小逆転!ベレリアンド戦争!  ~if キャメロット王国参戦す~   作:koe1

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事態はどんどん悪化。


第4話『どうして、こうなっちまったんだか・・・』

星歴876年10月28日午後1時

キャメロット駐箚オルクセン公使及び、このオルクセン王国外務大臣である私が、キャメロットより強い内容の抗議文を受け取った。

ただ最初は私に手渡した公使、そして電信で報告してきたキャメロット駐箚公使共々『愛想はなかったが、特にその場でこれといった抗議はしてこなかった』ので、開戦と同時に開始された海軍によるベレリアント半島の海上封鎖に対しての形ばかりの抗議かと思った。

確かになぜかキャメロット王国は未だに中立宣言はしていない不思議さはあったが、何らこれといった発表をしていなかったので、元々親エルフィンド派が多いキャメロット国内事情のためかと思っていた。

私はキャメロット公使が立ち去った後、封がされていた抗議文を開くと・・・そこには信じられないことが記されていた!!

「すぐに海軍司令官を呼んでくれ!!それと我が王に緊急連絡だ!!」

 

私のあまりの剣幕に、理由も知らぬままに秘書が文字通りに走って海軍省に出向き、向こうでも色々あったそうだが、1時間半ほどで最高司令官であるクネルスドルフ大将が慌てて馬車でやってきた。

私は人払いさせた大臣執務室でキャメロット王国からの抗議文をクネルスドルフ大将に手渡した。

大将は何ごとかと思うような表情でそれをうけとり、読んでいくが、どんどん表情が変わっていき、最後は真っ青な顔になって私を見て

「キャメロット海軍の軍艦4隻を我が軍が撃沈した・・・?」

と信じられないものを見た顔でいった。

少なくとももしこれが事実だとしても彼はこのことを知らないと私は判断した。

「その内容が正しければ、開戦初頭のベラファスト湾海戦において荒海艦隊が撃沈した4隻はキャメロット海軍の親善艦隊ということになる・・・事実なら大変なことになった」

クネルスドルフ大将は再び抗議文に目を落とし、口を開いた。

「確かにキャメロット海軍のアルティメット型装甲艦は、エルフィンドのリョースター型を範として建造されており、艦型はかなり似通っています。しかしリントヴルム岬観測所は開戦前にこれといった艦艇がベラファスト湾での出入りを確認していません」

「見落としたということは?」

「濃霧が出た時や夜間に無灯火航行していた場合は確かに否定できないかと思われますが、そもそも親善交換派遣艦隊が事実としても我が海軍はその様な情報は・・・外務省では?」

クネルスドルフ大将は抗議文から顔を上げて救いを求めるような顔で私の方をみた。

私は黙って首を振った。

「キャメロット駐箚公使からの最近の報告ではその様なことはない。念のために現在ここ半年の程の新聞記事を再確認するとのことだが・・・」

「キャメロット海軍との接触は?」

精神的余裕を無くしつつあるようで、最低限の言葉でクネルスドルフ大将は再び尋ねてきた。

「つい先ほど入った電信では、参事官が慌てて向こうの海軍省を訪問したが文字通りの門前払い。衛門警備司令の大尉に謝罪以外の理由では敷地内には絶対に立ち入らせないとのことで追い返された。駐在武官が個人的友誼を結んでいるログレス在住の海軍軍人や有力な退役海軍軍人数人に接触を試みたそうだが、こちらも全て門前払いだそうだ。別な参事官が陸軍・・・戦争省の方に出向いて、こちらはなんとか話を聞いてもらえたそうだが、海軍は撃沈されたと主張して激高しているそうだ。ただ未だに新聞記事にはなっていないそうなので、実はキャメロット側も不正確な情報のために発表を躊躇っているのか、それとも我が国との関係を考慮して未だ発表をしていないのか、それともこの戦争を止めるためのはったりなのかがわからない。ただ我が王には既に緊急電を発した」

