透き通るような砕竜   作:鬼ミズチ

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筆が乗りました。

前半は3人称視点になっています。
3人称視点を書くのは初めてということで……大目に見てくだせえ。


3話 強者

 人はモンスターに身体能力では敵わない。

 周知の事実だ。

 

 ハンターとてそれは変わらない。

 だからこそ、選りすぐりの装備を着込み、アイテムを準備し、仲間と共に立ち向かう。

 

 立ち回りもランスなどの重装備を除けば、ヒット&アウェイが基本。

 上位のトップハンター然り、G級ハンターと呼ばれる猛者たちでさえも……。

 

 

 しかし、今繰り広げられている戦闘は……互いに退きもしない近接戦。

 この世界の理から外れた出来事。

 

 

 ハンターは太刀でモンスターの攻撃をいなし、軽快なステップで爆発を躱す。

 その動きに迷いはない。

 

 隙を見て斬りかかり、太刀は寸分の狂いなくモンスターの弱点へと吸い込まれていく。

 

 

 対するモンスターも、ハンターの攻撃を硬い部位で弾き、受け流す。

 

 強靭な身体に物を言わせたモンスターの戦い方とは一線を画す。

 隙の少ない攻撃で相手を攻め立て、粘菌で逃げ道を塞ぎ、渾身の一撃を叩き込む。

 その瞳には、ハンターの一挙手一投足たりとも見逃してやるものかという強い決意の光が宿っていた。

 

 

 互いに退かぬ激しい攻防。

 いつどちらが死んでもおかしくない。

 

 しかし、そんな状況にも関わらず……。

 ハンターの目は輝き、モンスターの口角は吊り上がる。

 

 

 

 

 ******

 

 

 

 

 俺の十八番のブラキステップ……からの高速ジャブ。

 ジャブと言えど爆発付き、一発一発が必殺となり得る。

 

 両腕の粘菌は火力を高めた即起爆式。

 逆に頭殻の粘菌は非怒り時のような時限式。

 

 日々の闘争の結果、粘菌への理解や親和性?が深まり、ある程度の性質を弄れるまでになった。

 

 高火力ジャブで相手を攻め立て、頭殻の粘菌を振り撒きハンターの逃げ道を潰していく。

 ジャブが直撃したら大ダメージ。

 

 ばら撒いた粘菌に触れれば爆破やられ。

 治す隙を与えずラッシュを叩き込み、起爆したら追撃を狙う。

 

 

 しかし、相手が相手だ。

 そう上手くは事が運ばない。

 

 振るわれる太刀は速く、鋭い。

 風切り音がなったかと思えば、すでに甲殻には裂傷が刻まれている。

 

 硬い頭殻と腕で攻撃を受け、弾く。

 常にブラキステップで動き回り、狙いを定めさせない。

 ハンターの姿勢、目線に至るまで注視し、次の一手を予測する。

 

 ……そこ!

 

 攻撃の後隙を狙って放つ、右ストレート……そして爆発!

 拳に残るは硬質な物を殴った感覚。

 

 ……直前で太刀を割り込ませて防いだか。

 だが、無傷って事はないだろう。

 

 間髪入れず距離を詰め、左拳での叩きつけ。

 しかし……。

 

 ガキンッ!

 

 そんな音と共に攻撃は受け止められる。

 そして……瞬時に太刀を傾けられ、力のベクトルを変えられる。

 

 ……カウンター!?

 

 体勢が崩れ、ほんの少しの……しかし、今この瞬間に於いては致命的な隙を晒してしまう。

 

 一瞬にして距離を詰められ、懐に潜り込まれる。

 放たれるは……。

 

 

 『鬼人無双切り』

 

 

 一撃目は戻していた右腕で防ぐ。

 しかし……。

 

 攻撃が重すぎる……!

 

 二撃目は受け切れないと判断。

 即座に後ろへ跳び退き、来たるダメージを軽減。

 

 跳び退いたことが功を奏し、何とか受け流しに成功した。

 が、一撃を受け止めた右腕には一筋の裂傷が刻まれていた。

 

 ……危ねぇ、二撃とも直で受け止めてたら右腕がどうなっていたことか。

 

 

 ハンターとの距離が空き、仕切り直しへ。

 戦闘開始と構図こそ似ているが、コンディションは真逆。

 

 俺は全身傷だらけ、右腕も負傷。

 ハンターは多少防具に焦げ目が付いた程度。

 

「驚いた……想像以上の強さだ」

 

