七囚人『災厄の狐』(成り代わり転生者) 作:百合って良いよねって思う
読むのなら正直出来はあまり良くないと思うので、頭空っぽにして読んでください。
あと、活動報告更新しました。掲示板形式に関することなのですが、作者を助けると思ってご意見寄せて頂ければ幸いです。
掲示板形式について(~アビドス2章まで)
「ん、ワカモ先輩はうちの生徒になるべき!!」
とある昼下がりのアビドス高等学校対策委員会室に、砂狼シロコの声が響き渡る。その内容は、彼女が慕っているワカモ――即ち、先輩たる小鳥遊ホシノの親友である『狐坂ワカモ』に関することだった。
「シロコ先輩、また言ってるよ……」
「この前の一件で、余計に熱が入っちゃったみたいだからね……しばらくは治まらないんじゃないかな」
シロコの後輩である黒見セリカと奥空アヤネはそんな彼女を「あぁ、またか」と言いたげな視線で見ながら、各々の作業を行っていた。何もシロコが急に変なことを言い出すのは初めてではない。ある時は急に銀行強盗をしようとしたり、ある時は他校の生徒をアビドスの生徒にしようとしたり。要するに、慣れていたのだ。
しかし、今日のシロコはいつもと違った。
「アヤネ、セリカ……集合」
「え……?」
彼女は真剣な雰囲気で静かにそう言うと、定例会議で使用されているホワイトボードに文字を書き始める。混乱する二人を他所に、シロコが書き上げたそれは――
「ん、これより『ワカモ先輩をアビドス生にしよう作戦』の会議を始める!」
――そのまま過ぎる名前を冠した、作戦名であった。
*****
「…………っ!」
「……アヤメ、どうかしたの?」
「ワカモ先輩が、他校に盗られそうな気配がした」
「そ、そうなんだ……」
時を同じく、百鬼夜行連合学院にて。百花繚乱紛争調停委員会の委員長である御稜ナグサは、幼馴染であり副委員長でもある七稜アヤメと共に書類作業に勤しんでいた。委員長をワカモから継承して二年、慣れてきたとはいえ、委員長でないと処理できない書類というものは多くある。
最近は一昔前――正確に言えば委員長を継承したばかりの頃――と比べて落ち着いてきたためそこまで切羽詰まってはいないのだが、それでもナグサの書類処理に掛ける時間はかなり多い。それを見かねたアヤメがナグサの書類を一部手伝い始め、今では二人で書類を捌くのが当たり前になった。
「どうせ、あのアビドスの泥棒狼が何か考えてるんだ……今日はホシノさんとワカモ先輩が二人で遊んでるからって、良い気になって……!あの時、外交とか気にせず絞めておくべきだった……!」
「お願いだからやめて……ホシノさんと争いになったら面倒」
ナグサは継承戦の時の事件を未だに気にしているため、アヤメには都度「無理はしなくて良いから」と言っているのだが、彼女は決まって「大丈夫」と笑顔で答える。あの一件以降、辛い時はちゃんと断っているということを知っているので、ナグサはアヤメの好意に甘えていた。
しかし少しでも無理をしていそうだったら、ナグサはアヤメを強制的に休ませている。事実最初の頃は何度か無理をしていたことがたまにあった。昔の癖が消えないのだろう。そう思ったナグサは少しずつ勇気を出して、アヤメがもう頼られ過ぎて苦しまないように努めている。
今では立派に委員長として成長し、こうしてワカモに関してだけ暴走するアヤメのストッパーになっていた。ちょっと成長の方向性が想定と違うような気もするが、気のせいだろう。
少なくとも、極端に自分を卑下するようなことはなくなった。そしていつの日か自信を持ってアヤメの隣に立つために、今も努力を続けている。
「でも、ナグサだってワカモ先輩が盗られるのは嫌でしょ!?」
「それは、そうだけど……でも、先輩が自分で決めたなら、私はそれを尊重したいな」
そしてアヤメは、ワカモに脳を焼かれた結果、立派なファンになった。それはもう、生粋のファンだ。
