とある転生者、2周目   作:kotedan50

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if 転生者、百鬼夜行に参加する https://syosetu.org/novel/408095/47.html からの分岐。

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)だった転生者、
 七海建人の双子の妹で、まさかの2週目
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・今回特に激しいオリジナル展開になります。苦手な方は要注意
・主人公が、非人道的な行動をします。


転生者、暗躍しまくる

五条が呪力で伏黒甚爾を吹きとばし、夏油の呪霊がそれを飲み込む。

 

「悟!!」

 

駆け寄る夏油に手を翳してジェスチャーで止める五条。

 

「問題ない」

 

腹をぶち抜かれているのに、五条は平然と立ち上がる。呼吸も声も乱さず、笑みすら浮かべる。

──その精神力が恐ろしい。

原作で日車が「痛いものは痛い」と言っていたのを思い出す。呪術界のTOP層は総じて痛みへの耐性がおかしい。

 

「術式は間に合わなかったけど内臓は避けたし、その後、呪力で強化して刃をどこにも引かせなかった。

ニットのセーターに安全ピン通したみたいなもんだよ。マジで問題ない」

 

余裕の笑みすら浮かべ私たちに伝えた後、伏黒を呑み込んだ呪霊を見やる。

 

「天内優先。アイツの相手は俺がする。傑達は先に天元様のところへ行ってくれ」

五条が肘をもう片方の腕で挟み、ストレッチを始める。

 

「油断するなよ」

 

夏油は逡巡した様子を一瞬見せたが、すぐに天内達に声をかける。

 

「行きましょう」

「あっ、はい!」

 

夏油に続き、黒井、天内が駆け出す。

 

「誰に言ってんだよ」

 

サングラスを外しながら戦闘体制に入る五条に声をかけ、私は胸ポケットから巾着袋を掴み出し五条に投げつける。

 

「五条さん!!!」

 

こちらに視線を向けず巾着袋を掴み取った五条。

 

「持っててください!」

 

受け取った瞬間に効果がわかったのだろう。黙ってズボンポケットに入れる。

 

「はん! いらねーよ」

 

素直じゃねーな。喜べよ、じわじわ回復する効果だぞ。

くるりと背を向け、私も夏油の後を追った。

 

 


 

 

1000の扉の前で私は内ポケットから宝石を取り出した。

ダミーも含めて薨星宮・本殿へ続く全ての道筋に宝石で結界を張っていく。宝石は淡く光を放ち、網の目のように覆っていった。

 

夏油の視線を感じて、説明する。

 

「見ての通り結界です。私が許可した人間以外は通れません。残穢が宝石由来のものになるので、逆に残穢だらけでカモフラージュになります」

 

「なるほど。この後、残穢をつけなければいい撹乱になるな」

夏油が小さく頷いた。

 

昇降機にて下ってる間に、夏油にも五条と渡した同じ回復の呪力宝石を渡す。

万が一のためだ。伏黒がミスるとは思えないけど念のため。

 

高専最下層・薨星宮の参道に降り立った。

夏油、私、天内と続き、山道を歩き始める。

 

昇降機の金属を踏み締めるカンカンという靴音が、石畳のコツコツとした音に変わったあたりで──

 

「理子様」

 

黒井が立ち止まり、深々と頭を下げた。

 

「私はここまでです。理子様……どうか……」

 

涙を堪えて言葉を紡ぐ黒井に、天内が飛びつくように抱きつき、涙をこぼす。

 

「黒井! 大好きだよ! ずっと……!! これからもずっと!!」

「私も……!! 大好きです……」

 

なんとも言えない微妙な表情で、夏油が二人を見つめている。

啜り泣く声を聞きながら、私は視線を逸らした。

 

しばらく時間がたった後、天内が黒井から離れ涙を拭い、夏油と一緒に歩き出す。

私は黒井に向き直り、ハンカチを差し出す。

 

「私が渡したネックレスは身につけてますか?」

「はい」

「大丈夫とは思いますが、襲撃者がここまで来る可能性があります。壁際に身を寄せて、静かにしていてください」

「……お嬢様を、理子様をよろしくお願いいたします」

 

その言葉に、私は黙って頷き、背を向けた。

 

 


 

 

決められた正しい順路を歩き、大量の結界が張り巡らされた迷宮を抜けると、大樹がそびえる広いエリアに出た。

すり鉢状に窪んだ中心に、巨大なしめ縄が巻かれた大樹。

その周囲を囲むように、瓦屋根の和風建築が幾重にも立ち並んでいた。

 

その一番外側に立ち、私たち三人はその光景を眺める。

 

「すご……」

 

普段冷静な潔乃ちゃんが、素直な感情をこぼす。

まぁ、その気持ちは私もわかる。この風景は圧巻の一言だ。

 

「ここが……」

 

理子ちゃんが静かな声で呟くのを肯定する。

 

「あぁ、天元様の膝下。国内主要結界の基底。薨星宮・本殿」

 

大樹を指さしながら話を続ける。

 

「階段を降りたら門を潜って、あの大樹の根元まで行くんだ。そこは高専を囲う結界とは別の特別な結界の内側。招かれた者しか入ることはできない。同化まで天元様が守ってくれる」

