#21 夢の標
……………………。
あ。
…………え、ええと、その。
…………。
私からはもう、特に、何も……。
………………。
……いえ、これだけ。
────あなた達の無事を、祈ってます。
◆◆◆
「──ィ! ケイ!! 見えてきましたよ!」
朦朧とする意識を呼び戻したのは、頭蓋の内で反響する
そのまま正面を見据えてみると、フロントガラスに絶え間なく襲い来る大吹雪の向こうに、森や丘のシルエットとはまた違う、ぼやけた何かの輪郭が浮かび始めていた。
「ハンドル、しっかり握っていてくださいね! ──全リミッター解放! これが、アリスのラストスパートです!!」
風雪の波をかき分けて、後方から気迫の籠った声が聞こえてくる。直後、後頭部がヘッドレストに押し付けられて、ステアリングはガタガタと激しく暴れ出した。慌てて手綱を握り直して、数メートル先も碌に見えない進行方向を、歯を食い縛りながら睨みつける。
◆◆
はふぅ……と熱気に満ちた息を吐き、温もりの滲むコップを両手でグリグリと握り込む。運転席で一人震えていた時。全身に使い捨てカイロを張り付けたり、重ねた毛布を巻き付けたりして寒さを凌いでいた時はどうなることかと思っていたが、何とか山場は超えることが出来た。
「どうですか、ケイ? 落ち着いてきましたか?」
「はい、指の感覚も大分戻ってきました。重労働の後で疲れているでしょうに……わざわざありがとうございます」
カセットコンロの前に立っていたアリスが、白湯の入ったコップを片手に、ケイの隣へと腰掛けてきた。なら、お礼にアリスも温めてもらいます! と茶目っ気たっぷりに笑いながら、うりうりとほっぺをすり寄せる。ひんやりとした柔らかさに、静閑な安らぎを覚える昼下がり。電灯の消えた真っ暗な車内で、卓上のキャンプライトだけが仄かに彼女たちを照らしていた。
事の始まりは、三日前に遡る。
レッドウィンターの領地に入り、寒空の下を順調に進んでいたアリスとケイ。ある日、二人の行く手を唐突に塞いだのは、荒れに荒れた吹雪の大壁だった。集落が
「うぅ……明日には収まっているといいのですが……」
彼女たちのささやかな願望は、木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。一日二日と経っても雪は止むことなく、むしろ勢いを増していくばかり。ノロノロと動くキャンピングカーは見る見るうちに熱を奪われいき、車内では身体を冷やさないようにと四六時中暖房が焚かれ続ける。
大吹雪の渦中に取り残された自動車が、どんな末路へ向かっていくのか。少なくとも、良い結果にならないことだけは想像に難くないだろう。
無用の長物と化したソーラーパネル、備蓄のガソリンをがぶ飲みする発電機。一カ月間酷使されてきたバッテリーを最大限労わりながら、複数のバッテリーを併用した苦しい運用を強いられる。それでも、低温環境において電圧の低下だけは避けられない。電力の残量メーターがじわじわと減っていくのを尻目に、二人は出来る限りの節電をするしかない。
──そして、降雪の勢いがピークに達した三日目。メイン、サブのバッテリーの両方が、遂に
「いくら寒冷地とはいえ、春先にここまで天気が荒れるなんて……! …………いや、今は、イラついている場合じゃありませんね」
さながら絶海の監獄の如く外界から孤立した環境。温風が絶えて吐く息も白くなってくる室内、数分に一度のペースでアリスに巻かれるマフラーが増えていく。足は奪われてしまったが、幸い風雪は車体が防いでくれる。ならば晴れ間が再び覗くまで、耐えに徹するのが安定か……。
「──少しだけなら、アリス平気です! 危ないと思ったらすぐに戻ると約束します!」