クネルスドルフ大将は勢いよく立ちあがり、

「直ちにドラッヘクノッヘンの荒海艦隊司令部に連絡します!事態がはっきりするまでの間、荒海艦隊の作戦行動は全て中止させます」

私は無言でそれを頷いた。

しかしその時の私はそこで自分が犯したミスに気がつかなかった。

クネルスドルフ大将は『荒海艦隊の作戦行動は全て中止』と確かに言った。

それ自体は全く問題ないし、事実関係調査には必要なことだ。

しかし私はそこで『海軍艦艇全ての作戦行動中止』を要請するべきだったと後ほど後悔することとなった。

 

 

星歴876年10月31日午前10時。

閣僚会議の場で私は頭を抱えたい思いになっていた。

3日前に『我が艦艇4隻に対する誤射による撃沈に対する謝罪と賠償』の抗議文をオルクセン側に駐箚キャメロット公使並びにオルクセン外務大臣にそれぞれ手交したのだが、未だに『事実関係を調査中』を含む、一切の回答がない。

陸軍は他人事なので海軍の宥め役になってくれているが、海軍の怒りはどんどん高まっている。

それは撃沈されたこともあるが、私達内閣が『ファルマリア残留将兵救出』の許可を出さないことと、電信が切断されたファルマリアの現状が全くわからないという苛立ちもある。

もちろんエルフィンド政府には何度も現状確認を要請しているが、包囲されつつあるファルマリアの状況を確認する手段は彼女たちも持たない。

そしてオルクセン側は何ら回答をしていないというのに、キャメロット駐箚公使館の動きは活発で、なんとか海軍や王家に接触しようと努力しているし、各新聞社にも接触を繰り返しているとのことだが、それ以外の行動は何もとっていない。

それがまた海軍側の怒りを買っているという面もある。

流石にこれ以上海軍の怒りを抑えられないので、明日12時までにオルクセン側から『誠意ある回答』がないときは『我が艦艇4隻に対する誤射による撃沈に対する謝罪と賠償と実行者に対する断固とした処罰』を要求する外交文書を手交することとなっている。

 

 

星歴876年11月1日午前11時

なぜか単なる民間船の船長であるはずの俺が、エルフィンド軍の大佐と生き残ったうちの海軍の大佐、更に護衛のうちの海兵隊と、接近を知らせる役目も兼ねて音楽を奏でながら着いてくるエルフィンド海兵隊軍楽隊と共にファルマリアを取り囲んでいるオルクセン軍の陣地に向けて進んでいる。

どうして、こうなっちまったんだか・・・。

といっても原因は俺だ。

昨日の夜に開催された会議で、エルフィンド側からファルマリアの最新の現状が伝えられた。

まあ俺達も音を聞いていたし、中には望遠鏡で見ていた奴もいるのである程度把握しているが、この街を観測できる丘を・・・街を守るためには絶対に奪われては行けない丘を占領されたとのこと。

ただしまだ他の沿岸砲台がある丘は占領されていないので、そのギリギリ射程圏内にある占領した丘をオルクセン軍がすぐにどうこうするという状況ではないようだ。

なにせ実際には弾薬が残り少ないそうだが、向こうはそれを知らない。

立派な観測点や司令部を進出させたら一方的打たれると判断しているのだろう。

なので次に一手は他の沿岸砲台の占領もしくは破壊。

その後に占領した丘を観測点としてファマリアに砲弾の雨を降らせるつもりだろう。

ただここには元々のエルフィンド市民や逃げ込んできた避難民、さらには船を文字通りに焼かれたキャメロット海軍将兵や海兵隊、さらには奴らの海軍が怖くて引きこもっている俺達キャメロット民間船船乗りや少数のキャメロット人商人もいる。

本来ならば打ってこないだろうが、停泊位置が邪魔という理由だけで国際慣習法を無視して第三国の軍艦を容赦なく沈める連中が、そんな一般市民に対して配慮するはずがない。

 

で、会議自体は笑った(笑)。

ここファルマリアの防衛最高司令官に任命された国境警備隊の二等少将殿は特にこれといった方針はないが徹底抗戦を主張していて、海兵隊の二等少将殿は『ファルマリア市民を守る』という方針というか名目で徹底抗戦派。