 

そこで言葉を区切り、特大級の爆弾を放り込む。

 

「──それか引き返して、黒井さんと一緒に帰ろう」

「……え?」

 

理子ちゃんが驚き目を見開く、その気配を無視しながら話を続ける。

 

「担任からこの任務の話を聞かされた時、あの人は”同化”を”抹消”と言った。あれは、それだけ罪の意識を持てということだ。うちの担任は脳筋のくせによく回りくどいことをする……」

 

夜蛾は呪術師のくせに、呪術師が忘れがちな”人として忘れてはいけないこと”を指摘してくる。

あの人は本当に──立派な教育者だ。

 

「君と会う前に、悟との話し合いは済んでる」

 

悟との会話を思い出す。

 

『星漿体のガキが同化を拒んだ時ぃ!?その気は同化なし!!』

チャリチャリと小銭を握りしめ、きっぱりと言い切る悟。

 

『クックッ、いいのかい?』

 

その様子に思わず笑うと、悟はこちらをガラ悪く睨みつけた。

 

『あぁ?』

 

『天元様と戦うことになるかもしれないよ?』

 

最悪の可能性を指摘して煽ると──

 

『ビビってんの?』

 

ニタリと煽るような笑みを浮かべる。

 

『大丈夫。なんとなるって』

 

悟らしい無根拠な自信。その姿を思い出し、苦笑する。

 

ゆるく笑みを浮かべながら潔乃ちゃんに視線を向ける。

 

「潔乃ちゃんも異論はないよね?」

「私は可愛い後輩の決断なら、それを手助けするだけ」

 

当然と言った表情で言い切る。

彼女は星漿体の護衛の任務で中学三年の時から、理子ちゃんと関わっていたと聞いている。

普段や任務の時は冷静な術師の仮面を被っているし、金髪翠眼の涼やかな容姿のせいで冷徹に見えるけど、本当は性根は心優しい子だ。

悟と違って口裏合わせはしていないが、乗ってくれると思ってた。視線で「ありがとう」とだけ伝える。

 

悟との会話が脳裏に蘇る。

 

『大丈夫。なんとかなるって』

 

──そう、私たちは最強なんだ。

 

だから自信を持って言える。

 

「理子ちゃんがどんな選択をしようと。君の未来は私たちが保証する」

 

「……私は生まれた時から星漿体(とくべつ)で、みんなとは違うって言われ続けて。

私にとって星漿体が普通で、危ないことはなるべく避けてこの日のために生きてきた」

 

ポツリポツリと、理子ちゃんが話し始める。

 

「お母さんとお父さんがいなくなった時のことは、覚えていないの。もう悲しくも寂しくもない。

だから同化で、みんなと離れ離れになっても。大丈夫だって思ってた。どんなに辛くたって、いつか悲しくも寂しくもなくなるって」

 

声が震え、言葉が胸の奥から絞り出される。

 

「……でもっ、でもやっぱり、もっと皆と……一緒にいたい。もっと皆と色んな所に行って、色んなもの見て……もっと!!!」

 

星漿体としての仮面が壊れ、理子ちゃんの素直な気持ちがこぼれ出す。

それに小さく息を吐き、目尻が下がるのを自覚した。

うん、それなら私たちは理子ちゃんの味方だ。

 

「帰ろう、理子ちゃん」

 

手を差し出し──

 

「……うん!!」

 

乾いた破裂音が響いた。

 

「……え?」

 

次の瞬間、理子ちゃんがどさりと倒れた。

 

「理子ちゃん?」

 

意味がわからず、呆然と名前を呼ぶ。

理解が追いつかず、頭の奥が真っ白になる。

 

「っ!!!」

 

私より一瞬先に我に返った潔乃ちゃんが理子ちゃんに駆け寄る。

だがその瞬間、再び銃声。彼女の首筋から鮮血を撒き散らし、潔乃ちゃんは理子ちゃんに覆い被さるようにして倒れ込んだ。

 

「っ……うっ……」

 

身を捩って頭部への直撃は避けたようだが、動脈を傷つけたらしい。血溜まりが急速に広がっていく。

 

「ハイ、お疲れ。解散解散」

 

カツカツと足音を立てながら、先ほどの襲撃者が近づいてくる。その手にはハンドガンが握られていた。

じわじわと現実を認識し始める。

 

「なんでオマエがここにいる」

「なんでって……あぁ、そういう意味ね」

 

襲撃者がニタリと笑い、口を開く。

 

「五条悟は俺が殺した」

 

「そうか。死ね」

 

怒りと共に呪霊を呼び出し、私は戦闘を開始した。

 

 


 

 

星漿体護衛の任務は──結果として失敗になった。

完全に俺がしくった。傑も潔乃も悪くない。

 

二人ともあの禪院家の襲撃者に敗北はしたが、幸い命を取り留めた。

潔乃は首筋の動脈を撃ち抜かれ大量出血をしたが、持っていた呪力宝石で辛うじて生還。

傑は呪霊操術の特性上、取り込んだ呪霊がどうなるか分からないため、トドメを刺されなかった。僥倖だった。

 