そう彼女が言い出したのは、暗がりのダイネット、体温を逃がさないよう二人が身を寄せ合い始めてから少し経った頃だった。
話題に挙がったのは、吹雪が深まる直前に察知した情報。雪原と森林だけが広がっていると思われていた進行方向に、古びた校舎のようなものがポツンと建っていたことを思い出す。それ以降の三日間、ドローンは一度も飛ばせていなかったが、鈍足とはいえこんな天候の中でも前進し続けていた、だから目と鼻の先の距離まで来ているはずだと。彼女の主張は概ねこのようなものであった。
「百歩譲ってそうだったとしても……この大吹雪の中、車を置いて歩いていくのは危険すぎます! そんな無謀な行動は看過でき──」
「? 置いていきませんよ?」
「──な、い…………ん?」
◆◆
閑話休題。
久しぶりに車の外へ出てみるとそこは、しんと空気が張り詰める狭いガレージの中だった。野晒しでなければ何でもいいとは願っていたが、ここまでお誂え向きの場を見つけられたのは不幸中の幸いと喜ぶべきか。今しがた押し入ってきたばかりのキャンピングカーの隣には、小型のトラックが静かに佇んでいる。
「こんな田舎の建物なのに……あまり埃っぽい感じはしませんね……」
先行していたアリスは、ゲーム開発部の部室と同じかやや大きい広さの倉庫を、興味深そうに見渡している。彼女との暮らしも長くなっていたせいで、アリスの「
到着後──。雪だるまみたいになってしまいました! とはしゃぐアリスが扉の先に立っていた時は心底肝を冷やしたものだが、見る限り体調を崩してはいなさそう。ほっと胸を撫で下ろす。と、同時に、ただの舵取り係だった自分が先に参る寸前だったことへの不甲斐なさも湧き上がってくる。
「どうやらただの廃墟ではなさそうです! 新しめのオイル缶もありますし、トラックも全然汚れていません! ……ここは、何に使われていたのでしょうか?」
「離れの地に建つ、古びた学堂……聞いた覚えがあります。確か、レッドウィンターが運用していた矯正施設……『特別クラス』という施設の一つ、だったのかもしれません」
こんな辺境の地にも……いや、辺境だからこそ見つけられたのか。すっかり雪に埋もれていたが、ここに至るまでの通路は獣道同然の細さだった。人の往来は今までもほとんどなかったのだろう。
「誰かが日常的に生活していたのなら、まだ物資が残っているかもしれません。見て回ってみましょうか」
「……はい! 今行きます!」
建物内に向かって歩き出すケイ。翻って後ろを追うアリス。
ケイの背中を映す彼女の視線は、独りでに、虚ろな光を宿らせていた。
年季の入った木造の旧校舎は、左右に延びた廊下が一本のみという簡素な造りをしていた。倉庫からその突き当たりに出て、ギシギシと踏み音を鳴らしてみる。片側に内窓のついた教室が一つ、二つ。中央に木彫りのロッカーが一対向き合う玄関があり、それを超えるとまた教室が二つ。もう片側には、木組みに嵌められた刷りガラスの窓が一直線に並んでいて、乳白色の屈折の外側から、数え切れない餅雪がバタバタと打ち付けられていた。
木目が濃く刻まれた床や壁は、古色蒼然でありながらも丁寧に手入れがされている。だからだろうか。孤独感が漂うこの空間に足を踏み入れた時、どこか人の温もりの名残を感じたのは。
「この部屋は……うん、寝室ですね!」
椅子や机がそのまま散らかされている部屋、生活空間として整えられている部屋。教室を巡っていって、最後の部屋に辿り着く。
厚手のカーテンは花や音符といった可愛らしい刺繍で彩られていて、中央に置かれたストーブを、数脚のへたったソファが囲んでいる。部屋の一か所に固まって敷かれていたのは、キンキンに冷気を溜め込んだ敷布団。寝具の乱れ方、整えられ方はまちまちで、名前も姿も知らないのに、ここにいた生徒の人柄が想像できてしまえそうだ。端っこに置かれた不格好な木製ラックには、誰のものとも知らない小銃が、ポツンと立て掛けられていた。
