小逆転!ベレリアンド戦争!  ~if キャメロット王国参戦す~   作:koe1

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開戦から約二ヶ月経過。
戦線は膠着。


第9話「どうしてこうなってしまった・・・?」

星歴877年2月3日

開戦から約2ヶ月が経過した。

そしてキャメロットが前年の11月16日に宣戦布告して約1ヶ月半だ。

まさか僅か3週間程でキャメロットとの関係が坂道を転がり落ちるように悪化して開戦に至るとは、全く予想していなかった。

そしてキャメロットとの関係悪化の発端となった、キャメロット側が主張する『ファルマリアの虐殺』こと『ファルマリア誤射事件』は事実と判明した・・・。

ファルマリア占領後、『ファルマリアの虐殺』を否定するために官民問わず多数の潜水士を投入して、ファルマリア外港に沈没している4隻の艦艇を調査した結果、全てがキャメロットが主張していた通りにキャメロット艦だったことが判明した・・・。

『沈めたのがキャメロット艦だった』という事実を元に、生き残りの海軍将兵に改めて聞き取りをしたところ『そういえば発光信号を盛んにこちらに送っていた』『沈めた4隻だけは一発も打ってこなかった気がする』『甲板で旗らしい物を盛んに振っていたが何をしているのかわからなかった』等の証言が得られ、もう頭を抱えるほかなかった・・・。

すぐに各国駐箚公使館に指示し、駐箚各国に謝罪と賠償の仲介を依頼したが、仲介を断られるか、依頼を受けてもらってもキャメロットからの回答は『謝罪はもはや不要。処罰は自力でおこなう。賠償は講和会議の場で』という内容のみだった・・・。

実際、届くのが遅れた我が王からの謝罪文を私自らオルクセン駐箚キャメロット公使館に届けた際も、既に宣戦布告後で公使館の退去を始めていたにもかかわらずマクスウェル公使は受け取ってくれ、本国に一応連絡するとのことだったが、翌日の夕方に届いた回答は『我が国は自力で実行者と責任者の処罰を実施するのでご安心を。戦場でお会いしましょう』という回答だった。

その時は正直怒り狂ったが、今にしてみると向こうの立場からでは当然と言える回答であると理解した。

現在はありとあらゆる方法でキャメロット政府に対して講和を打診しているが、成果は全く上がっていない。

つまり『処罰』はまだ終わっていないということなのだろう・・・。

 

さらに我が国の立場が悪化しかねない事態が発生している。

それは『モーリアの虐殺』や『ファルマリアの虐殺』でも『ファマリア軍使掲揚白旗射撃事件』でもない。

我が国が実施した宣戦布告の方法について各国新聞で議論が始まり、その内容の殆どが我が国の立場を更に悪化させるものとなっている。

各国の法学者達は未だに抑制的な立場で議論を重ねているとの情報が入っているが、こちらも我が国にとって不利となりつつある。

新聞や法学者の議論を要約すると『宣戦布告は決闘の申し込みと同じである。しかし手袋を投げつけたのとほぼ同時に決闘相手を襲うのは如何なものか。決闘とは手袋を投げつけた後、日時を指定して実施するものではないのか?手袋を投げた途端に襲うのは野蛮この上ないのでは?』というものだ。

実際、今戦争においてキャメロット側がおこなった開戦日時を事前予告の上での宣戦布告が正しいのでは?という流れになりつつある。

ただ宣戦布告を受け取った私の立場からすると、今にして思うとあれは一方的被害者にもかかわらず、なんとしてでも戦争を避けようと過失を一切認めない我が国に対してキャメロットが与えてくれた最大の譲歩であり、ファルマリアの解囲を執拗に求めていたのも、取り残されていた生き残りの兵士達を収容するために求めていたことだったと理解している。