実は裏で着々と勢力を広げつつある、ワカモに助けられた生徒が続々と加入している『ワカモファンクラブ』なる組織は、アヤメが事実上の運営を行っている。そもそもの始まりは、アヤメが百鬼夜行から指名手配されたワカモの恩赦を求めて動いたことだった。それがいつの間にか大きくなり、今では立派などこに出しても恥ずかしくない組織へと成長を遂げている。
おそらく、ファンクラブのメンバーがデモを起こせば連邦生徒会の指名手配など簡単に覆せるだろう。事実百鬼夜行では既にワカモの起こした事件の真意は多くの人に広まっている。指名手配も形だけのものであり、例えワカモが訪れたとしても住民は笑顔で迎え入れることだろう。尤も、今はアヤメ曰く「時期ではない」らしいためひっそりとした活動しかしていないが。
……こんな巨大な組織になると、誰が予想しただろうか。きっと百鬼夜行に住まう彼の大預言者ですら、この事態は予測できなかっただろう。これには某連邦生徒会長もビックリ……せずニコニコ受け入れていそうなのが怖い所である。
「それだったら私だって認めるよ。あの泥棒狼は違うの!あれよあれよと騙されて、気が付いたらアビドス所属に……なんてことが」
「そうなる前にホシノさんが止めるでしょ……変なこと言ってないで、早く終わらせて焼きとr……ご飯食べに行くよ」
ワカモが矯正局に収容されたと知った時、アヤメは荒れに荒れた。矯正局に襲撃をしかけなかったのは、偏にナグサが頑張ってアヤメの暴走を止めたからだ。しかし簡単には納得できないアヤメは、仲が良いという情報を手に入れていたアビドス高校へと、ナグサと共に赴いたことがある。
その一件から彼女達は、アビドスと今でも軽い付き合いがあるのだが……アヤメは、シロコのことが気に喰わなかった。それも仕方がないとは言える。何せシロコのアヤメ達に対する第一声が「ワカモ先輩はうちの生徒にするから」だったのだ。これにアヤメは憤慨、どうにかその場を穏便に済ませようと、ナグサとホシノが物凄い苦労をしたという話があるほど。
「わかったよ……言っておくけど、焼き鳥オンリーは嫌だからね。せめてちゃんとしたご飯が食べたい」
「大丈夫、焼き鳥はデザートとして食べるから」
「それはそれで……はぁ、まあいいや。焼き鳥が好きなのは昔からだし」
ワカモによって、百花繚乱は大きく変わった。解散の危機にも陥っていないし、アヤメもナグサも今を大切に生きている。アヤメは無理をしなくなったし、前よりも仲が深まった。それだけで、ナグサはどれだけ苦労をしても、頑張れるのだ。
「…………ワカモ先輩」
「……………………」
それはそれとして、「もうちょっと私のアピールに気が付いても良くない?」と思う、アヤメに想いを寄せるナグサであった。
*****
「……それで、具体的にどうするんですか?」
場面は戻り、再びアビドスにて。強制的に机の前へと集められたアヤネとセリカは、目の前で腕を組み真剣な眼差しをしているシロコにそう聞いた。
「まず大前提として、無理やりアビドスへ編入させると色んな所と戦争になるから、ワカモ先輩には自分からアビドスに入るという選択を取ってもらう」
シロコはそう答えながら、自分の中で組み立てた推論を後輩達へと話していく。
「ワカモ先輩は、押しに弱い。多分あれは恋愛でも受け身になるタイプ。状況さえ整えてしまえば、後は自然と流されてくれると思うから、今回はそこを突く」
彼女から見て、ワカモという少女は押しに弱いと考えていた。事実、そういう場面を何度か見てきている。ホシノにせがまれ一緒に昼寝をしていたり、ノノミのファッションショーに断り切れず付き合ったり……シロコが駄々をこねれば、かなりの確率でアビドスに泊ってくれたりと。とにかくワカモは押されると途端に断り切れない性格をしているのだ。今回はその性質を利用しようという話である。
「……うちの公式HPを動かしてるのは、アヤネだよね?」
「え?……はい、そうですけど……」
