透き通るような砕竜   作:鬼ミズチ

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気付いたら赤バーになっていて驚きを隠せない今日この頃。
応援ありがとうございます!

今回は前半1人称、後半3人称となっております。


7. 箱庭

「フシューッ、フシューッ……」

 

 ヤベェ、身体の融解が止まらねェ……。

 

 酷使に次ぐ酷使。

 全身に刻まれた傷の数々。

 左腕の欠損。

 極めつけは胸に深々と突き刺さった太刀。

 

 

 ……制御ができねェ!

 

 

 あまりの負担に、炉心核が焼け付く。

 制御を失った膨大な熱量は、俺に牙をむく。

 

「グロロロロ……グウッ!」

 

 力が抜け、膝から崩れ落ちる。

 が……。

 

 

 ……俺はまだ死んじゃいねぇぞォ!

 

 

 残った右腕を突き立て、何とか立ち上がろうと試みる。

 

 

 ……まだだ! まだ意識はある。

 まだ足掻ける……まだ舞える!

 

 

 ここで完全に倒れたら……。

 もう戻って来られない。

 

 

 足掻く。

 

 膝を付き、身体を起こそうとするが……。

 筋肉が焼け、力が入らない。

 

 

 足掻……く。

 

 身体を捻ろうとするが……。

 肺に血が入り込んだのか、ゴロゴロと音がする。

 口からどす黒い血がゴボゴボと溢れ出し……息が出来ない。

 

 

 足掻……。

 

 バキッ!という音とともに、骨が砕ける。

 遂には動かすことも敵わなくなった。

 

 

 足……が……。

 

 視界が歪む。

 耳鳴りが……。

 

 

 足……。

 

 ……何も感じねぇ。

 元から自分の身体は存在していなかったかのようだ。

 

 体感時間が引き伸ばされる。

 全てがゆっくりとスローモーションに……。

 

 

 ……これが死の間際ってやつか?

 過去の思い出とかが想起するんだったか……。

 まあ、前世は兎も角、今世は全力で生きたんだ思い出すもんもねぇか。

 

 

 目線を上げる。

 そこには、広大なマグマ溜まり。

 吹き出す溶岩。

 厳しく、さりとて雄大な大自然が広がっている。

 

 

 ……最後に見た風景が地面だと味気ねぇ。

 何が何でも前向いてやる。

 

 

 そう決意した。

 その時……。

 

 

 

 

「貴方たちには感謝しなきゃね……こんなにも心躍ったのは久しぶりだわ」

 

 聴力が失われたはずの耳に声が届く。

 

 ……誰だ?

 

 反射的にそう返す。

 普通なら返答が来ない心の中での呟き。

 だが……。

 

「う~ん……そうねぇ。呼び名は色々あるけれど、貴方が分かるように言うとすれば……」

 

 本来有り得ないはずの返事。

 そして、突如視界に顕現する『白』

 

 さっきまでいなかったはず……。

 ……。

 いや、元からそこに存在していたのかもしれない。

 俺が認識出来なかっただけで……。

 俺の言葉が届いたのも……そういった類だからか。

 

「『白いドレスの少女』かしら?」

 

 汚れ1つない純白のドレスを纏った竜人族の少女。

 

 白いドレスの少女……そうか、そうなのか。

 思い出されるのは前世の記憶。

 

 もし本当ならば、今の状況にも説明がつく。

 そして、闘争前に感じた異質な視線の主も……恐らくは。

 クク、とんだ大物に見られていたもんだ。

 

「強いハンターに接触して高難度の依頼を出す……そして、ゆくゆくは私と戦ってもらう。そう、これは只の暇つぶしのはずだった……」

 

 事の経緯を少女は語りだす。

 

 そうか、激強ハンターが来た原因はお前だったのか。

 ま、結果的に楽しかったから良いけどね。

 これでもし死ぬんなら、それは俺が弱かっただけの事だ。

 

「まさか討伐対象のモンスター、貴方が異常個体だったとはね。悠久の時を生きる私ですら予想だにしない事が起きる……うふふ、これだから生きるって刺激的♪」

 

 なんか今、聞き捨てならない単語が。

 ……異常個体……なんだそりゃあ?

