高専1年、懐玉開始
・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)だった転生者、
七海建人の双子の妹で、まさかの2週目
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです
・ファンパレのサイドストーリー、廻思残滓のネタバレ含みます
校門で五条から歓迎を受けた私たち二人。
入学式は明日で、今日は夜蛾と高専内を回る予定だったから「いい」と言ってるのに、五条は言っても聞かない。
私たちの腕を引っ張って寮に案内し、何故か自分の部屋の場所をドヤ顔で教えてくる。
「で、私たちの部屋は?」と聞けば「知らない」と即答する適当ぶり。……おい。
呆れながらもついていくと、次は食堂に案内されたところで夜蛾と遭遇した。
当然、私たちも含めて夜蛾に注意をされる。
──そりゃそうだよね。入学する予定の新入生を校門で待たせるように言ったのに、勝手に連れ回してるんだから。
ただ、そこは夜蛾も五条の強引さを察していて、結局五条は
ザマァ。
しかも任務があるのに私たちと遊んでいたらしい。夜蛾に蹴り飛ばされて、そのまま任務へ直行。
あーあ、待たされてる補助監督かわいそうに。
私は七海と共に夜蛾に案内され、改めて校内を見て回る。
「で、ここが教室だ」
夜蛾に案内されて中を覗く。
懐かしい……黒板の位置も机の配置も、あの頃と変わらない。
そう感傷に浸ったのも束の間──黒板に視線を向けて、思わず声が漏れた。
「……あ」
「……これは……」
隣で七海も同じように呆れ声を上げる。
「どうかしたか?……あ」
私たちの反応に気づいた夜蛾も黒板を見て、同じ反応を返した。
黒板には大きな文字で書かれていた。
「新入生サプライズ計画」
「超厳しい先輩を気取って、ビビらせて、そこからサプライズ歓迎会……落として、上げる」
「七海兄妹には口止めをして、もう一人は確実に驚かせる……」
私と七海が声を揃えて読み上げる。
七海は黒板を見たまま、夜蛾に聞こえないよう小さく呟いた。
「前回も同じでした」
私は思わず吹き出しそうになる。
「まったく……まぁ、こんな奴らだが、よろしくな」
夜蛾は呆れ顔をしつつも、どこか優しい表情だった。
あの問題児達、特に五条が、後輩を思ってこんな計画をするのが微笑ましいのだろう。
「「……はい」」
私と七海は自然と返事をしていた。
そのあとは、私たちの寮の部屋をやっと教えてもらい鍵をもらった。
”私たち以外の1年が一人”いて、既に寮の荷物整理も終わり、別教室で私たちとの顔合わせのために待っている。とのこと。
夜蛾に再度案内され、その同級生が待っている教室の前で別れた。
夜蛾も任務があるらしくそれに向かうらしい。明日は入学式の集合時間を伝えたあと足早に去って行った。
私たちはこのあと自由にしていいそうだ。
それにしても相変わらずブラックだな、呪術界。
「相変わらずブラックですね」
「これだから、呪術界はクソなんです」
お互いぶつぶつ文句を言いながら扉を開け教室に入った瞬間、目に飛び込んできたのは、たくさん並んだ机の一番窓側に座っている黒髪短髪の少年。
──懐かしい太陽のようなかつての先輩。
「お、君たちが同級生?僕は灰原雄、よろしく!」
屈託のない笑顔を向けるその声に、一瞬だけ言葉が詰まる。
「……七海潔乃。よろしく。こっちは建人。見ての通りの双子」
軽く肘で七海を突くと、すぐに「七海建人です。よろしく」と落ち着いた声で返す。
私とガッツリ視線が合ったが灰原の表情は変わらない。
やはり、記憶をとりもどす気配はない。七海と一瞬視線をあわせそれを確認し合う。
「うん、そっくりだね。すぐわかったよ!えーっと、どっちが兄?姉?」
「私が兄で、潔乃さんが妹ですね」
「どっちも七海だよね?どう呼べばいい?」
「たしかに、同じクラスになったことなかったから、考えたこともなかったな…」
かつての記憶がなくても、七海にとっては掛け替えのない同級生だ。
本来であればこの学年は七海と灰原だけだった。
今こうして七海は表情は普段通りの顔で灰原と話をしているが、実は感極まっている。
………流石に10年家族やってたらどんだけ隠してても分かる。
今後に影響が出たら不味いと考えて、七海は灰原の住所を知っていても頑なに会いに行こうとしなかった。
理性と合理性の塊のような精神を持つ七海。でもその本質は、人情深い人。
記憶を取り戻してから、ずっと灰原に会いに行きたいのを我慢してたもんね。
──私はお邪魔虫にならないよう、ちょこっとだけ黙っておこう。今は二人の再会の時間だ。
一歩下がって、七海に灰原との交流を任せる。
ポンポンと弾む会話、七海も灰原も楽しそうだ。
「あ、そっか双子ってクラス分けされるしね」
「そうなんです。なので、同じ苗字でも困ったことなかったですね」
「あえて区別つけて呼ばれてた時、どんな呼び方されてたの?」
人懐っこい笑顔のまま、灰原が尋ねてくる。
「普通に名前で呼ばれたり、変わったのだと七海兄、とか七海妹とか呼ばれたことありましたね。潔乃さんあなたは?」
七海が横目で私を見たので、私も会話に再度入ることにする。
「そうですねぇ。あぁ、ナナケンとか、ナナキヨとか呼ばれたのもありましたよね」
記憶を辿って口にすると、七海が「あぁ、そういえばそれもありましたね」と頷いた。
「本名で呼ばれるのとあだ名で呼ばれるのどっちがいい?」
「私は正直本名の方が好きですね」
