ゴブスレ世界に転生したら不動卿になってしまった件について。 作:這い寄る影
という訳で資料も届いたから息抜きに書きましたぁ!!
今度こそ続かぬ
「おやぁ直行とはめずらしいねえ」
「オーゼン、お前は?」
「ちょっと魔神王の一件での会議さ、たくお陰で三日の滞在予定が一週間さ、勇者の連中はなにしてるんだろうねえ・・・危うく私も駆り出されるところだったよ、魔神王なんてそんな怖い物でもなかろうに、私が生まれる前は外縁都市に攻め込んだ魔神王が殺されて中央広場で晒し者になってキャンプファイヤーの燃料になった程度なのさ」
「魔神王外縁都市襲撃事件の事か?」
「そうさ」
魔神王外縁都市襲撃事件とはオーゼンが生まれる前に外縁都市に魔神王が軍勢率いて殴り込みを掛けて逆に当時の五大旅団と三大黒社会に買い物に人間に化けて出てきていた長命竜にフルボッコにされた挙句。
晒し者にされてキャンプファイヤーの燃料にされた事件である。
「ですけれどオーゼンさんは魔神王討伐経験がありますし」
「ライザの奴と一緒に殴ったら死んだけどね」
「「「「「「・・・」」」」」」
ライザとは殲滅卿と呼ばれる冒険者にしてオーゼンの弟子であり先代勇者である。
そんなのに無限爆発するパイルピックと。
そりゃ十二万力に本気で殴られれば誰だって死ぬ。
先代勇者と一緒に無双したという伝説は伊達ではないけれど。
其処らのチンピラの様に殴ったら死んだwwwとか言われたら冒険者とか勇者の立つ背が無いという物だ。
本当に長命竜とか古き巨人とか神々の深淵の原生生物などが頭おかしいレベルなのだ。
「まぁ前々のと前も今も出てきてる連中は下級魔神だからね」
がしかし魔神王も弱くない、出てきている連中は基本下級だ。
故に規格外共が殴れば終わるが中級ともなると3000歳の長命竜に匹敵する化け物である。
上級で長命竜複数体に匹敵 最上級は龍や巨神にすら匹敵する。
現行人類では対処不可能な領域だがしかし神代の戦争で中級以上はこちら側への干渉手段を失い。
そして中級と上級数体が魔法式へと分解され念入りに神々の深淵のどこかへと封印されているという噂がある
「そういえば、珍しい物を身に着けてるねお前さんたち」
「出産を手伝った礼として長命竜夫妻から貰った・・・ゴブリンシャーマン程度の魔法であれば自動レジストし、人間の魔法であれば減衰こそあれゴブリンは死ぬからな、ありがたく使わて貰っている」
腰に吊るした黒い鱗、あの長命竜夫妻の生え落ちた鱗だった。
無論生え落ちたものである為、機能は大劣化しておりゴブリンに奪われても問題ない品である為。
ゴブリンスレイヤーも身に着けているし皆も身に着けていた。
「拙僧は牙とか貰いましたなぁ、長命竜に成れるかもしれない方法も教えてもらいましたし」
蜥蜴僧侶ホクホクである。
長命竜の生え変わった牙や爪という極上の触媒を貰ったのだ。
更に竜になる秘訣さえ教えてもらった。リスクは在るが長命竜に成れるかもしれない方法である。
「でも緊張したわよ、オルクボルグが居なかったらマジでヤバかった」
牛とかのお産を手伝う経験や機転の利く柔らかい頭脳が無ければ下手すりゃ流産ものだったのだから。
妖精弓手としてはここ一番の冒険よりも気を張った。
「いやアレは俺だけではどうにもならんギルドの協力、女神官と鉱人道士に蜥蜴僧侶、牛飼娘が居なければどうにもならん」
竜の卵は超高額で取引される、もっとも長命竜の卵となればそれ以上だ。
