僕のヒーローアカデミア 徹子の部屋(※違います)   作:まだら模様

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※ちなみにどの時系列のキャラが来るかは不明で、同一人物でも別の時間軸やこの本編の時期や季節、年月が違う人がこの空間に誘われてきます。
例 本編2024年の場合 25年の年前の姿、26年の姿、10年前、5年前、全盛期、老衰期などいろんなバリエーションがあります。
一度来た人でも何度でも来る可能性があります。
やったね徹郎!たくさんの人とお話しできるよ!(白目)



第19回:心操人使(それでもヒーローに)

 

 

 「……質問に答えたら、おしまいですか。それとも、俺があなたを操ればいいんですか」

 

 目の下に深い隈を刻んだ少年は、ソファの端に浅く腰掛け、獲物を狙うような目で俺を見据えた。

 

 心操人使——体育祭を目前に控え、牙を研ぎ澄ませた「日陰の天才」が、その静かな口を開く。

 

 

 

 眠りに落ちた瞬間——鳴った。

 

 ♪ ルールル ルルル ルールル ルルル ルールールールー ルールルー

  ルールル ルルル ルールル ルルル ルールールールー ルルッルー

  ラーララ ラララ ラーララ ラララ ラーラー ラーラーラー

  ラララ ラーラーラーラー ラララー ラーラーラーラー ♪

 

 スタジオに引き込まれた瞬間、空気が違った。

 

 重くも軽くもない。熱くも冷たくもない。

 

 ただ——張り詰めていた。

 

 誰かが、こちらを測っている気配があった。

 

 舞台袖からソファを確認した。

 

 少年が座っていた。

 

 紫色のぼさぼさした髪。目の下の濃い隈。深く落ち着いた目。

 ソファの端に浅く腰掛けて——一言も喋らずに、徹郎を見ていた。

 

 (……来た)

 

 (攻略ノートの「心操人使」のページには、こう書いてある)

 

 「個性は洗脳——返事をした相手に発動する。つまり彼が問いかけ、こちらが返答した瞬間に危険。絶対に無意識で返事をするな。でも彼が喋る分には、こちらに危険はない。体育祭前の時期——誰にも認められていない、一番牙が鋭い時期。慎重に」

 

 (問いかけに答えなければ安全だ。でも——どう向き合うか)

 

 

 

 少年は喋らなかった。

 

 徹郎が舞台袖から出ても、喋らなかった。

 

 ただ、目だけで追っていた。

 

 「えー……皆様、こんばんは。本日もご覧いただきありがとうございます」

 

 沈黙。

 

 「本日のゲストをご紹介します——」

 

 沈黙。

 

 「……心操人使さん、ですよね」

 

 少年が、少しだけ目を細めた。

 

 それだけだった。返事はしなかった。

 

 (当然だ。体育祭前、個性の使用を悟られたくない時期に——この人が返事をするはずがない)

 

 (でも——黙ったままでは三十分が持たない)

 

 「……そんなに黙っていなくてもいいですよ」

 

 徹郎は、静かに言った。

 

 「あなたの個性、返事をしなければ発動しないですよね。逆に言えば——あなたが喋る分には、こっちには何の危険もない」

 

 少年の目が、大きく見開いた。

 

 一瞬だけ。でも確かに、開いた。

 

 「……なぜそれを知ってるんですか」

 

 低い声だった。

 

 「ただの、あなたのファンです」

 

 「……は?」

 

 「信じてくれますか」

 

 少年——心操が、しばらく徹郎を見た。

 

 疑っている。測っている。でも——返事はしてくれた。

 

 (第一段階突破)

 

 

 

 「えー……改めて。本日のゲストをご紹介します。心操人使さん、今夜は来ていただいて——」

 

 「来たくて来たわけじゃないですけど」

 

 「わかっています。毎晩ランダムで来るので」

 

 「毎晩、か」

 

 心操が、スタジオをゆっくりと見回した。

 

 出口を確認する目だった。逃げ道を測る目だった。

 