七海は少し考えてから、淡々と答える。
「私はどっちでも。分かればいいです」
肩をすくめて答えると、灰原は嬉しそうに口角を上げた。
「じゃ、七海ってよぶね」
七海に視線を向け、それから私の方へ。
「君のことは、潔乃って呼ぶね。どうせなら女の子の名前呼びたいし!二人ともよろしく。僕は灰原でも雄でも好きに呼んでよ!」
ここでサラッと女の名前を呼べるあたり灰原は陽キャだ。
しかも嫌味も何もないもなくナチュラルに言うんだから、私も七海も嫌悪感が全くなく思わず笑ってしまう。
やっぱり昔と変わらない、太陽みたいな明るさだった。
灰原は昔と同じで、話すのが得意だ。何も考えてないようでいて、実は周りをよく見ている。だから会話していて楽だし、自然とこちらも肩の力が抜ける。
比較的無口な七海も、そんな灰原とは楽しそうに言葉を交わしていた。
話している最中、ポケットの中で携帯が震える。画面を確認すると五条からのメール。
『俺たちと知り合いってことは、もう一人の1年には黙ってろ。明日は俺たちに話を合わせろ』
──やれやれ。こっそり七海にも画面を見せると、彼も小さくため息をついた。こういう時の五条には従っておいた方がいい。
そのあと空き教室でダラダラと話し、最終的には一緒に寮の食堂で晩御飯を食べて解散。
七海と灰原はそのまま食堂で話を続けるらしい。私は部屋の片付けをしたかったし、なにより二人に仲良く過ごす時間を取らせたかったので、先に寮の自室へ戻ることにした。
ちなみに割り当てられた部屋は、以前「伊地知潔乃」として入寮した時と同じ部屋だった。
一年違いでも、どうやら「潔乃」として入る部屋は決まっているのかもしれない。
部屋に入ると、自宅から郵送しておいた荷物がきちんと届いていた。
中身は日用品と洋服、ゲーム機とテレビ、それにノートパソコンだけ。
呪力宝石は送るのが怖くて、すべて手持ちで持ってきた。
誕生日に両親から贈られた上質な宝石や、日常使いの宝石が入った箱をデスクの上にポンと置く。
洋服はあと四年ここで暮らすことを考えて新しく買い足すつもりだったから、最小限しか持ってきていない。
備え付けのクローゼットに服をしまい、テレビにゲーム機を繋ぎ、電源とアンテナ線を接続。
ノートパソコンはデスクにポン。
残りの細々とした生活用品は、土日の休みにでもまとめて整理すればいい。
そうと決めたら、今日はもうすることもない。さっさとシャワーを浴びて、ゲームでもしよう。
どうせ二、三日経って落ち着けば、五条の“可愛がり”──厳しいシゴキがきっと始まるだろう。
この一年、七海と伊地知は五条から定期的に受けていたが、私は色々と忙しくて参加できなかった。
やること、やることが多すぎたんだ!!
本気で五条と都合が合わなかった。これは正直ちょっとミスったなと思ってる。
ため息をつきながらも、身体を鍛える必要があることは分かっている。七海潔乃の体はスペックが良い。鍛えれば鍛えるほど成果がそのまま血肉になる。
だがその分、五条の扱きは伊地知潔乃の時よりも容赦がない。
──五条は、自分が期待している人間には特に厳しいから。
きっと今回は以前経験したより、執拗なシゴキになるだろう。
そんなことを考えながら、私は自室のシャワーに入った。
シャワーから上がると、携帯電話が鳴っている。
慌てて拾い上げると、画面には『五条悟』の表示。
「はい、七海です」
『出るのおせーよ』
「シャワー入ってたんですよ」
『お、部屋に戻ってるわけ? どこだよ』
「3階のXXX室です」
『硝子の三つ隣か。行くわ』
「は?え?女子寮は男子入れな──」
ぷつり、と通話が切れた。
……またか。
前回も五条は私の部屋に入り浸っていた。今回もそのフラグが立ったわけだ。
別に構わないけど、今日はせっかくゲームをしようと思ってたのに。
髪はまだ生乾き。ノーブラのタンクトップにハーフパンツ姿。
この格好を見られたら五条が絶対うるさい。
仕方なくダルダルのTシャツを上から羽織る。とりあえずこれでいいだろ。
あとはタオルでガシガシ髪を拭いていると──
ドンドンと部屋のドアがノックされた。
このうるささは絶対に五条だ。
「はいはい、空いてますよっと」
玄関に向かい扉をそっと開けると五条がいた。
「邪魔すんぞ」
こちらがOKを出す前に入ってくる。
「ちょっと五条さん、女子寮は男子禁制」
「硝子の部屋にも入ってるから問題ねーよ」
いやいや、問題しかないわ。
反論を挟む間もなく、五条は部屋をぐるりと見渡す。
「しかし、何もねー部屋だな。漫画とかどうした?」
まだ荷物を整理しきってないせいで、本当に殺風景だ。
相変わらず人の話を聞かない。
前世でも、こうやって勝手に入ってきて、勝手に寛いで、勝手に文句言ってたな。
懐かしさと呆れが半々でため息が出る。
五条は段ボールを勝手に物色し、座布団を引っ張り出してそのまま腰を下ろした。
私は冷蔵庫にから缶コーヒー取り出し、黙って手渡す。
突っ込み疲れたし、これ以上言ってもムダだと悟っている。
まだ何も食料なども持ってきてないので、寮に戻る時に自販機で適当に飲み物を買って突っ込んでおいてよかった。
五条は「お、気が利くじゃん」とにやりと笑い、プルタブを開けてぐいっと飲み始めた。
「必要最低限だけ持ってきました。最初は忙しいだろうし、気分転換にネットサーフィンできて、ゲームがあればいいかなって」
五条から座布団を手渡され、私も床に敷いてそれの上に座る。
「ふーん、まぁ、しばらく体鍛え直しだからいいんじゃね?