だが長命竜の卵の売買は外縁都市でも禁止事項且つ競売ギルドが禁止している。
魔神王より恐ろしい怒り狂った長命竜が暴れてでも見ろ。オーゼン級の特級戦力が必要となるし。
その長命竜の所属している派閥を敵に回すことになる。
洒落になっていない。
案の定、不届き者は居たらしく現場では妖精弓種が弓で半殺しにしギルドに突き出し。
その後、日課の点検を行っていたゴブリンスレイヤーによってギルドの実質追放されて祈らぬ者に身を落とした圃人斥候が卵を盗もうとしていたの発見殺傷するという事まで起きた。
ギルドではしっちゃかめっちゃかな事に成り。
孵化まで銀等級冒険者に長命竜夫妻が依頼を出すなんてことになっていた。
こう言う事はオーゼンかゴブリンスレイヤー一党があってるだろうという意見もあったが。
生憎とも両者共に指名で水の都に出なくてはならない。
そこで重戦士一党と槍使いと魔女が交代で護衛することになった訳なのである。
という訳でギルドが何とかしてくれたし誰一人として欠けてはならぬことだったのだ。
閑話休題。
「ああそうだ、今回の依頼は私は手伝えないよ、勇者が遅れた分現場指揮官を潰さないといけないからねえ、だが気を付けておくんだね」
「その心は?」
「彼女はゴブリンがトラウマなのさ、君にしかできない仕事だよ」
「・・・大方は理解した」
今回の依頼には手伝えないされど気を付けるんだねとオーゼンはそう言いつつ
その理由を問いただしたゴブリンスレイヤーの言葉にオーゼンはそう返し。
よく理解したと頷いた。
「じゃあ精々気を付けるだねえ」
そう言ってオーゼンは右手をヒラヒラと振るいながら何処からかしこに去って行った。
そしてオーゼンが潜るのは。
「全く度し難いねえ」
グシャァと音がする混沌の軍勢の先遣隊たちが潜む水の都の地下迷宮だ。
剣の乙女の使徒もいるが撃ち漏らしという物があるオーゼンはたった一人でその生き残りの先遣隊を相手どっていた。
「な、なぜだ!我々は祝福された武器しか通じないのに!?」
「祝福? 神々の深淵を潜る冒険者からすれば祝福された武器防具なんて普通さ。なんせ何週間も潜るんだからねえ浄化か金のある奴は不壊の祝福をほどこしてもらっているのさ」
相手はアンデット通常なら殺し切るのに手間だが。
神々の深淵の冒険者なら当たり前に祝福を装備にエンチャントしてもらっている。
故にアンデットなど敵ではないゴーストの類もだ。
「昔から思うがねぇ、井の中の蛙大海を知らずで地で行っているよ、潰すのが面倒くさいったらありゃしない上にあの手この手で復活してくる、面倒臭いったらありゃしないねえ、なら今一度思い出させてやろうじゃないか」
オーゼンが腕を振るった。
その瞬間発生する巨大な真空刃。それは床壁天井に深くまるでドラゴンが爪を走らせたかのように深々と亀裂を発生させる。
ブレードの発展形ドラゴンブレード。
彼女の代名詞の一つだ。最も今の彼女が本気でやればマジモンの長命竜の一撃と変わらないため加減はしたが。
それでもアークデーモンが縦五等分に引き裂かれ勢しつつ彼の背後のスケルトンの連中も死んだ。
「お前らを殺すが私の役目だってこともさあ」
「お前まさか・・・」
リッチは震えた声で言う。
目の前の存在が何だったのかを、今も寄り20年昔程度。先代勇者と共に魔神王の軍勢を滅ぼした先代勇者を殲滅卿として轟かせた師匠にして相棒。
「不動卿オーゼン!!」
「そんなことはどうでも良い」
ガンと蹴られリッチは地に触れ伏す。
