幻想を謳う孵卵器   作:紡縁永遠

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闘符

 「始まりました、第一回契約する気をなくそうの会、」

 「いぇ〜い!」

 

 俺のおふざけで出した会の名前に乗ってくれるのはマミだけだった。クソ、もっと乗りやすいヤツを出すべきだったか、いやでもそれだと此奴らも調子に乗りやすくなるし、どうせ一発くらい撃つことになるだろうし、空気は冷ましたほうがいいか。

 

 「はぁ…」

 「あ、あの、」

 「どうかしたかしら?」

 「これ歩くんですか?」

 「当たり前だろ、そう簡単に見つかったら苦労しねぇよ、それに、その程度の体力も気力もない奴じゃ魔法少女になる以前の問題だ」

 「頑張ろ!さやかちゃん」

 「うん、癒しはまどかだけだよ……」

 

 癒しか、此奴のこの発言もおふざけだけど……この場にない何かが此奴の支えというわけか。朝会ったあの女は少女とは言えんしな。

 となると、この場にいない奴か?そういや、他人に対する願いとか聞いてきてたな、つまりそういう奴がいる可能性が高いというわけで、そういう奴が無事なら、契約することはなくなるだろうが、よっぽどの怠慢な野郎じゃなきゃ手伝うのも吝かではないか。

 

 「とりあえず、ソウルジェムの反応を頼りに魔女を探す、マミレベルなら、足手まといがいてもなんとかなるだろうが、そうだな、遠近どっちがいい?」

 「えっと……」

 「暁美もいるからそこまで考える必要はないけどな、御守りも渡したし、それでも立ち向かう、立ち向かったという経験は今後に役に立つ……そうだな〈炎刀・銃〉キュぺっ」

 「え?」

 「これって、銃?」

 「昨日言った鍛冶師が作ったやつだ、設計図は全部俺が持ってるからな、再現してみた」

 

 炎刀・銃

 遠距離からの連続精密攻撃を可能にした、飛び道具としての刀である。

 あくまで刀、もちろん近接戦闘も可能だ。歴史に消えたあの戦いは凄かったな。七花と右衛門左衛門の打合、断罪炎刀は技術があれば誰でも扱える。見稽古レベルのコピーは流石にできんが、まぁ何とかなるだろ。

 

 「まぁセーフティはこっちで操作するから暴発する心配はねぇよ、撃つタイミングはこっちが指示するからよ」

 

 さやかが回転式連発拳銃、まどかが自動式連発拳銃を取る。切り札使えば俺も扱えるが今は宝の持ち腐れだしな、此奴らの得意武器も知りたいし。

 

 「あっ、見つけた」

 「方角は?」

 「あの辺の路地」

 「自殺が多そうな場所だな」

 「そういうことは早く言いなさい!」

 

 最初に言ったはずだがな、魔女は人の陰気な場所に集まると、今回は一応一般人もいるってのに全力疾走しやがって、まぁ見えるから問題ないんだけどな。

 肩から振り落とされたんで、暁美たちを案内する。

 

 「あっ、」

 「どうかした?」

 「今女性が飛び降りた、」

 「え?」

 「巴マミが受け止めるから問題ないわよ」

 「そうだな、自殺防止はさほど重要じゃない」

 「あったわ」

 

 やっぱりか、魔女の口付け、魔女のターゲットとなった人間に現れる印、自殺や事故促進の印、見つけやすいぶん数が多いんだよなこの時代は。

 

 「ちょうど、開いてるな」

 「おふざけは此処までね、二人とも気を引き締めて付いてきて、最悪の場合死ぬから」

 「「っ!」」

 「結界は張ってやる、しっかり見ろ。霊符〈二重結界〉」

 

 魔女は真実が抑えるから二重結界でも事足りる。流石にワルプルギスレベルは六重でも壊されるけどな。取りあえずは魔女に対して命で向き合うことを覚えてもらう。

 暁美は、やっぱり理解したうえで戦ってんだろうな、自分を悲劇のヒロインにすることで戦えているとも言えるが、早めに杏子も連れ戻さんとな、この三人じゃマミとのコンビについていけない。

 固有魔法制限がありながらよく戦えるよな、彼奴。まぁ自業自得だから成り立っている考えなんだろうが、はぁ、結界を解いてないのに銃をむけんな。

 

 「動くな、結界内で銃を撃とうとするんじゃねぇ、跳弾して自分に当たるぞ」

 

 結界内から外にいる使い魔に銃を向けているさやかの手首に乗り止めさせる。下手に撃とうとしないだけまどかのほうがまともだな。全部撃たせるか。

 

 「結界を一部解放する、好きに撃て」

 「え、うん」

 「分かった」

 

 両手で持ってしっかり狙いをつけているが、反動で変な方向に跳んでるな、けどあれいつ教えるかだよな、魔法少女の行き着く先を。それを知ったら戦えませんじゃ話にならんしな。

 

 「そこまで、魔法少女になっても戦闘のしやすさってのは人それぞれだ、それに、あっ、マミのやつ随分無茶な戦い方をするな」

 「え?」

 「あ…マミさん!」

 

 魔女が持つ蔦が脚に絡み宙吊り状態になっているが、あの程度で死ぬような奴じゃない。けど、此奴らにとってはそうじゃないんだよな。

 

 「ほむらちゃん!助けてあげて!」

 「その必要はないわ、あの程度巴マミの足元にも及ばない」

 「そうだな、でも丁度いいから、手伝え、俺の戦い方を見せてやる」

 「何を!」

 

 いい機械だし、暁美にも見せておくか、切り札は色々とめんどくさいし、この程度に使う必要もない。

 暁美の肩に乗って……ほう、これはこれは物騒な女だな。だが、使う技は決まったな。 

 

 「お前AT-4にRPG、それなりに撃ってきたな」

 「なんで知ってんのよ!」

 「肩触れりゃわかる、しっかり地面踏んどけよ、固定砲の土台になるんだから」

 「はぁ?!」

 「この体だと、軽くて吹っ飛ぶんだよ。ミニ八卦炉、

 「マミ!そこどけ!巻き込まれっぞ」

 「もうっ、始まら前に言いなさい!」

 「恋符〈マスタースパーク〉」

 

 加えたミニ八卦炉から放たれた光線は簡単に薔薇園の魔女をかき消した。ミニ八卦炉もちろん再度飲み込んでおいた。使えるやつはいないと思うが、それでも保険だ、孵卵器に拾われたら目も当てられん。

 しっかし、グリーフシード持ちで俺が知らないとなると被害者の一人か、しっかり成仏しろよ。

 

 「銃を向けてどうだった?怖かったと思うのなら正常だ。その思いは大事にしろよ、マミみたいに連れて行かれてから状況理解するみたいには何なよ」

 「え?」

 「高校生くらいの人に路地裏に連れて行かれてね、幻夢が助けてくれたわ」

 「高校生について行くなと言うことを一日かけてたたき込んだ、最悪、胸糞漫画の内容を見せるてもあるけどな」

 「え〜」

 

 マミの無自覚で何人の人間が高熱に促されたことか。今だに抱き枕にしたりするし、何とかならんもんかねぇ。

 

 「まぁいい、それで契約するのか?しないのか?」

 「……流石にちょっと」

 「私も、憧れはするけど」

 「……憧れるようなもんでもねぇよ、でも、よかったよ、これ以上の勧誘をしなくて済むからな、お守りは持っておけよ、それねぇと孵卵器が勧誘に来るから」

 

 そんじゃ、風見野に行きますか、魔女の数も増えてきた。三人、いや四人くらいが丁度いいかもな。

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