「……どうやら、毎日記録を付けていたみたいです」
「日記は重要アイテムです! 一緒に読んでみましょう、ケイ!」
倉庫から拝借してきた燃料を入れて、ひと月空っぽだったオイルストーブに火を灯す。二人は肩を並べて座り込み、枕元に添えられていた、使い込まれてくたくたになったノートを捲り始める。
綴られていたのは、ありきたりな日常。辺境の雪原で様々な苦労に悩まされながらも、友人たちとの素朴な生活を目一杯に楽しんでいる。そんな、ほんの少しの眩しさを放つ青春の記録だった。
『薪集めの帰りに、クマの群れに襲われた。みんなとこんなに暴れたのって、実は久しぶりだったり? 終わる頃にはもうかなりヘトヘト(なんならまだヘトヘト)だったけど、振り返ってみれば案外楽しかったかも。今度また……って、街に弾を買いに行くのが先か』
『きょうは雪下ろしの日! 最初はマジメにやってたのに、センパイたちが休憩中に遊んでたのがキッカケで、お昼ごはんの後からは雪像コンテストになっちゃった! で、肝心の私の作品だけど……けっこー自信作! 明日のお披露目、みんなビックリするだろうな~! 乞うご期待!』
『今日は校舎の大掃除をしました。凍りそうな冷水での雑巾がけはまだ慣れませんが、終わった後の達成感はやっぱり気持ちがいいものです。いつの間にか空いてた穴も見つけて塞げだし、明日は今日よりも暖かい朝になるといいな……』
めくるめく日々。山谷あれど、本人たちはただただ楽し気に明日を夢見る。──まるで、昔の私たちみたい。何気なく、親近感が胸に疼く。それだけに、記録の止まった最後のページ。ぽっかりと空いた真っ白なページが、何よりも大きなものに映っていた。
嵐は一向に収まる気配を見せない。四方八方から襲い来る
「……この校舎、崩れてしまわないでしょうか」
校舎の探索から戻った後、二人は背を向け車を挟み、ガレージの壁に並んだ棚を調べていた。風の音の隙間を縫うように、途切れ途切れに会話を交わしながら。そんな最中のことだった。
「まあ、建物自体は古めですが、整備は行き届いているようですし……数日お世話になるくらいなら、そんなに心配することはないと思いますよ」
「数日……」
始めは、今までのやり取りの延長線上だと思っていた。アリスがポツリと何かを呟き、そのまま口を
「……アリス?」
「──このまま誰も帰ってこなかったら、いつかは倒れてしまうのですよね?」
「それは……積もる雪は柱を軋ませ、溶けた水が木材を腐敗させて……。その積み重ねが十数年続いたら、更地になっていても不思議じゃないかもしれませんが……」
三、四重の車の窓越しに見るアリスの後ろ姿は、水に浸った水彩画のようにぼやけて歪んでいた。彼女はただ立ち尽くしているだけなのに、そのシルエットは、覚束ないステップを踏んでいるような。
「では、その後は? 野ざらしになった場所にあるものは……机も椅子も、銃も日記も……一つ残らず消えてしまう、のですか……?」
勢い任せに、思わず口を突いて出てしまった。聞いてどうにかなるものでもないのに。詰まる語尾、不安定に揺れる声量が、彼女の心の内を
「……そうかもしれませんね。木製のものは当然……家具のフレーム、銃のパーツといった金属だって、百年単位の時間をかけて、ゆっくりと自然に還っていきます。プラスチックみたいに変化しない素材もあるにはありますが……それも、粒子レベルまで粉々に砕かれてしまえば、結局『消えてしまう』ことに変わりはないでしょう」