「残りの残党共の情報を教えな」
「教える訳が無かろうが!! 怪物め!!」
「私が怪物? 馬鹿だねえ、私はまだ人間の範疇さ、ライザやボンドルドに長命竜に古き巨人を見てから言うんだねぇ」
もっとも今オーゼンが上げた連中からはお前にだけは言われたくないと返されるくらいにはオーゼンも化け物なのだが。
今は関係に無い話である。
「と言う訳で何企んでるんだい」
「いう訳が「そうかい」がぁぁあああああああああ!?」
聖油を垂らして拷問開始。
逃げようにもオーゼンに踏みつけられてはピン刺しされた虫も当然だ。
「さぁ君は何処までやったら吐くのかなあ?」
顔なしのような表情を向けられリッチはぞっとした。
前の魔神王様は何を敵に回したのだと震えあがった。
故にこの計画は失敗だ。連中を敵に回した所で絶対的に殺し尽くされると思わざるを得なかった。
そして一旦の狩りを終えて道中、なんか襲って来たゴブリンを蹴散らしながら地上へと戻った。
「何時もの」
「はい承りました!!」
ギルドの食事処に預けておいた食材を使って料理を出すようにと頼んだ食材を引き出してもらい。
食事処の一角に座る。
その時である。
「・・・」
ゴブリンスレイヤーが入ってきたのだ。
空気がざわつく、当たり前だ小汚い皮鎧に兜とくればならず者と思ってもいいかもしれない故にだ。
「手紙を出したい」
「承りました」
ゴブリンスレイヤーはそう言って場を去ろうとしていたが。
「まちな」
「オーゼン、ゴブリンか?」
「いや違うさ、といってもそうは言ってられない」
「ふむ話を聞こう」
「その前に食事を奢ってやるよ、店主此奴には普通のステーキと火酒を」
「わかりました」
そう言って普通のステーキをゴブリンスレイヤーに驕る。
あと火酒。
「何かわかったのか?」
「仕事の道中にゴブリンと偶発的に遭遇した。連中船さえこさえていたねえ」
「こっちもだ・・・あの白いの・・・なんといったか・・・」
「沼竜だね、大司教様の使徒さ、だが竜とは言ってもかしこくはない討ち漏らしが発生する、お陰で敵戦力が分散されて広域に広がっている、勇者はなにをしてるんだろうかねぇ」
「・・・いやそれはオーゼンと先代勇者のアンテナが広すぎるだけではないか?」
そう単純にアンテナが広すぎるのだ。
オーゼンも先代勇者もだ。
だが神々の深淵に潜っていれば自然とそうなる。
アンテナが広くないと死に直結するがゆえにだ。
ついでに言えばダブルクリティカルの産物である混沌は盤面を見て発狂していた。
「まぁ明日も先遣隊潰しに下水道潜りさ。そっちは?」
「あいも変わらずゴブリンだ」
「だろうねぇ、連中何がしかの無限リポップポイントを用意してると思う、例えば門の鏡とかねえ」
「見つけたら真っ先に潰す」
「そうしてくれたまえ、今日は私の奢りさ」
周囲はざわついている。この都市にゴブリンが?とかそれをその小汚い奴が駆除しているのが信じられなかったのだ。
「アンタ適当な事を言って水の都の品格を――――「五月蠅いねぇ」――――」
文句を言って突っかかろうとした冒険者の男にオーゼンは一睨みした。
「言っただろうリポップポイントがあるってさ、行く勇気もない癖に功名便りで奇麗な依頼ばっかり受けている連中は引っ込んどきな。お前らより民に対しては此奴の方が貢献度が高い」
「言わせて置けば」
「邪魔だよ」
飛びかかった冒険者を超手加減したデコピンで昏倒させるオーゼン。
デコピンされた冒険者は泡吹いて倒れていた。