とはいえ開戦に至ってしまったのだから、もはや我が国の国益を最大に考えて行動せねばならない。

ただ開戦以来、あまりにも豊穣の大地が我が国に対して悪意をもったとしか思えない自体が続いたため、諸外国より我が国は『国際法も守れぬ、白旗の意味すら理解できぬ野蛮な国家』であるとみなされつつある。

グロワールの新聞の中には、デュートネ戦争時のシュヴェーリン上級大将の『黒旗を上げよ息子達!捕虜もいらぬ!慈悲もいらぬ!突撃せよ!』という言葉を持ち出して『オルクセンは捕虜とらない野蛮な国家』という論調を掲げているところも出始めた。

現在、グロワールとアスカニアが一部動員をおこなっており、予断を許さない状況となっている。

なお昨日、『レラーズの森事件』に関してようやくそれなりの調査結果が纏まったので発表したが、今のところ各国共にこれといった反応はない。

あれほどおぞましいと言える事件にもかかわらずだ。

おそらく予想していたとおり、我が国が引き起こした事件に対抗して発表したと思われているらしい。

闇エルフの諸君には申し訳ないが、現時点ではこれ以上発表出来ることがなく、更なる調査の継続と人間族国家の反応を待つしかない状況だ。

 

そして各戦線だが当初計画に比べると全く芳しくない。

第一軍はファルマリアは占領できたものの制海権を完全に喪失していることから海上輸送路の安全が確保できず、補給が上手くいっていない。

1度大規模船団を組織してファルマリアまでの強行輸送を試みようという案が陸軍から出たものの、海軍と我が王が断固として反対し、中止。

ただその会議の場にて強硬に主張する陸軍に対して、最初は沈黙を守っていた我が王が

「陸軍は海軍軍人よりも民間人船員の犠牲者の方を多くするつもりか!」と仰られたことにより、陸軍はその案を撤回。

ならば代わりに独航船での封鎖突破を試みてはという案も出たものの、敵はベラファスト湾口の狭い区域のみを押さえれば容易にファルマリアへの航路を遮断できる事実の前にこちらも断念。

そもそも湾口に敵艦がいないにしても、あの狭いベラファスト湾内をエルフィンド・キャメロット艦が最低でも2隻は常に遊弋しており、ファルマリアに到着できる見込みはない。

最後の案として『シルヴァン河河口付近に小規模な仮港を建設し、アーンバンドからの軽便鉄道か一般鉄道を敷設して、ファルマリアまでの短距離水上輸送を実施しよう、沿岸砲台を多数設置してその射程内で航行すればファルマリアまで辿り着けるのではないか?』という計画が立案実施されたが、仮港建設がベラファスト湾内を遊弋するエルフィンド艦とキャメロット艦にすぐに察知され、仮港建設地とまだ小規模だった沿岸砲台が激しい艦砲射撃を受けたのでこれも中止となった。

現在は渡河点の軽便鉄道用の仮設木橋を増強し、現在は5本の軽便鉄道用の仮橋が完成している。

馬車用の浮橋も更に増強された。

渡河点までの軽便鉄道は開戦前から建設に着手し、渡河点手前まで完成していたこともあり、現在それに渡河点まで延伸し、さらに平行して一般鉄道の線路を敷設するべく、努力が払われている。

渡河点からファルマリアへの仮設軽便鉄道もようやく単線が完成し、か細い糸であるが、大量の馬車と共に補給に当たっている。

現在それを複線になすべき、さらなる努力が払われている。

ただ春になれば雪解けでシルヴァン河の流量が増えることから、仮設木橋や浮橋は増大した流量に保たずに流出もしくは利用が不可能になると判断されている。

実際、現時点でも工兵隊と鉄道隊がつきっきりで補修を繰り返しているそうだ。

そして時折ネヴラス方面から襲来する小規模な騎兵部隊とアンファングリア旅団が衝突を繰り返しているそうだが、双方共に損害らしい損害はないとのこと。

 