二人の生存を確認した俺は硝子に治癒を依頼し、襲撃者の追跡に向かった。

 

──あの戦闘は、心が踊った。

死に際で掴んだ呪力の核心。

初めて成功した術式反転「赫」、そして虚式「茈」。

襲撃者は腕が吹き飛び腹部も一部抉れていたのに、それでも逃げ去った姿には思わず感心すらした。

……まぁ、あの傷で生きているはずはない。

 

天内の遺体を回収したところで、傑がやってきた。

 

重苦しい沈黙のまま、俺と傑は天内の遺体を抱え、盤星教の施設から補助監督の車で高専へ戻る。

 

そこから先は、あっという間だった。

天内理子の死体は高専側の職員と硝子の簡易チェックの後、黒井の遺体と共に即火葬( 焼却処分)されることとなった。上層部の指示だ。

「悪用される恐れがあるから」との建前だったが、実際には呪術界の失態を一刻も早く消したいだけだろう。

 

さっきまで呪力の核心に触れた高揚感に包まれていたが、冷静さを取り戻すにつれて、傑と潔乃の様子が気になった。

二人とも明らかに落ち込んでいる。まぁ、無理もない。

 

傑は禪院の襲撃者に敗北し、さらに目の前で天内を撃ち殺された。

ショックを受けないわけがない。

 

それ以上に、潔乃は……無表情で天内と黒井の遺体を見つめ続けていた。

いつも快活でよく笑うアイツの顔から、声も感情も一切消えていた。

正直、ゾッとした。あんな潔乃の顔を、俺は見たことがない。

 

火葬炉へと運ばれていく二人の遺体を最後まで見届けると、潔乃は火葬が終わる前に無表情のまま立ち去った。

俺達もその後に続き、無言のまま解散した。

今日は色んなことがありすぎた。ぐったりとベッドに横たわる。

先ほどの潔乃の様子が気になって電話をするが圏外で、メールも届かない。

 

「ったく、何やってんだよ」

 

明日朝イチで捕まえて食堂で飯でも食おう。そうだ傑も誘おう。

三人で食堂の朝定食でも食って、潔乃の口にハムエッグを三人前くらい突っ込んでやれ。

美味い飯食って、アホな話でもすれば少しは気分がマシになるだろ。

 

携帯のバイブレーションで目が覚めた。

壁の時計を確認すると、夜中、日付が変わり2時間ほどたっていた。

携帯を開くと潔乃からメールが入っていて、眠気が吹き飛んだ。

慌てて中を確認する。

 

『誰にも見られないようにして、夏油さんと薨星宮・本殿に来てください』

 

「は?……なんだこれ」

 

嫌な予感がする。

慌ててパジャマ代わりのTシャツとハーフパンツのまま寮の部屋を飛び出すと、同じタイミングで外に出てきた傑と鉢合わせた。

傑も似たような格好で、髪に寝癖がついてて寝起きなのがすぐわかる。

 

「メール見たか?」

「あぁ……嫌な予感がする。行こう」

 

さっきまで落ち込んでいた傑は、もう普段の調子を取り戻していた。

潔乃の異常な様子に、自分が沈んでいる場合じゃないと切り替えたのだろう。

マジでお人よしで、笑えてくるくらいだ。

 

「潔乃が何考えてっか知らねーけど、とっとと連れ帰って寝かせねーと」

「そうだね。悟、せっかくだから添い寝でもしてあげたらどうだい?」

「そりゃいい。いい抱き枕になんじゃね? アイツ、ムネもケツもたっぷりあるし」

「……悟ぅ、それセクハラだよ」

 

軽口を叩き合いながら、俺たちは夜の薨星宮へ忍び込む。

昇降機を降り、数時間前の血痕を舌打ちと共に跨ぎ、惨劇の残滓から視線を逸らして、先へと進む。

薨星宮・本殿──天内が撃たれた場所に、潔乃は立っていた。

 

「潔乃ちゃん、ここは天元様のお膝元。勝手にいてはいけないよ」

「バレたら夜蛾センセから指導喰らうぞ。ほら、戻るぞ」

 

すぐるに続いて俺も珍しく正論をぶつけるが、潔乃は硬い表情のまま。

 

「こっちに来てください」

 

俺たちの発言を無視し、背を向け歩き出す。

 

「おい!」

「?」

 

傑と顔を見合わせ、慌てて後を追う。

 

「あのですね。まず慌てないでくださいね」

「何がだよ」

「そして、私のこと怒らないでくれると助かります」

 

スタスタと歩きながら硬い表情、硬い口調で続ける潔乃。

さっきから意味がわからない。

 

「潔乃ちゃんも疲れてるだろう? 早く帰ったほうがいいよ」

 

俺や傑の声を無視し、スタスタと歩く潔乃。

血まみれの高専の制服のまま、薨星宮・本殿の大樹をぐるりと回り、一つの建物の前で立ち止まった。

 

「まさか──天元様がこうして協力してくれるとは、思いませんでした。

ここまで近くに来て五条さんも夏油さんも気づかないなんて。やはり天元様の結界術はすごいですね」

 

