青梻   作:ummt


原作:Dr.Stone
タグ:R-15 オリ主 夢小説
実際に青梻で試してみよう

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ひとり

 

「アオちゃん、そんなに気を張る必要ないからね……。」

 

 あさぎりくんは司帝国で『復活液が意図せず掛かってしまった』ために復活を遂げたため、戦力にも頭脳にもならず、手先が器用で根気強い杠ちゃんの下についていたような私にも気を配ってくれている。

「私が出来ることなんて雑用くらいだよ。出来てモールスと図面書き。これは専売特許の右京くんとクロムくんやカセキさんがいるし。やれることをしないと。」

 これからは船を作るんだ。

 航海には相当なマンパワーと資材が必要になる。

 何かしらの貢献をしないと、申し訳が立たない。

「寝てないでしょう?流石にリームーだってぇ。」

 茣蓙の上で革地を鞣しているとゆっくりと隣に腰掛けて顔色を伺ってくる。

「あさぎりくん、鼻が動いたね。うん。まだ大丈夫だよ。」

 革を掴んで裏面を確認すると影から苦笑いをした顔がひょっこりと現れた。

「あのねぇ、メンタリストの心理を読もうとするのやめて?」

 こちらを見透かすような目を包む瞼がピクリと痙攣した。

「ごめん……。あさぎりくんに対抗するつもりはなくて……。」

 萌え袖になっている袖のなかが動いた。

「ちょちょ、俺に対抗する気だったの?案外大胆だねぇアオちゃん。」

 右の眉が微かに動いた。

「あさぎりくん、寝てないから……。みんながあさぎりくんを精神的支柱にしてるでしょ?あさぎりくんが寄りかかる支えは」

「そんな心配、しなくていいの。俺は出来ることをしてるだけ。」

 不用意に返された言葉にクスッと笑みが溢れた。

「その言葉そっくりそのまま返すよ。あさぎりくん。」

 あさぎりくんは眉をハの字にして首を傾げた。

「はいはい。アオちゃんの勝ちね。ならさ、今晩一緒に寝る?」

 身体的な緊張や誤魔化しの仕草が見受けられない。

 

「うん。寝よっか。」

 

、、、

 

「あさぎりくん、千空くんや龍水くんたち……案外あっさり男女二人きりにしてくれたね。」

 

 それほどまでに、手放しであさぎりくんは信頼されているんだな。

 暗くなった小屋であさぎりくんは灯りを眺めていた。

「……まぁね、ストーンワールドで繁殖行為とかそういうの、してしまったら感染症や出産のリスクとか人の統制に支障が出るから、本能に従ってしまったらそれこそ今までの積み重ねが……」

 あさぎりくんにしては珍しく真顔で理論を語っている。

「あさぎりくん、抜け出さない?見せたいものがあるの。」

 耳がピクリと動いて頭がゆっくりと動いた。

「んー?恥ずかしいものなら屋内のほうが良いんじゃないかな。」

 口角が不自然に上がっている。

「信用されてないんだね。いいから来て!」

 彼の袖を引っ張って林に向かった。

「ちょ、外は危ないから。」

「大丈夫!光がない方に行くだけ。」

 その瞬間ピタリと足が止まった。

「アオちゃん。俺、メンタリストなのよ。」

 きっとなにか策に陥れられると思ってるんだね。

「知ってる。」

 仕方がないので林に入って千空くんから予め借りて設置しておいたニッケルとバリウムで作られた簡易ブラックライトを照らした。

「なぁに?ブラックライトなんかつかって……あ……」

 ひたひたと近づいてきたあさぎりくんは木々の枝に描かれた青く光る花びらのマークを見つめていた。

「じゃーん!これはね、アオダモなんだ。青く光る桜みたいに見えないかなって……」

 ボフッと何かに包まれて目の前が暗くなった。

 

「アオダモの花言葉……ずるいなぁ。ずるいよ、アオちゃん。」

 


 

「おーおー青い桜とは珍しいじゃねーか。」

 

