もうすこしだけハッピーエンドへ 作:彩葉って最高だよな!
新情報が続々と出てくるので、その度修正してたら全く進みませんね。嬉しいんですけども。
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こんにちは、こんばんは。美味しい(?)ご飯に陥落した彩葉を思い出してニヤニヤ中の月笠です。いっぱい食べる君が好き。
あの後、ちゃーんとチャーハンを届けて一緒に食べました。出来は上々で、お眼鏡に叶ってハッピーといったところ。なんだかんだご飯に負けてしまうのは変わらないんですよね。人間誰しもご飯を食べたいでしょ。特に日本人。
勿論、加減はしてる……というよりは所詮俺程度じゃ届かないと言うべきか。その他仕込みもあるし、影響は少ないでしょう(慢心)。
さて、今はいつなのかと言われますとね、はい、Xデーです。ついに降ってきます。それはもう綺麗な流れ星がね。なんで逃げ出した感じなのに流れ星みたいに降ってきてたの?
そんな中、ツクヨミ関係の仕事をやることになってます。ここに来るまで大変だったぜ。いやほんとに。元々VR関係の制作手伝いをやっていたのが評価された形だとは思うが、いけると思ってなかったからまだ衝撃を受けてる。このまま軌道に乗れればツクヨミ1本に絞れるけど、どうだろうか。将来的には絞るんですけど。受けている仕事を減らすとも言う。
で、今回担当するのは広大なツクヨミ世界の中の一部、ミーティングスペースです。彩葉達が何度か利用していたので見覚え聞き覚えがあるんじゃなかろうか。かぐやと……ヤチヨもいたような、いなかったような。
このミーティングスペース、見た目同一座標の別部屋にぶち込まれてる感じだから、変な事をされると困ったことになるかもしれない。対策はしてあるけどそれはそれとしてしっかり保守をしましょうということらしい。ほんとか? そんなぬるい仕組みなことあるか? 月見ヤチヨが作り上げた世界だぞ?
とはいえただのバイトなんて大したことはないので、大雑把に監視と動作確認をする感じになります。今回は比較的仕事量が少なくて助かる。
いつしかの仕事なんて、どうやって見つけたかもわからない、フレーム単位で特定の手順を踏むと発生するバグの修正やらされたし……これこそ管理人かつAI(笑)のヤチヨがやるべきでは? 俺は訝しんだ。
そんなこんなで非常に残念ながら彩葉と共に始まりのシーンを迎えることは出来ないかもしれない。しかし、どこかのタイミングでこっちに連絡をくれる……多分きっとメイビー。
だって結構な異常事態だし、混乱して頼りに来てくれたりしそうじゃない? というかして? 来てくれなかったら1年以上全力で仲良くなりにいった結果をダイレクトアタックされて俺がオーバーキルされる。仲の良いはずの学友で隣人やぞ。あんなにおはなしたじゃん……。
バイト帰りの彩葉のお迎えとかしたかったなぁ。思い出したら悲しくなってきた。泣かないで、彩葉……。
ネット上の一部で流れ星の目撃情報が出て来た頃。ミニヤチヨからの連絡が来たことにより、終業時間となった。ミニヤチヨ、一家に1人、居ると良い。
異常無く終わったように見せかけてイカれたやつがいたのでそれだけ報告しておいた。誰やねん、わざわざベッド持ち込んで除霊しようとしたヤツ。いくらツクヨミとはいえユートピアするなよ。インターネット老人会かな?
