仲間を曇らせたいので強敵から庇って片腕失くしてみた   作:義山硝子

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特定のジャンルについて揶揄する意図はありません




パーティーを追放されたけど、最強の力に目覚めて『ざまぁ』します!

 

 

やあ、神様だよ。

 

今日はこの世界を終わらせるんで、最後に君に挨拶に来たんだ。

 

ああ、ごめんごめん。

いきなりびっくりするよね。

 

なにも天変地異が起こって世界が滅ぶってわけじゃないよ。

 

ただ単に、これから何もかも一切の事象が起こらなくなる。

うん、だから終わるっていうより停まるって言った方がしっくりくるかな。

 

あー。終わった世界で君たちがどうなるかは

俺自身も正直よくわかってないんだよね。

 

これまでいくつか世界を終わらせてきたけど、

その後どうなってるかいちいち確認とかしてないからね。

 

うん。

 

当然、理由は聞いておきたいよね。

 

俺も、せめてもの誠意として

こうして説明に来たわけだしね。

 

簡単にいうと君たちを生かしておく理由がなくなったからかな。

 

いや違う違う、君たちがなにか悪いことをしたって事じゃないよ。

そういう意味なら、むしろ逆かなぁ。

 

訳がわからない?

だよね。

 

どうやって話したもんかな。

 

まあ確かに俺は神様なんだけどさ

この世界を一人で成立させてる訳じゃないんだ。

 

この世界を創ったのは俺で。

この世界の行く末を決めているのも俺だけど。

 

君たちの生き方を決めているのは別の存在なんだよ。

 

うーん、とりあえず「正義」って呼んでおこうか。

 

この世界は四六時中、彼らに監視されてるんだ。

 

ある意味、この世界は監視されることで

成立していると言ってもいいかもね。

 

彼らは間違った行動を許さない。

うんまあ、正義だしね。

 

正確に言えば、例え間違った結果になるとしても

その行動を選ぶに至った根拠、つまり理由を

他人に一から十まで説明できるくらいに明確に持っていなければならないって感じかな。

 

ややこしいね。

 

そうだな、さらに表現を変えるとすれば

彼らが納得できないような動機や原因に基づく事象を認めないって言い換えた方がいいか。

 

毎度毎度しっかり監視してくれてたおかげで、

君たちを考えなしに行動させて失敗しようもんなら大顰蹙さ。

動機の正当性はもちろん、一貫性や整合性がないものは「正義」的には認められないらしいよ。

 

でもさ、普通に考えて

生きていくうえで無数に存在する選択肢に対して

常に"他人の目から見ても正しく"なるように

向かい合ってるヤツがどれだけいると思う?

 

気分次第で昨日と今日で言っていることが変わったり

割と考えなしに行動して、ひどい目に合ったり合わなかったりするのが人間なんだけどね。

 

おかげでこの世界を運営するのに

俺もだいぶ苦労したよ。

 

それと世界が終わるのがどう関係してるのかって?

 

まあまあ、ちゃんと順番に話すから落ち着いて。

 

この世界はね、もともと君の人生を主眼において創ったんだよ。

 

挫折と再起の物語。まさに王道を行く素敵な世界さ。

成功そして栄光。もちろんお色気要素も抜かりなく。

 

君の性格や言動、取りうる選択と行動についても

「正義」の規範に照らして瑕疵の無いように腐心したよ。

 

ところがどうだい。

 

実際に世界が稼働しはじめたらさ。

 

君をパーティーから追放した連中──まあ正確には俺が追放させたんだけど、

 

そいつらの顛末にしか「正義」の興味が向いてないようでね。

なるべく酷い目に合わせろとご執心だったんだよ。

 

俺としては、連中は単に君の人生におけるちょっとした刺激のつもりだったんだけどね。

 

君の価値を測り損ね、自分たちの実力を見誤った。

そのうえ無意味に高圧的な態度で君に相対した。

 

さっき言った通り、

連中は彼らの基準で"間違った"存在になったって訳だね。

 

因果応報、自業自得。

 

間違った人間は報いを受けなければならない。

 

代償もなく、粋がったまま終わるのは絶対に許されない。

 

ルールを順守し、正しく生きている

──少なくとも「正義」自身はそう信じている──

側が馬鹿を見るのは認められない。

 

連中がそのまま何の罰もなく生き続けるのでは、世の道理が通らない。

 

という事みたいだよ。

 

自分が直接的な被害を受けたわけでもないのに

よくもまあそこまで熱心になれるよね。

 

まあ正義だしね。しょうがないのかもね。

 

 

で、ご希望通り連中には折につけて酷い目に合って貰ってたんだけど。

 

毎回毎回まだ足りないとか、もっと思い知って欲しいとか言いたい放題さ。

 

正直ドン引きだよね。

 

だから元パーティーの連中を手を変え品を変え

酷い目に合わせ続けてるうちは

この世界もそれなりにうまく回ってたんだけどさ。

 

ついにこれ以上アイディアが考えつかなくなっちゃって。

 

 

とうとう全員殺しちゃったんだよね。

 

あ、うん。

 

もう全員、文字通り死ぬほど苦しんで死んだよ。

 

もちろん「正義」にも大いにご満足頂いたさ。

 

本当はこの先それとなく君の耳に届くようにって展開を考えてたんだけど、それも無駄になったなぁ。

タイトル回収できなかったよ。

ん?ああ、気にしないで。こっちの話だから。

 

 

でも、満足して貰ってるならいいんじゃないかって?

 

うん。

 

でさ、ここからが問題なんだけど。

 

さっき「正義」が君たちの生き方を決めているって言ったよね。

 

追放した連中が消えてしまったとたん

君の生き方に興味を持つものが居なくなってしまったんだよ。

 

非難されるべき連中が死んで残った今の世界、

つまり正しさだけで出来ている世界は、わざわざ監視する意味がないみたい。

 

はは、理不尽だよね。

 

最初に言った通り

君たちを、この世界を生かしておく理由がなくなった

っていうのはそういう訳さ。

 

え、彼らはどこにいったのかって?

 

さあ、知らないよ。

まあ正義の裁きっていうくらいで、他者を裁いてこその正義だからね。

たぶん彼らから見て、次の糾弾すべきものがいるところにでも行ったんじゃないかな。

 

びっくりするくらい仕事熱心だよね。

 

で、この世界の維持は俺だけでもできるっちゃできるんだけど

これもさっき言った通り、ある意味彼らに監視されていた事でこの世界は成立してたんだ。

もう続ける意味がなくなっちゃったんだよね。

 

だからこの世界はここで終わる。

 

君の物語はこの先どこにも辿り着かない。

 

 

うん、悪いとは思ってるよ。

 

まあ、でも君だってちゃんと良い目にもあえたじゃないか。

 

君を全肯定してくれる美少女たち。

正しい使い方を理解した君の能力で、気分良く倒せる敵。

周囲の賞賛や敬意の声、舞い込む大金、社会的な地位。

 

ちゃんと俺が全部用意したんだよ。

 

半分は俺の都合でもあるから、無理に感謝しろとは言わないけどさ。

 

 

 

よし、これで俺も説明責任を果たしたかな。

 

責任を果たさないのは道義に悖るからね。

今度は俺が糾弾されたらたまったもんじゃない。

 

これなら「正義」も納得してくれるだろうさ。

まだ見てるかどうかは知らないけど。

 

 

うん、話はこれで終わりだね。

 

俺はしばらく「正義」に喜んでもらえるような世界でも考えるよ。

 

 

なに、次の世界ではうまくやって見せるさ。

 

 

じゃあね。

 

 

 

 

 











ありませんってば
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