「なんにせよ、お前らは不適格だ。話の邪魔をしないでもらいたいねえ」
「くそ全員こいつを!!」
「止めろ、あの捻じれた髪型と黒衣、に白金級の認識票!! 動かざるオーゼンじゃねぇか!!」
「それによく見ろあの薄汚れた方も銀等級だ!! あのゴブリンスレイヤーだ!?」
「不動卿と呼ばれる最高戦力と辺境三大冒険者の一角にして長命竜の加護を受けているってあの?」
更にざわつき。
だが気にした様子もなくオーゼンは席に座る。
「全くこれだから面子重視の連中は・・・」
「いいのか?」
「気にしないよ、嗚呼言う手合いは腐るほどみてきたからねえ・・・兎に角こっちは魔神の手先共を潰すそっちは・・・」
「ああゴブリン共は皆殺しにする」
「それでいいさねさぁ食べ「オルクボルグー!!」千客万来さな」
其処に妖精弓手がギルドの扉を開けて入ってくる。
「え、なにこの空気」
何かギルド全体が微妙な空気に包まれていることに気づき妖精弓手は微妙そうな感じを醸し出していた。
「ちょっと問題があっただけさ。店主此奴に私が預けたミートワームのステーキを後葡萄酒軽めなやつでね」
「は、はい!!」
不動卿と知ってからは店員も委縮してしまっている。
そしてこの空気の微妙さの説明がなされ。
「まぁという訳さ」
「そりゃまた大変なことで。オルクボルグも何か言い返しなさいよ~辺境三大冒険者の一角で長命竜夫妻にも懇意にされているんだからさぁ」
「だが事実だ」
「これだからもぅ~!!」
そうもうゴブリンスレイヤーはただの雑魚狩りではない辺境からゴブリンを殲滅し一時的な凪を作り。
住居としている牧場の一角に住まう長命竜夫婦の出産を手伝い懇意にされる。正しく伝説に謡われるに相応しい民草の英雄なのだから。
もっともゴブリン特化の装備のせいで本人とは気づかれにくいのがネックだが。
実力も最近、オーゼンの指導でメキメキと上げてきている。
「しっかし武器をなくしたのかい?」
「まぁゴブリンの武器だからな」
「よくある事さ、気にするな」
「オーゼンも得物をなくした経験が?」
「私の場合、駆け出し当初は武器を買う余裕さえなかった、だから素手でどうにかした」
そうオーゼンの言う通り駆け出し当初の彼女は今は亡き仲間に金を回し防具を揃えるのがやっとで武器等購入する余裕も無かった。
結論、前世で培った空手と柔道を武器にしていたのである。
「まぁほとほとにしておきなよ、ゴブリンの武器だけではどうしようもないイレギュラーが起こると奥の手が無いとキツイ」
「オーゼンにはあるの?」
オーゼンからゴブリンスレイヤーへの助言に対し妖精弓手は問う。
「ああ在るさ、と言っても本当に奥の手だから言わないけどね、妖精弓手、特にお前さんは口が軽い」
「ずるーいー!!」
「オーゼン、それはゴブリンでも使える物なのか?」
「使えんさ」
「ならいい」
オーゼンの返答にゴブリンスレイヤーは安心した様子でため息を吐く。
オーゼンの奥の手なんか盗まれて使われた日にゃどうなるか分かったものではないからだ。
「そう言えば千人楔はどうなのよ、ゴブリンに盗まれても問題ないってわけ?」
「そりゃ今の私の燃費を見て言うんだね小娘」
「小娘言うのやめてよー!!」
「前にも言っただろう? 上森人は6000歳過ぎてから立派な淑女さ」
「ぐぎぎぎ」
そんなやり取りを見つつゴブリンスレイヤーはステーキを口に運んだ。
千人楔は彼女の代名詞であるけれど一つでもゴブリンが指したら速攻で衰弱死だ。