お前部活引退してから運動量減って少し身体鈍ってんぞ。呪力の流れは相変わらず綺麗だけどな」
五条の六眼はお見通しらしい。ギクっとなる。
天内の護衛でティータイムじゃなくて護衛して、競馬場で甚爾とご飯食べ……じゃなくて資金稼いで、呪力宝石作って、その後に自己鍛錬だったから、たーしかにちょっと運動量とか足りなかったかも…
中学卒業して学校が無くなってから本格的に走り込んでたけど、戻り切ってなかったか。クソ。
私の視線が泳いだのをみて五条は呆れ顔。
「しゃーねーな。明日は入学式で忙しいだろうから、明後日から鍛錬付き合ってやるよ。覚悟しとけよ?」
「……はい」
さきほど予想した通り、五条が鍛錬をつけてくれると言い出した。
あの可愛がりかぁ。五条は呪術には真摯だから訓練の時容赦ないんだよねぇ……
「んだよ、この俺が鍛錬に付き合ってやるって言ってんだぞ?もっと喜べ」
「あいだだだ!痛い痛い痛い!」
私の微妙な気配を察知した五条が私の耳を引っ張ってくる。
前世と同じ寮の部屋でこのジャレ付き、この感じが妙に懐かしく笑ってしまう。
「なーに笑ってんだよ。舐めてんのか?」
「いやいや、舐めてないです」
「それならいいけどよ。お前は才能あるんだから怠けるんじゃねーぞ」
クイクイとっと耳を軽く再度引っ張られてから解放された。五条のお説教はそれで終わりらしい、缶コーヒーの残りを飲み始めた。
「ところで五条さん、何か用があってきたんですか?」
「あぁ、明日のことだけどよ。もう一人の新入生。灰原だったか?あいつにサプライズ仕掛けるから本当に黙ってろよ」
「ワザワザそれ言いにきたんですか?さっきメールで話したのでわかってますよ」
私の口答えに黙って聞けよと頭をペチンと叩かれる
「それだけじゃねーよ。こっちが本題。ほら、入学祝い」
ズボンのポケットから巾着袋と黒い箱を取り出して私の手の上にポンと置く。
なんかこの巾着袋と黒い小箱にすごい既視感がある。
なんか嫌な予感がして、そっと巾着袋を開くと、じゃらじゃらと音を立てる複数の宝石の原石。
透明なクオーツ、深い青のサファイア、緑がかったエメラルド、ダイヤモンドまで入ってる。
この宝石見覚えあるぅぅぅ。前回五条から貰ったのと同じやつだ。
「は?...は???」
何で?????ナンデ?
呆然と固まる私を見て、五条はおもしろそうに笑う。
「お前の母親から聞いたぞ。呪力宝石の原石買うために高専から任務受けてたってな?
だから家にほとんどいなかったんだろ」
お母さん!!何バラしてるの!!!
「高専からの任務がどんなのかは知らねーけど、
宝石なら俺に呪力宝石を優先的に回してくれるなら融通するからよ。とりあえず今日は入学祝いだから受け取っとけ」
いやいや、何この流れ。
前回と似たような流れじゃん。
「いやいやいやいや、入学祝いにしても、量が多すぎますって!!!」
「今後の良好なお付き合いのための投資ってやつだ。気にすんじゃねーよ」
その言い方はビジネスめいてるくせに、本気で心配してるのが滲み出ている。
私は困惑しながらも宝石を見つめていると、五条の視線がふとデスクへ移った。
「……で、その箱。中身、宝石だろ」
「え」
「明らかに呪力が高いものがある。俺が前に見せてもらったのとはレベルが違ぇ──説明しろ、潔乃」
──しまった。
デスクの上にノーガードで出しっぱなしだった。
六眼を持つ五条には、宝石に込められた呪力の濃さがスケスケで見えている。
実家にいた今までは、基本的に別部屋の金庫の中にしまうようにしてたから、バレてなかったんだ………
どうしよう、来年までは隠しておく予定だったのに、バレてしまった………
「ちょっと何言ってるかわかんないで」
「説明しろ」
低く真剣な声。逃げ場はない。
「……はぃ」
観念した声が漏れた。
五条に促され、デスクから宝石箱を二つ抱えて座布団に戻る。
「……どうぞ」
まずは一つ目の箱を差し出すと、五条が蓋を開け、中を覗き込んだ。
「これは……前回より質がいい宝石だな。それに呪力をパンパンに込めたやつか?」
「そうなります。前回のはクズ中のクズ宝石に呪力を込めてた感じです。だから使い捨て感覚でいけました。今回のも日常使いですけどちょっと良いやつです。その分、威力も上がってます」
「どれくらいの威力だ?」
「……攻撃系なら、一級相手でも火力負けはしないかと」
「マジかよ……」
五条が、前回と同じようにドン引きした顔をする。