続いて残った2人の陸軍の二等少将殿は撤退を主張しているが、話している感じだと1人は『軍事行動としての撤退』という感じで、もう1人は『個人として逃げ出したい』という感じだった。

で、ここ数日ほどの会議は状況報告以外はそんな感じだったんだが、下手すると内輪揉めしそうな勢いだった。

なので仕事がないうちの海兵隊の連中の士気を維持するためにも『防衛司令部警備をキャメロット海兵隊も共同でおこなう』ってことを数日前に海軍大佐を通じて要請した結果、白エルフのねーちゃん達の冷たい視線を浴びつつ、受け入れられて共同警備を実施。

なにせもしオルクセン側から、奴らの気の迷いで降伏勧告が来たら二等少将3人で殺し合いを始めちまいそうだったので、それを防ぐためというのもある。

更に『1人でも逃げる』という雰囲気を一切隠さない二等少将殿は『いざという時に船に逃げ込める』ファルマリアの民間港である内港の警備担当に。

『軍事作戦的に撤退したい』と思っている二等少将殿は前線に。

『住人保護を考えている海兵隊二等少将殿』は前線に目を光らせることが出来る軍港域並びに総司令部付近の警備担当という感じに割り振るように誘導した。

俺が(笑)。

もちろん普通なら民間人がそんなことを言っても絶対に通らないし、高慢ちきな白エルフ達からすると『短命種は黙っていろ!』だろ。

実際に俺は『アールブ語もろくに喋れない民間人の短命種は黙っていろ!』って、予想より酷く言われたからな(苦笑)。

一生懸命アールブ語喋って、通訳代わりになっているのにな。

まぁ高慢ちきな白エルフはこうでなくちゃいけねぇ(笑)。

で、泣きそうになった俺は仕方な~く『古アールブ語』で喋り始めたら、黙る黙る(笑)。

ガキの頃に親父に泣きついて白エルフのクソ高い家庭教師を雇って、そのスパルタ教育と嫌みに耐え続けた甲斐があったぜ!

ついでに古アールブ語で、嫌みに満ちあふれたファルマリアの現状の悲しさを綴った詩もその場で書いてやって回覧もしてやったぜ(笑)。

白エルフ達は楽曲詩作が出来る奴を頂点としてみる向きがあるし、古アールブ語は知性の頂点の1つとしてみられている。

なのでそれ以後は『なぜかしっかりと静かに』俺の口から発せられる言葉を聞いてくれるようになった。

知性的生物はこうでないとな(笑)。

『キャメロット船乗り1のエルフ狂い』と言われている俺の知性と教養がまぶしいぜ(笑笑笑)

で、そのおかげで部隊配置はすんなり決まったんだが、もし何かの気の迷いでオルクセン側が、その内容を遵守するかどうかは別にして、降伏勧告なんかを送ってきたらエルフィンド内で殺し合いを始めそうなのは変わらなそうなので、先手を打ってこちらから向こうに対して『撤退勧告』を送ってやろうということを主張してたらそれが通った。

なので『ファマリアにはキャメロット民間人が沢山いる。あんたらのせいで遭難した生き残りのキャメロット人将兵も沢山いる。まさにそれを無視して攻撃する気?少なくとも俺達が帰るまでは待つよね?』と記し、さらに『避難してきたエルフィンド民間人も沢山いるし、元から住んでいたエルフィンド民間人も沢山いる。虐殺する気じゃないよね?国際法の観点からいっているんじゃないよ。赤星十字社的な人道的思想からいっているんだよ』ということも記し、早急に赤星十字社のファルマリアへの派遣を要請することも記して、『とりあえず今は何も言わないから、オーク達よ一旦オルクセンにお帰りなさい』という内容で勧告文を書いた。

なぜか俺が。

防衛司令官である国境警備隊の二等少将殿・・・ハルファン二等少将殿に文字通り、皆の前で頭を下げられてお願いされて。

外交文章に当たる可能性が高いのでしっかりとした文章にしないと恥をかくという、少々意味のわからない理由で。

なので俺が古アールブ語、アールブ語、キャメロット語、グロワール語、オルクセン語で同一内容の文章で5通作って、内容が同一であることをしっかりと確認してから上手く割印をして、エルフィンド陸軍、エルフィンド海軍(海兵隊)、キャメロット軍、キャメロット民間人団体(俺)の4人で、5通共に内容が同一であることを証明するサインをして、1通をオルクセン軍にお届け中という奴さ。