 暖かい温もりについウトウトし始めると千空くんの声と沢山の足音が聴こえてくる。

「青く光る花とは、めっぽう珍しいな。」

 千空くんとコハクちゃんの声には抑揚がない。

「お!これがアオの言ってたアオダモか!!鉱石以外でも蛍光塗料はあるんだな!!」

 そっか、ホムラちゃんを追った時は植物由来ではなくタングステンを使ったから。

 クロムくんは石が専門だったから、知識を共有できて嬉しい。

「ピカピカできれいじゃないの!!」

「すっごいキレイなんだよ!!」

 カセキさんとスイカちゃんの声がする。

 良かった、自分にも人を楽しませることができて。

 ……まだ、真っ暗なままだ。

「……ほらね、こうなるのわかってたからさぁ……。」

 頭の上であさぎりくんのため息が落ちた。

「んー?」

「んん?」

 野次馬の声が大きくなる。

「もうやだぁ、アオちゃん逃げよ……。」

 ぱっと目の前が明るくなると妖しげに微笑むあさぎりくんに手を引かれた。

「……うん。」

 声のする方向とは逆。

 静けさを放つ明かりの灯った小屋に舞い戻ってしまった。

「これで人払いは完了。……どうする?……アオちゃん。」

 もしかして罠に引っ掛かったのは私?

「アオちゃん……緊張してる?」

 あ……ダメだ、

 

「……俺の勝ち。」

 


 

「アオちゃん、俺と深い仲になりたいの?」

 

 あさぎりくんの前髪が頬にかかって擽ったい。

「えっと」

 吐息がかかる度に心臓がバクバクして苦しい。

「だーめ。メンタリストに心理戦しかけちゃさぁ。もう俺の一挙手一投足から目が離せないでしょ?」

 言葉通り、灯りが反射した瞳から目が離せない。

「う……」

 顎を撫でるように指で持ち上げられる。

「好きなの?……ねえ。」

 唇が触れそうで思わず目を伏せた。

「う……う」

 彼の身体がゆっくりとにじり寄ってくる。

「俺のことが好きなの?目の前にいる男……あさぎりゲンが、好き?……好きでたまらない?」

 耳から入る言葉が麻酔のように頭を回らなくさせる。

「う……ちが」

「ダメ!……ね?アオちゃん、男に気を許したら……どうなるか……わかるよね?分かってるよね?……誘い受け?ねえ」

 怖い、何も考えられなくなる。

「……アオちゃん?……聞いてるの?人の話は聞こう?大好きなんでしょ?俺が……さぁ」

 掌に掌が重なった。

「き、きいてる……。」

 あさぎりくんはメンタリストだ、心理戦、これは心理戦。

「ちゃんと聞いた?アオちゃーん?」

 唇は触れていない、手が重なっただけ。

「……きいた。」

 彼は不用意なことをしない。

「なら復唱して?さっきアオちゃんが言ったこと。」

 言ったこと、言えばいいだけ?

「……あさぎりくんのことが好き。気を許している。目が離せない。深い仲になりたい。」

 フッと笑い声が漏れた。

「そうなの?アオちゃんはそう思ってるの?」

 ダメだ、のまれる。

「あ、えっと……」

 迫られる体勢を保てず背中から倒れてしまった。

 ……するんだ。

「じゃ、そゆことで。アオちゃんおやすみ〜」

 あさぎりくんはニコっと笑うと隣に寝転がってしまった。

「おやすみ……えっ!?」

 ……あ、やられた。

 好意を限界まで煽られて敵意を完全に無力化されたのか。

 それでも彼にとっての安全地帯になれたのなら。

 結果オーライかな。

 

「はぁ……私の負け。おやすみなさい。あさぎりくん。」

 


 

 


 

「おはようアオ!ちょっといいか?」

 