アビドスはこれまでインターネットを利用した活動を行ってこなかった。しかし以前の一件を解決した『シャーレ』に注目が集まり、自然とその件の発端でもあるアビドスにも人々の興味が集まっている。中には事件の直接的な原因となった、過去から蓄積された借金の悲話を発信し、「寄付を行いたい」と言ってくれる者までいるのだ。これには某狐面の七囚人が暗躍しているのだが、それに気が付けるほど彼女達はネットに強くなかった。それを見越して利用する所がまさに狡い。おそらくシロコも、一部そういった面を学んで育ったのだろう。ホシノからすれば全く以っていい迷惑である。
しかしアビドスには窓口がなかった。それを問題に思ったワカモからのアドバイスで、現在では公式HPを作成し、アヤネが運営している。と言っても、大した活動はしていない。精々が数日に一件あるかないか程度の頻度で問い合わせに対応したり、稀に活動記録を写真として投稿している程度である。
ちなみに余談ではあるが、現在アビドスの借金は8億5000万ほどまで減少している。これには先ほどの『寄付』の話が大いに関連していた。キヴォトスにおいて、財政難と呼ばれる状況の学校は数多くあれど、アビドス程絶望的な量の借金を背負っている学校は他に一つもない。そんな絶望的な量の借金を背負いながらも、前を向き日々を楽しそうに過ごす彼女達を応援したい気持ちに駆られたのか、少額ながらも寄付を行う者がいたのだ。少しずつ寄付が積み重なり、今の金額まで借金を返すことができている。それに加え、対策委員会は寄付に頼りきるようなことはせず、むしろ以前よりも精力的に活動するようになった。借金返済の速度は更に上がり、今の金額まで減ったというわけだ。
なお、ワカモがこの寄付を利用しアビドスの借金を全額返そうとして、ホシノに絞められたのはまた別のお話である。一体どこからそんなお金が湧いてくるのか、ホシノは不思議で仕方がなかった。
「それを利用して、ワカモ先輩とアビドスの関係をアピールして、既成事実を作る!」
そう言いながらシロコが取り出したのは、彼女達が今身に着けているのと全く同じ、アビドスの制服だ。
「……それは……制服、ですか?」
「制服なんか使って、何かできるの?」
自信満々に予想外のものを取り出したシロコに、二人は当然の疑問を覚える。
「ん、作戦はこう。まずワカモ先輩にアビドスの制服を着てもらう。着てもらえたら後はホシノ先輩とかノノミが勝手に写真撮影会を始めると思うから、自然な流れで写真を撮ってそれを活動報告としてHPにアップする。そうしたら、それを見た人は自然とワカモ先輩がアビドスの生徒だと勘違いするはず。後は既成事実としてずるずると編入届にサインをさせるだけ、完璧」
シロコの作戦は、簡単に言えば既成事実を作って自分からアビドスに編入させるという、妊娠を盾に結婚を迫るヤンデレ彼女のようなやり方だ。割とゲスい作戦なのだが、ワカモをアビドスの生徒にすることで頭一杯なシロコがそれに気付くことはない。そもそも、そこまでアビドスの公式HPに影響力はないのだ。精々微笑ましい写真が数枚ネットの海に流れる程度で終わるだろう。
……一部のワカモ狂い共は過激に反応し、アビドスに攻め込んで来るかもしれないが。そうなれば今度はホシノによる折檻があるだろう。どちらにせよ、この作戦が成就する可能性は限りなく低いと言える。
穴だらけの理論をまるで成功するかのように語るシロコの姿は、さながら詐欺師のようだなとアヤネは思った。そもそも、ワカモは確かに押しに弱いが、それはラインを越えなければの話である。今回の行為は明らかにライン越えであり、どう考えても成功するはずのない作戦だ。それを何となく察していたアヤネはさり気なく止めようとするのだが……
「あの、しろ「シロコ先輩、天才!!」……せ、セリカちゃん……?」
「ふふん、当然。これでワカモ先輩を念願のアビドス生にできる!」