ちなみに後日、おいたということで処理をしたとはヤチヨの談である。ちょっとプルプルしているように見えたのは気のせいだろうか……yachi8000の琴線に触れたのかもしれない。ついでに今度また面談をするとも言われてしまった。あーあ。
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仕事を無事に終えて後片付けも完了した途端、身体がグッと重くなった。立ち上がろうとしていたが、無理に抵抗せず椅子に倒れ込む。仕事のせいか、これからのせいか。どちらにせよ、随分と自分の身体に負担がかかっていたようだった。いよいよということで気負い過ぎていたのかもしれない。
「……かぐや、か」
とうとう始まる『超かぐや姫!』の物語。存在理由であり何よりも大切な彩葉と、メインヒロインの1人たるかぐや。その邂逅。似て非なるこの世界で、ハッピーエンドを超えたハッピーエンドを……よし。
決意を新たにすると共に、彩葉のことを考えることで重たい身体を軽くして立ち上がる。俺が開発した彩葉万能療法である。副作用として、主に心拍数や血圧の上昇が挙げられる。
いつも通りの思考をしながら立ち上がると、丁度よくスマホに通知が来る。相手はなんと彩葉からだ。
彩葉からの連絡という、何度受けても嬉しすぎて身悶え昇天しそうな喜びを抑えつつ内容を確認すると、『変な電柱から赤ちゃんが、わけわかんないと思うけど外来て』という文字が。彩葉らしからぬ要領を得ない文言に彩葉の混乱を感じる。
普段の彩葉であれば多少のイレギュラーはその完璧超人っぷりの下軽々と解決してしまうが、今回はそうなっていない。
多少じゃ済まないイレギュラーか、それどころじゃないほど疲れ果てて超無理限界ギリだからか。そう、両方だ。
彩葉への想いを1度落ち着け、準備をして外へ出る。ほんの数歩分歩くと、このアパートの1番近くの電柱の元に佇む、赤ちゃんを抱いた彩葉が見える。ゲーミングしていた名残がちらりと見えた電柱を叩きながら、なにか話しかけている様子だった。傍から見ると不審者である。
そんな様子の彩葉に、特に怪しがることもなく寄ると、睡眠不足と疲労と心労が重なり凄まじいことになっている彩葉と、元気そうな赤ちゃんが。既にゲーミング電柱の扉は閉じた後のようだった。
「ほんとに赤ちゃんなんだな……」
「えふー」
「つ、月笠……どうしようこの赤ちゃん。なんか電柱が勝手に開いて、取っちゃったら閉まっちゃって、でもこんなとこに置いてくのは危なそうで、でもでもやっぱそんなの無理だし」
「いr……酒寄、一旦落ち着け。ここでこのまま話を続けるのはあれだから……置いてく訳にもいかないし、とりあえず部屋に連れてくしかないんじゃないか?」
「そう、だよね……」
よく見ると元気そうというより、どこか満足そうな赤ちゃんを抱きながら、ぐるぐると目を回しかけている彩葉。リアル彩葉のこの状態はレアで、思わず名前で呼んでしまいそうになった。ツクヨミ彩葉なら稀によくあるんだが。
誘導も含め、家に戻ることを提案する。変えてはいけない部分であるのが最大の理由だが、常識的に考えても赤ちゃんを放置する訳にはいかないし、長居すればするほど人目に付いてしまう。どんな噂が経つかわかったもんじゃない。あとなんか急に治安が悪くなったのもある。
先程から犬の遠吠えやカラスの鳴き声、ガラスの割れる音に酔っ払いの叫び声と不吉な現象が多発している。黒猫が前を横切ったり靴紐が突然ちぎれたりもしそうな雰囲気だ。ほんとに急だな。
「う……ふ、ふええええええ!」
「ひいいい……!」
「……酒寄、結構余裕ある?」
「ある訳ないでしょ……!」
機嫌を悪くしたのか急に泣き始める赤ちゃんと、それに対して悲鳴に近い声を小さくあげる彩葉。深夜の住宅街というロケーションが事態の悪化を加速させる。
……彩葉、普段そんな悲鳴とかあげないのに。深夜テンションとかも混じってる? 超無理限界ギリだからか。
とにかく家に移動する。彩葉が先導したのでそれについて行く形だ。この赤ちゃんを彩葉が引き取る為と考えるとかなり良い方向に進んでいる。何も無ければ俺が預かってもいいのだが、そういう訳にはいかないからな。だからこの状況を許して欲しい。
そうして無事に到着したが、件の問題児はまだ泣き続けている。泣くのが仕事とは言うが、やっぱり時間ぐらいは考慮して欲しいものだ。
「えええええええん!」
「あーもう、泣き止んで……ほーら大丈夫だよー」
なんとか泣き止まそうと部屋をウロウロしながら色々試す彩葉。思いついたことを実行しているのだろう。こうやって焦っている彩葉も中々乙なものだ。
しかし、このままだと早々収まらないだろうし、諸般の事情により壁ドンが無くなってしまった可能性があるため、アドバイスをする。
「ふやあああああ!」
「全然泣き止まない……」
「抱っこして歩いたり揺らしたりしてもダメなら……そう、子守唄なんてどうだ?」
「子守唄、子守唄かあ……そんなの記憶に……」
うーんと唸って頭を抱えそうになる直前に突然その身を固める彩葉。その視線の先には、彩葉が祀っている月見ヤチヨの神棚が。
ちなみにこの神棚、神棚アクリルスタンドと銘打っており、お値段も中々なものである。諸々事情を知っているのであれば、その効果も中々なものなのかもしれない。なお特定の人物固有な模様。