基本奴らは飢えているがゆえにだ。
そしてプンプンと怒りながら妖精弓手も奢られたミートワームのステーキを口に運び軽めのぶどう酒に手を伸ばした。
「にしてもどんだけ食べるのよアンタ・・・」
オーゼンの席の前には料理と葡萄酒やら火酒やらが乗せられた台車の列が待機していた。
「これが遺物の効力さ、メリットもデカいがデメリットもデカい、私は千人楔を120箇所刺しているからねぇ、後一週間は此処に居そうだし食い溜めさ」
そう言いつつも。もぎゅ、ナポォと一口で平らげていくオーゼン。
やっぱ神々の深淵に潜る上位層はおかしいと改めて思うゴブリンスレイヤーと妖精弓手であった。
そして食事を終えたゴブリンスレイヤーと妖精弓手は買い物に出かけて行った。
その後もオーゼンは只管、食べ続け明日に備える。
そして次の日。ゴブリンスレイヤー達は再度地下迷宮に潜っていった。
「小さいがすげぇ音じゃのぉ」
鉱人道士は呟いた。
音が反響しあいドグシャアとかメキャリとかズドンとかいう鈍い音が小さく響いてくる。
「恐らくオーゼンだな、今奴は魔神王の手先の手先を相手にしている」
「やはりあのお方人ではないのでは?」
「曰く神代の時代はオーゼンのような超越者が沢山いたみたいよ、お爺様曰く」
妖精弓手の言いように皆がギョッとした。
どんな時代だとも思いたくなる。
オーゼンクラスが沢山いたというのだ。
そりゃ神代の時代の終焉という文明リセットがあっても人類は生き残ることができたわけだとも思う訳で。
「師匠が沢山」
「その分、魔神王共が内ゲバしつつ侵略して暴れまわるは龍と巨神が殴り合うはで大変だったみたい」
「なんですか?そのカオス?」
「だから基本的に神々の深淵には手を出すな、あそこに封じられているのは絶望しかないって言われていてね。最も精霊化した上森人たちの言い伝えだから上森人の中でも噂話程度で片づけられているんだけど」
あとはそうねぇっと妖精弓手が次々と語っていく。
上森人は寿命が長い、その上精霊化までする実質の不老不死だ。
最も殴られれば倒れ身体限界を超えた損傷を受ければ人間と同じように死ぬが。
その時である。地下迷宮に大震動が走った。
オーゼンは何時もの様に祈らぬ者共を狩っていた。
舐めることなどしないそれをした奴から死んでいくのが神々の深淵の常識だっだからだ。
「ここまでくれば致し方なし」
敵が本を懐から取り出す。
オーゼンの第六感に緊張が走った。
身に覚えが在ったからだ。
偏執狂の変態馬鹿がある魔法使いの手で神代の時代に作ったコレクション。
災厄の書とも呼ばれるマジックアイテム。
その機能はただ一つ、魔物を封じ込めるだけだが。
その内容が問題なのだ。封じ込められている魔物はどれもこれも厄介な上に長命竜に匹敵する物までいる。
「させると思うかい?」
オーゼンがガントレット裏に仕込んだスローイングダガーを全力投擲。
12万人力で投げられたそれは城崩しに匹敵するが、刹那的に遅かった。
ボッと音を立てて消し飛ぶ敵、だが本が起動した。
「オオオオオオオオオオオオゥ!!」
15mの金剛石で出来た四ツ目の複眼の巨人が出現する。
「良かったよ相性が良い相手で」
そう言いつつもオーゼンは冷や汗を流す。
金剛石は衝撃に弱い、手足を武器化するオーゼンとは相性がいいが。
火力は途轍もないだろう。
広い玄室であることも助かった。
他に敵影は無し、ゴブリン共はゴブリンスレイヤーの方に行ったか?