続いて中央部を担当している第三軍だが、鉄道橋を破壊されたことからこちらも補給が滞り、アルトリアを半包囲するのが精一杯だったそうだ。

エルフィンド軍は市民をまず鉄道や徒歩で避難させつつ一歩も引かない徹底交戦していたそうだが、第二軍が無理して分派した小規模な部隊の接近を察知するとアルトリアを放棄して撤退。

第三軍は追撃を試みたそうだが、失敗したそうだ。

エルフィンド軍は現在はアルヴィン手前にて防衛線を構築しており、第三軍はアルトリアにて休養をとりつつ、一部部隊を偵察目的で北進させているとのこと。

そしてもっとも小規模な第二軍は第三軍と足並みを合わせるためと補給のために停止。

シュヴェーリン、ツィーテン両上級大将共に補給が済み次第、足並みを揃えて北上を再開するとのこと。

ちなみに鉄道橋はあと1ヶ月ほどで復旧できる見通しだというのが唯一の明るい話題だ。

 

肝心のエルフィンドとキャメロットの動きであるが、どうもキャメロット陸軍の来援まで守勢に回っているようで、大規模な攻勢は一切ない。

ただし偵察は盛んであるし、海上での行動は活発だ。

ただエルフィンド海兵隊とキャメロット海兵隊が、西部方面で小規模な上陸を繰り返し、沿岸部の街の郵便局を破壊したり、電信線や鉄道を破壊しては一日もたたずに撤退するを繰り返している。

ただ幸いというか不思議というか、この襲撃では軍や警察の被害は出ているが、一般市民の被害は怪我人以外全く出ていない。

夜間に郵便局を襲撃した際も、住み込みの職員には一切手を出さなかったそうだ。

現在は小規模であるが、将来的な大規模な襲撃や東部方面での襲撃も否定できないことから、後備部隊を西部東部の沿岸各地に貼り付ける必要が出てきて、前線への増強に使うことが出来ない。

まだ襲撃は受けていないが、大規模港湾都市へ防衛力強化も必要となっている。

当然海軍への非難は日々高まっているが、残存艦隊が下手に出撃して全滅された日には今以上にエルフィンド・キャメロット海軍が暴れ回るのでどうしようもない。

新聞各紙も海軍を非難しつつも、その辺にも触れていて、まだ理性的な非難記事に留まっている。

さらにグロワールとアスカニアも不審な動きを見せているのでそちらへの警戒兵力も当初計画よりも必要となっているので、頭が痛いとしかいいようがない。

外務大臣の私としては外交努力によって1つでも問題を解決することを最優先として行動しているが、頭を抱えたくなるときが多々ある・・・。

豊穣の大地よ、なぜ私達にこの様な試練をお与えになるのですか・・・。

 

 

 