……残念なことに、セリカはシロコと同じで頭が少々よろしくないタイプだった。普段はそんなことはなくむしろ引き止めるタイプなのだが、彼女はブラックマーケットの話でも描写したように、非常にチョロい。加えてシロコのようにワカモのことを尊敬しており、「先輩がアビドス生になってくれるなら……試す価値はある」という浅はかな考えに同調してしまった。
こうして、頭残念な獣人共の多数決により、本作戦は決行されることとなり、アヤネは頭を抱えるのだった。
「ただいま~」
「お邪魔しますね……あら、皆さんお揃いのようで」
「ほんとだ、皆いるんだね」
かなり頭の悪い作戦会議から数時間が経ち、緻密な作戦(笑)を立てたシロコ達は、対策委員会の部室でミレニアムへと遊びに行っていたホシノとワカモの帰りを待っていた。
「ん、おかえり。先輩」
「おかえりなさーい!」
緻密な作戦(笑)以前にセリカの様子が明らかに浮かれているために、ホシノは「何か企んでるな」と思ったが、口には出さなかった。後で確実な現場を押さえ、逃げ場を失くした状況で詰めていくのがホシノ流だ。この時点で作戦は失敗したも同然なのだが、獣人共は当然のようにそのことに気が付いていない。哀れである。
「お、おかえりなさい。ホシノ先輩、ワカモ先輩」
「おかえりなさいです~。楽しかったですか?」
「楽しかったよ~。最近のゲームってあんなに凄いんだね、おじさん感動しちゃったや」
「
ホシノとワカモは今日、共にユメの見舞いへ行くついでに、二人でミレニアムに遊びに行っていた。ワカモからすれば、今度行くミレニアムの軽い偵察も含まれていたのだが、基本的に二人で遊ぶ機会などそうそうないため、二人して内心はしゃいでしまったのは内緒である。はしゃぎすぎてプリクラまで撮ってしまう始末だった。
そんな二人にシロコは近づき、ある物を差し出す。
「ワカモ先輩、ちょといい?」
「……?はい、何か?」
「先輩に着て欲しい物があって……」
シロコはそう言って、作戦通りにアビドスの制服を取り出し、ワカモへと手渡した。
「……アビドスの、制服?えっと、これは……」
「ん、見た目だけでも、同じ制服で過ごしてみたくて……ダメ?」
「……あまり他校の制服を着て、迷惑をかけるわけにはいかないのですが」
「アビドスにいる間だけでいいから、お願い」
「…………今日だけですよ?」
ワカモは、おねだりに弱い。そもそも原作キャラであり生徒であるという時点で彼女にとっては庇護の対象であり、なんやかんや甘いのだ。そんな可愛い生徒からお願いされれば、断ることなどそうそう出来ないだろう。
「では、
更衣室に向かうために、ワカモは部室を出ていく。彼女が着替えを終えるまでの間にホシノは何かを企んでいるらしいシロコの、企みの内容に思考を凝らしていた。
(うーん……制服、なるほどね。ま、いっか)
おおよそシロコの企みを把握したホシノは、特に問題ないと放置する。いや、むしろワカモがアビドスの制服を着ている姿を見たい気持ちが強かった。アビドス2章と親友との語り合いを通じて、彼女はくだらないことに悪知恵を働かせられるほど強かになったらしい。
「…………お待たせしました」
ホシノが思考を終えたと同時に、着替えを終えたワカモが部屋へと入って来た。彼女はアビドスの制服を着用していたが、ブレザーの代わりなのか着物を羽織のようにしたアレンジをしている。
「おお~、似合ってるね」
「ん、流石ワカモ先輩」
「わあ、本当にワカモ先輩がアビドスの制服を着てます☆ふふっ、何だか夢みたいですね」
アビドスの制服を着たワカモは、羽織のアレンジもあるのか妙に様になっており、対策委員会の面々は口々に感想を告げていく。
「ワカモちゃん、折角だし写真撮ろうよ!」
ワカモの制服姿を見たホシノはいの一番にそう言ってスマホを取り出した後、ワカモと並び立って、内カメラのレンズを自身とワカモへと向けた。いつもの狐面も、今日はプライベートで遊びに行っていたがために着けていないため、今のワカモは完全にアビドス生として馴染んでいて違和感がない。確かに何も知らない者が見たら、ただのアビドス生の戯れに見えるだろう。