「だから、さっきから何言ってんだよ潔乃」

 

俺の声を無視して、潔乃が引き戸を勢いよくガラッと開ける。

 

「は?」

「え?」

 

中を確認した途端、心臓が跳ね、思わず息を呑んだ。

 

そこには──

何事もなかったかのように、おにぎりを頬張る天内と、隣で微笑みながらお茶を入れる黒井。

さらに片腕でカップラーメンを啜っている、あの禪院家の襲撃者の姿まであった。

 

 


 

 

「天内……」

「理子ちゃんに、黒井さん…」

あー二人とも驚くよね。

二人ともポツリと呟いて完全にフリーズしてる。

五条は瞳孔が開きまくってるし、夏油も切れ長の目をかっぴらいている。

それを見ておもしろそうに笑う天内と伏黒。困ったように笑う黒井。

空気を読んで黙ってくれてるのは助かる。

五条と夏油は、たっぷり10秒ほど硬直した後、すっと私に視線を向けた。

二人の目が鬼のように座っている。やべ。

 

「いだだだだだだだああぁああ!!」

「おい、潔乃テメェ……」

 

五条に頭をがっしりと鷲掴みされる。

 

「どういうことかな?」

 

夏油に耳を引っ張られる。

 

「いたいいたいいただだ!!痛いですって!!!」

 

こいつら本気の握力だ。マジで痛い。たまらず悲鳴を上げ続けてると、やっと解放された。

 

「「説明しろ(てくれる?)潔乃(ちゃん)」」

 

ギロっと巨漢の二人から睨みつけられながら悲鳴を上げた。

 

「話しますって!だからそんな睨まないでください!」

 

 


 

 

「おい、もう終わったぞ」

 

その声に、私は重体のふりをやめ薄く目を開け、むくりと身を起こした。伏黒甚爾がそこに立っている。

 

「殺してないですよね?」

問いかけると、伏黒はニヤリと口角を上げた。

 

「術師なら死なない程度に切った。問題ねーだろ」

 

あー原作通りのあれか。ちょっと夏油のメンタルが心配だけど仕方ない。

 

「五条さんの方は?」

「六眼無下限相手に手加減できるわけねーだろ。殺すつもりでやったぞ! ま、お前の渡した呪力宝石のおかげで一命は取り留めてるぜ」

 

あの伏黒でさえ、五条相手に手は抜く余裕はなかったか。まだ覚醒前なのに恐ろしい。

 

「死んでないなら大丈夫ですね」

 

ひとまず、死んでないなら私が渡した呪力宝石が効果が発揮しているはずだ。

五条に渡した巾着袋の中には「じわじわと回復する宝石と、致命傷を喰らった時に即死しないように回復する効果の宝石を入れておいた。

1時間程度ならこのまま放置しても大丈夫だろう。

 

「おい、俺はギリギリで生きてるって言ってるんだぜ?」

「──あの人なら大丈夫ですよ。生きてさえいれば自分でなんとする人です。こっちは早く済ませましょう」

 

わざと軽口を叩きながら、正直ホッとする。一番の難所は超えた。

そう──私がこうして無傷で立っていられる理由は単純だ。

 

伏黒が放ったのは実弾ではなく空砲。飛び散った血飛沫は宝石呪力による幻覚。六眼を持つ五条には通じないが、夏油を騙すには十分だった。

一芝居打たせてもらった、というわけだ。

 

「んっ……う」

 

か細い声に、私と伏黒の視線が天内へと向く。

 

「あ、起きた」

「………………」

「………………」

 

互いに言葉を探して沈黙した、その瞬間──

 

「どういうことなのじゃ!!!! 潔乃先輩!! いや、裏切り者のゲス──」

 

天内が声を張り上げたが、すぐに大きな手で口を塞がれる。伏黒だ。

 

「黙ってろ」

 

丸太のような太い腕に抱え込まれ口を押さえらえた、天内の体がびくりと震えた。

怖いだろうけどちょっと静かにしてもらえると助かるよ。

見ての通り天内も生きている。彼女を撃ったのも空砲だった。

仮に実弾だったとしても、私が渡していた護符付きアクセサリーが傷一つつけさせなかったはずだ。

さらにアクセサリーの幻惑効果で「出血して倒れた」ように見せ、強制的な昏倒で死を偽装した。銃撃で命を落としたと見える仕掛けだ。

 

「伏黒さん、話進めたいので例のもの出してください」

「人使いが荒ぇな──ほら」

 

伏黒が軽く格納武器庫の呪霊の頭をポンと叩くと、口をカパリと開き、どさりと女性の死体を吐き出した。

血の匂いとわずかな死臭が広がる。

 

「殺したてホヤホヤの呪詛師の死体だ──非術師を攫って、死体を使って呪具を作ってたらしいぜ。秘匿死刑確定だ」

「クズの死体ありがとうございます。なんの遠慮もなく使える。理子ちゃん、ごめんね」

 

私は短く謝罪を口にして、ナイフを抜き、天内の髪の毛を一房だけ切らせてもらう。

怯えたように震える天内に胸が痛んだが、こればかりは避けられない。

 

