小逆転!ベレリアンド戦争!  ~if キャメロット王国参戦す~   作:koe1

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※web版読了後推奨

ファルマリア撤退戦も佳境に!


第8話「どうしてなんだ・・・」

今日は強い西風のせいで波は高い。

ボートによる艀輸送での収容が困難とされて中止されたぐらいだ。

なので今は岸壁になんとか船を着けてエルフィンド兵達を収容している。

それですら船がけっこう揺れているので捗っていない。

 

そんな中でも海上の艦艇やまだ生き残っている砲台は盛んにオルクセン側の砲台と打ち合いをしている。

といっても砲台はともかく、俯角を大して上げられない艦載砲だと本来ならこちらから直接観測できない丘の上に設置されている砲台と砲撃戦なんか出来ない。

一方的に打たれて終わりだ。

というか、そもそも海の上だろうか陸の上だろうが、見えない敵なんて打てるはずがない。

それをオルクセン側は丘の上に隠れている観測点から魔法や電信で各砲に情報を送ってやってのけているらしい。

でそれを真似た、遙か下にいるこちら側は・・・砲台はまだともかく、海の上にいる艦艇は本来そんなことはやはり絶対に出来ない。

敵の砲が見える見えない以前に、そもそも艦砲は俯角をさほど上げられないので位置が遙かに高い丘の上にいる敵まで弾が届かなし、船の上からでは敵砲の位置の観測自体が出来ない。

だが、まず『海軍実験気球小隊』の連中の気球を400フィート(約122m)の高さまで揚げられたことによりオルクセン側の砲台位置がある観測できるようになったことと、その観測結果を白エルフ達の魔法のおかげで迅速に各艦各所に連絡出来るようになったこと。

これは艦艇ばかりでなく、陸上の各砲台も大いに助けられたらしい。

これには陸軍の連絡官・・・まだ部隊が派遣されていないのに連絡官だけ先に派遣するとはお役所的だが、そいつが大興奮して、無理矢理気球に一緒に乗ったり、打ち合いになっている陸上砲台に行ったりと、色々と報告書を纏めているようだ。

死ななきゃいいがな。

そして水上にいる艦艇が丘の砲台と打ち合いが出来る最大の理由だが、今日は風が大変強いので帆船時代の妙技『船を波に対して平行にし、船を波に上げさせて落ち時の船が斜めになって砲の俯角が上がった瞬間にぶっ放す』という『波乗り射撃』で本来なら届かない丘の上のオルクセン軍にも砲撃が出来ている。

もっとも今日みたいな強い風で高い浪がたたないと出来ない上に俯角は波だよりなので、砲撃できる日は毎日ではないし、命中率はお察しだが、それでも陸上砲台と合わせてそれなりの戦果を上げているらしい。

後はオルクセン側の重砲が少ないという点や、大鷲族が気球への襲撃を諦めてかなりの高さからこちらをみるだけにとどめるようになったという点もにも助けられているようだ。

流石に4羽も落としたら色々と諦めたらしい。

ちなみに笑っていいのかいけないがわからないが、戦わずに済むようになった気球と大鷲の連中は、どんな方法を使っているか知らないが、空の上で挨拶まで交わし始めたらしい。

魔法か手旗信号か発光信号か?

 

そして俺の『愛しのエルフ号』は動き出すのに時間がかかる帆船だっていうのに、いまだファルマリアに留め置かれている。

というか俺のせいだがな。

なにせ『1人でも逃げ出したい』という雰囲気を隠しもしない、ファルマリア要塞司令の二等少将殿とその幕僚達を乗せているからだ。

つまりこの『愛しのエルフ号』が『ファルマリア要塞臨時司令部』となってので、逃げられない。

避難民輸送が終わった後、ファルマリア要塞司令は真っ先に逃げようとしたんだが、当然のことながら許されるわけがない。

司令官は最後であるべきだ。

が、あまりの酷さにこれが兵に知られたら士気が落ちかねないと、ファルマリア防衛最高司令官であるハルファン二等少将殿や海兵隊の二等少将殿が俺を始めとするキャメロット側と密謀して、俺の船に幕僚達だけと共に乗船させた。