「ちょ、ちょっと、ホシノ?なんか近くないですか……?」
「うへへ~、このくらい女子高生じゃ普通だよ。ハイ、チーズ」
彼女達の距離は息がかかりそうなほど近く、あまり他人と至近距離で接することのないワカモは若干狼狽えていた。性自認は女であるが、彼女のルーツを辿ればワカモは元々男性。慣れていないことに動揺してしまうのは仕方がないと言える。こういう所で断り切れないのが押しに弱いことを証明しているのだが、当然本人に気付く余地などない。
ワカモがオロオロしていることも気に留めず、ホシノはシャッターを切った。パシャリと画面が一瞬だけ暗転し、無事に写真が保存される。
「う~ん、良い出来。おじさんの腕もまだまだ衰えてないね~」
「ホシノ先輩、ワカモ先輩。次は皆で撮りましょ☆」
「あ、折角ですしいろんな場所で撮ってみましょうよ!!」
「ん、賛成」
語るまでもないだろうが、そこからは数時間に渡りアビドス制服を着たワカモの写真撮影会が始まった。それは部室内だけに留まらず、学校の様々な場所で行われた。体育館や屋上、菜園や調理室など、ワカモがアビドスの制服を着ている姿を、記録として保存しようと。尤も、当のワカモは満更でもなかったのだが。
今ははしゃぎすぎて疲れ切ったのか、皆で共に屋上で休んでいる。ホシノとワカモ以外は眠っており、ヘイローが消えているのがわかった。
「…………ふふ……これもまた、青春ですかね」
「そうだよ~。百鬼夜行ではこういうことなかったの?ほら、放課後とかよくそういうことやってるイメージあるけど」
「ありませんよ。
ワカモは百鬼夜行で友人を作った試しがない。毎日のように鍛錬と情報収集に勤しんでおり、友人を作る暇がなかったからだ。故に、こういった青春らしいことを、ワカモは今世で初めて体験している。ワカモはこの青春を、楽しんでいるのだ。
「意外だな~。ワカモちゃん、良い子だから友達なんて沢山いるのかと思ってたよ」
「まさか……まぁ、慕ってくれる後輩がいたのは、事実ですが」
百鬼夜行には、ここ二年間帰っていない。正確に言えば墓参りで自治区自体には足を踏み入れているのだが、中心部へは近づこうとすらしていなかった。
「愛されてたんだね~」
「……どうなんでしょうか。結局最後は、色々問題を起こしましたし。恨まれていてもおかしくはありません」
「それはないよ」
ワカモの発言に、ホシノはそう強く言い切った。それが予想外のことだったのか、ワカモは目を丸くして、ホシノの方へと目線を向ける。
「…………ワカモちゃんが良い人だって知ってる人は、沢山いるよ。私も、その後輩ちゃんもね」
「………………」
「だから、一度くらいは帰ってあげた方がいいんじゃないかな?……何も言わずにここを去ろうとしてたおじさんが言えたことでもないけどさ」
ホシノは、アヤメとナグサが如何にワカモを慕っていたか、今もなお慕っているかを知っている。そうでなければ、わざわざこんな辺境の地であるアビドスに、「ワカモの話を聞くために」という理由で二人きりで来るようなこともしないはずだ。
「…………考えておきます。もう少ししたら、色々と落ち着くでしょうし」
百花繚乱編がこの世界にあるかはわからないが、少なくとも箭吹シュロと勘解由小路ユカリがいる時点で1章の事件は何らかの形で起こるだろう。どちらにせよ時系列的には最終編の後であるため、ワカモはそう濁して言うことしか出来なかった。
「……………………」
「……………………」
そこからは二人の間に沈黙が流れたが、二人も疲れていたのか、いつの間にか眠りに就いてしまった。気が付いた時には辺り一帯は暗くなっており、ワカモは今日もアビドスに泊ることになるのだった。
「――ん、後はこれをアップロードすれば」
「え、えっと……シロコ先輩。やっぱり、やめた方が良いんじゃ……」
「何言ってんのアヤネちゃん。ワカモ先輩をアビドスに入れるためにも、これは必要なことなんだよ!」
「で、でも……」
「セリカの言う通り。ほら、早く「シロコちゃん達、何だか楽しそうだね~」…………あっ」