星歴877年2月10日午前9時15分

相変わらず、私の『机の位置変更を・・・』というささやかなお願いを一切聞き入れてくれない外務大臣閣下の隣でオルクセンの新聞を読んでいる。

外務大臣閣下や他の局長、部長の皆様も外国新聞を読んでいる。

皆様は為べからず教養高い皆様なので、アブール語以外にも読み書きが出来る人間族の言語を1つは有しているので、それを担当して頂いている。

ただ最低でも2人は読むようにして貰い、情報にかたよりがないようにしてもらっている。

これを始めたのは1ヶ月ほど前で、キャメロット公使閣下と特別派遣された特使閣下の2人から勧められてからだ。

諸外国の国内情勢確認のためということだったけど、初めて人間族国家の新聞を読んでみると凄い効果があると感じた。

確かにキャメロット以外の国とは外交関係は一切ないが、それでも各国・・・オルクセンも含む情勢が数日から最大で2週間ほどのタイムラグはあるけど、わかる。

ちなみにオルクセンだと1週間前後のタイムラグで新聞が手に入る。

このオルクセンの各新聞はキャメロットがグロワールやアルビニーの民間人を雇ってオルクセン国内で入手した物を分けて頂いている。

そんなオルクセンの各新聞に気になる記事があった。

『レラーズの森事件』と題されていて、シルヴァン河近くの『レラーズの森』にて最低でも1万人以上の闇エルフの遺体が発見されたという内容だった。

私はそれをみてゾクッとした。

2年近く前に女王陛下の側近にと引き立てられた闇エルフ族の族長が『急病で死亡』していたのを思いだしたからだ。

あの闇エルフのことを私達弱小氏族の白エルフは『闇のくせに!』と口にしつつも『能力があれば闇エルフでも女王陛下の側近に取り立てて頂けるんだ!私達も研鑽すれば!!』という希望の象徴でもあった。

口には絶対に出さなかったけど。

さらに現在オルクセン軍に存在していて、東部戦線で大暴れてしているという闇エルフの部隊。

私は唐突に頭でそれらの出来事が1つに繋がった。

そして理解した。

あ~・・・これって・・・私達弱小氏族の未来だ・・・。

さらに農務省にいて『今ならまだ間に合う!私達が間に合わせる!』と、最後にあった食事の際に覚悟した顔つきで言っていた、同じ氏族の友人が『農務省を急に辞した後、連絡が取れない』事実も頭に浮かんだ。

やっぱり最低でも私が死ぬことは避けられないようだ。

外務大臣閣下を始めとする中枢の皆様も駄目かな、やっぱり。

失輝死するほどじゃないけど・・・うん、色々と諦めた方がいいかな?

戦争が終わった後、絶対に殺される。

でもとりあえず最後まで努力はしてみよう。

で、このことを・・・闇エルフ虐殺のことを外務大臣閣下はご存じかな?

とりあえず後で決裁書類に混ぜて筆談でお尋ねしてみよう。

流石に口に出して聞いたら明日までには私の命は終わっていそうだから。

 

 

 

始まった戦争だが、全く計画通りに進んでいない。

キャメロットの参戦と海軍荒海艦隊の壊滅なんて想像外だった。

敵が出て行ったおかげで占領できたファルマリアも、敵が制海権を完全に握られていることから、利用できないと高をくくられたのか港湾設備の破壊すらおこなわれていない。

逆に敵のファルマリアへの逆上陸を警戒しないといけないので、こちらは流石に破壊していった各砲台の再建と主要水路への機雷設置を進めているが、機雷設置は手漕ぎボートで一つ一つ設置しているので全く進んでいない。

更に最低でも一個旅団は警備兵力としてファルマリアに残さないといけいないので頭が痛い。

グレーベン少将閣下の機嫌もずっと悪い。

補給路が細すぎるので第一軍の前進にも支障をきたしているし、そもそも我が王が未だにアーンバンドから本営を移動できずにいらっしゃる。

なにせファルマリアの安全が絶対ではないからだ。

海軍にせめて水雷艇数隻だけでも派遣して欲しいと依頼したが、海軍からは辿り着ける可能性が低くい上に、東部本面の貴重な防衛戦力であると拒否された。

ただ現在全力でヴィッセル社が水雷艇を複数隻、24時間体制で建造しているので、それらが完成して戦力化が済んだ後はという含みはあった。

ただ我が王が前進できないため、周辺人間族各国との急速な外交関係の悪化から、もはや首都にお戻りになるべきではという声も上がりつつある。

なお徐々にではあるがネヴラス方面への侵攻は進んでいるが、現在はファスリン峠での激しい攻防戦となっている。

演習では絶大な効果があった大鷲族による航空偵察も、ファルマリアで被害が続出したために、敵小銃の射程圏外の高空からの偵察になっており、その偵察精度が悪化している。

当初は入手したキャメロットの新聞内容や状況から『狙撃が得意な兵がたまたまファルマリアにいて撃ち落とされた』と推測されていたのだが、開戦から1ヶ月半あたりから第二軍、第三軍でも大鷲族が連続して撃ち落とされるに至り、エルフィンド側が何らかの対抗手段を組織的に獲得したと判断された。