 寝ぼけ眼を擦りながら小屋から出ると女性陣が目をキラキラさせながら鼻息を荒くしていた。

「おはよう、どうかした?」

 朝日に輝く黄金の髪を靡かせながらルリさんが微笑んだ。

「……その、どうでした?あさぎりさんとの……」

 そうだった。

 千空くんにブラックライトを借りに行く時に話を聞かれていたんだ、結果を説明しないと。

「花は驚いてもらえたみたいでよかったかな。」

 するとニッキーがグイッと詰め寄ってくる。

「そうじゃない!!……別に女子たちだから気にすることないから。」

 その横から南さんが猫のような口になって近づいてくる。

「単刀直入に言うけど……したのよね?……ほら、避妊の処理とか妊娠の可能性があれば記録やサポート……そういうの必要だから知りたいだけよ?」

 その隣で杠ちゃんが頬を赤らめて目を伏せた。

「し……え?するわけないよ!添い寝しただけ!」

 確かに千空くんと龍水くん達に男女二人きりで小屋に居てもいいかの確認をあさぎりくんが取った。

 そこで話がこんがらがったのか。

「……甲斐性のない男だ。ゲン!」

 小屋からモソモソと出てきたあさぎりくんに鋭い声が放たれる。

「なあに?コハクちゃんに女性陣揃って朝っぱらからさあ……」

 女性陣はぐるりと囲むようにして行く手を阻んだ。

「想い人と二人きり……接吻くらいしたらどうなんですか!?」

 口火を切ったのはルリさんだった。

「「ええ……。」」

 思いもよらない言葉に、あさぎりくんと同時に同じ言葉が漏れた。

「アオはアンタのために青い桜を魅せたんだ……甲斐甲斐しくて涙が出るよ。」

 ニッキーが涙を拭うフリをしながらあさぎりくんに迫った。

「ど、ドイヒー……それはそうね、ありがとうアオちゃん。とーってもうれしかった。心遣いが……」

 あさぎりくんが押されている。

「あのね?みんなにも喜んで欲しいからブラックライトを借りたわけで……」

「あの千空くんが貸したのよ!?あの恋に無断着な千空くんが貸したの!!わかる!?」

 南さんに肩を掴まれてブンブンと揺らされた。

「うるせー……なんの話だ。」

 助け舟とばかりに千空くんが割って入ってくれる。

 千空くんならこの場を切り抜けられるはず。

「千空!!ゲンがまるで手出ししていないではないか!!」

 コハクちゃんが千空くんに詰め寄った。

「まあなー……。ゲンはストーンワールドの繁殖行為のリスクを理解してる。医療が整えば違うだろうが今は」

「今はその話をしていません!!心の問題です!!接吻くらいするのが男性としての務め!!」

 ルリさんが噛みつくように反論を振りかざす。

「落ち着けっての。考えてもみろ。ゲンはコイツなりに」

「キスくらいしなさいよ!!」

 南さんが私の肩を揺らすのをやめてあさぎりくんの肩を揺らし始めた。

「ちょちょ……なに」

「あの、みなさん……」

 完全にヒートアップしている。

「なら挙式を挙げたらどうかな?」

 杠ちゃんが照れくさそうに笑顔でとんでもない提案をした。

「いいではないか!航海に出向く前に……後悔をしないよう……」

 甘い話が敷かれたレールの上に乗ってしまった。

 

「困ったねぇ……どうする?アオちゃん……」

 


 

。。。

 

「アオとはどうなんだ?進展は?」

 

 コハクちゃん達は俺がアオちゃんの所に通う足が人より多い事に気が付いている。

「男女の仲については苦手分野だから……。」

 そう答えると不服そうな顔をした。

「アオさんについてどう思いますか?」

 ルリちゃんが探りを入れてきても

「アオちゃんが何を考えているか分からないから……。」

 こう答えてルリちゃんがアオちゃんに目を配る時間を増やした。

「アオってアンタといる時間が多いよな。」

 ニッキーちゃんが芝居を打ったような問いかけをしても

「アオちゃんには好きな人がいるみたいだから……。」

 すると苦虫を噛み潰したような顔をして女子会を開いた。

「ゲンくんはアオちゃんのことどう思ってるの?」

 杠ちゃんの質問にはこう答えた。

「俺は軽薄なコウモリ男だからアオちゃんを好きになる資格がない……。」

 杠ちゃんはうーんと唸って千空ちゃんのところに行った。

「ねえ、アオに告白したら?」

 南ちゃんにストレートなことを言われても

「告白とか自信ないなぁ……司ちゃんや龍水ちゃんに色男は沢山いるから……。」

 諦念を含めたため息をついた。

 

 かくして、女性陣は俺の煮え切らない態度に業を煮やし、フラストレーションを溜めに溜めた。

 

。。。

 

「アオちゃんは……俺でいいの?」

 

 そして、結果何も手出しされなかったというアオちゃんの発言がトリガーになって「あさぎりゲンがアオと結ばれるべきである」と村人全員の認識に刷り込んだわけだけど。

 「村の総意」という最強の外堀と既成事実は覆せない。

 女性陣の庇護欲、判官贔屓を煽ったノーリスク・ハイリターンの簡単なお仕事。

 

「アオちゃん、ダメだよ……メンタリストに心理戦を仕掛けちゃ……ね?」

 


 

「アオちゃん、やっぱり相手が俺じゃ嫌よね……。」

 

 あさぎりくんが萌え袖で目線を隠しながら小さく呟いた。

「そんなことないよ。」

 目の動きや身体的反応が分からない。

「アオちゃん……二人っきりになったのも……さあ……あんなことやそんなこと……期待してた?」

 暖簾のようになっている袖からの問いかけに、どうしていいか分からない。

「えっと……その」

「やっぱり期待なんかしてなかったよね……。」

 声のトーンが低くなり、抑揚に張りが出始める。

「待って、あの」

「してたの?」

 鋭く刺すような声色に変わった。

「あ……と」

 下心があったと認めてしまったら……。

「それなのにキスとか……しなかったんだ……しようともしない。……へえ……本命じゃなかったのね、他に想い人がいる。」

 ……ん?