当人は『これですぐにファルマリアから離れられる!』と勘違いしていたようだが、親善交換派遣艦隊の生き残りの水兵を武装させた連中と、何人かの海兵隊の白エルフを『護衛』として着けた時点で色々と察したらしく、船の上からだが魔法を使って指揮を執っている。

こう言うとあれだが、意外にしっかりとした指揮を執れているらしく、驚いちまった。

ちなみに白エルフの海兵隊を派遣してもらったのは、魔法でコソコソ話をされないようにだ。

たとえ10人程度とはいえ不意を突かれたらどうなるかわからねーからな。

なので俺の船は自動的に最後までファルマリアに留まることになった。

それともう1人の『軍事作戦的な撤退』を主張していたファルマリア旅団の二等少将殿はキャメロットによる脱出作戦が始まった途端に腹を決めて、前線近くできっちりと指揮を執っている。

正直、こちらも意外だった。

 

で、撤退作戦自体は今のところ、順調にいっている。

まず最高司令官であるハルファン二等少将殿の手際が大変良いというのがある。

はっきり言って素人の俺からみても滅茶苦茶優秀な将官だと思う。

さらにこちら側の唯一の陸上撤退路であり、敵の有力な進撃路になる北のネブラスに続く鉄道線路方面には敵の騎兵部隊が布陣していたらしいが、エルフィンドがネブラスに掻き集めた部隊が北から圧力を掛けているので、オルクセン側がこちらに全力を投入できないということもあるようだ。

そして素人の俺でも気がついた線路と河の西側にあった防衛戦の大穴を、増援を受けたキャメロット海兵隊が初期に埋めたので、そこから敵が流れ込んでくることもなく、なんとか戦線の縮小に成功した。

もっとも前線にあって移動が困難な、せっかく配置が終わったばかりの重砲の何門かは破壊したそうだが。

で、本来なら真っ先に逃げ出しかねない、逃げにくい丘の上の砲台にいるエルフィンドの要塞兵達は、それぞれの砲台ごとに1隻ずつ装甲帯巡洋艦が『撤退先』として大量のボート共に待機しているので、それが安心感となって被害を出しつつも踏ん張ってくれている。

撤退戦自体は避難民輸送が終わった足の速い船を中心として、まずは国境警備隊の生き残りからネブラスへ撤退させている。

足の速い船でネブラス程度の距離ならば乗り降りを考えても2~3日もあれば往復できる。

向こうで船から降りたら再編成と休養をさせてから前線に投入しているらしいので、更にこちらへの圧力が弱まる。

流石にそんなことはあり得ないだろうが、ネブラス~ファルマリア間を打通出来たら、鉄道も使えるようになるから撤退が楽になるかもしれないと上の連中の一部は考えたらしいが、今更作戦を変更する方が混乱するという意見の方が強いとういうことで、船での撤退一択となっている。

どうせ線路とかが爆破されているし、打通させたふりをして撤退中の列車ごと攻撃されるかもしれないという意見が有力になったかららしい。

なんとか無事に撤退戦が終わってくるといいが・・・。

敵が丘から下りたら、こちらの艦艇が波乗りなんかしなくても普通に打っても弾が届くようになるから、下手すれば一方的に打たれると判断しているためか、丘の上から降りてこないのが救いだな。

海軍での豆鉄砲でも、陸軍からすると重砲だからな。

そんな感じで、本来ファルマリアが有していない数の『重砲』に守られながら、ゆっくりと戦線を後退させている。

もっとも実は各艦隊の弾の残りは少ないがな。

海軍も輸送艦を出して、オルクセンの砲弾が絶対に届かない安全な海域で洋上補給しているが、慣れない洋上補給から必ずしも順調に進んでいないとのことだ。

オルクセン側にそのことがバレないかどうかひやひやだ。

 

「大佐殿、要塞司令殿がお呼びです」

そんなことを舷側から望遠鏡で戦場を眺めつつ考えていたら、突然後ろから声を掛けられた。

振り返ると白エルフの士官がいた。

なぜかはわからないが、俺はまず最初に『エルフィンド海軍名誉大佐』の任官を受け、続いてそれに対抗したらしい『エルフィンド陸軍名誉大佐』にも任官された上で、『キャメロット海軍予備士官少佐』にもなった。