器に収まり切らなくなった雫を受け止め、ようやく気づかされる。ケイの見ていなかったところで、アリスは一人、寂寞の影と向き合っていたのかもしれないと。ゲヘナで目の当たりにした終末の光景。視界も、体温も、友達の声も極限まで削られた吹雪の行軍。無彩色の経験を積み重ねていく彼女は、段々と世界の
「変なことを聞いてしまって、ごめんなさい。……今日のアリスは、弱気な勇者の日です。世界を元に戻せてしまえば、こんなこと、気にする必要ない……はずなのに」
暗闇の広がる行先に足が
彼女が自分の将来をどのように捉えるのか。他人からの慰めは、一時の紛らわしで終わってしまう。アリス自身が答えを見つけなければ、孤独感はいつまで経っても燻り続ける。多分きっと、これはそういう問いなのだ。
(それなら)
数歩、足を動かすと、すぐに彼女の横顔が現れる。
──うん、大丈夫。どこも朧げなところはない、生き生きとした輪郭だ。
「アリス、提案があるのですが────」
◆◆
軽トラックの扉を閉めて、凝り固まった首を一周、ガチリと回す。ここからガソリン電力諸々を分けてもらえば、どうにかエンジンはかけ直せそうだ。とはいえ吹雪が止むまでは居候させてもらうとして……。今後の予定をあれこれ考えながら、教室の前に到着したケイは、摩耗して丸みを帯びた取っ手を引いた。
「──戻りました。……ふぅ、部屋はちゃんと暖まってますね」
カーテンの隙間から辛うじて滲んでいた外光はもう消えて、中央に焚かれたストーブのみが空間の光源だった。その近くに内股で座り込んでいたアリスは、夢中になって何かを書き込んでいる。
「あっ、お疲れ様です! 今、ちょうど完成したところでした!」
遠い未来の果てには、虚構しか残っていない。……仮にそうだったとしても、もし、そこに何かを送り届けることができるなら。そんな想いで生まれた「タイムカプセル」の存在があったとしたら。そんな妄想を寄る辺にすれば、少しは哀愁を和らげられるかもしれない。
「アリスなら、何を残してみたいですか? ここを出るのはどうせ明日以降になるでしょうから……ゆっくり考えてみても、いいかもしれませんね」
妄想とは言ったものの、実現させられる方法には当てがある。どうせ目的地への道中で通過予定なのだ。今はもう
「ケイは一緒に考えないのですか?」
「私は……まだ、必死に『今』を生きている最中ですから。想像できるようになる時まで、機会は大事に取っておきますよ」
何せ、アリスは世界を救った勇者なのだ。ほんの一欠片の未来くらいは、約束されていたっていいはずでしょう?
「まずは、もちろんこれです! 本当だったら『テイルズ・サガ・クロニクル』がよかったのですが……部室に残してきてしまったので、今回は我慢です!」
アリスが自慢げに手に取ったのは、旅行の荷物に入っていた携帯ゲーム機の一つとソフトが数本。
「あのク……ゲームが本当に好きですね、アリスは」
「はい! クソゲーです! でも、ゲームのことすら知らないかもしれない人と、アリスの感じた経験を共有したいと考えた時……あのゲームが一番ぴったりだと思いました!」
ケイもその作品には触れたことがあったが……感想は、まあ、アリスの言った通りということで。むしろ内容そのものよりも、隣でプレイを見ていたアリスの思い出話の方が、ケイにとっては印象に残るものだった。
四:三のモニターに収まる小さな「世界」は、一人の人間が抱えきれないほどの熱を生み出していた。遥かな先の社会を生きる存在に、その事実を残したいと切に願ったのだ。
「ケイにも、いろいろ手伝ってもらいます!」
ケイの顔面に、図形や文字がびっしりと書き決まれた紙束が突き付けられる。本体だけを保管していても、掘り起こされた時には機能しないガラクタになっているかもしれない。だから見つけた人が作り直せるように詳細な設計図を用意して、ソフトのデータも寿命が長いミレニアム製の記録媒体にコピーしておいて……。そんな壮大な計画を、わくわくした面持ちで語っていた。
