えー、私たち噺家なんて者はお馬鹿さんが多ぅございましてな?
でもまぁお馬鹿さんだからお客様に可愛がって戴けるというね。
この前もうちの師匠の1人でね、サジェストに可愛いとか出ちゃう師匠なんですけども、お客さま急に立ち上がりましてな?小走りで出口行きながらね。
何だと思ってたら「漏れる漏れる・・・漏れた」
急に歩きになりまして。
チョイと前座お小遣いあげるからぞうきんとバケツ頼むよ・・・て、あたしたちの弟子ぃ使いましてな。
あたしなんかだとまごまごするだけなんでしょうが、師匠ちゃんとツッコミ入れたらしいですな。
そのあとお客様帰ってきたときに、前座に向かって言いましたな、あたしの鞄から紙パンツ持っておいでってね。
あたしなんかも良く漏らすんですよかなんか言いながらお漏らしで即興で一席やったらしいんで、さすが師匠。
あたしたち立川談志の弟子はお客様より下でね、お客様が高座みて帰るときにあー、下には下が居るななんて思って戴けると馬鹿晒したかいがあるってもんでございます。
えー、さて。
最近ずっとお笑い1本で落語やってましたんでね。
ここは1つ人情噺にお付き合い戴きたいと思いまして。
大暴れする上様のお話しでございますけれども。
ぇー、江戸時代も300年も有りますってえと、あたしら噺家みたいに貧乏になった時代もあるようでございます。
そんな時代の上様は大層お悩みになりましてな、なんとかの改革、あたしら勉強なんてついぞ、してなかったから覚えてないんですけども。
改革だけじゃどうにもなるまいてこれは・・・
上様呟きましてな。
しばらく頭抱えますってえと。
!
悪代官、悪徳商人。
あそこら辺取り締まって取り潰しかけよう。
民の人気も上がっで一石二鳥だ。
かしわ手と言うやつ打ちまして忍者呼び出し悪代官を探させ始めました。
一週間ほどしてリストが出来上がって参りますな。
近くのものから成敗!
成敗!
やり始めましてな、その夜も成敗!
周りの塀に楽団置きましてな。
オランダあたりから献上されましたクラリネットをパーパーパー、パパパパパパパパパ~パー!
こうやってる間は上様成敗の最中だよーって事でしてな。
間抜けな噺家やって来てすいませーんお醤油貸して下さいな。
とかなんとか言ってるあいだに間違い成敗されちゃうとかまずいですからな。
まぁ噺家の1人や2人切られたって世間的には対して影響無いんですけど。
なんか言ってて悲しくなって来ましたけど。
えー、そうそう。
上様チョイと勘定奉行を成敗するはずだったんですけども。
上様、成敗される予定だった勘定奉行、その奥さん、そして子供がポロポロ涙流しております。
は、母上・・・寒いよぅ
母親もう締め付けられるような顔で血だらけの子供抱きしめております。
その夜、暴れまわる上様が大人しく腹を切れぃ見栄を切ったときにふすまぁ開けて子供が出てまいりましてな。
坊やおしっこかい?
なんてなことを上様言ってたんですがその子が上様に平伏致しまして。
流石上様、ほとんどすべて言う通りでございます。
只一つ、全ては父上ではなくてぼく一人でやったことでございます。
なんてんでね?
子供、家のために罪被ってるんですな。
平伏してた子供が横にどさりと倒れましてお腹から血が流れます。
あっ、坊や?!
坊や実はもう部屋の中で切腹して居たんです。
家護るために、小さな身体で痛みに耐えて。
騒ぎ聞きつけた母親に抱きしめられて、
子供は、寒気に震えます。
上様子供にその家潰さないことを約束致しますってえと、ほっと一息。
両親に手を伸ばしてそのままぱたりと息をひきとりました。
その子供に初代家康公の名前一文字与えまして家潰さないことを改めて両親に伝えましてな。
その後帰ってきた上様一週間ほどふさぎ込んでおります。
自分のしたことはホントに合ってたんだろうかなんてんでね?
上様ともあろう者はあまり反省なんかしないんですけども。
それでも目の前で子供が切腹して家ぇ護るなんてやられましたら、そりゃ考え無い訳にはまいりませんな。
そんなふさぎ込む上様心配しまして部下の忍者が悪代官探して来ましてな。
うん、コレは頭ちょいと弱い女の子達を囲い込んで、え~、今で言うまぁ障害者2級みたいな。
頭弱いとかウチら噺家もそうなんです、師匠にも言われてるんすから。
おまいたち格好付けて頭いいふりしなくても(・∀・)イイからね?
お客様が高座みてね、あー、俺たちより下が居るなんて思ってくださればそれは立川では二番目に大事な事なんだ。
うん、一番は飲み会なんですけども。
家元が伝えてくれた教え守っておりますけども。
ホント酒で逝っちゃう先輩とかね?
消火器うごかすぅところぉ見たいっ!
なんてんでね、他人様の消火器勝手にブシュー!
前座にやらせて自分は
逃げろ~っ!
その前座今では師匠なんすけど、お巡りさんに怒られたらしいですな。
ね?
噺家そんな馬鹿なんすから。
えー、そうそう。
女の子達に手ぇ出したり、お金誤魔化したり、年貢誤魔化す悪代官!
こりゃ成敗致しましょう!
するってぇと上様乗り気になりますな。
白馬に乗って悪代官の所でまたもやトランペット奏者と供に参ります。
久しぶりの大暴れ上様、すっかり、すっきり成敗致しますってえと忍者が女の子助けて参ります。
その中で一人もう子供を産んじゃったのが一人居りまして。
悩みながらも子供抱き取ります上様。
そのまま馬で帰っている時に喉が渇きまして、ふと見るとそこはあの子供切腹しちゃったあの家でした。
上様線香上げる次いでにお茶でも貰おうなんてね、先触れ行かせて待って居ると大慌てで、主人が参りまして。
その少し前の話しでございますが、ぱんぱんっ、手を叩いて勘定奉行は奥様のお付きを呼び出します。
今日はどうじゃ?
お付きは首を横に振りました。
今日も駄目であったか。
奥様はアレから寝られなくなってまして、うとうとしますてぇとお子様の声が聞こえますな。
母上、痛い、寒いよって聞こえまして。
最後その胸の中で息を引き取る子供がまざまざと胸によみがえり、そのまま気を失って参ります。
噺家が酒飲んで夜眠れなくて朝寝するのとは訳が違いましてな。
その事を知らない上様。
赤子を膝に抱えてゆっくり水ぅ飲んでおりますな。
その横で勘定奉行は改革案を提出しております。
やがて赤子は泣きますな、その瞬間に奥の間で気絶していた奥様ががばぁっ!
「あぁっ赤ちゃん?」
上様からそっと受け取りますてぇと、乳首含ませますな。
それを飲み出す赤子。
大人たちはそれぞれその光景に涙を流します。
やがて赤子を胸に奥様がすやすや。
上様は感情奉行に赤子を頼むと申されまして。
その少し後、奥様は小石川療養所辺りに日本初の保育園作りました。
旦那さんの勘定奉行は改革の陰の立役者になりまして、二人揃ってたいそう活躍したそうです。
暴れまわる将軍は暴れまわるのをやめてやがて名君と呼ばれるようになったそうです。
以上暴れまわる将軍のお話しでした、ありがとうございました。