前2つはともかく、キャメロットの予備士官には怪我で退役したせいで登録していなかったんだが、エルフィンド側の名誉任官への対抗と、俺の怪我が完治していて任務に堪えられると判断されて、勝手に登録された上で任官されちまった。

どうもそれなりなお貴族様である、実家の兄貴が手を回したらしい。

で、どれもこれも正式な任官はまだの上、そもそもエルフィンドの階級に至っては『名誉階級』のはずなのに、エルフィンドの連中は『戦場なのに正式な大佐』扱いをしてくるし、船の連中は『少佐殿』と呼んでからかってくるし、キャメロット海軍や海兵隊の連中も少佐扱いしてくる。

勘弁してくれよ・・・。

ちなみに"Eagle killer"のキザ歯そばかすのじょーちゃんは、野戦任官だが二等兵から二階級特進して上等兵になり、本人が一番呆然としていた。

俺と一緒の任官式?だったので、当人は呆然としていたが、後で俺が祝いに『特設対空射撃隊』から『特設対空射撃教導隊』へとなった隊のみんなで呑めとラムを1樽に牛肉の缶詰を沢山届けに行ったら、

「軍隊ってクソだとずっと思っていましたけど、良いこともあるんですね」

と言ったので、頭をぐしゃぐしゃに撫でておいた。

俺よりもずっと年上だろうがな(笑)。

ちなみにそのラムや缶詰は近くにいた他の隊にもお裾分けしてみんなで呑んで食べたらしい。

良いことだ。

そのラムの一杯が、牛肉の一切れが戦友の繋がりとなり、いざという時に命も助けてくれる。

それとこちらの海兵隊の"Eagle killer"も対抗上、上等兵から伍長に、野戦任官だが昇進させた。

さてさてとりあえず何んで呼ばれたのかは知らないが、臨時要塞司令部となっている船倉に行きますかと。

面倒ごとじゃないといいが。

 

 

 

私は外務省のとある部屋で、グロワール駐箚公使館が3日に1度届けるキャメロットの各新聞を外務省職員や陸軍と海軍の連絡官と共に読んでいた。

海峡を挟んだグロワールはキャメロットの新聞が手に入りやすく、公使館が連絡官をキャメロット対岸にあるグロワールの港に派遣して、雇ったグロワール民間人を介してキャメロットで新聞を大量に入手させて、鉄道を利用して外交行李で運ばせている。

これも情報分析の一環だ。

正直、時間はあまりないが、状況が状況なので見落としがないように私も一緒に読んでいる。

「外務大臣閣下、このログレスタイムズにも『元親善交換派遣艦隊特派員』と銘の入った記事が掲載されていますが、今回の記事は・・・」

陸軍からの連絡官が、なぜかかなり困惑しながらログレスタイムズを手に取りながら言う。

『元親善交換派遣艦隊特派員』と銘の入った記事は、キャメロット主体によるファルマリアの一般市民と軍の撤退作戦が開始されたから、突如としてログレスタイムズに掲載されるようになった記事だ。

内容を第一軍に問い合わせた結果、内容は正確らしく、どうも3~5日程度のタイムラグで記事が掲載されているようだった。

おそらく記者がファルマリアにいて、書いた記事を避難船に託し、避難先の港から電信でキャメロット本国に送っているのではないかと推測されている。

もちろん内容は詳細な部隊展開やエルフィンド・キャメロット側の被害等は記されていないが、細々とこんなことがあったとファルマリアでの様子が記させており、最近だと飛来してきたオルクセンの大鷲族をエルフィンド兵とキャメロット兵の狙撃が得意な兵が立て続けに撃ち落としているという記事が記されていた。

私は「読ませてくれ」と言いながらログレスタイムズを受け取ると、信じられないことが書いてあった。

要約するのならば、捕虜名簿と捕虜が家族へと託した手紙を持った軍使をオルクセン側が銃撃して追い払ったという内容だった。

ただ記者は同行していなかったことと、語ったのは通訳として着いていった民間人だという伝聞情報であることが明記されているが。

肝心の記事の内容は、誤射されないように白旗や赤星十字社旗を掲げ、接近を知らせる軍楽隊も同行させていたというエルフィンド軍・キャメロット軍合同の軍使一行が、オルクセン側に捕虜名簿と手紙を届けに来たと言ってもそれを無視して激しい銃撃をくわえ、軍使側が白旗と赤星十字旗を振って誤解を解こうとすると、今度は旗をめがけて銃撃して追い払ったという内容だった。