その様子に肩をすくめつつ、もう一つの箱を差し出す。
箱が開かれると、五条の動きが一瞬止まった。
小さく、息を呑む音がはっきり聞こえた。
「こいつは……すごいな」
──やっぱり。前回と同じ反応。
「宝石に呪力を込められるのは、子供の頃イタズラしてて気づいたんです。親は“女の子だから宝石に興味あるんだ”と勘違いしてましたけど……。それ以来、将来アクセサリーにしたりして役に立つだろうってことで誕生日に一つずつ貰ってました。まぁ、呪力込めていざという時に使うつもりなので、母の想定とは変わってると思いますが」
嘘と真実を織り交ぜて説明しながら、石の並ぶ一角を指さす。
「ここらが、一番古いものです」
五条がその宝石をそっと摘み、光に透かすように目元からサングラスをずらした。
「……なるほどな。呪力を流してる年月が長い石ほど、呪力が編み物みたいに細かく織り込まれてやがる」
感心したように呟き、宝石を箱へ戻す。だが次の瞬間、ギロリと鋭い視線をこちらに向けた。
「で、なんでこれを俺に隠してたんだ?」
「……明らかにヤバいものだって自覚があったので。初対面の時は五条さんの人となりをまだ知らなかったので、警戒してました。すみません」
五条が信用しそうな適当な嘘をでっち上げる。
「まぁ、正しい判断か──でも今は違ぇだろ?なんでまだ黙ってた」
「五条さんが家督を継いだら、その時に相談しようと思ってました」
「なるほどな……まぁ確かに俺もまだ五条家の権限をフルで使えるわけじゃねぇしな」
一拍置いて、低い声。
「でも、俺を舐めんなよ?あ?」
「っ……!」
その瞬間、五条の怒りの圧が一気に押し寄せる。
三年前のカフェで受けた呪力の圧なんか比じゃない。
呪力の濃度も精度も上がって大人の頃の呪力の圧に近い。
息が詰まり、呼吸が浅くなる。シャワー上がりなのに、冷や汗が背中を伝った。
そんな状況の私の頬に手を添えられ、強引に顔を持ち上げられる。
「あん時縛りを結んでから、お前は何と言おうと俺の庇護下なんだよ。
オマエには俺に報告する義務があるし、俺にはオマエを守る義務がある──だから、次からこの手のことを隠すな!」
もう片方の指が丸を作り、べちんっとデコピンが額を直撃した。
「いっだ!! 今、骨が当たった!!! 骨!!!」
思わず両手で額を押さえ、五条の手を跳ね除ける。
「罰だよ、バーカ。次から気をつけろ」
そう言って、ニヤリと笑う五条。
「………あの時の縛りの内容、報告の義務とかの話はなかったはずなんですけど………」
額をさすりながらぼやくと、再度ペチンと軽く頭を叩かれた。
「この手のことは俺の方が詳しんだよ。
くしゃくしゃと、生乾きの髪を容赦なくかき回される。髪が痛むからやめてほしいんだけど──五条の大きな手を退けながらため息。
「わかりました。餅は餅屋なので五条さんにお任せします……なので、胎コースとか監禁コースにならないようにお願いします。絶対ですよ?」
「……そんなことはさせねーよ。安心しろ」
私が本気で不安がってると思ったのか、五条はずいっと隣に移動し、肩に手を回して引き寄せてくる。
そのまま私の頭を自分の肩に添えさせ、トントンとリズムを刻むように叩いてくる。
──相変わらず距離感が近いなぁ。肩、濡れるぞ?
大人しく受け入れながら、苦笑が漏れる。
「んでだ。もう一つの箱、開けてみろ」
肩を抱いたまま、五条が顎でクイクイと黒い箱を示す。
「隠してたオマエの力を測るのに、ちょうどいいもんが入ってっから」
……この黒い箱。見覚えがありすぎて、嫌な予感しかしない。
漆黒のそれの蓋に手を添え、カパッと開く。
中には、深いインクブルーの輝きを放つ、大粒のスターブルーサファイア。
ほらやっぱりぃぃぃ!!!
前世で10年以上、私が呪力を注いだ宝石がそこに鎮座しているのを見て内心大混乱だ。
前世で呪力注ぎすぎて縁でもできたか?
「なんですかこの宝石は!!」
「オマエに宝石融通してやろうと思ってよ、うちに出入りしてる外商に宝石を見繕ってこいと言ったら、その中に入ってた。
なんか見た瞬間に、『これはオマエに絶対に渡さないと』って妙な直感があってな。術師はそういう感覚も大事だ。だから持ってきた」
五条家の外商って優秀すぎん?
というか、五条は記憶がないはずなのに、やっぱり魂に前世の何かがこびりついてるとしか思えない。
数ある宝石の中からこれを選んでくるなんて、呪いか?