切り取った髪の毛を死体の上に散らし、両手を触れて術式を起動する。

 

「私の術式は、表向きは『ちょっとした分解と再構成』となっていますが、実際は違います」

 

術式の開示。それにより呪力の練度と精度を上げる。

何をしようとしているのか察している伏黒は興味深そうに口角を吊り上げ、天内は大きく目を見開いている。

その視線を無視して、私は言葉を重ねた。

 

「正確には『触れた物を、損壊や怪我をする以前の状態に戻したり、物質を組み直す──元通りに限らず、全く異なる構造にも組み替えることができる能力』です」

 

呪力を流し込むと、死体がぐずぐずと溶けるように歪み、天内理子の形へと変わっていく。

肉が、骨が、皮膚が──理子ちゃんの髪の毛から読み取った設計図に従って再構築されていく。

 

「本来、“融合”や“構造の変化”を起こすには明確なイメージが必要ですが、天内理子のDNA情報を使ってそれを補います」

 

DNA。それは最強の設計図だ。

肉体の再構築が終わると、そこにはもう一人の天内理子が横たわっていた。こちらは、間違いなく死体だが。

 

「…………はー、流石に疲れる」

 

息を吐き、額の汗を拭う。

 

「伏黒さん、これ持ってってください」

「………すげぇな。マジで星漿体のガキじゃねぇか。残穢まで再現してやがる」

 

まだ天内の口を押さえていた伏黒が、偽死体と本物の天内を見比べ、低く感嘆を漏らした。

 

「本物と同じじゃないと、六眼を騙せないでしょ」

 

私は軽く肩を竦める。

 

ぐいっと伏黒の手を振り払って、口を開放された天内が、顔を真っ赤にして叫ぶ。

 

「妾! 妾の死体!!!! どういうことなのじゃ潔乃先輩!!!」

「あー、うっせぇから説明しといてくれ」

 

伏黒が面倒そうに耳を塞ぐ。

 

それに苦笑しながら私は伏黒に声をかけた。

「昇降機近くにいるメイドのそばに、もう一つの死体を置いておいてください」

「……了解」

 

伏黒が渋い顔で頷き、立ち上がる。

 

「じゃ、俺は行くわ」

 

「伏黒さん、これ持っててください。持ってるだけで効果があります。あと、これは友人としての注告。

死にたくなかったら、五条悟とは戦わないことです。本来の自分を曲げないほうがいいですよ」

 

宝石の入った巾着袋を手渡すと、伏黒はそれは無造作に受け取りズボンに突っ込んだ。

 

「……………はっ。ガキがナマ言ってんじゃねーよ」

「まぁ、いざという時はここに来てくれたらいいんじゃないですかね。悪いようにはしませんよ」

 

ヒラヒラと手を振って立ち去っていくのを見送った。

 

「潔乃先輩!!!」

 

しばらく空気を読んで黙っていた天内が我慢ができなくなり喚き出す。

私は振り返り、冷静に告げた。

 

「はいはい、端的に言うと、あの襲撃者と私はグル」

「は?」

「いや、正確にはアッチは星漿体・天内理子の暗殺任務を先に受けてたらしいけど、私の依頼を優先してもらったの。昔の縛りで、そうしないといけないから」

「は?」

「あの人、伏黒甚爾さんって言うんだけど、私の知り合いなんだよ。だから──『天内理子の精巧な偽死体を用意するから、それを持ってって適当に殺したことにしてくんない?』って」

「は?」

 

天内はさっきから「は?」しか言えていない。まあ、狼狽えるのも無理はない。

だが立ち止まっている余裕はないので、私は構わず説明を続けた。

 

「理子ちゃんが天元様との同化を拒否ってくれてよかった。どうやって説得しようかと思ってたからね。

これで同化は失敗。先方は“星漿体が殺された”のか、“星漿体が拒否した”のか判断できない。だから、偽の死体を信じるしかない」

 

「………つまり」

 

天内が微かに震えた声で、呟く。

 

「理子ちゃんは星漿体じゃない。ただの普通の中学生。つまり、自由ってこと」

 

 


 

 

「という感じです。その後、黒井さんにも同じ処置をして、二人にここに隠れてもらってた感じです」

 

現状をざっくりと説明する。……ちなみに私は石畳の上に正座させられていて、足がじんじんして辛い。正直もう痺れて限界だ。

 

「つまり? 潔乃とそこの禪院のおっさん──」

「今は婿に入ったんでな。伏黒だ」

「チッ!」

 

五条が舌打ちする。

その横顔はいつもの余裕めいた笑みではなく、明らかに苛立ちを隠そうとすらしていなかった。六眼の奥がじりじりと熱を帯びているように見える。

 

「伏黒のおっさんは前からの顔見知りで? 今回の件はグルだったってわけだな?」

 

私の目の前の椅子に腰を下ろした五条は、イライラを隠さずに足を小刻みに揺らしている。

貧乏ゆすりの振動が石畳を通してこちらまで伝わり、痺れた足に微妙に響く。やめてほしい……

 

「グルというか……星漿体の任務が発生したタイミングで依頼しようと思って電話したら、もう星漿体暗殺任務受けてたので。仲介屋の人とも知り合いなので、お互いの顔を立てるにはこうするしかなかったというか」