記者は銃撃されたという旗もしっかりとみたと記しており、銃痕でぼろぼろとなった2つの旗から、これは明瞭に旗を狙ったものであると断言し、最初の銃撃だけならば緊張した前線での誤射の可能性が高いが、白旗と赤星十字社旗を明瞭に狙って射撃したのだからこれは意図的なものである。

オルクセン側は国際法以前に根底にある戦場のマナーとルール自体を理解していないのか?と記し、記事を纏めていた。

私は読み違いがあったかもしれないという淡い希望を持ちつつ、もう一度読み直し、さらに部下の外務省職員や海軍からの連絡官にも記事を読んでもらったが、やはり私や陸軍からの連絡官が理解したのと同じ内容が記されていた。

これが色々な事件がある前なら無視していたが、流石に色々なことがあった今となると確認しないわけにはいかない。

もし真実であるのならば大変なことになるし、その様な事実が無いので有れば明瞭に否定しなければならない。

「すまんがすぐに第一軍に連絡を取って確認をしてくれ・・・」

私は絞り出すように声を出して陸軍の連絡官の依頼した。

私は先日、我が王が前線にお戻りになる際に

『ビューロー、戦争が始まってから世界の悪意の全てが私達に向いている気がしてならないか?』

と疲れた顔で仰っていたことを思い出しつつ『どうしてなんだ・・・どうしてなんだ・・・』と思いながら、頭を抱えそうになるのを必死に耐えた。

 

 

 

戦争が始まってから少しして『大臣閣下やそれぞれの局長の皆様が別々な部屋にいるのは面倒ですね』とついうっかり呟いてしまったら、外務省庁舎で一番広い部屋に外務大臣閣下や各局長、部長の皆様が集まり執務を始めた。

少々手狭で騒がしいが連絡と書類処理がしやすくなったことと、どうもこれ自体も私達外務省の『反省の一環』とみられているようで、首相閣下を始めとする他の省庁からの反応もいい。

で、外務大臣閣下が「姉様、これはどおいう意味の書類でしょうか・・・?」といいながらおずおずと書類を私に手渡してきた。

ちなみに私の机は他の上位の秘書の皆様を差し置いて外務大臣閣下の隣にくっつけられている。

それに対して上位の秘書の皆様方は何も言わない。

逆にいつの間にか私が最上位の秘書となっている感すらある。

おそらく戦後の『処分』をみこし、少しでも生き延びる可能性を高めるためなんだろうけど・・・。

さらに外務大臣閣下を始めとする外務省中枢の皆様はまだ元に戻らない。

未だに皆様全てが私を『姉様』と呼び続けている。

勘弁して欲しい・・・そろそろ元に戻って欲しい・・・。

で、その書類は我が国が唯一外交関係を結んで公使を派遣している、私の感覚では今や我が国の救いとなっているキャメロット駐箚公使館からで、キャメロット政府並びにキャメロット政府を介して、キャメロット並びに諸外国各国から『エルフィンド軍と共に戦場に同行して、戦いの様子を視察する各国軍人の派遣依頼』の書類だった。

あ~・・・前にキャメロットの外交文章を勉強で読んでいるときに書いてあった・・・アーブル語で適切な言葉にするのならば『共に従軍し、戦場を観戦する武官』とかいうやつか・・・。

これらは外務大臣閣下を始めとする皆様が知らなくて当然だな・・・私も言葉でしか知らないし。

向こうの公使館でもどう処理していいかわからず、そのまま送ってきたらしい。

というか、各国から依頼があった日付が開戦してから1週間もたっていない時期だ・・・。

けっこう向こうの公使館でどう処理すべきか悩んで寝かせていたらしい・・・。

すぐに処理しないとまずいな・・・。

私はまずこれがどのようなものであるかを、たとえで『戦場に赴く駐在武官』の様なものだと説明すると、外務大臣閣下を始めとする皆様は、そんな野蛮な制度が人間族にあるのかと驚いたり、呆れたり、怖がったりしていたが、私が受け入れるのが人間族側のマナーになっているようですと告げると、受け入れざるを得ないという雰囲気になり、受け入れることとなった。