「ほれ、これに呪力注げ。オマエのレベル測るのにちょうど良い」
「えぇぇぇ………こんな高級ジュエリーに呪力注ぐとか」
前世でいくらでも宝石に呪力は注いできたので、屁でもないが一応抵抗は見せる
裕福とはいえ私は一般家庭の庶民だからね。
「数百万だったか?まぁ、大した金額じゃねーよ」
「五条家の金銭感覚おかしいですって!!!」
「やれ」
「はぃ!!」
前回と似たような会話をしながら、肩に回ったままの五条の手を外し、宝石と向き合う。
「そういや、オマエが宝石に呪力注ぐの初めて見るわ」
なんだか楽しそうな五条の視線を感じるが、それを無視し一気に集中モードへ切り替える。
呪力を、注ぐ。
まるで水に指を差し込むような柔らかい感覚。
スターサファイアはまったく抵抗せず、呪力を吸収していく。
前回同様に流れが、すごくスムーズだ
まるで、この宝石が乾いた土が水を吸収するように、スルスル入っていく。
伊地知潔乃と違って、七海潔乃の呪力量はかなり多い。それでも底が見えない。
丁寧にじっくりと呪力を注ぎ、私の呪力切れすら見えてきたあたりで中断する。
「……すみません。宝石の質が良すぎて私の方が呪力切れです」
軽く深呼吸して、手のひらで噴き出した汗をぬぐう。
シャワーに入ったのに、これはもう一度浴びないとダメだな……と思っていたら、五条が妙に静かだ。
視線を向けると、六眼で睨むように私とスターブルーサファイアを見つめていた。
え、何???
「……オマエ、宝石が使えることは俺と、七海と伊地知以外には言ってないんだよな?」
「言ってはいないですが……クズ宝石は使ったことがあるので、その認識はされてるかもしれません」
「さっき見せてもらった宝石レベル以上のものは?」
「誰もいないところで日常使いのを確認程度には。それ以降は誰からもアクションされてないので、多分バレてないと思います」
五条が私の両肩を痛いほどの握力でがっしり掴む。
「──絶対に使うな。命の危機と、俺が許可した時以外はだ。
それも俺が当主を継いで、地盤固めるまでは絶対にダメ。いいな?」
「あ、はい」
「頼むからマジで守れよ? オマエのこれがバレたら総監部か御三家に監禁コースだ。
こんなお手軽に“特級対応の宝石”が量産されたら、呪術界のパワーバランスが崩れる」
「え」
「宝石の中でオマエの呪力が、細かい織物みたいに格納されてる。
で、一定量を超えたら宝石内部で乱反射して、純度を高め続けるみたいだ。
質の良い宝石だからこそ耐えられてるが──普通の石ならその前に限界が来て砕ける」
……へぇ、呪力宝石の中ってそういう風になってたのか。
知らんかった。
今の七海潔乃の呪力量なら、日常遣いの宝石は1日で注げる量はすぐにいっぱいになるし、質が良い宝石でも満タンになるのも数日だ。伊地知潔乃のときは数ヶ月とか年単位かかったのにね……
だから一つの宝石に1回で“呪力切れまで”注ぎ込んだことなんてなかった。
五条の説明に、なるほどと納得。
「俺には宝石の“性質”までは見えねーけど、呪力量だけで十分ヤベェって分かる。
それなのに外にほとんど漏れてねぇ。強めの呪具くらいの反応はあるが一般的な範囲だ。
さらに使った時の残穢は“宝石の呪力”になる。使用者本人とズレる。──とんでもねぇシロモンだ」
前回は単純に呪力量が少なすぎて気づけなかったんだろう。
そういや、このスターブルーサファイアについては三、四年経ってから五条チェックを受けてなかった。
良くも悪くも、宝石関係は完全に私に丸投げになった頃だ。
五条チェックをされなくなった後、もしかしたら閾値を超えて宝石の中がそうなって、純度を高めてたのかも。
私は見てはいないが、あの獄門疆から五条を守れたと聞いているので、それは確実な気がする。
この話は後で七海と伊地知に共有せねば。
それにしても、わかったことがある。
伊地知潔乃が三、四年間かけて注ぎ込んだ呪力より、今日この場で七海潔乃が注いだ呪力の方が多いってこと。
うへぇ。
これは“過去の自分の低スペック”を嘆くべきか、“今の自分の高スペック”を喜ぶべきか。
「オマエの用心深さが功を奏したな。俺に隠してたのは腹立つけど……正解」
ぽんぽんと頭を撫でてから、五条は缶コーヒーを飲み干し立ち上がる。
「その宝石はやる。しっかり管理して呪力注いでおけ。お前の切り札になるからな。
あと──クズ宝石以外は使うなよ?マジで使うなよ?」
念を押しながら、空き缶をぐしゃっと潰してポイッと段ボールに投げ入れる。
それ、ゴミ箱じゃないんだけど……。
「こんな高い宝石管理しろって……」
慣れてるけど、やっぱり嫌だ。
嫌そうな顔をする私を見て楽しそうに笑う五条。
呪術師辞める時は売って金にしていいぞ?とか言う始末。相変わらず性格が悪い。
玄関に向かう背中を座ったまま見送っていると、扉を開ける直前に振り返った。
「あ、そうそう。オマエさ──ノーブラだろ?ゆさゆさ揺れて、たまんねーつうの。
眼福で俺的には最高だけど、ナイトブラくらいつけろよ。
──その大きさだと垂れるぞ?」
「このノンデリが!!!!」
ニヤッと私の胸に視線を向けながらのセクハラに、思わずブチ切れる。
反射で座布団を投げつけたけど──無限で防がれた。
「俺以外の前ではすんなよ。じゃ、おやすみ!」
最後まで調子のいい声を残して、五条は去って行った。
翌朝、3人だけの入学式を無事に終え、校門の前で記念撮影をした。
どうやらこれは恒例行事らしい。
灰原をセンターにして、左右に私と七海の布陣。