 (この人は、常に状況を把握しようとしている)

 

 「……この番組、失敗したらどうなるんですか」

 

 「意識が永久幽閉されます。現実の肉体が昏睡状態になります」

 

 「……それを毎晩やってるんですか」

 

 「毎晩やっています」

 

 心操が、少しだけ視線を落とした。

 

 「……物好きですね」

 

 「よく言われます」

 

 「……選択肢がないなら、物好きとは言わないか」

 

 「そうかもしれません」

 

 心操が、また徹郎を見た。

 

 今度は少し——種類の違う目だった。

 

 「……あなた、俺の個性を知ってて、なんで俺に喋りかけてくるんですか。普通、洗脳が怖くて黙るか、もしくは絶対に返事をしないようにするか、どっちかでしょ」

 

 「あなたが喋る分には危険がないので」

 

 「それはそうですけど——普通の人間はそこまで考えないでしょ」

 

 「……私は、あなたのことを少し調べてきたので」

 

 「どこまで」

 

 「今夜の番組に必要な範囲で」

 

 心操が、少し口を閉じた。

 

 「……ファンって言ってましたね」

 

 「言いました」

 

 「嘘でしょ」

 

 「本当のことです」

 

 「……なんで普通科の雑魚のファンになるんですか」

 

 (雑魚、と自分で言った)

 

 (それが今の心操人使の自己評価だ)

 

 「——雑魚じゃないですよ」

 

 徹郎は、静かに言った。

 

 心操が、少しだけ目を細めた。

 

 「……お世辞はいらないですけど」

 

 「お世辞じゃないです。根拠があって言っています」

 

 「その根拠を聞かせてもらえますか」

 

 「今夜の番組の中で、少しずつ話します」

 

 心操が——少しだけ、口の端を動かした。

 

 笑ったわけではない。でも、警戒の色が少しだけ薄れた。

 

 

 

 「今、何歳ですか」

 

 「十五。雄英普通科の一年」

 

 (十五歳。体育祭の直前だ。まだ相澤先生に目をかけられていない——体育祭で戦って、初めて見出される、その前夜だ)

 

 (今夜の心操人使は——誰にも認められていない)

 

 「……体育祭が近いですね」

 

 心操の目が、少し動いた。

 

 「……それを知ってて言ってるんですか」

 

 「知っています」

 

 「……何が目的ですか」

 

 「目的はないです。ただ——話を聞きたくて」

 

 「俺の話なんか聞いても面白くないでしょ」

 

 「面白いですよ」

 

 「……変な人ですね、あなた」

 

 「よく言われます」

 

 心操が、少しだけ肩の力を抜いた。

 

 まだ警戒している。でも——少しだけ、距離が縮まった。

 

 

 

 「コーナーをやってもいいですか」

 

 十分が過ぎた頃、徹郎が言った。

 

 「コーナー?」

 

 「はい。『本音の境界線』というコーナーです。私がお題を出すので、心操さんが答えてください。洗脳は関係ないです——あなたの本音だけを聞きます」

 

 心操が、少しだけ考えた。

 

 「……面白い名前のコーナーですね」

 

 「ありがとうございます」

 

 「褒めてないですけど。……まあ、いいですよ」

 

 「最初のお題——『努力すれば夢は叶う』という言葉について、どう思いますか」

 

 心操が、少しだけ目を細めた。

 

 「……努力できる環境にいる奴の傲慢でしょ」

 

 「具体的に言うと」

 

 「ヒーロー科と普通科の壁の厚さを、知らない奴が言う言葉だってことです」

 

 「……経験から言っていますか」

 

 「当然でしょ」

 

 心操が、少しだけ前を向いた。

 

 「俺はこんな個性のせいで、スタートから遅れちまったんですよ。あつらえ向きの個性に生まれて——恵まれた人間には、わかんないでしょ」

 

 声に、熱が混じっていた。

 

 さっきまでの低温と少し違う。

 

 「……わかります」

 

 「どうせわからないでしょ」

 

 「わかります」

 