「ほ、ホシノ先輩っ!?」
「うへ~、やっぱり何か企んでたね。シロコちゃんとセリカちゃん……アヤネちゃんは、巻き込まれただけって感じかな」
「…………ん、ホシノ先輩。誤解。私はただアビドスの活動記録を」
「問答無用。そういうのおじさん良くないと思うな」
なお、ワカモの気が付いていない所で、セリカとシロコはひっそりと制裁を受けていた。彼女達がワカモをアビドスへと編入させる戦いは、まだまだ続く。
・成り代わりワカモ
百鬼夜行には気まずくて帰っていない。最終編が無事に訪れてくれるかビクビクしている。
押しに弱いため、基本的には受け身なタイプ。TS百合はTS側が受けだと相場は決まってる(所説あり)
アビドスに遊びに行った時は高頻度でアビドスに泊っている。お願いを断れない人。
・小鳥遊ホシノ
ミレニアムを満喫した人。成り代わりワカモと撮ったプリクラは大事に保存した。
シロコのストッパー的な存在であり、成り代わりワカモをあの手この手でアビドスに編入させようとしている彼女をことあるごとに止めている。
アヤメとナグサとは今でも定期的に連絡を取り合っている。だからこそ、成り代わりワカモがどれだけ慕われてるかを知ってるし、無理に転校させようとはしない。
・砂狼シロコ
一応今回の主役の筈だが、あまり出番がなかった。作者の実力不足です……ごめん。
原作では先生を懸けてワカモを敵視してたが、本作では成り代わりワカモを懸けてアヤメを敵視している。ファーストコンタクトが最悪だった。
・黒見セリカ
何故か毎回アホの子にされてしまう悲しきツンデレ。騙されやすい。
・奥空アヤネ
今回の苦労人。一応止めようとはしていたため、ホシノからのお咎めはなしだった。
・十六夜ノノミ
蚊帳の外だった人。ごめん……作者の実力が、足りてないんだ……!
・七稜アヤメ
本作で最もキャラ崩壊を起こしている人。成り代わりワカモのファン。
辛い時は断るようにしているので、原作よりもかなり安定している。プライベートで焼き鳥は絶対に食べないと心に誓っている。
ナグサからの好意に全く気が付く気配がないので、そろそろ押し倒されるのも時間の問題だと思われる。余計な所まで成り代わりワカモから学んだ模様。
ホシノとの仲は良好。ただしシロコとの仲は最悪。
・御稜ナグサ
現百花繚乱紛争調停委員会委員長。アヤメに想いを寄せているが、一向に気付かれる気配がないのでそろそろ最終手段に出ようか迷っている。
焼き鳥が好きなのだが、アヤメを連れ回し過ぎて一時期二人でご飯を食べる際限定の焼き鳥禁止令を発令されたことがある。メンタルが安定しており、自信を持ってアヤメに並び立つために日々精進している。それはそれとして、成り代わりワカモのことで暴走しがちなアヤメのストッパーにもなっている。
ホシノとの仲は良好。互いに同族意識のようなものがある。
シロコやノノミとはそこそこといった所。ただシロコに対しては「ワカモ先輩転校させようとするのやめてほしいな……アヤメ止めるの大変だから」と内心思っている。
・『ワカモファンクラブ』
仮称。
成り代わりワカモに助けられた人達が当時恩赦を求めて活動していたアヤメの元に自然と集まり、拡大した。
百鬼夜行、三大校、ブラックマーケットの一部を中心に、各地に加入者がいる。
それなりの人数がおり、本気を出せば恐らく余裕で連邦生徒会から恩赦を獲得できる。
様々な事情からまだ大々的に活動するのは控えているため、成り代わりワカモにもその存在は知られていない。
前書きでも書きましたが、改めて。活動報告を更新いたしました。内容は「本作がゲームの世界線だったら、掲示板でどういった内容の会話がされていそうか意見が欲しい」というものです。あくまでも参考程度なので必ず採用するかはわかりませんが、是非未熟な作者を助けると思って、コメントしていただけますと幸いです。
活動報告のページ↓
掲示板形式について(~アビドス2章まで)