しかし私達にはそんなことを受け入れるノウハウがまったくないことだけは、全員がすぐに理解できた。

なにせ戦争自体100年ぶり以上だ。

人間族とのつきあいも少ない。

なので、外務大臣閣下や中枢の皆様にまずエルフィンド駐箚キャルメット公使館の駐在武官の方と、実際に受け入れる側である陸軍と海軍のそれなりの方を呼んで欲しいとお願いした。

外務大臣閣下を始めとする中枢の皆様はすぐに動いてくれた。

ただいらしたのが駐在武官の方は呼んだのだから当然にしても、キャメロット公使閣下もいらっしゃってくださり、さらに陸軍大臣のウィンディミア大将閣下や海軍最高司令官兼侍従武官長であるファラサール大将閣下がいらっしゃったのにはとても驚いた。

確かに『それなりの方』とお願いしたけど、まさかトップが来てくださるとは・・・。

そして外務大臣閣下や中枢の皆様を差し置いて、私がまず従軍武官についてキャメロットの公使閣下や駐在武官殿に『私達白エルフ族には受け入れノウハウが全くない』と正直に言って教えを請い、さらにその様な依頼がキャメロットを含む人間族各国から有ったので陸軍海軍は受け入れて頂きたいと言うことを両大将閣下に伏してお願いした。

 

 

 

星歴876年12月5日午後14時24分。

自分を含めたエルフィンド海兵隊員達が駆け足で港に向かっている。

港で私達を待っているのは、我が海軍の栄光の象徴であるリョースタだ。

その隣にはキャメロットの装甲艦が停泊しているはずだ。

2隻とも最後の撤退船だ。

リョースタは私達エルフィンド海兵隊、キャメロットの装甲艦はキャメロット海兵隊を収容するために、それぞれの船を岸壁から引きはがすための勇気あるダグボート達と共に港に留まっている。

良い方に予想外なことに、最後まで港をしっかりと保持できたおかげでズボンとブーツを海水で塗らすこともなく撤退ができる。

私はリョースタの元まで辿り着くと、エルフィンド旗を掲げた従兵でもある旗手軍曹を脇に置き、

「海兵共走れ!走れ!!リョースタが私達のことを待ってくれているぞ!走れ!走れ!」

と息が乱れているのを感じさせないように繰り返し叫ぶ。

指揮官が船に乗るのは最後だ。

隣のキャメロット装甲艦のタラップのところにも、私同様にキャメロット旗を掲げた海兵隊大佐が続々と乗船していくキャメロット海兵隊員達を見送っている。

そしてリョースタやキャメロットの装甲艦が時折射撃する。

キャメロットの気球から送られてきた情報を元に、丘から下りてきたオルクセン兵を攻撃しているようだ。

洋上にいる艦艇も時折射撃している。

あちらはあのキャメロット人船長が説明していた、懐かしの波乗り射撃で丘の上のオルクセン重砲を攻撃しているようだ。

よもや帆船時代のテクニックで陸上砲撃をするとは思いつかなかった。

世界で最も優秀なのは私達白エルフ族だが、人間族も侮れない。

向こうが先に収容が終わったようで、汽笛を鳴らしてから徐々に岸から離れ始めた。

私は態度に出ないように『急いでくれ。急いでくれ』と白銀樹に祈りながら、海兵達がタラップを登っていくのを見送っていると、ようやく最後尾の部隊がやってきて、最後尾の最後尾に着いていた一等准尉が「二等少将殿、落伍者無し!」と私に報告した。

私は黙って頷くと、一等准尉と旗手軍曹を先にタラップを登らせてから私が最後にタラップを登る。

私がタラップに足を掛けてから一瞬遅れて汽笛が鳴り、さらに一瞬遅れてリョースタが動き出した。

ダグボートが引っ張り始めたようだ。

私は落ちないようにしっかりと手摺りにつかまりながらタラップを登り切ると、甲板には海兵隊員達が集合していて、私に敬礼を捧げて出迎えてくれた。

私は彼女たちに返礼をした。

 

 




エルフィンド陸軍並びに海軍、キャメロット軍と共にファルマリアより撤退を無事に完了し、戦力の温存に成功。
勿論、まりんこ二等少将殿を始めとする、二等少将4人組も全員無事に撤退しました。
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