 心操が、少し徹郎を見た。

 

 「……その言い方、やめてもらえますか。空っぽに聞こえる」

 

 「……すみません」

 

 「安易に『わかる』って言う人間が、一番わかってない」

 

 「……そうですね。正確には——あなたが言っていることの重みが、私には想像より重かった、という意味で言いました」

 

 心操が、少しだけ黙った。

 

 「……それなら、まだマシですけど」

 

 「次のお題です——今の自分を一言で表すとしたら」

 

 心操が、間を置かずに言った。

 

 「……滑走路」

 

 「……滑走路」

 

 「あとは飛ぶだけです」

 

 スタジオが、静かになった。

 

 (今の言葉)

 

 (洗脳なしでも——心に、刺さった)

 

 

 

 「……一つだけ、踏み込んでいいですか」

 

 徹郎が言った。

 

 「どうぞ」

 

 「なぜ、ヒーローを目指しているんですか」

 

 心操が、少し止まった。

 

 「……聞いてどうするんですか」

 

 「覚えておきたいので」

 

 「翌朝、俺は忘れるんでしょ」

 

 「忘れます。覚えているのは私だけです」

 

 「……それで何の意味があるんですか」

 

 「私が覚えていることに、意味はないですか」

 

 心操が、少しだけ沈黙した。

 

 「……変な問い返し方をしますね」

 

 「すみません」

 

 「謝らなくていいですよ。……聞きたいなら、答えます」

 

 少し間があった。

 

 「——憧れちまったんだから、仕方ないでしょ」

 

 一言だった。

 

 「……それだけですか」

 

 「それだけです。それ以上でも以下でもない」

 

 「……その憧れは、今も続いていますか」

 

 「続いてます。続いてるから——こんなに眠れない夜が続いてるんですよ」

 

 心操が、目の下の隈を少し指で触れた。

 

 「……体育祭の前は毎年こうなんですか」

 

 「今年が特別です」

 

 「なぜ」

 

 「……俺にとって、最初で——たぶん最後のチャンスだから」

 

 「最後、とは」

 

 「体育祭で結果を出せなければ、ヒーロー科に編入できる可能性がなくなる。そういうことです」

 

 「……それは、プレッシャーですね」

 

 「プレッシャーだから眠れないんですよ。気づいてました?」

 

 「気づいていました」

 

 「……鋭いですね、あなた」

 

 「毎晩いろんな人を見ているので」

 

 

 

 「……心操さん」

 

 徹郎が、少し声を落とした。

 

 「なんですか」

 

 「あなたの個性を、ヴィラン向きだと言う人がいますか」

 

 心操の目が、少し変わった。

 

 「……います」

 

 「子供の頃から?」

 

 「……ずっと。俺が個性を使うたびに、怖がられるか、気持ち悪がられるかのどっちかだった。こんな個性でヒーローになれるわけないって——面と向かって言われたことも、ある」

 

 「……それは」

 

 「同情はいらないですよ」

 

 「同情じゃないです」

 

 「じゃあ何ですか」

 

 徹郎は、少し考えた。

 

 「……怒りです。その言葉を言った人間への」

 

 心操が、少しだけ止まった。

 

 「……あなたが怒ることじゃないでしょ」

 

 「私が怒ってもいいです。この番組のゲストのことは、私が覚えているので」

 

 心操が、また少し黙った。

 

 「……変な人ですね」

 

 「三回目ですよ、その言葉」

 

 「そうですか」

 

 少しの間があった。

 

 「……なんで、俺の個性がヴィラン向きじゃないと言えるんですか。あなたには何の根拠もないでしょ」

 

 「あります」

 

 「どこに」

 

 「あなたが——今夜、私の返事を引き出そうとしなかったことです」

 

 心操が、固まった。

 

 「……え」

 

 「最初に来た時、あなたは私に問いかけました。でも——それ以降、意図的に洗脳が発動するような問いかけをしていない」

 

 「……それは」

 