全力でダブルピースを決めてニッコニコな灰原に対し、七海は隣で興味なさそうに立ちながらも、小さく微笑んでいる。
一方の私は──斜めに立ってキメ顔、流し目。中学生時代の“スカした王子様風”で写っておいた。遊んだ方が後で絶対面白いだろ。
脳内でイマジナリー五条が「なにスカしてんだよ。可愛く笑えよ」と揶揄ってくる。
腹パンで黙らせた。論理的な思考トレースの時以外は出てこないでほしい。
「今日からついに高専生!緊張するね!」
「まぁ、それなりには」
「基本的に学校生活に変わりはないしね」
テンション高めの灰原に対し、七海と私は低めのトーンで返す。
理由は単純、今朝も五条から「サプライズのために黙ってろ」とメールが来ていたからだ。……しつこい。
「先輩達、優しいといいなぁ。そこで学生生活って結構変わるもんだからね」
「「……」」
それには完全同意。
ただ──優しいっちゃ優しいけど、一癖も二癖もありまくる先輩達なんだよなぁ……。
「あ、見てよ!噂をすれば、アレは……!」
灰原の声に視線を向けると、柄の悪そうな巨漢が2人。
「……あァん?」
「なんだァ?」
白髪頭にサングラスは、都会のチーマー感。
ボンタン姿は、田舎の昭和ヤンキー感。
平成と昭和の不良が並んでるみたいで──どうしよう。
笑ってはいけない高専24時、開幕。
私と七海表情がチベットスナギツネのような無表情になる。
七海は呆れてるんだろうけど、私は無表情を装って堪えてるだけだ。
「……!こんにちは!新入生の灰原雄と、こっちは七海建人、潔乃です!」
「……よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
スンっとした私の顔に、五条の視線が一瞬刺さる。
『笑うんじゃねーぞバカ!』って言われた気がした。
リアルでは初対面の夏油とも視線が合うが、彼は優しい眼差しで『我慢してね!』とでも言うように視線で微笑む。
……ダメだ、笑うな私。思考を逸らせ!
そうだ夏油と視線があっても、夏油も記憶を取り戻さない。なるほど思考を逸らして笑いを堪える。
「オマエらよぉ……ここがどこだか知ってきてんだろうなぁ!?」
「泣く子も黙る呪術高専……その割にはオマエら、ずいぶん調子に乗ってるな?」
「……!」
なにこの寸劇。演技が下手すぎて腹筋を殺しにきてる。
灰原もマジ受けするんじゃない!!
隣で七海が、ぐいっと私の腕をつねってきた。
……わかってる、我慢するから!
「後で教室に来い。10分以内な」
「遅れたらどうなるか……覚悟しとけよ」
「は、はいっ!」
「……」
「ねぇ。もしかして今の、ヤキ入れるってやつかな!?
呪術高専、思っていたより100倍は、気合を入れないと駄目かもしれないね……!」
立ち去っていく不良2人を見送りながら灰原がぐっと拳を握りしめる。
灰原。オマエは純粋すぎる。なに本気にしてんだよ!
五条も夏油も大根役者丸出しだったじゃん!
私はもう口を押さえて震えている。
それを見た灰原が「大丈夫?」と心配そうに覗き込んでくるけど──違うんだ、ビビってるんじゃない。笑い出しそうなだけなの!
「君は……昨日、教室を見ていないんですね」
「教室?ああ!昨日の下見、僕は先に寮の荷解きもやったら遅くなって行けなかったんだ。
だから別の教室で七海たちを待ってたんだけど……それがどうかしたの?」
「……いえ、なんでもありません」
「……早く行きましょうか。先輩達を待たせるのもね」
深呼吸をして、なんとか笑いの発作を抑え込みながら提案した。
「「「入学、おめでとうー!」」」
来いと言われた教室の扉を開けると、クラッカーの音と共に歓迎の声が飛んできた。
入った瞬間、七海は夏油から、私は五条から、灰原は家入から「本日の主役」という襷をかけられる。
「呪術高専に、ようこそ」
「どうだった?俺たちの歓迎、ビビった?」
先ほどまでの演技と打って変わって穏やかに笑う夏油と、喜色満面の五条。後輩が入ったのがそんなに嬉しいかね?
「ビビりましたよー!すごいとこ来ちゃったなーって!」
「あはは、ごめんね」
素直な灰原の様子に軽い調子で謝る夏油。やっぱこの人もいい人のフリしてクズだわ。
「……」
完全に呆れた表情をしてる七海に、家入が絡んでいる。
「どうしたの?体調悪い〜?それともこんなバカ達でがっかりした〜?」
「いえ、大丈夫です」
多分前回と同じなんだろうなぁ。七海の表情微妙だもん。
そんな視線を向けてたら夏油が私のところへやってきた。
「協力してくれてありがとう。こうして会うのは初めてだね。
メールや電話は何度かあるけど。よろしくね潔乃ちゃん」
人の良さそうな笑みを向けてくる。まぁ、クズだけど悪い人じゃないんだよな。
「私も直接会うのは初めてだよね。よろしくね。潔乃」
家入もやってきてニカっと笑う。距離感近いなこいつらも。
「お二人ともよろしくお願いします。いつもすれ違ってなかなか会えなくてすみません。
さっきは笑い死ぬかと思いました。五条さんも夏油さんも演技が棒すぎて」
ジュースを受け取りつつお礼を言う。
「そうかな?結構頑張ったと思うんだけど……」
夏油が照れて頬をかき、苦笑する。
「下手くそでしたよ?」と重ねて言うと、家入が吹き出した。
二人と視線を合わせても、特に変化はない。──やっぱりこの二人も記憶は持ってなさそうだ。
七海と目が合ったので小さく首を横に振る。それだけで伝わる。
後は気にしない。もう楽しい歓迎会の始まりだった。
「え、潔乃も七海も先輩達と知り合いだったの!?それはずるいです!
