幻想を謳う孵卵器   作:紡縁永遠

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創符

 「ありがとうございます」

 「ええ、それじゃぁ改めて私は巴マミよ見滝原中学校の、三年生。それでこっちが」

 「幻夢、想追(そうつい)幻夢だ。さっきお前等に契約をふっかけようとした奴等のもと同一個体だな」

 「それで契約って?」

 「簡単に言やぁマミと同じになるっていうことだ。お前等が叶えてほしい願いを対価に、一生涯を賭けてもらう。まぁ願いの上限はほぼないな。特にそっちの鹿目まどかは何でもと言っていい。それとこれは俺が契約した奴らにのみ言えることだがな、弔いはしてる」

 「弔いですって?」

 「お前は知ってるみたいだからな、そこまで言うつもりはないが、これでも彼奴が生まれてからは、ちゃんと説明をして契約してる」

 

 希望がなかった少女、因果は多かった。それでも絶望の度合いがおかしかった。欲が深いってものじゃないからな、あれ。それにそこから成った魔女の形も変ではあったし。最初で唯一、弔えていない。

 

 「だからまぁ……そういうことだ」

 「?」

 「?」

 「お前らが気にすることじゃねぇ、少なくとも契約する気がないならな、」

 「待って…じゃぁ、巴マミは…」

 「いや、時間がなかったからそこまで言えてなかった、だから現状生きている中で文句を言えるのはマミだけだ。

 「それと、今後俺を見かけても攻撃すんなよ、見りゃわかると思うが、リングが違うこれは俺が契約してきた奴らの形見でな、金木犀にしたのは知り合いだった鍛冶師の仕事だ、四季崎記紀って言ってな、歴史の修正に消えた鍛冶師で、代えも効かない、破壊した場合は……どうしようか…」

 「考えてから喋りなさい、でもそうね、簡単な願いをされても困るし、それに幻夢が他のところに行くのも嫌だしね……それと暁美さん、キュゥべぇは幾ら攻撃してもいいけど、幻夢を傷つけたら許さないから」

 

 なんでか知らんが、俺と契約した奴らはこんな風に過保護になる。たまに話しているだけで過保護になっていくやつもいたが、八雲はまた別か……久しぶりに会いに行くのもいいかもな。今代の成長も見たいしな。

 

 「分かったわ、でも、まどかが契約するのだけは……」

 「それを決めるのはお前じゃねぇよ、それに、被害者であるうちは守ってやるから安心しろ。ちなみにだが、暁美ほむら、お前は加害者だ、それは覚えておけよ」

 

 物の見方、視点、そして心の持ち用。己の願いと、友の願い、其れ等が複雑に絡んで今を作っている。コトワリ様がいれば良かったんだが、あれは色んな意味で問題出しな、最悪の場合魔女が生まれかねん。

 

 「とりあえず、しっかりと見てみりゃいい。襲われてから守られるという立場ではなく。立ち向かう者として見てみりゃ考えも変わる、」

 「そうね、というわけでまどかさん、幻夢を預かっておいてくれるかしら?」

 「え?なんで?」

 「貴方なら守れるでしょう」

 「……キュぺっ、これ持ってりゃ孵卵器に捕まることねぇよ」

 

 俺は口の中からお守りを二つ作り吐き出した。簡単なものなら体内で作ることが可能だ。

 

 「それでも行きなさい、」

 「……はぁ…分かったよ、そういうわけでな、よろしく」

 

 ついてきた鹿目家にいる、子供には姿を見せずにやり過ごす。たまに感のいいやつが見つけてくるからなぁ。今回もそのタイプだし、それに、既に孵卵器が侵入してるし。

 御守りの効果で作られた結界と壁に押しつぶされている孵卵器に右前脚を当てる、

 

 「毒符〈神経の毒〉」

 「キュぺっ」

 

 動かなくなって結界内に落ちる。これで被害はない……あっ毒を打つならもっとうまい花にしときゃよかったよ。今さら遅いか。

 もちろん自分で作った毒だから食っても問題はない。さてと、久しぶりに晩酌といきますか。

 

 「それじゃぁ、なんかあったら言え天井で晩酌してる」

 「あ、うん、分かった」

 

 まどかの部屋から外へ出て天井に登る。今日一日ずっと見てきていた視線の主に声をかける。

 

 「なんの用だ紫」

 「久しぶりね幻夢、こっちにはまだ来ないの?」

 「当たり前だ、幾ら創設者の一人と言えど、こっちの奴らが生きてるうちは行かねぇよ」

 「いつに終わるのかしらね、貴方の贖罪は」

 「さぁな、」

 

 ()()()()()から取り出した酒を取り出して、紫に渡す。この国が幻想で溢れていた頃にあった幻想、こいつの案に乗ったことで感情エネルギーの回収システムに長い目で見ても貢献をした。

 まぁ、正確に機能したのはここ数十年だけど、弾幕ごっこに異変、人の不安や、幻想が集まりやすい。

 

 「最近では、外の神こっちに来たわ」

 「ああ、守矢か、うまくやってんのか?」

 「異変を起こして、落ち着いたわ」

 「そうか……これ、渡しといてくれ」

 「あら、いいの?」

 「ああ、俺が持つ必要はねぇよ」

 

 隙間から取り出したのは蛇鱗の単衣と蛙が入った帯。そして真澄という名の諏訪の酒。

 

 「それにいつか返す約束だしな、直に会えないのは悪いが、これと一緒に渡してくれ」

 「あら、私のは?」

 「今飲んでる夜明け前で我慢しろ」

 「残念ね、それじゃぁ御暇するわ、長くいるたら問題になっちゃう」

 「おお、とっとと帰れ」

 「酷いわね」

 

 軽くいうと、胸を強調するように腕を組み誘惑してくるので、口から八卦炉を吐き出し誘惑に対する返答をする。

 

 「マスパ撃つぞ」

 「ごめんなさい」

 

 騒がしいスキマ妖怪が帰ったところで、まどかの部屋にはいる。かなり話してたみたいだ。もう寝てる、まぁこの年頃なら寝ていて当然か。マミは美容の敵だとかなんだかんだいいながら魔女退治を優先するからなぁ。女子力を上げるのにどんだけ苦労したことか。

 そのおかげで上手いケーキが食えるけどな。

 それに対して神浜の彼奴は一向に上達しないし、味覚とかの問題ではなさそうなんだよな、せめて食い物を使ってくれってやつだ。

 ……寝るか、案外旧友との酒盛りは聞いたらしい。

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