ならば良し、こいつを水の都に解き放つわけには行かない。
最悪の事も考慮して奥の手を使う事も視野に入れつつ交戦を開始した。
その巨腕が振り降ろされる。オーゼンは回避不能と判断し両腕を交差し受け止める骨が軋むだがその程度だ。
「ッア!!」
「!?」
そのまま一本背負いして全力で床に古き巨人を叩きつける。
先程も言った通り金剛石は衝撃に弱い、最も普通の金剛石とは違うかもしれぬがそれでも弱いうちに入る。
古き巨人の自重とオーゼンの全力を持ってすれば割ることはできるが。
「――――――」
古代言葉を吐きつつ古き巨人は立ち上がった。
全身ひび割れだらけだがそれも修復していく。
―さすがにただの巨人のようには叩き潰せないねえ―
オーゼンはここに来て構えを取った。
時間を与えてはこっちが不利だと悟ったからである。
その時である。
古き巨人が咆哮した進路上と着弾ポイントの壁や床がグズグズになり出した。
所謂マイクロウェーブという奴である。
オーゼンも回避行動に移ったが左腕の一部筋肉が死にかけたガントレットと特注の防具がなければ左腕は消し飛んでいただろう。
だがここで失敗した。
相手が一歩踏み込み巨腕の一撃。
諸に食らう。
「カハッ!?」
千人楔の効力で死にこそしなかったが肋骨が全部逝った上に折れた骨が肺などに突き刺さる。
古き巨人は再度腕を振り上げる、その間に横転し次撃を回避。
懐から引っ張り出したエリクサーを躊躇なく使用。
全回復する、全身から湯気を上げながら瓶を投げ捨て再び構えを取る。
「――――――――!!」
再び咆哮、マイクロウェーブが来るがしかし、オーゼンは踏み込んでいた。
懐に飛び込んでしまえば当たらないまさに死中に活を見出すと言う奴である。
今度こそは逃さないとばかりに正拳突きを右膝に叩き込みその装甲ごとカチ割り。
即座に反転、オーガの両足を潰した時と同じように左膝も砕いて潰す。
最もの違いはオーガの時とは実験台にする気はないという事。
倒れ伏す古き巨人の首を掴み背負い投げ、その威力はあの時の比ではない。
二度目の衝撃に床が完全に陥没、古き巨人の背の装甲が完全に割れ古き巨人は一瞬昏倒。
だが落下時の重力による効果とオーゼンの全力の踏みつけによって首を踏みつけられ古き巨人の首が両断された。
「・・・今度は凄いどころじゃなく凄まじい音がしたわね」
玄室の扉を見ながら妖精弓手が耳をピクリとさせながらつぶやく。
「儂にも聞こえたわい」
「いったい何が起こっているのやら・・・それで小鬼殺し殿。その扉に気になる物でも?」
「閂を掛ける器具が取り付けられている」
そう言って冒険者セットの小槌で閂を掛ける器具を壊す。
「もし閉じ込められたら事だ。慎重に行くぞ」
そして閂器具を破壊。
慎重に扉を開けて中に誰かが居ないかを確認。
其処には捕まっていると思われる女性がいた。
「だ「まて」」
駆け寄ろうとした女神官の肩を抑え待ったを掛ける。
「様子が変だ、さらに工夫を打つ、後各員は備えろ」
そう言って鉄杭を扉の前の石床の継ぎ目に打ち込み閉じ込められない様にしておく。
「いいぞ」
「わかりました!! あの大丈夫って」
ずるりと髪の毛が剥がれ落ちるそこにあったのは白骨死体だったやはりトラップかと思った瞬間。
扉が閉められたのだ。
杭まで打ったと言うのに田舎者が数体か小鬼英雄が居たのか。
いずれにせよフィジカルで解決されてはどうにもならない。
そして昨晩一応の為に買ったカナリアが騒ぎ散らす。
壁の隙間から毒気が送り込まれてきた。
「小鬼殺し殿扉が開きませぬ!! 外で抑えられているものかと・・・」
「ホブ数体か小鬼英雄がいるな、とりあえずこれを使え」
「炭よねそれ」
「ああこれを加え口を布で覆え時間稼ぎにはなる」
そう言いつつ全員がゴブリンスレイヤーの言われたとおりにする。
「次はわしらはどうすればいいじゃ」
「石灰と火山の土だ」
「コンクリートか、さらに風化の術で速乾させ穴を塞ぐと」