 

もちろん本当は、原作知識通りに事態を進めたかっただけ。だがそんなこと言えるわけもなく、私はそれっぽい嘘を並べ立てる。

 

実際には──天内のタワマンが爆破された時点で、孔時雨と伏黒甚爾に電話を入れ、状況を伝えて契約を交わしていた。

 

仲介屋の孔はもっと渋るかと思っていたが、意外にもあっさりこちらに乗ってきた。

本人いわく「盤星教はもう潰れる。だったら、今後の有用なパイプとの付き合いを優先したい」とのことだ。

──やっぱり、裏社会の人間は恐ろしい。

 

ちなみに、知り合ったきっかけを「場外馬券売り場」と伝えた瞬間の五条と夏油の顔は、般若の面そのものだった。

 

「電話かけてくんのがおせーんだよ」

「依頼料二重取りしてるからいいでしょ、伏黒さんは」

 

視線がぶつかり、火花が散る。伏黒と睨み合ったそのとき、間に入ったのは夏油だった。

 

「話を戻させてもらうね。グルなのはいいけど、戦闘する必要あった? 私も悟も潔乃ちゃんも死にかけたんだけど」

 

その声音には、普段の柔らかさが消えている。抑え込んでいる怒りがひしひしと伝わってきて、思わず背筋を正した。

 

「それなんですが、戦闘は必須だったと思ってます。今回の星漿体の件は厳重に管理されていたのに、情報が漏れました」

 

言い切ると、夏油の眉がわずかに動く。

隣で五条は、嫌そうに顔を顰めながら天井を睨みつけた。六眼が鋭い光を放ち、空気がひりつく。

 

「つまり、高専の関係者に裏切り者がいると?」

「おそらく、そういうことだと思います」

「チッ! 多分、潔乃の読みは正しい」

 

五条の声音は苦い。

「それも、おそらく上層部に近い立ち位置からだ。星漿体の情報はトップシークレットで、正確な情報を握ってるのは限られていたはずだ……クソが」

顔を嫌悪に歪め、心底うんざりしたように吐き出す。

 

「そのため徹底的に諸々偽装する必要がありました。

そのため、五条さんと夏油さんには申し訳ないですが、ガチ戦闘してもらいました」

 

ここまで話してから、夏油へと視線を向ける。

 

「特にここ、薨星宮・本殿での戦闘は重要でした。ここは高専関係者であっても、そう簡単には入れません。監視もできない。だからこの場所で理子ちゃんの死亡偽装をする必要がありました。……すみません」

 

ぺこりと頭を下げると、夏油は苦笑し、私の頭をポンポンと叩いて顔を上げるように促してくれる。その仕草が逆に胸に刺さる。ごめんなさい。

 

「五条さんと夏油さんには回復の宝石を渡してありましたし、伏黒さんはあのフィジカルギフテッドなので、負けても逃げ切れると判断して無理してもらいました」

 

筋は通っている──はずだ。実際、私は保険を幾重にもかけたうえで、この任務に臨んでいた。

 

「んにしても、潔乃。オマエ術式の解釈で遺体偽装までできるって俺聞いてねーんだけど」

 

五条がじろりと睨んでくる。六眼に射抜かれる感覚に、背中がぞわりと粟立った。

 

「最近できるようになったので、言ってないですからね……いて!」

 

次の瞬間、容赦ない平手が頭に落ちた。パシン、と乾いた音が響く。

 

「あの遺体、俺の六眼で見ても本物そのものだった。その意味分かってんのか? また監禁、胎コースのネタが増えたぞ?」

 

怒鳴るでもなく、淡々と告げられる声が逆に怖い。

さらにもう一度、強めに頭を叩かれる。今度は鈍い衝撃で頭皮がじんじん痛む。

 

「何度も言うが、俺の保護下にあるんだから、そういう情報は即俺に言え!!!」

 

叩く力がだんだん強くなり続け、「言え」の言葉と合わせて叩かれた時はだいぶ力が入ってた。地味に痛い。

明らかな苛立ちと同じくらい強い「心配」が見え隠れしているので、甘んじてそれを受け入れる。

最後にもう一発パシン。頭を押さえながら顔をしかめる私を一瞥して、五条は伏黒へと視線を向けた。

 

「そして、オッサン。潔乃を撃つ必要はねーだろ」

 

五条が低く唸る。その視線に責める色が混じっているのを感じて、冷や汗が背中を伝った。あ、やっべ……。

 

「俺は空砲しか撃ってねーぞ? こいつ、リアリティを出すために自分で撃ったからな。学ランの内ポケットにSIG P228がまだ入ってるはずだぜ?」

「は?」

 

伏黒へ適当に誤魔化せとジェスチャーを送ろうとしたのに、あっさりとバラしやがった!