「まったく、人使いが荒いんですから」
そう言って自然に笑みを漏らしていると、アリスの足元に一枚、何かの用紙が伏せられたまま残っているのが目に入る。
「ん、まだ残ってますよ」
「あ、それは──」
拾い上げてみると、そこにはミレニアムの生徒たち、ゲーム開発部の面々、ケイ、先生、そしてケイの知らない顔も。色鉛筆を使って描かれた、大勢の人たちの似顔絵が並んでいた。本来の容貌から大分デフォルメされた絵柄だったが、少ない線で細かく特徴を捉えている。
「その……もし、これを見つける人がいたら、アリスの大事な仲間を紹介したくて。……えへへ」
「──素敵な考えですね。相手の使う言語が違ったとしても、絵であればそのまま情報を受け取れますから」
可愛らしく描かれた面々を見ていると、遠く離れた地にいるというのに、あの時聞いた声色、触れ合った感覚が昨日のことのように思い起こされる。拙いながらも、そんな感情を揺さぶるような作品であった。
「まだ描き終わっていないので……完成したら、一緒にお願いします!」
後ろ手に画用紙を隠し、照れ笑いをするアリス。ケイの胸中に、僅かばかりの切なさが一滴、零れ落ちていった。
◆◆
「温度は丁度いいですか? 熱かったり寒かったりしたら言ってくださいね」
夜ごはんはゼリー飲料で済ませてしまい、そろそろ一人は寝る時間。布団に
「ん……平気です」
ふにゃりと顔を緩ませて、相手の顔を薄く開いた眼で捉える。
今日はアリスが眠るまで、そばにいてくれませんか……? そんなお願いを、ケイは何も言わずに聞き入れてくれた。布団の隣で片膝を立てて座っているケイ。ストーブの光に後ろから照らされて、彼女の体は暗く塗りつぶされてしまっている。けれど、どんな顔をしているのかは手に取るように想像できて。
「心配してくれて、ありがとうございます。振り回されていた気持ちを、少し落ち着けられたような気がします」
「お礼なんて、そんな。私の方こそ、ここまで気遣えなかったのが申し訳ないです。今日も随分と苦労をかけてしまいましたし……」
ほら。心配そうに、でも本当に優しい目で、こちらを見守っている。この人の前なら全部安心だと、身体がどんどん重くなっていく。
「世界が一巡してしまうほど、遠い未来の景色。やっぱり想像できません。……想像できないなら、何も見えない。それは当たり前のことでしたね」
でも、何も見えないからこそ、何かを持っていける「余分」がある。ケイは多分、そう伝えたかったのだと思います。
──だから今夜は、もう少しだけ浸っていたいのです。アリスの
「ケイ。夜空に浮かぶ星々は、いつまで輝き続けるのでしょうね。……ここから一番遠い星の光も、いつかは消えてしまうのでしょうか」
「……どんな星であっても、その煌めきは永遠ではありませんよ」
「なら……星が輝き終わる時を。その光が消える瞬間を。誰かと一緒に見送ることができたら、とても嬉しいなと。そう、思います」
みんなの似顔絵に込められた、もう一つの想い。……もし。もしも。悠久の時が過ぎ去った、遥か彼方の世界。アリスが
未来の自分に、追憶してほしかった。「天童アリス」の
「──そうですね。私も、同じ気持ちです」
あるかもしれない遠い別れは、想像しただけで胸が張り裂けてしまいそうで。けれど、その切なさが膨らむほどに、目の前の彼女の温もりが愛おしくなる。
この熱の記憶が、いつまでも残っているといいな。そうだったら、きっと未来をさすらう
「おやすみなさい、アリス。どうか──」
──どうか、良い夢が見られますように。