「ああそれで毒気が漏れている所を塞げ」
「それは私がやるわ、風を読めるし」
「頼む、それと女魔法使い、最大火力は」
「まだ勉強中で6度が限界」
「温存しろ、小鬼英雄が居たら事だ」
「オーゼン殿が来てくれるというのは」
「彼女は甘えた真似はしない来てはくれぬだろう」
冒険での己の運命は自分で切り開けが彼女の座右の銘である。
彼女の援軍は気にしない方が良いだろう、第一に先ほどの音は崩落の音だ向こうも惨事になっているだろう。
「行くぞ構えろ」
全員が棺を盾に迎撃態勢。
その瞬間扉が開かれ大量のゴブリンが押し寄せてきた序でにホブも複数体確認。
そのホブに向かってガソリンの入った瓶をゴブリンスレイヤーは投げつけて女魔法使いに指示を出す。
「ホブに向かって呪文!!」
「了解! 火球!!」
放たれた火球は一撃でホブと複数のゴブリンを消し飛ばすと同時にガソリンに引火させ炎の壁を作る。
「弓!!それと火が消えた時点で聖壁!!」
「「了解!!」」
袋小路に追い詰められたのだ。
兎に角、防壁をあらゆる手段で張って敵戦力を削り取るしかない。
防衛線とはそう言う物だ。
「そう言えば最大投射魔法習っていたわよね、アンタ」
「習っているけれど一回、火球に使ったから威力下がるわよ」
「オルクボルグ、押し切られる前に最大火力ぶつけた方が良いと思うんだけど・・・」
「・・・それもそうだな頼む」
「どうなるかは私も保証できないわよ」
そして詠唱、五回分の使用をつぎ込んだ後先無しの最大の一撃。
走る青白い閃光、それはこちらに来ようと足掻いていたゴブリンたち所か地下迷宮を一部倒壊させた。
「向こうではこれを四、五発撃てる連中が居るってのは本当かしら?」
「いえ、聞いた話では真言の組み合わせが効率的だとか」
引きつった妖精弓手にそう答える女魔法使い。
そうこの威力を最大限効率化して四、五発撃てるのが神々の深淵に潜る者達の実力なのである。
「じゃが、今のでも仕留めきれんかったみたいだわい」
鉱人道士がそう言う。
こっちも規格外の一発ぶち込んだのにどれだけいるんだという話であった。
「戦術を変更する、お前は皆を聖壁で守れ、鉱人道士は術で支援、蜥蜴僧侶と俺で切り込む、妖精弓手は援護だ」
そう指示を飛ばし切り込む。ここからはいつも通りとはいかなかった。
いや途中まではいつも通りだったのだが。
失敗したのである、同胞ごと薙ぎ払い巨大な鉄のメイスを振りまわして進撃してくる奴が居た。
それに気づけず一瞬の判断遅れでゴブリンスレイヤーが玄室の奥へとふっ飛ばされる。
咄嗟に後方に跳躍した為胴が真っ二つにならずに済んだ。
その程度でありダメージは致命傷、ショック判定のサイコロを神々が回す。
「ゴブリンスレイヤーさん!!」
「聖壁を、張り・・・続けろ・・・皆を守れ」
そう言って意識が落ちる。
思い出すのは過去の情景だ。
そして・・・
『『お前さんのポケットには何がある?』』
嘗ての師匠と今の師匠たるオーゼンの言葉が脳裏によぎる。
気絶していたのは数分か。防御陣地は完全に崩されかけていた。
あと一歩で抜かれるという所だった。
懐から上水薬を取り出し飲む。活力が一時的に復帰する。
使えそうな武器はと右手で周囲を探る。
運がよく武器になるものが在った。
なら後は気づかれない様にゆっくりと・・・・
「このままじゃ」
小鬼英雄の一撃は女神官の聖壁を破りつつあった。
ニタリと小鬼英雄が笑う。
お楽しみが出来て生娘の味が楽しめるからだ。
もう一撃でと思った時である。
小鬼英雄の首に何かが纏わりついた。
それは白骨死体に被せていた女の髪の毛であった。
「死ね」
それと同時に小鬼英雄の首が締め上げられる。
「―――――――ふぅ、なんだいあれは」
フラフラになりながらオーゼンは瓦礫の中から這い出し這い上がり。
古き巨人の首を左手に持ちながら外へ向かって歩いていた。
その道中に逃げていくゴブリンの群れ。