 ハンターがそう呟きながら構える太刀は……。

 刀身が青く発光していた。

 

「これなら少し期待してもいいかな?」

 

 その一言にどんな思いが込められていたか……俺には分からねぇ。

 しかし、これだけは分かる。

 

 ……ギア上げて来やがった。

 

 青く発光する刀身。

 見覚えしかねぇ。

 

 ……ブレイブ状態。

 

 

 

 この世界はゲームではない。

 ハンターはゲーム内ではできない動作や戦法を平然と使ってくるし……3乙とか関係なしに普通に死ぬ。

 俺たちモンスターもまた然り。

 

 しかし、全てが違うというわけでもない。

 

 例えば狩り技。

 この世界の狩り技はゲージ関係なしで本人の技量次第でいつでも使える。

 しかし、以前炭鉱夫たちから聞いた話によると……戦闘中、不意に『いける!』と思う感覚があり、その時に狩り技を使うと普段よりも目に見えて威力や効果が上がるらしい。

 予想だが『いける!』って感覚が、狩り技ゲージが溜まったってことなんだろう。

 

 こんな風に狩り技以外でもゲームを踏襲している部分がある。

 

 ブレイブ状態、カウンター、俺の腕の甲殻に亀裂を入れた鬼人無双切り……。

 察するに、カウンターやそれから繋げる攻撃に補正が掛かるといった具合か。

 

 

 

 ……こりゃあ、出し惜しみはしてられねぇ!

 

 切り札を使わなければ、勝負にすらならないことを感じ、即座に解禁。

 

 腕をベロンベロン舐め、粘菌を充填。

 更に出力を引き上げる。

 

 

 

 距離を詰め、再度激突!

 

 

 

 振るう拳は更に強く、爆発は更に激しく。

 体を掠める太刀は、より速く鋭い。

 

 ……まるで隙が見つからねぇ!

 

 最大火力を叩き込むには少しばかりの溜めが必要だ。

 その間、溜めている腕は使えなくなる。

 

 それは、目の前のハンターを片腕だけで相手するのと同義……自殺行為だ。

 

 しかし、下手な攻撃はカウンターされ手痛い反撃を喰らう。

 

 このまま耐え続けて、切れ味を消耗させるか?

 ……いや、それまでに俺の甲殻が耐えきれねぇ。

 このままいけば確実に押負ける。

 

 ハンターの想定をどうにか超えなければ……。

 

 

 ……!

 

 

 あるじゃねぇか!

 俺だけのアドバンテージ……。

 

 前世の知識が!

 

「グォォォォォォオオオオオオオオオオンッ!」

 

 喉を震わせ、ノーモーション特大咆哮をぶっ放つ。

 これはゲーム内で猛威を振るっていた『鏖殺の暴君』が使用した技……。

 

 咆哮突進のアレンジ。

 

 ゲーム内のよう完全に動きが止まることはないにせよ……隙はできる!

 

 粘菌の出力を引き上げ、一点集中。

 黄緑から赤へと変異する。

 甲殻が熱を帯び、焼けたように痛む。

 

 そして、体全体をバネの様にして放つ渾身の……。

 

 

 右ストレート!

 

 

 右拳から伝わる確かな手応え。

 そして……。

 

 

 

 大爆発!

 

 

 

 爆散する地面、飛散する岩石、そして……。

 

 舞い落ちる……花びら?

 

 

 

 

 

 

『鏡花の構え』

 

 

 

 

 

 

 頭部への凄まじい痛み。

 あまりの衝撃に地面へ叩きつけられる。

 

 グッ!? 何が……起きた?

 

 揺れる視界の隅で何かが舞う。

 混乱する思考をよそに、反射的に目を向けると……。

 

 

 

 俺の頭殻が宙を舞っていた。

 

 

 

「強かった」

 

 土煙の中、声が響く。

 

「少なくとも私が狩ったどの古龍よりも······」

 

 姿を現したのは……ハンター。

 胸装備が少し拉げた程度で、今なお健在。

 

「ただ、私の本気をぶつけられるのは……君じゃなかったみたいだ」

 

 瞳に写るは、俺への称賛と僅かな失望。

 そして……ポツリと呟く、内に秘めていた漠然とした不満。

 

 

 ゴォン。

 

 

 宙を舞っていた頭殻が、ハンターの後方で地面に着弾。

 落下音が空間に響き渡る。

 

 俺にはその音が……。

 自分の死を告げる鐘声に聞こえた。




戦闘描写がうまく書けない……。
ウマグガゲナイ……!
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