 

「知りたい?いいわ、教えてあげる。異常個体はね魂が巡る過程で起こったイレギュラー、貴方のように前世持ちのモンスターの事よ」

 

 ……俺以外にもいるのか。

 

「ええ、意外といるわよ。まあ、その大半は道半ばで果てるか、環境の変化に耐えきれず自死を選んでるんだけどね」

 

 ……そうなのか。

 大半ということは少なからず生き残っている奴もいる、か。

 

「話を戻すけど、貴方たちの戦い見させてもらったわ。まるで天上の舞を見ていたかのようで……とても、心躍ったわ」

 

 そう言って、うっとりとした表情を浮かべる少女。

 ちょっと、いけない表情をしているがスルー。

 

「また見たい……そう思ってしまうの。だけれど、このままだと貴方たちの物語はここで終幕……それはとても惜しい」

 

 少女がにニコリと笑う。

 その笑みは見るもの全てを魅了するかのように妖艶。

 そして、恐怖に陥れる壮絶さを併せ持つ。

 

「そこで貴方たちに提案。最近観測できた場所まで来て欲しいの……素敵な所よ。まるで大樹の根のように幾重にも分岐し捻じれ歪んだ『箱庭』に……」

 

 少女は言葉を紡ぐ。

 その言葉は、前世で見覚えのある依頼文に似ていて……。

 

「きっと退屈なんてさせない。だから、私に貴方たちの紡ぐ物語を魅せて欲しいの」

 

 少女は、おどけているように見えて……。

 懇願しているような。

 縋るようにも見えた。

 

「どお?」

 

 ……ク、クク、ギャハハハハハハッ!

 

 ああ、笑いが止まらん。

 こんな愉快なことがあってたまるか。

 

 ……これだから生きるってのは辞められねぇんだ。

 

 

 答えは当然……。

 

 

 いいぜ、その依頼引き受けた!

 思う存分引っ掻き回して、叩き潰してやる。

 その捻じれて歪んだ奴をよォ!

 

「うふふ、答えも同時なんて……貴方たち本当にお似合いね」

 

 ……うん?何のことだ?

 

「いや、こっちの話よ。にしても、よかったあ♪引き受けてくれて……」

 

 少女はホッと一息。

 そして、俺に何かを差し出す素振りをする。

 

「お礼に私の因子を授けてあげる。大丈夫、貴方たちなら完全に自分の物の出来るはずよ」

 

 視界が白に包まれる。

 俺の中での力と力の衝突。

 

 ……グガッ!

 

 悶絶するような痛みが襲い来る。

 

「じゃ、また会いましょ♪」

 

 とんでもないエネルギーの放出。

 

 そして、意識が急速に遠ざかる。

 どこかに吸い寄せられていくような。

 

 ……この感覚、どこかで……。

 ああ、ブラキディオスになるより前、前世で死ぬ間際に……。

 

「貴方たちの紡ぐ物語、楽しみにしているわ。そして、ゆくゆくは……」

 

 

 俺の意識は完全に暗転した。

 

 

 

 

 

 ******

 

 

 

 

 

 キヴォトス極地。

 火山帯と凍原地帯が隣接する極限環境。

 

 

 その火山の地下部にて。

 

 

 歴戦のハンターの肉体と装備、白の因子、そして火山帯特有の高純度のオーパーツ……。

 その全てを甲殻は取り込む。

 

 溶かし、結合し、圧縮する。

 

 更に硬く強靭に……。

 どんな攻撃をも通さず、立ちはだかる障害を一撃のもと粉砕できるように……。

 

 

 徐々に徐々に形になっていく。

 そして……。

 

 

 ドクン。

 

 

 ドクンッ。

 

 

 ドクンッ!

 

 

 胎動を始める。

 

 

 今、箱庭に特大の異物が。

 

 

 

 ……混入した。

 

 

 

 

 

 ******

 

 

 

 

 

 時を同じくして地底火山。

 

 白き超常の降臨。

 そして、世界間の移動による莫大なエネルギーの伝播。

 

 世界中の力を渇望する強者たちが色めき立ち……行動を開始する。

 

 

 エネルギーの伝播はゆっくりと、だが着実に影響を及ぼす。

 

 

 もはや伝承の中だけしか語られなくなった存在たち。

 表舞台から長らく姿を消し、長い休眠状態に入っていた。

 

 その深い深い眠りが……。

 

 

 

 

 

 

 

 ……浅くなる。

 




少女の口調書くのムズイ。
対話描写もムズイ。
あと、世界観の設定とか間違っていたら教えてください。

これからブルアカに関わっていく訳ですが、ストーリーを見返して展開を考えたり、リアルの事情により投稿まで少し期間が開くかもしれません。(数週間~長くて数カ月)
もし期間が長くなるようだったら番外編を出すかも。
気長に待っていてくださると幸いです。

少し相談です。
主人公がキヴォトスに行くにあたって、今のところ喋れるようにはする予定です(人化はありません)。キヴォトスでは獣人やオートマタも喋るので世界観的に問題ないとは思いますが……。
ぶっちゃけ皆さんはどう思います?

喋ることについてどう思いますか?

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  • 気にしない
  • 面白ければどっちでもいい
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