そして掛け声が響いてくる、其処に向かうと。
血反吐を吐きながら倒れているゴブリンスレイヤーに声を掛けている一党が居た。
「なんだい、君たちかい」
「オーゼンさん!」
ゴブリンスレイヤー一党からすれば救世主である。
オーゼンならエリクサーを持っているからだ。
「後払いでも良いです、お金なら幾らでも・・・だからそのエリクサーをゴブリンスレイヤーさんに」
「金は良いさ長命竜夫妻を押し付けた貸が残っているからねえ、でも手遅れだ」
「え」
「直撃を受けた直後ならどうにかできたが、無茶をしたから出来上がるのは脳死体だけさ」
「そんな」
「だが手が無い事でもない」
そう言ってエリクサーをゴブリンスレイヤーに飲ませる。
傷はふさがったが脳死状態だった。
後は此処から脱出し。
「教え子なら手段があるし頼み込んでみるよ」
古き巨人の首を右手で、左手でゴブリンスレイヤーを俵担ぎしてゴブリンスレイヤー一党と脱出するのだった。
向かうは至高神の神殿、剣の乙女の元にである。
魔神王外縁都市襲撃事件
オーゼンが生まれる前膨大な資源を狙って魔神王が神々の深淵に侵攻した事件。
無論の事、魔神王勢は当時の五大旅団に三大黒社会、偶々人間に擬態して買い物に出てきた長命竜にフルボッコにされ壊滅。
当時の魔神王は晒されキャンプファイヤーの材料にされた事件で在り伝説。
一向各国が表向きには政治的に手出しできぬ場所にされ裏向きには暗闘している事になった認定された事件である
魔神王
決して弱い訳ではないが外縁都市襲撃事件やオーゼンとライザが討伐した個体、現勇者が相手にしたのは所謂下級クラスだからフルボッコに出来ているだけで。
中級で3000歳の長命竜に匹敵、上級で長命竜複数体に匹敵 最上級は龍や巨神にすら匹敵する。
ただし中級以上からは神代以降の四方世界に興味持ってないか。
あるいは四方世界に現存するのは神々の深淵に封印中のため基本召喚に応じてくれない。
こっちも派閥があるらしく絶賛内ゲハ中である。
圃人斥候
ナレ死、ゴブリンスレイヤーに恥を掻かそうとして卵泥棒やろうとしていたが。
見回りに出ていたゴブスレに察知され和マンチアタックされ、収穫祭まで生き延びることができなかった。
なお万が一成功しても長命竜夫妻に地獄の責め苦を味あわされていたか。
競売ギルドと三大黒社会を敵に回しメキシコマフィア流の拷問喰らって死亡していた。
つまり詰みである。
闇人
原作では収穫祭を強襲しようとしている人。
長命竜夫妻と子供も参加予定の祭りに手を出そうとしているのとオーゼンとゴブスレも居るのでナレ死が地味に確定している。
先遣隊
魔神王の手先の手先、転移の鏡で水の都に乗り込んでいたがオーゼンにフルボッコされた。
作中での扱いはケンシロウにやられるモヒカン程度。
本来なら災厄の書を街中で解放し水の都を壊滅状態にして住人を生贄替わりにして魔神を呼び出す予定だった。
古き巨人
長命竜並にヤバい存在、こっちは神々の深淵よりも表の霊峰に住まうなどしている。
肉体が鉱物で出来ており長命竜並の知力を持つ。
万を超える古き巨人は巨神とも呼ばれる。
今回は偶々相性が良かったから多少てこずった程度で済んだが。
本来ならオーゼンでも苦戦必至レベル。
先代勇者。
殲滅卿ライザとも呼ばれる存在あり先代勇者。
対峙する者を悉く殲滅したからそう呼ばれるようになった。
ある時を境に神々の深淵の深奥に潜り戻ってこなくなった。
なお原作とは違い結婚して無いし転生オーゼンは長生きしすぎて枯れているため。
普通にオーゼンの弟子か相棒と言った間柄である。
黎明卿ボンドルド
本作にも無論居るよ!! ご存じ論理感ゆるふわキャラ!!
こっちは第六層を根城にしている。
と言うか遺物採掘の為に自分で迷宮作っている狂人。犯罪行為も原作同様善意で行っている
そんな狂人ではあるが人類の生活水準も上げた功績もあって各国が手出しできない人でもある
愛です、愛ですよナナチ。