僕も早く知り合いたかった!!!」
五条から話を聞いたのだろう、灰原がちょっと拗ねた。
まぁ、灰原も本気じゃない。わざと騒いでうまいこと場を盛り上げていた。やっぱこの人は陽キャだわ。
「灰原、潔乃は可愛くて美人だけど惚れるなよ。悟の本命だからね」
「え!そうなんですか」
「「違げーよ(います)」」
夏油の質の悪冗談を灰原は信じてしまうからやめてほしい。
「七海的にはどうなの?妹が五条さんと付き合うの」
「私に害がないなら、好きにしてください」
「建人さんそれは酷くない!!」
そして七海も悪ノリしないで欲しい。
「困ったことがあったらなんでも俺に言えよ?話だけは聞くからな」
「はい、先輩!」
「うん、いい返事だ。それから、俺の言うことはなんでも聞くんだぞ?」
「はい、先輩!」
「あーあ、悪ノリしちゃって」
「今だけだよ。どうせ、すぐに飽きるさ」
五条の悪ノリと、それに素直に答える灰原を見て呆れる家入と夏油。
「前もこんな感じだったんです?」
七海にしか聞こえないように囁くと、七海が小さく笑いながら頷いた。
そういえば、伊地知潔乃の時も歓迎会をしてもらったのを思い出す。
高専の新入生歓迎会は2年生が取り仕切るしきたりらしい。私の時は七海と灰原が用意してくれてた。
忙しいはずの三年生だった五条・夏油・家入も参加してくれたのを思い出す。
あぁ、なんか青春だな。楽しいな──そんなことを考えていたら、五条と目が合った。
「ほら、オマエもだ潔乃。俺の言うことには従うんだぞ!」
「え、嫌です」
即答した私に──
「っぷ……っはははは! 悟、舐められてるぞ!」
「くくっ……あーあ、五条、振られてやんの!」
夏油と家入が腹を抱えて爆笑。
五条は「チッ」と舌打ちして、ぐいっと私の頭を掴みアイアンクローを決めてきた。
「し・た・が・え!!!」
「いだだだだ!絶対に嫌ですぅ!!!!」
その様子にさらに笑いが広がる。夏油と家入だけじゃない、灰原も、なんと七海まで……。
……ちょっと助けろよ、同級生!!!
その日は夜まで騒いで、結局みんなで夜蛾に怒られた。
……まぁ、ちょっと楽しくて調子に乗りすぎたのは否定できない。
翌日からは、高専の学生として授業が始まった。
一年はすぐに任務に出されることはない──普通は。
五条や夏油みたいなのは完全に外れ値で、例外中の例外だ。
で、残念ながら私もその外れ値側に入ってしまっている。
すでに「二級術師」として登録されていて、単独任務も可能。
理由は簡単で──五条とバッティングした呪霊を私が一人で倒したのと、天内の護衛任務をこなしたせいだ。
入学前からそんな扱いを受けるのもどうなんだろう。
高専に登録されている私の術式は「ちょっとした破壊(分解)と修復」。
……まぁ、実際はもう少しやれるんだけど、そこは五条の助言で夜蛾にだけ本当の効果と“呪力宝石”のことを伝えてある。
その時の夜蛾は、ものすごーく頭を抱えていた。
すみません。問題児で……
でも、夜蛾は前回同様、本当に優しくて真摯な人だった。
「術式バレしないように」と祓除任務より呪具修理の依頼を優先してくれると言ってくれたし、
呪力宝石についても「高専としても把握はしている」と。
……ただ威力までは知らなかったらしく、説明したら今度は盛大にため息をつかれてしまった。
それでも「申し訳ないが、時々だけでも融通してもらえると助かる」と言ってくれた。
……もちろん、クズ宝石に呪力を込めたやつを“五条経由”で渡す、ということで話はまとまった。
将来的に高専に残っても、外に出ても「五条の保護対象」として、夜蛾も教え子として高専の力を使って守るとまで言ってくれた。
……いやほんと、すみません。
そんなわけで、本来なら任務漬けになってもおかしくないのに、夜蛾が手を回してくれたおかげで、
放課後にできる程度の簡単な呪具修理がメインになった。
「一般出身の子だから、まずは授業を優先して心得を学ぶべきだ!」って押し切ってくれたらしい。
夜蛾セン、ほんと仏か?