そして約2週間前、第三軍がエルフィンド士官の死体から『対空射撃諸元』なる物が発見した結果、対抗手段の正体が判明した。

さらにその『対空射撃諸元』の内容がキャメロット語とエルフィンド語で記されていたものの、キャメロット語が先に記されていること、マイル表記だけではなく陸上では必要のないノット表記もあったことからキャメロット海軍が主導して制作したものであると推定されている。

それをみてもらった大鷲族の各兵は『この諸元は飛行速度が固定されているので安定性は落ちるが遅く飛ぶか、体力は使うが速く飛べばいいのではないか?そうすれば当たらないだろう』という意見が出た。

ただ『対空射撃諸元』について意見をもらった砲兵学校や歩兵学校の各教官から『内容がシンプルすぎるので、おそらく試行錯誤をしてこの諸元に落ち着いたのだと思う。速度を変化させると短期的には効果は出ると思うが、すぐに各速度にも対応した諸元を作りかねないし、もう既に存在してる可能性がある。そうなればありとあらゆる速度に対応できてしまい、大鷲族は更に危険にさらされる。しばらくの間は速度での対応を避け、高度を上げた方が良い』という意見が出た。

大鷲族としては高度を上げて逃げるのはよしとしない意見が多かったが、損害のあまりの多さに司令部側が高度を上げての偵察を命令することとなった。

 

 

 

星歴877年2月13日午後12時20分

私はウィンディミア大将閣下やファラサール大将閣下、キャメロット特使閣下と食事をとっていた。

名目は『人間族従軍観戦武官に関する会議』だ。

ちなみにキャメロット特使閣下というか、キャメロット側は参加する予定になかったのだけど、気がついたら参加することになっていた上、特使閣下は『公使が多忙なので私が代わりに』という感じで参加されている。

そして昼食を兼ねて会議という理由は、ウィンディミア大将閣下やファラサール大将閣下が多忙なため、食事時間を会議に充てようという主旨だ。

なにせ強引にねじ込んだ会議だからだ。

でも実際には私が狙っているのは違う。

『レラーズの森事件』についてお尋ねするためだ。

『私達白エルフはこの戦争に大勝したとしても、どんなに遅くとも200年以内にぼろぼろになるか絶滅する』

間違いない。

もはや固定化した指導者層であるといっても過言ではない各有力氏族からすると『都合の悪い弱小氏族や北部氏族をこの世から抹殺する』のに躊躇する理由はないからだ。

もう何度も手に染めているんだから完全に歯止めがきかなくなっている。

なにせ我が国はここ200年ほどの間でもドワーフ族を滅ぼし、コボルト族を追放し、最近オルクセンの新聞のおかげで魔種族であると知ったけど、大鷲族と巨狼族も闇エルフ達の力を利用して駆逐し、準同族である闇エルフ族をも虐殺した。

次は私達弱小氏族や北部の氏族の番だろう。

そしておそらくこの戦争が終わったら始まる。

 

最低最悪の短期的な崩壊だと、まず私達外務省の中枢が全員『開戦の責任』をとらされて処刑される。

私当然それに含まれる。

そして次は軍人達に初期の敗走の責任を問い始めるだろう。

勿論有力氏族の軍人は逃げ切るだろうから、弱小氏族や北部氏族出身者にだけ責任がやってくるだろう。

ただ黙って処刑されるか全くわからない。

各地で撤退が上手く進んだし、どこの戦線でも今のところ大損害は受けていないから、きっと弱小氏族や北部氏族出身将官の手元には『戦い慣れた武装したままの同じ氏族の兵士で構成された兵力』が残されたままになるだろう。