ちなみに文章の各語順はさっき説明した順な。

オルクセン語が一番最後(笑)。

この位の嫌みは許してくれ(笑)。

なので『撤退勧告』に行く40名ほどの部隊は、先頭の1人のエルフィンド大佐が白旗を掲げているが、それに続く2列で進むエルフィンド軍とキャメロット海兵隊の隊列はエルフィンド旗とキャメロット旗をそれぞれ掲げ、最後尾のエルフィンド軍楽隊が音楽を奏でながらどんどんオルクセン軍陣地に向かって近づいていく。

しっかし何度見てもうちの海軍軍服や海兵隊軍服はエルフィンドの軍服とそっくりだな。

水兵のセーラーも瓜二つだもんな。

まぁここ何十年かはずっとキャメロット海軍にありとあらゆる海軍運営を習ってきたというからしかたねーのかな。

少しでも予算を浮かすために、うちの軍服をそのまま導入したのかもしれねーし。

さて、向こうからオルクセン兵達がこちらを指さし始めたのが見える様になってきた。

打つなよ・・・打つなよ・・・。

通訳兼『見届け人』として着いていく羽目になった俺は神と白エルフに祈りながら進んでいく。

どうして、こうなっちまったんだか・・・。

 

「これがエルフィンドの連中が手渡した『撤退勧告』?」

前線部隊の少尉が受け取り、逓伝されてきた『撤退勧告書』をグレーペン少将閣下に手渡す。

報告によると『キャメロット民間人を通訳として連れてきたエルフィンド軍の大佐が持参した文書』だそうで、なんと驚くことに『40名ほどの部隊』で『エルフィンド陸軍とエルフィンド海兵隊と、そしてエルフィンド海軍と海兵隊の軍服を来た人間族』で構成されていたそうだ。

軍使としてはあり得ない規模だ。

もちろんそのことも少将閣下に報告する。

少将閣下は私の報告を聞きながら『撤退勧告』を一瞥すると、

「意味がわからん。キャメロット民間人はわかるにしても、オルクセン軍の攻撃によって遭難したキャメロット軍人?なんでそんなものがいるんだ。嘘を書くにしても、もう少し内容というものを考えろ。あと民間人を攻撃するな?だったらとっとと降伏すればいい。軍事施設がある都市は国際法でも保護の対象でないことをしらんのか。赤星十字社的思想に基づく人道保護?そんなものが国際慣習法にあるのか?」

少々殿は呆れたようにいう。

「どうされますか?」

ライスヴィツ中佐殿が少将殿に尋ねる。

少将殿は一瞬考えられた後に

「無視する。キャメロット人民間人保護は我が王の指示による重大事項であるが、人間族が・・・キャメロット人がエルフィンド海軍や海兵隊の軍服を着てこの様な文書を届けに同行したということは義勇兵としてエルフィンド軍に参加しているとみなす。さらにこの文章にも『キャメロット民間人一同』が連名していることから、明瞭にエルフィンド側に協力している。よって以後は保護すべきキャメロット人民間人とはみなさない。このことは陛下にも私が直接文章を書いてご報告する。それにしてもオルクセン語を文章に一番下にするとは舐められたものだな・・・。以後は我が司令部としてはファルマリアのエルフィンド軍とは一切交渉しない。軍使が来ても何も受け取らずに追い返せ」

 

 

星歴876年11月3日午前12時

駐箚キャメロット公使からの報告によると、過去半年どこか10ヶ月ほどの新聞記事を調査したがキャメロットとエルフィンド艦の親善艦隊相互訪問記事はなかったとのこと。

さらにキャメロット本島北部の軍港にアルティメット型装甲艦が2隻停泊している情報や、他の軍港ではアルティメット型装甲艦が目撃されていないこと、本島南部海域を北上しているアルティメット型装甲艦2隻を始めとする5隻ほどの艦隊も数日前に目撃されている等の情報が集まっている。