修理が終われば、自己鍛錬の時間だ。
まだ任務に出ない七海や灰原と、ランニングや組み手、呪力ありで殴り合い。
……で、そこに乱入してくるのが五条と夏油。
伊地知潔乃の時は五条だけだったが、今回は夏油まで参戦してきた。
まぁ3人いるのと、この頃の夏油は後輩の面倒を見る余裕があるからだろうな。
七海と灰原は夏油にボッコボコ、私は五条にボッコボコ。
「家入さん、可愛がりがきついです」
「五条は才能があるやつが好きだからね。今一年で一番強いのは潔乃だし、諦めな。
夏油は格闘技が趣味だから、七海も灰原もいいサンドバッグ……じゃない、いい経験になってるでしょ?」
「うへぇ……」
家入に反転術式で治してもらいながらぼやく。
本当に五条は容赦がない。蒼のカウンターで吸い込んでくるし、赫まで覚えたら今度は弾き飛ばされるんでしょ?
どう考えても、えらい扱かれる未来しか見えない……
授業を受け、鍛錬をして、そして毎日のように五条や夏油に“可愛がられる”。
ほぼ毎日扱かれていれば、さすがに体力もついてくる。
最初は秒で沈められていたけど、今では五条や夏油相手でも──術式なしなら数分は粘れるようになった。
これは、ちょっと誇ってもいいはずだ。
そんな頃、七海や灰原も任務に出るようになった。
「こんだけ体力もついて、逃げ足も早くなったなら、ある程度は大丈夫だろ?」
五条はそう言った。
……まぁ、忙しい中時間を割いて鍛錬をつけてくれたことには感謝している。感謝はしているんだけど。
地面に伏せてる私の背中に座り、バシバシお尻を叩くのはやめろセクハラ野郎!!
そうして任務に慣れてきた頃。
家入から「庵歌姫と冥冥が、静岡県の浜松市での祓除任務から戻らない」と知らされた。
その場にいた七海と視線を合わせ、頷き合う。
……懐玉が、始まる。
主人公
高専に入学した。
すぐに懐玉が始まるし、それどころじゃないのもわかってるけど、懐かしい青春の面々との再会が嬉しい。
五条が妙な気を回したせいで、前回と同じように五条から宝石を融通してもらえるようになる。
競馬で稼ぎまくった意味!!!
そしてまた、あのスターブルーサファイアと出会い、呪いの宝石じゃないか?と一瞬不安になった。
五条からのセクハラはもう日常茶飯事。ブチギレながらも諦めてる。
五条と夏油の棒演技は定期的に思い出して、笑いを堪えるほどツボにハマった。
五条悟
七海兄妹が入学してきて嬉しくてしょうがない。
そして、入学祝いに宝石を持って行って、潔乃が呪力宝石について隠していたことに気づいた。
こんにゃろう、やるじゃねーか!と内心その警戒心を称賛してる。術師はこれくらいでないと。
話を聞いたらあまりのヤバさに呆れた。術式もやべーし、宝石もやべーし、これで将来一般に行くかも?嘘だろ?
スターブルーサファイアは見た瞬間、これは絶対に主人公に渡さないとと運命を感じた。
そしてなぜかわからないが、その青い宝石を見てると無性に泣きたくなる。何でだ?
夏油と家入の主人公が本命と言われ続けて否定しているが、主人公のことはもちろん大好き。
容姿も好みストライクだし、スタイルいいし、美人だし、話も合うじゃん?嫌う要素なくね?
セクハラ?仲良いんだから、これくらいするだろ?
七海建人
高専に入学した。
かつて失った友人と再会して表情には出さないが感無量。
入学後のやり取りは前回とほぼ同じで懐かしい。
五条と夏油の棒演技でツボにハマってる主人公を見て、何がそんなに面白いんだろう?と不思議だった。
灰原は今回は絶対に死なせない。と心に誓ってる。
まずはその前に、夏油の呪詛師堕ちの遠因の一つの星漿体任務をこなさないと。
今回の作戦はあくまでサポート、メインは主人公になるので心配している。
灰原雄
とうとう出てきた人。記憶なし。
同級生の七海兄妹とウマがあって楽しい。
主人公が美人だし、話も面白いし、ご飯をたくさん食べるので結構いいな。と思ってたけど、
本当に五条が主人公のこと好きっぽいし、主人公も仲良いので、しょうがないかーと思ってる。
先輩たちも好きだし、同級生も好き。
ただ、呪術界の闇には速攻で気づいて、現時点で妹には高専に来るなと伝えている。
空気を読めないようで、周りがよく見えてる。
夏油傑
やっと主人公とリアルで会った人。記憶なし。
五条の本命はどんなもんかと思ってたけど、リアルだったら写真より美人だった。
五条の楽しそうな表情で、わかりやすいと思ってる。
1年3人とも真面目だし、特に灰原は素直に夏油に懐いてくるので可愛くて仕方ない。
家入硝子
やっと主人公とリアルで会った人。記憶なし。
五条の本命はどんなもんかと思ってたけど、リアルだったら写真より美人だった。
五条の楽しそうな表情で、わかりやすいと思ってる。
紅一点だったので主人公が入ってきて嬉しい。
すぐに仲良くなってる。一緒にシャワー室を使った時、五条に主人公の裸が凄かったと言って煽る。
本家アメリカのプレイボーイのグラビアかと思った。
夜蛾正道
今回の被害者。
ここ最近、問題児が多くないか?
と言いつつも、七海と灰原と、主人公も基本的に真面目なので助かってる。
伊地知潔高
中学の最終学年を過ごしてる。
五条の可愛がりを受けているので、現実を知ってる。なので、きちんと体を作ってる。
それでも来年から君も地獄だぞ。
ファンパレと懐玉玉折の映画のEDのおかげで、灰原の解像度が上がって助かる。