■シリーズ
最終回に向かう奈落家

■キャプション
幻と香シリーズじゃないけど、幻と香。白夜とオリキャラ男友達香介(こうすけ)の存在を交えてストーリーは少しずつ進みます。(pixiv版の方には白夜の海パン画像があります。)

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■まえがき

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

※ 奈落家のいつもの設定確認

・設定は戦国時代なのになぜか現代の要素が入る。
(今回は春の温水プールへ。白夜は海パン。)

・奈落家の服装は、原作通り。

・奈落さんと分身たち皆生存していて
人見蔭刀に仕えて
皆一緒に人見城に住んでいる設定です。

・季節は特に記載が無ければ、
投稿された日と同じです。
春一歩手前。

ストーリーのジャンル:シリアス

(pixivにも同時に投稿)

では、このまま下へスクロールして本編どうぞ。

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第1話

いつもより少し暖かいかな?という春間近の日だった。

 

少々花粉症も起こり始め、鼻がムズムズする。

 

日中は春一番のような風がゴォオオオと

吹き荒れていたが、

夕方の風は穏やかだった。

 

人見城外の仕事に出た白夜は

近くにかつて行ったことがある

温水プールがあるので

寄って帰ることにした。

 

奈落からは、仕事が無事に終われば、

後は好きにしていいとも言われていた。

 

途中の道の信号は、

赤も青も薄暗い青い夜の闇に映えていた。

黄色はタイミング的に見なかった。

 

道路は退勤する車の行き来が激しく

上下体操着の中学生たちが帰宅する姿もちらほら見かける。

 

温水プールの受付では、

別にウソではないのだが、

偽造した人見蔭刀の書状を使って

人見家の重臣であることをアピールし、

いつものように入場料をタダにした。

 

水着は荷物としてかさばるのが嫌なので

珍しく黒い海パンだった。

 

水着に着替えてプールサイドに出ると

周囲は闇が広がる黒い窓の白いドームに反響する

BGMは少しクラブのようだった。

 

更衣室・プールサイドは

真冬の安定した暖房の空調の時ほど

暖かくなく寒い。

 

採暖プールで温まった後、

流れるプールでビート板でプカプカ泳ぐ。

 

周りに人はほとんどおらず

こんな時、男友達が一緒だったらなと

ふと思う白夜。

 

姉たちとの日々も決して嫌いな訳じゃない。

 

やれやれと言いながら長姉の神無と共に

次姉の神楽のフォローをしている時はとても楽しい。

でもさして気を遣わない男友達との時も

心が安らいで好きだった。

 

神楽は自由を望んでいる。

 

神無も心の奥底では同様に自由を渇望している。

 

白童子たちは反逆を目論んでいる。

 

影郎丸は反逆とまではいかないが、

自らの束縛で奈落の束縛を塗り替えるという

独自の価値観を持っている。

獣郎丸は彼に味方をするだろう。

 

無双もバイトをしているが、

いったい何のための資金にするつもりなのか……。

 

いつかそれらがミックスされて

人見城に大きな惨劇が起きるのではと白夜は危惧していた。

 

四角い競泳プールで思いっきりクロールで泳ぐ。

 

白夜自身は奈落に束縛されてなおこれでいいと思っていた。

自身が犠牲となり、皆のフォローをすればすべて丸く収まり

刀を血で染めることのない円滑な幸せが生まれると思っていた。

 

だからこそ心の奥底で男友達という解放の一時を

求めているのかもしれない。

 

プールから上がり、

着替えてエントランスに出る。

 

ポカリを自販機で買って飲んだ。

 

夏になったら友人の香介と一緒に来ようと思った。

こうしてプール上がりに一緒に飲み物やアイスを

飲み食いするのだ。

 

友人とだっていつもいつも

一緒にいられる訳じゃないのはわかってる。

そういう存在がいるだけでもありがたい。

だからこそ大切にしたかった。

そう思う白夜は少々姉たちに後ろめたく感じている自分がいた。

 

だが、別に白夜は姉たちを重荷とは捉えていなかった。

無限にフォローするくらいなんとでもなる。

そのためにも時にほんの少しだけ

姉たちから離れて休むことが必要なのだ。

 

彼にとって男友達との日々はまさに安らぎであった。

 

だが、男友達との休暇のためにも

姉たちを守るためにも

とりあえずは束縛の中で落ち着いた暮らしが必要だ。

 

今の暮らしを守るためにも

自分が家庭内を上手く収まるように

アシストせねばと白夜は再び決意した。

 

適度に男友達と会って気を休めようとも思う。

 

彼の自由は、自由と束縛の中間に幻のようにあり、

日々の暮らしの中に惰性的にあるのだった。

 

温水プールのエントランスを出ると

夜の闇の中に春の花の艶やかな香りが

ほんの一瞬だけ薫った。

 

その香りは姉たちのようでもあり、

美形の男友達のようでもあった。

 

どちらも壊したくなかった。

白夜にとってどちらも大切なのだ。

どちらも守ってみせる。

白夜は"最後"のための覚悟を決めた。

 

利他的な彼も役目を果たし、人見家という

歪な家庭の中でいつか救われれば良いのだが。

 

それがきっと彼の本当の自由になるだろう。

 

白夜は遅くなりすぎないよう

プールからの帰路を急ぐ。

 

おわり

 

最後まで読んでいただき、

ありがとうございました。


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