 「使おうと思えば、いくらでも使えたはずです。この番組のルールも、私の弱点も、最初の会話で把握した。でも——使わなかった」

 

 心操が、少し前を向いた。

 

 「……三十分の番組を成立させないと、あなたが目覚めないから。それだけですよ」

 

 「本当にそれだけですか」

 

 「……」

 

 「本当にそれだけなら——もっと早く洗脳を使って、私を操って、番組を強制的に進行させることもできた。でもそうしなかった」

 

 心操が、黙った。

 

 長い沈黙だった。

 

 「……そういう使い方は、したくないんですよ」

 

 低い声だった。

 

 「……なぜですか」

 

 「……それをやったら、この個性がヴィラン向きだって言った奴らが、正しくなるから」

 

 スタジオが、静かだった。

 

 (ここだ)

 

 (これが——心操人使の核心だ)

 

 

 

 「……あなたの個性は、人を操るためのものじゃない」

 

 徹郎は、静かに言った。

 

 「……何ですか、急に」

 

 「本当のことを言います」

 

 「……何を根拠に」

 

 「今夜の会話を根拠に。あなたは一度も、この番組で私を操ろうとしなかった。問いかけに答えさせようとしなかった。それは——あなたの個性が、そういう使い方のためにあると思っていないから」

 

 「……」

 

 「あなたの個性は——沈黙している相手の本音を、引き出すための個性だと思っています」

 

 心操が、徹郎を見た。

 

 今夜一番——真剣な目で。

 

 「……どういう意味ですか」

 

 「洗脳は、相手が返事をした瞬間に発動する。つまり——相手を喋らせることができる個性だ。でもそれは、強制的に喋らせることにも使えれば、相手が本音を言えるような状況を作ることにも使える」

 

 「……」

 

 「今夜、あなたは私に本音を話してくれた。でも——私があなたを洗脳したわけじゃない。あなたが、自分で話してくれた。そういう場を作る力が——あなたにはある」

 

 心操が、少しだけ目を細めた。

 

 「……それは、買い被りでしょ」

 

 「今夜の実績を根拠に言っています」

 

 「……」

 

 「それと——もう一つ」

 

 「なんですか」

 

 「体育祭を楽しみにしてください」

 

 心操が、少しだけ目を細めた。

 

 「……何が言いたいんですか」

 

 「あなたの人生がひっくり返る瞬間が、すぐそこにあります」

 

 「……根拠は」

 

 「確信です」

 

 「確信って——あなた、何を知ってるんですか」

 

 「言えないことがあります。でも——あなたの個性を誰よりも高く評価する人間が、体育祭でいます」

 

 「……誰ですか」

 

 「それは言えません。でも——」

 

 徹郎は、少しだけ声に力を込めた。

 

 「その人が、あなたの師匠になります」

 

 心操が、固まった。

 

 「……師匠」

 

 「はい」

 

 「……何の根拠もない話ですよね」

 

 「確信と言いました」

 

 「確信って——」

 

 「信じてもらえなくても構いません。ただ——体育祭、手を抜かないでください。全力でやってください。結果がどうなっても、それで十分です」

 

 心操が、長い間黙った。

 

 「……あなた、やっぱり変な人ですね」

 

 「四回目です」

 

 「わかってますよ」

 

 少しの間があった。

 

 「……全力でやるつもりでした。あなたに言われなくても」

 

 「知っています」

 

 「……でも」

 

 心操が、少しだけ口の端を動かした。

 

 「……少しだけ、やる気が上がりましたよ。変な話ですけど」

 

 

 

 そのとき。

 

 ♪ ルールル ルルル ルールル ルルル ルールールールー ルールルー ♪

 

 エンディングのテーマが、流れ始めた。

 

 心操が、立ち上がった。

 

 その背中は——さっきより、少しだけ真っ直ぐだった。

 

 「……お時間です。心操さん、今夜は来てくれてありがとうございました」

 

 「別に」

 

 「最後に——一言、いただけますか」

 

 心操が、少し考えた。

 

 出口の方を向いたまま、言った。

 

