鬼殺隊であれば鬼と戦うのは当たり前。そして一般人を守るのも当たり前だし、僕より階級が低い方を守るのも当たり前。僕のような小僧に守られるのは嫌かもしれないけど、僕は一緒に任務に来た人たちを無事に返す義務というものがある。
そのためであれば囮にもなるし……その結果として自分の命の灯が消えたとしても後悔はない。
前に結果として死んでも仕方ないのようなことを言ったら、色んな人に反対された。
『何言ってんだ、お前を生きて返すのは俺たちの役目だ』
『そうです。私たちがあなた様のことを生きて返さなかったら怒られてしまいます』
『確かに階級は上だけど、俺はキミを守る役目がある。ずっと見てきたからな』
みたいな感じで僕よりも階級が下の方にもこんな風に言われている。確かに皆、顔見知りではある。ずっと鬼殺隊の中で生きてきたから。そういうこともあって皆、兄や姉のような存在なのだ。どうやらそれは僕が思っているだけではなくて、皆さんもそう思ったみたいで僕のことを一番に考えてくれる。
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「あ、あれ…もしかしたら起こしちゃった?」
「……いえ、そろそろ起きる時間でしたのでそれは構わないんです。でも、なぜ雛鶴さんが家に?」
「私だけじゃないですよ」
その言葉で体を起こして辺りを見渡すとそこには音柱の宇随さんと須磨さん、まきをさんがいた。どうやらいつもの四人で僕の家まで来たようですけど…なぜ?
「お前、あんまり食事とか取らねぇんだろ」
「そ、そんなことはないと思いますけどね……」
「それなら俺の目を見ながら言えよ。そのことで胡蝶から「あの子はほっとくと食事を抜いてしまうので、たまにでいいので気にかけてあげてください。私もなるべくチェックしに行きますが」とよ」
なんで胡蝶さんにそんなことがバレてしまったのだろうか。僕は自分の食事などの日常生活に関してはあんまり話さないようにしていた。だって話したら皆さんに心配を掛けることになりますし、下手したら家まで来て食事を作るとか言い出してしまいそうで……。
「俺も最近話せてないし、来たわけだが、どうやら胡蝶の言ったことは正しかったようだな」
「…た、たべてますよ…。たぶん」
「それなら、たぶんって言うなよ。それに鬼殺隊の一員であればいつ戦いに巻き込まれるか分かったものじゃないんだぜ。食べられる時にしっかりと食事を取っておくことは必要だ」
確かに宇随さんの言うことは分かる。
これはまだ誰にも知られていないと思うのだが、僕は10歳になった時にある異変が起きた。それは胃に固形物を入れると吐き気がするのだ。だから液体を口に入れたり、調子がいい日は個体を少しだけ入れてどうにか吐き気を我慢するという感じだ。これは柱の方にも、他の鬼殺隊の隊員の方にも伝えていない。
だってこんなことを言ったら心配させてしまう。只でさえ、鬼との闘いでそれぞれ満身創痍。そんな時に自分の事で迷惑を掛けるようなことはしたくない。
「天元様の言う通りです。キミに倒れられたら……」
「申し訳ありません。宇随さんに須磨さん」
「おい、私もお前のことを心配しているんだぞ」
「私も心配しているから料理しているんだけど」
「すいません、雛鶴さん、まきをさんも心配して頂いてありがとうございます」
ここまで自分のことを想ってくれる人がいるのは本当に有難いこと。
それから少し話して、須磨さんが急に変なことを言い出した。
「なんかキミって私たち皆の弟みたいだよね」
「年齢的にはそうかもしれないですね」
「それもあるけど、なんか守ってあげないとって思っちゃう」
「須磨がそれを言うのかというのはあるが、分かるな」
「え、分かるんですか、まきをさん!?」
「ああ、なんかしっかりと見といてやらないと勝手にどこかに行きそうなんだよな」
「そ、そんなに僕って信用ないんですか?」
「泣きそうな顔すんなよ!別に信用がないとかじゃねぇから。お前のことはみんな信用してるし、大切に想ってるよ。でも、なんか見てねぇと心配なんだよ」
「その気持ちは分かるわね」
「雛鶴さんまで!?」
「なんか心配なのよ。今日は天元様に言われたのもあるけど、そろそろしっかりと生存確認しておかないとって思ったの」
「死んだらさすがに連絡がいくと思いますよ」
家で野垂れ死んでもさすがに1日ぐらいで誰かが発見してくれると思いますし。
「死んでからじゃ遅せぇからな。お前は俺たちを含めて、鬼殺隊が育てた子だ。もちろん、愛情だってある。こんなことを言ったら絶対にダメだと思うが、俺はお前に鬼殺隊に入隊して欲しくなかった」
「え…そ、そうなんですか?」
「ああ、他の柱の奴がどう思ってるのか分からねぇがな。育てすぎたんだな……。だから、お前が死ぬのを恐れて、なるべく平和なところで普通に幸せな家庭を築いて欲しいとすら思ってるんだぜ」
「…初めて知りました」
「そりゃあ、お前の前で態々言わないだろ。お前のことだから変に気を使うようになるだろうしな」
「そ、そんなことないと思いますけど」
「なるに決まってるだろ。俺たちはお前のことを育てた張本人なんだから、お前よりもお前のことを分かってる!」
宇随さんは絶対に自分の言っていることが間違っていないような言い方だ。まぁ…確かにその通りなので、何か言い返せるようなことはないんですけどね。
そしてその後、雛鶴さんが作ってくれた料理をどうにか食べた。
心配させるわけにもいかないですしね。