 

「ちょ、伏黒さん余計なことを!! いだだだだだだだ!」

「オマエなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

五条の大きな手が頭を掴み、容赦なくアイアンクローが決まる。

視界が揺れて涙目になりながら必死に抗弁する。

さらに五条はもう片手で学ランの内側に手を突っ込み、銃があることを確認すると、そのまま術式で押し潰した。

 

「ちょ、それ伏黒さんの銃! って、痛い痛い!!! 本気で怪我しないと、五条さんに見破られるじゃないですか!!!」

「くっそ、お前はほんと手段を選ばない呪術師だよ!!!」

 

怒鳴り声が響き、場の空気は重いはずなのに──妙にいつも通りのやり取りになってしまった。

 

「五条、夏油、許してやってくれ。妾は潔乃のおかげで助かったのじゃ」

 

空気を読んで黙っていた天内が、ぽつりと声を上げる。

 

「そういえば、ここの結界は天元様が張ってくれたんだっけ?」

 

五条がまだアイアンクローを解かぬまま、眉をひそめて問いかける。

 

「そうなのじゃ。妾は星漿体なので天元様の声?のようなものがたまに聞こえてたのだけど、あの時『ここでしばらく隠れてなさい──』と聞こえた後に、この部屋に結界が張られたのじゃ」

 

天内が当時の状況を説明する。

その言葉に、五条と夏油が顔を見合わせる。

私は静かに補足を口にした。

 

「実際、私には声は聞こえなかったけど……結界が張られる瞬間には気づきました。すごく独特な、空気の揺らぎがあって。だから、かなり驚きました」

 

「だから私たちも、この部屋に入るまで理子ちゃんや黒井さんの呪力に気づけなかったと………」

夏油が腕を組み、思索するように呟く。

 

「それは分かるけど、なんでだ? 同化しなかったら進化しちまうんだろう?」

 

五条が結界の揺らぎを探るかのように六眼で見つめながら、不思議そうに首を傾げる。

同時に、やっとアイアンクローから解放された。

 

「……天元様は『天内理子の要望にはすべて答えよ』とのことだったので、無理矢理同化するつもりはなかったんじゃないかな……わかんないですけど」

 

私がアイアンクローで抑えられたこめかみを抑え揉みほぐしながらそう言うと、五条はなるほど、と呟いた。

安堵と苛立ちが入り混じって、複雑な表情をしている。

そりゃそうだよね。任務の意味よ。最終的には思っちゃうよね。

原作で天元が『盤星教が天内理子の保護を目的としてたら、彼らに託していた』と読んだ時は、私も同じこと思ったしな……

 

「……はぁ」

 

やっと正座を崩していいらしい。五条が腕を掴んで立ち上がらせてくれる。

だが完全に痺れた足はすぐには言うことを聞かず、顔をしかめてふらついた。

 

「おっと」

 

五条が私を支え、自分が座っていた椅子に代わりに座らせてくれる。

視線で小さく「ありがとう」と伝えた。

 

私は改めて伏黒に視線を向け、サイドポーチから通帳と印鑑を取り出して放る。

 

「今回の報酬です」

 

伏黒は器用に片手で受け取り、パラパラと中身を確認した。

片眉を上げ、口の端が弧を描く。

 

「聞いてた金額よりだいぶ多いが……ボーナスか?」

「んなわけないでしょう。このまま理子ちゃんと黒井さんを海外へ逃してください。安全な場所で生活基盤を築くまでが依頼内容です」

「チッ……まあいい。受けてやるよ」

 

伏黒は鼻で笑い、通帳を懐にしまう。

その仕草は金だけではなく、人の縁にも飢えた獣のように見えるあたり、

私自身だいぶこの人と仲良くなっちゃったなと思う。

 

私はそこで一歩踏み込んだ。

 

「さらに追加任務を受けてくれるなら、その欠損した腕、治してあげますけど?」

 

その一言に、伏黒の目が鋭く細まる。

室内の空気が一瞬ひやりとした。

 

「…………へぇ?」

 

興味と警戒が入り混じった声音。

 

「あなたは死んだことになってるので、今後、私の依頼を受けてもらえません?」

 

静かに告げると、すかさず五条が口を挟んできた。

 

「おい、潔乃待て。その契約には俺も噛ませろ」

 

六眼が強く光を放ち、圧が場を覆う。五条の本気度がいやでも伝わってくる。

 

「伏黒のオッサン。悪いな潔乃は俺の保護下にあるんでな。俺とも契約しようぜ。悪いようにはしねーよ」

「はっ。五条家の坊が猿の俺を雇うって?」

「あぁ、俺は利用できるものは利用する。オマエはクソだが、強くて利用価値がある。俺は強い奴が好きなんだよ」

 

一瞬の沈黙。

次の瞬間、伏黒は口角を吊り上げ、喉の奥から低く笑いを漏らした。

 

「…………くくくっ。おもしれぇ。付き合ってやるよ」

 

「はぁ、私はあまり賛成はできないけどね……」

夏油が静かに言葉を差し挟む。

「伏黒さんは私に危害を加えられない縛りを結んでるので、それを皆に拡大すればいいんじゃないですかね?