もしエルフィンドからの親善艦隊が本島北部の軍港に向かうとしたら絶対に通らない航路だというのは素人の私でもわかる。

そして2日前にはキャメロット駐箚公使と私に対して新しい抗議文が手交され、内容は更に厳しくなり『我が艦艇4隻に対する誤射による撃沈に対する謝罪と賠償と実行者に対する断固とした処罰』を要求された。

ちなみに先日、新たなる作戦行動の中止を命令された荒海艦隊は怒り狂っているという。

とりあえず『事実関係を調査中』ということをキャメロット側に伝えた。

もちろん我が王にも電信を送った。

ただ流石にこれはキャメロット王国側による停戦工作ではないかという思いが私の中で強くなってきた。

 

 

星歴876年11月7日午後15時

キャメロット王国首相である私は、隠すことなく頭を抱えている。

ここ数日で判明したことだが、オルクセン海軍の手によって我が国のエルフィンド航路の民間船が相当数拿捕された事実が、赤星十字社を介して判明した。

新聞はもちろんそのことを各社とも記したが、最初のうちは『国際慣習法の範囲のうち』ということで、中下級市民の感情的怒りはともかく、知性のある指導層である上流階級は特にこれといった騒かず、海運保険のあり得ない値上がり以外は特におこらなかった。

だが2日前になって、とある開戦時にエルフィンドのモーリアにたまたま滞在していて、なんとか帰国に成功したログレスタイムズの記者が、開戦初頭にモーリアで被災体験した記事を同社が号外として、私も初めて見たが写真入り記事で発行し、格安で大量販売すると、国際慣習法を無視した市民の犠牲をいとわない攻撃を実施したオルクセンに対して中下級市民は怒り、上流階級は恐怖した。

同時に法学者の間で『内包』の言葉に関する解釈をいかにするという議論も巻き起こった。

そしてオルクセン海軍による民間船拿捕の怒りと合わさり、オルクセン公使館が怒り狂う市民に取り囲まれる事態も発生させてしまった。

すぐにログレス警視庁が巡査隊を派遣して解散させたが、予断を許さない状況だ。

そんな状況で、とうとう『ファルマリア誤射事件』が新聞社に流出した。

海軍は関係ないふりをしているが、内容のある程度の正確さといい、間違いなく海軍が意図的に流出させたものだろう。

さらに昨日の早朝のことだが、ファルマリアから民間船帆船が封鎖突破して、現地の詳細な状況を伝えに来た。

その情報の中で、包囲しているオルクセン軍に対して『ファルマリアに残留しているキャメロット民間人保護と遭難したキャメロット人将兵のキャメロット本国への名誉ある帰国』を記した文章を手渡したが、オルクセン側は一切の回答をよこさずにそれを無視したというのもあった。

当人が教養あるとある貴族家の係累だったことから新聞社は元より、当人が当日夜にはサロンを開いて包み隠さず喋りまくったせいで、上流階級である貴族間にもあっという間に情報が伝わり、とうとう上流階級ですら激高した。

ここに至っては、オルクセンに対して宣戦布告をするのはあり得ないとしても、なんとかして謝罪の言葉や謝罪した姿勢を引き摺り出さなければまずい。

明日午前9時をオルクセン公使を呼び出し『我が艦艇4隻に対する誤射による撃沈に対する謝罪と賠償と実行者と責任者に対する断固とした処罰』を記した新たな抗議文を手交する予定だ。

もはやオルクセン駐箚の我が国公使からオルクセン外務大臣に手交することもない。

これも我が国の怒りを伝える手段の1つだ。

頼むから謝ってくれ・・・。

 

ちなみに戦後判明したことだが、新聞社の『ファルマリアの虐殺』こと『ファルマリア誤射事件』に関する情報源は海軍ではなく、情報収集をおこなっていたオルクセン公使館職員が新聞社職員に何気なく漏らしてしまったことだったという・・・。

 




事態の悪化は坂道を転がるように・・・
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