 待って、なんで私があさぎりくんに告白する流れになってるの?

 確かにあさぎりくんを元気づけるためにアオダモを使ったし、二人きりで話す場を設けたけれど。

「違うよ、あの」

「アオちゃんに弄ばれちゃった……メンタリスト失格、まるでピエロ……うぅ、かなしい」

 ちょっと待って、真夜中に二人っきりになる予定ではなかった。

 アオダモを見せるのは夜で、でも二人になる必要が……

 あれ?いつから……

 な、なんで私、

「違うって落ち着」

「なのに結婚を渋ってる。」

 ダメだ、のまれる。

「あさぎりくん!!」

「アオちゃんの手のひらの上で踊る操り人形……」

 どうしよう……。

「あ、あさぎりくんのこと……」

「ん?」

 あさぎりくんの瞳と目が合った。

「あさぎりくんの……」

「ごめーん、よく聞こえなーい。羽京ちゃん!龍水ちゃんお手漉きならさ!またこっちに来てくれない!?アオちゃんが結構大切なことの了承を得たいみたいだからさぁ!!」

 人を呼ばれてしまった。

「アオちゃん、俺の生涯にとって、最も大切なことを言いたいんでしょ?大丈夫、言ってみて……?ねぇ、アオちゃん……アオちゃん」

 耳に溶けるような甘い声色が響いて離れない。

「あ、あさぎりくんのことが好き!!結婚してください!!」

 ……あ

「きゃあ!アオちゃんったら逆プロポーズなんかしちゃってぇ……そんなに好きなの?俺のこと……軽薄なコウモリみたいな男を……捕まえておきたいの……?」

「ゲン、性格が悪い。ちったあ優しさっつーものを出してやれ。」

 振り向くと千空くんに加えて羽京くんと龍水くん、司くんが難しい顔をして立っていた。

「えー?俺なにか悪いことしたぁ?」

 ヘラヘラと袖を振るあさぎりくんに対して龍水くんが咳払いをした。

「流石に公開プロポーズさせるのはマナー以前の問題だ。ちょっと来てくれるか。」

 いつにもまして厳しい声色になっている。

「ちょちょ、大げさすぎよ!!アオちゃんが俺にぞっこんみたいだけど、俺が責任を持って管理監督を……ちょ、ほんとに引き摺らないで」

 司くんがあさぎりくんの襟を掴んでため息をついた。

「ゲン、君には女性に対する配慮が足りないようだ。男同士で話し合おう。アオ、君は仕事に戻ってくれて構わない。」

 威厳を持った叱責にも似た一言に萎縮してしまい頷いた。

「ちょっと!!アオちゃん助けて!!」

 そのまま、あさぎりくんはズルズルと引き摺られて行ってしまった。

「アオ、助けなくていいぞ。」

 そうコハクちゃんに肩を叩かれて、とりあえず頷く。

「いくら好きでも意地悪はダメなんだよ!」

 スイカちゃんがぴょんと飛び跳ねて笑った。

 

「うん、そうだね。」

 


 

 男性陣は「アオちゃんは面倒な性格の男に翻弄される苦労人であり、メンタリストの婚約者として精神的支柱になり、そして見初められる程に頭が回る」存在としてアオちゃんを無碍に扱えなくなった。

 女性陣も「デリカシーのない男の相手で苦労してる」という認識に変わりはない。

 こうして俺の「アオちゃんを守る見えない鳥籠」作戦は成功したってわけ。

 