あ、伏黒さん。理子ちゃんと黒井さんが落ち着いて日本に戻ってきたら、組み手の相手してくれません?」

 

「は? なんでこのおっさんに。そこは俺で良いでしょ」

「潔乃ちゃん、私もそれはお勧めできないかな。相手なら私もするから」

 

「え? だって、ステゴロなら伏黒さんが一番強いじゃないですか」

 

「「………」」

 

五条と夏油が同時に無言で固まる。その視線は「お前正気か?」とでも言いたげだ。

 

「ククッ……オマエらだと力不足だとよ」

 

伏黒が肩を揺らし、愉快そうに笑った。

 

 


 

 

主人公

 

ラブドール偽装、タワマンの部屋移動、伏黒甚爾を味方サイドに、星漿体とその付き人の死亡偽装。

と暗躍しまくった。

星漿体任務の幕開けのタワマン爆破の直後に、孔時雨と、伏黒甚爾に連絡をとり依頼。

依頼内容は以下の2つ

 

・星漿体任務のあれこれは全部、好きにやっていいお任せ。ただし、殺すな。

・偽装用に確実に秘匿死刑になる女呪詛師の死にたてほやほやの死体を依頼。

 

結果全部上手くいって高笑い。

今後、裏で動きまくれる優秀な人間&体術の師匠ゲットだぜ!

ちなみに、五条が偽物の天内の死体を持ち帰ってきた時に無表情だったのは、ニヤつきそうになるのを押さえるため必死だった。

一人笑ってはいけない高専24時が、また開催されてた。

 

 

五条悟

 

星漿体の任務は失敗したが覚醒した。

天内のことは残念だったが、引きずるつもりはなく、原作通り次へ進むつもりでいた。

が、完全に主人公にしてやられた。

天内と黒井と伏黒甚爾が三人一緒にいる空間を見て、セルフ無量空処食らった。

この俺を完全に出し抜いた? マジで? やっぱオマエおもしれーわ!!!最高!

オマエ、その術式解釈なんだよ!!! 報告連絡相談しろよ!!!!

天内と黒井が生きてて嬉しい。

伏黒に関しては思うところはある。主人公が妙に懐いてるのも気に入らないが、強さは折り紙付き。

今後を見据えると利用価値もあり、何より禪院に嫌がらせできるので契約に噛んだ。

 

 

夏油傑

 

星漿体の任務は失敗した。あの拍手の音に魘され始めていたが、

天内と黒井と伏黒甚爾が三人一緒にいる空間を見て、セルフ無量空処食らった瞬間に、掻き消えた。

主人公って私が思ってたよりもやばいと痛感した。この子手段を選ばなさすぎ!

今回の件で、非術師も好きじゃないとちょっと思ったが、原作よりだいぶマシ。

それよりも、話を聞いてて星漿体の情報漏らす呪術界もヤベェと実感が強くなっている。

伏黒に関しては思うところはある。主人公が妙に懐いてるのも気に入らないが、強さは折り紙付き。

五条が乗り気なのと、潔乃の縛りの内容を聞いてそれなら、と諦めつつ認めた。

 

 

伏黒甚爾

 

主人公と知り合ったことにより、原作の運命を変えて生き残った人。

主人公の「五条悟と戦うな」のセリフと宝石のおかげで生き残った、

真っ先に薨星宮に戻ってきて、主人公の術式で腹部は回復してもらった。

腕は諦めてたが、腕も治せると聞いて、主人公の術式やべーなと。

ま、縛りもあるし、多少の恩もある。

そして思うところもあるので、大人しく五条と契約を結んだ。

 

 

天内理子&黒井美里

 

主人公と知り合ったことにより、原作の運命を変えて生き残った。

この後、伏黒甚爾を護衛にして海外へ移住する。

名前も国籍も変え、自由に生きていく。

 

 


 

 

あの後、五条と伏黒が縛りによって契約を結んだのを見届け、ようやく一段落ついた。

解散の流れになり、五条は天内を逃すために自分の伝手を使うと告げ、そのまま薨星宮を後にした。

残された天内と黒井は、極度の疲労から隣の部屋で横になり、すぐに寝息を立て始める。

念のため、夏油にその護衛を頼んである。彼は黙って頷き、隣の部屋の前で控えてくれていた。

 

──静まり返った本殿の一室。

私は伏黒甚爾の欠損した左腕に両手を添え、術式を発動させていた。

肉がゆっくりと盛り上がり、筋繊維が繋がり、骨の断面が光を帯びて再生していく。

原作のクレイジーダイヤモンドみたいに、一瞬で回復できれば良いんだけどそうはいかない。

私の呪力もゴリゴリと削っていく。人体に使うにはちょっと燃費悪くなるなぁ。そんなことを考えていると

 

「オイ」

 

唐突に伏黒が口を開いた。私にだけ聞こえるくらいの小さな声。

声色は低く気だるげ、こちらを探るように視線を向けてくる。

 

「なんですか?」

 

私は手を止めずに応じる。皮膚の細胞が再生し、白い腕に血色が戻っていく。

 

「オマエ、前はいなかったよな?」

 

「は?」

 

手が一瞬止まる。視線を上げると、伏黒が鋭い眼光でこちらを見据えていた。

 

「以前は七海潔乃なんて俺の知り合いにいなかった。そもそも俺は死んだはずだ。一体どうなってんだ?」

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