処分なんかしようとせずに復員が順調に進めばいいけど、今の政権はそれを隠そうともせずに処分を実施しようとする気がする。

となると誰も彼もが色々な理由をつけて兵力を手放さないと思う。

勿論、政権は怒る。

怒ると言うことは武力で何とかしようとするだろう。

『弱小氏族の兵なんか一撃で粉砕できる』と私達白エルフらしく侮りながら。

そうなればどうなるか。

弱小氏族の一か八かの反乱が続発するだろうし、そのすきにオルクセンが再び襲いかかってくるだろう。

内乱しつつオルクセンに対応。

今度はキャメロットが助けてくるという白銀樹の奇跡もまず起きない。

うん、保って5年だね。

生き残った白エルフ、闇エルフ達にしっかりと報復されて、それでも残ったのはオーク達のご飯決定。

最後に私達が闇エルフにしたように白銀樹を切り倒されて絶滅決定。

 

長期的崩壊だと、再度のオルクセンの侵攻にそなえて南部の防衛力を強化するだろうけど、その兵力や資金は北部氏族や弱小氏族から出させると思う。

そして北部氏族や弱小氏族は疲弊していく。

『諸外国との輸入交渉に必要だ』と言って農務省で見せてもらった食料生産統計は、短期的には大したことなかったけど、150年ほどのスパンでみてみるとゾッとするぐらい食料生産が落ちていた。

その理由はわからないけど。

三圃式はこの世でもっとも素晴らしい農法のはずなのに不思議だ。

ただ農務省にいた行方不明になっている同じ氏族の彼女の覚悟が決まっていた顔つきの理由だけはわかった。

で、北部氏族や弱小氏族を兵力として利用するとなると、人手不足で間違いなく彼らが耕している農地の生産量が更に落ちる。

政権はその責任を農地を耕している弱小氏族にとらせようとするだろう。

つまり『奴らの能力が低いから食料生産量が低い。優秀な私達有力氏族がその農地を使ってやろう。そうすれば食料生産は増えるに決まっている』という感じで、闇エルフのように虐殺され、生き残った者は小作人どころか農奴になるだろう。

そうしたら前線にいる武装した弱小氏族はどうなるか?

自棄で反乱を起こすか、反乱されないように抹殺するか、闇エルフ達のようにオルクセンに逃げるしかない。

で、いなくなった兵力を埋めるために他の北部氏族や弱小氏族に兵力を出させる。

で、また農業生産力が落ちる。

それを繰り返しているうちにも気がつけば北部氏族と弱小氏族は消え去っているだろう。

そうなれば今度は『有力氏族内で力の弱い氏族』がその対象になる。

はい、エルフの国終了。

エルフは自分自身で平和な森に火をつけて絶滅しました。

 

ただそうなってほしくないし、私もまだ死にたくない。

なので出来ることをしようと思う。

だからまず『国内三大軍事力』のうち、陸軍と海軍のトップであるウィンディミア大将閣下やファラサール大将閣下と『オトモダチ』になる必要がある。

三大軍事力、最後の1つの内務省・・・警察や秘密警察は無理かな・・・プレンディル内務大臣閣下は『やる方』だし。

とりあえず、外務大臣閣下達は巻き込まないように、私だけがこの昼食を兼ねた会議に外務省から参加して、決裁書類に混ぜた筆談で色々とお話が出来たらいいな。

勿論その筆談に使った書類は外務大臣閣下との筆談に使った書類同様、自宅に他の書類と混ぜて持ち帰って、調理用コンロの火だねとして燃やします。

しっかりと全部燃えるまでちゃんと見ていましたのでご安心を。

だけど、まさか闇エルフ達の虐殺を閣議で決定していたなんて予想外だった・・・

せめて誰かの独断だったのなら、私もこんなことをしようと思わなかったけど・・・

外務大臣閣下、良く教えてくれたな・・・

『姉様』と呼んでくれているんだから、なるべく迷惑を掛けないようにしよう。

でもまだ死にたくないので、色々と頑張ろう。

 




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