「大切なメロディーは――流れてるよ――あなたのハートに」
彩葉の生歌!! おいおいおいこれが新世界の始まりか? この複雑な感情と純粋な想いを混ぜ合わせつつも調和させ、子守唄を意識したが故の優しさ溢れる歌声、素晴らしい……何も気にしなくていいなら録音してあれやらこれやらするというのに。
原作通りの状況と彩葉の生歌というダブルパンチにより思考が吹っ飛んでいる俺をよそに、それは続く。
そして彩葉がその曲の1番も歌い終わらない内に、赤ちゃんは眠りについた。
「ヤチヨパワー、すげー」
「…………どちらかというと、酒寄パワーなのでは」
「いやいや、ぜーんぶヤチヨのお陰だから。はああ……」
ああ、彩葉が歌い終えてしまった。喪失感がえげつない。とりあえず脳内と魂に5重コピーとロックをかけて決して忘れることのないよう厳重に記憶ないし記録しよう。
そんなことを考えていると、すっかり眠った赤ちゃんを慎重かつ丁寧に布団に寝かせ、問題ないことを確認して力を抜いた彩葉が見えた。これも激レアである。
そもそもの話、彩葉が力を抜く状況そのものがまずもって無く、よくて自室。人前なんてもってのほかだ。そのうえで何も気にしなくていい時間を作らなければ、本当の意味で力を抜くことは無いと断言できるのではないだろうか。
話が少し飛んでしまったが、俺の存在を忘れている可能性が高いとはいえ、人前でこのようになったという事そのものは喜ばしいと言えるかもしれない。是非ともそうやって……。
などとまた思考の海に潜りそうになっていると、スマホを持ち今にもどこかへ電話へかけそうな彩葉に声をかけられる。どうやら忘れ去られてはいなかったらしい。よかった。
「ねえ、月笠。これってやっぱり警察かな」
「……そうだと言いたいところだが、なあ。どう説明しようとしても説明出来ないというか、頭おかしいと思われて終わりじゃ?」
「だよね……ただでさえ七色に光る電柱から赤ちゃんが出てきたっていう意味わかんない事実があるのに、それを誤魔化しても結局赤ちゃんを連れ帰った、なんて言ったら捕まっちゃうよ……疲れた」
そう言って諦めたように電話を止め、スマホを置く彩葉。精根尽き果てかけているが、まだ意識はありそうだ。今のうちに色々やって戻らないと……。
「とりあえず、どうにもならないだろうし今日は休んだ方がいい。また明日考えよう」
「うん、ありがとう……月笠」
「なんも出来てないから、礼なんていらないんだがな……」
そう言って燃料が切れたように動かなくなる彩葉。こちらの言葉はスルーされてしまった。悲しい。眠ってはいないようだが……うーん、超無理限界ギリ過ぎたか。
高々ご飯だけじゃダメだった……いや、流石にかぐやの件が大ダメージ過ぎたか。彩葉だからとはいえ、また抱え込むことが増えてるし。
さて、まず赤ちゃんの処置をしますか。あるあるとはいえ、布団がよろしくないことになるのはよろしくないからな。ただ、準備しておいたベビー用品を全部あげるとかは……うーむ。
彩葉が赤ちゃんことかぐやを育てる過程というものは、少なくとも原作において非常に重要だ。これがあった事でかぐやに対する態度や感情といったものが云々というものの一部分なのだから。
それを一切無くすのは悪手。かといって一切手を出さないのも、目的を考慮すると悪手。そもそもの話、ここで手を貸さないことある? 困ってる
となると折衷案。臨機応変しかない。そもそもここから先、今までより干渉しまくれないのは間違いないのだから、小さく積み上げつつ、出来るところで大きくいくしかない。
未だ動かない彩葉を尻目に、この世界で鍛えた身体能力と前世で編み出した技を最大限利用し、目にも止まらぬ早さで処置を施す。
完了してもなお彩葉は微動だにしない。心配だし不安にもなるが、今はこれ以上何も出来ない。これからご飯食べる元気も無さそうだし、ゆっくり休めるように願う他ない。一声かけて帰るとする。
「よし……それじゃあ酒寄、また明日」
「うん、また明日……」
絞り出したような声で返事をする彩葉。本当に心配だが、居座る訳にもいかないため意識して顔を逸らし、足を動かして帰る。
こんな状況にも関わらず、また明日と返してくれたことだけで幸せを感じる。会話できるだけでも嬉しいというのに、別に俺がいなくとも解決できることで感謝なんて……優しすぎる。
そのせいで思わずとても彩葉に見せられる顔では無くなってしまう。返事しただけなのにニヤニヤする奴が目の前にいたら嫌だろ。それにどう転ぶかわからないし、彩葉の前ではなるべく表に出さないようにしているのに。
部屋を出る時、すやすやと眠る赤ちゃんの寝息の他に、言葉が聞こえたような気がした。
帰る先があまりにも近いせいで、気分をリフレッシュすることも、落ち着かせることも出来ずに家に着く。いざと言う時のために持っていたベビー用品、医療セット、バールのようなものなどを片付ける。使わずに済んで良かった。
1人になると、改めて待っていたものが始まったのだという実感が湧いてくる。これからは一切のマイナスが許されない。それを刻みつけ、前を向いて進まなければならない。それぐらいしなければ、彩葉の近くにいることすら出来はしないのだから。
出来れば彩葉とイチャコラさせたいんですけどね……なんか構想練りつつ書けば書くほど2人の間に谷が出来上がってくんですが。