「アオ、図面をクロムと描いてくれるか。」

 千空ちゃんは度々アオちゃんを呼び出しては科学チームの一員として使った。

「うん。」

 アオちゃんはどんな仕事も嫌な顔をせずに受け持った。

「おお!助かるぜ!ゲンのヤローはいい奥さんもらったな!」

 クロムちゃんの問いかけにアオちゃんは顔を真っ赤にして目を伏せた。

「……まだ結婚してないよ。」

 その様子を伺って羽京ちゃんが顔を覗き込んだ。

「あはは……あのさ、アオさんってゲンくんのこと、本当に好きだったのかなって。」

 ……なんでそんなこと聞いちゃうかなぁ。

「話術に流されていないかい?」

 司ちゃんも近寄って確認を取ろうとしている。

「アオダモの件はゲンを励ますためと皆の士気を高めるためだったと聞いた。」

 龍水ちゃん、何が言いたいの。

「ゲンが言ってた『アオがどうしても一夜を共に過ごしたいとせがむ』っつー理由は嘘だろ?」

 千空ちゃん、ジーマーで秘密にしてって言ったじゃない。

「……え?いや、添い寝というか二人きりで話し合いをしたいとは言ったけど……」

 アオちゃんが困ってるでしょ。

「ん?ならアオはゲンを好きじゃないっつうことか?」

 クロムちゃん!!

「待って……」

 あーもーアオちゃんが混乱してる!

「うーん……難しいね。」

「……何かあれば言ってくれ。」

「あはは……あまりかき回したくはないけど、見過ごすのもね……。」

 やめてやめて!

「ん?両思いなんだろ?」

 だから!!

「そうだよ?アオちゃん、アオちゃんが俺を大好きなんじゃないの……アオちゃん?……好きよ?」

 思わず物陰から出てアオちゃんの耳元に囁いてしまった。

「メンタリスト……今はお呼びじゃねえ。」

 千空ちゃん達が弄くるから!!

「ハブらないでぇ……。」

 アオちゃんは繊細なの!!認識操作はやめて!!

「骨が折れる……。」

 だからさぁ……。

「なら俺の婚約者に変なこと吹き込まないでくれない?俺もプライドあるからさ、そういうことされると……」

「何もしないよ……。」

 羽京ちゃんが話を折った。

 はい。これでおしまい。

「アオちゃん……ひどいよ、みんなして俺を悪者にするの……しくしく。」

 アオちゃんの胸元に頭を乗せると柔らかい手に撫でられる。

「あさぎりくんは悪くないよ……。私は分かってるから。」

 ……アオちゃん。

 かわいいアオちゃん。

「ん?これがメンタリストってことか?」

 

「クロム!!余計なことを言うな!!」

 

、、、

 

「アオちゃん……よしよしして……。」

 

 あのやり取りを経たあと、ゲンくんは人目を憚らず大っぴらにアオさんに甘えるようになった。

「あさぎりくんったら……。」

 千空くん達は「茶番だ」としつつ放置しているし、女性達も「まったく情けない」とそのままだ。

 彼は「泣き真似をして場を収めるメンタリストの空気の切り替えテクニック」に見せかけて、ただ単にいちゃついている。

 かつアオさんからの拒絶がないよう、本気で迫って引かれたりしないために工夫を凝らしながら。

 これもゲンくんの心理的なテクニックだよね……。

 ……それでも彼女を大切にしているのは分かるから。

 

 指摘するのも野暮かな。

 


 

「千空様、龍水様。そろそろあさぎり様にお灸を据えたほうが宜しいかと。」

 

 まったく、色ボケの道化を演じるメンタリストはよぉ。

「ほっとけほっとけ。おっ始めるような、やらしい雰囲気になったりしてねーだろ。」

「お言葉を返すようですが、あさぎり様の手が腰というよりヒップに、またどさくさに紛れてバストに顔を埋めておりますが、いかがなさいますか?」

 あー……ったく。

「はは……。」

 羽京以外だんまりじゃねえか。

「……おい、ゲン。」

 やめとけメスライオン。

「ちょ、やだなぁ……ジーマーで誤解よ?誤解!誤解だってえ!!」

 クロムは目を輝かせてやがる。

「スゲー!!フランソワの観察眼!!」

 ゲンもストーンワールドで一線を越えてはならないと理解してんだ。

 我慢をし続ける事でかえって一線を越えてしまう可能性を潰すために『公開プロポーズ』と『大っぴらな場所での泣き真似と甘え』で周囲を安全弁にしてるんだろうが。

 他者から毒牙を剥きそうになった本能を制御させ、加害を抑えられやすい環境にあえてしているっつー苦労を……。

 メンタリストなりに箍が外れそうになれば誰かが必ず横槍に入ってくれるという科学王国に対する信頼が……。

 ま、リフレッシュも必要ってことか。

 

「メンタリストも大変なのよ!!」


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