 「……体育祭、テレビの前で見ててください」

 

 「見ています」

 

 「あんたの予言、外したら承知しませんから」

 

 テーマ曲が、最後の段階へ移った。

 

 ♪ ラーララ ラララ ラーララ ラララ ラーラー ラーラーラー

  ラララ ラーラーラーラー ラララー ラーラーラーラー ♪

 

 心操が、もう一度だけこちらを向いた。

 

 「……徹郎さん」

 

 「はい」

 

 「……変な人ですけど」

 

 「五回目ですよ」

 

 「わかってますよ」

 

 少しだけ——口の端が、動いた。

 

 今夜唯一の、笑みだった。

 

 「……悪くなかったですよ、この番組」

 

 旋律が最後の一音まで鳴り切るとき——

 

 心操の姿が、静かに消えていった。

 

 背中が——確かに、真っ直ぐだった。

 

 

 

 目が覚めた。

 

 朝の六時。

 

 布団の中で、徹郎はしばらく動かなかった。

 

 (……名前、呼ばれた)

 

 「徹郎さん」と言われた。

 

 今夜のゲストで、名前を呼んでくれた人間が——心操人使だった。

 

 (あの人が、俺の名前を呼んだ)

 

 体育祭で戦って、負けても、それでも評価されて——相澤先生に目をかけられる。

 

 それを、今夜の心操はまだ知らない。

 

 でも——知らないまま、「滑走路。あとは飛ぶだけ」と言った。

 

 (あの言葉が、一番刺さった)

 

 (洗脳なしで、刺さった)

 

 攻略ノートを開いた。

 

 「心操人使(15歳・普通科一年):今夜のゲスト。体育祭直前の時期。開幕から黙っていた——洗脳を使わせないための戦略。でも、喋り始めてからは本音が出た。『滑走路。あとは飛ぶだけ』——今夜一番の言葉だった。個性をヴィラン向きと言われ続けてきた。でも今夜、一度も洗脳を使おうとしなかった——それが全てだ。師匠の話をしたら固まっていた。相澤先生のことを、まだ知らない。体育祭で会う。それだけは確かだ」

 

 ペンを止めた。

 

 最後の一行を書いた。

 

「※『徹郎さん』と呼ばれた。梅雨ちゃんに続いて二人目だ。あの人の予言は外させない——外さなくていい。あの人の未来を、俺は知っているから。……頑張れ、心操。体育祭、全部持っていってくれ。内緒」

 

 

 

 その日の学校の帰り道。

 

 夕焼けが赤かった。

 

 切島くんを思い出した。荼毘を思い出した。

 

 今日は——心操を思い出した。

 

 「憧れちまったんだから、仕方ないでしょ」

 

 あの一言が、頭から離れなかった。

 

 (憧れ、か)

 

 徹郎には、前世の記憶がある。

 前世でもこの世界でも、ずっとヒーローの物語を見てきた。

 

 でも——自分が憧れているものを、あそこまで真っ直ぐに言えるか。

 

 「憧れちまったんだから、仕方ないだろ」

 

 言い訳でも、弁解でもない。

 

 ただの、事実の宣言だった。

 

 (俺も——何かに、あれくらい真っ直ぐに言えるものがあるか)

 

 夜になれば、また鳴る。

 

 ♪ ルールル ルルル ルールル ルルル……♪

 

 明日のゲストは誰だろう。

 

 それだけが、黒柳徹郎の仕事だ。

 




 第19話、心操人使回でした。「洗脳を一度も使わなかった」——それだけで、この人がどういう人間かが全部わかる気がして、そこを核心に据えました。
 「滑走路。あとは飛ぶだけ」という言葉は、今夜の徹郎にとっても刺さる言葉だったと思います。転生者として多くのことを知っていながら、自分の「憧れ」をここまで真っ直ぐに言えない徹郎と、何も持っていないけれど憧れだけは真っ直ぐな心操——その対比が、今回書けたことでした。
 相澤先生、体育祭で絶対に見ていてください。

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