理的に説明できる完璧な解答だ。特に仮説2と仮説3の複合パターンである可能性が高い。

 今は誰もいないが、数時間後、あるいは明日の朝には、厳選され、完璧にドレスアップされた精鋭の雌たちが俺の前に列をなすことになるだろう。

 

「待っててやるよ、子猫ちゃんたち。俺の実技体育の授業は、逃げたりしねぇからな」

 

 誰もいない教室に向けて、俺は右目だけのウインクを放った。

 窓から差し込む夕日が、机に足を乗せたままの俺のシルエットを長く引き伸ばしている。

 高度育成高等学校での第一日目。俺は早くも、この学校における圧倒的な『孤独という名の頂点』に君臨したことを確信していた。

 

 チャラノ小路チャラ隆の、緻密な計算と壮大な勘違いに満ちたスクールライフは、まだそのプロローグを終えたばかりだ。

 

 









ぶっちゃけ前回の更新に含む分を一気に書き上げることができなかっただけやねん
そのせいでかなり歪な構成。今回ほぼ綾小路くんの独白だけで終わっとるやないかい。
1話だいたい7000〜8000字目標やけど一気に書くの4000字くらいが限界やねん。

でも、短編としてはいい感じの区切りじゃない…?
続くんか?これ?わからん…。ひとまず更新してみる☆

あとタイトルにあるように何の意味もないアンケートが実施中!
1位になったからそのクラスのヒロインとの一幕が書かれるとは限らないし、そもそも続きが書かれるかも不明なこの状況での何の意味があるねん!アンケートです。
そもそもクラスごとって範囲広すぎない?

ぶっちゃけただの人気投票な気がしますので、あなたの一票が特に展開を左右することはたぶんないです!なので気軽にポチッとしてみてちょ☆
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