ガンダムSEED HOPE   作:アサヨシ

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前回のあらすじ


リオとキラはそれぞれストライクとイグニスに乗り込みジンを撃退し、その後サイ達と共にマリューの言うとおりに装備を集めていた。

その後、ザフトのMS二機とMA一機が乱入し二機のジンが迫り絶体絶命のその時―地球軍の戦艦であるアークエンジェルが突如として戦場に姿を現す。



崩壊の大地 1

「新型か?仕留め損ねたか?」

 

 

「それほどにまで戦艦の装甲が厚いというわけか」

 

 

「戦艦?コロニーの中にか?」

 

予想外の戦力の登場にクルーゼとアレン、地球軍に所属しているムウですら驚愕を隠せない。

 

 

 

 

「アークエンジェル!」

 

 

 

ただ一人第八艦隊に所属しているマリューだけが現れた戦艦についてを理解していた。

 

だが先に行動を起こしたのはクルーゼとアレンであり二人はジンのライフルによる射撃攻撃を行いアークエンジェルを撃沈させようとしていた。

 

 

「回避!面舵!」

 

 

 

だがナタル達も黙ってやられるわけがなくノイマンに指示を出して面舵を取ることで船体を右に傾けることで実弾を避けることに成功する。

 

 

 

「ほう、なかなかの機動性だな」

 

 

アレンが敵ながらあっぱれと戦艦の性能に舌を巻きつつもクルーゼと共に下にいるストライクとイグニスに向かっていく。

 

 

「PF―これならどうだ!」

 

 

「さっきの弾とは違うぞ!」

 

 

 

 

二人はライフルのマガジンを強化APSV弾のマガジンに替えてマリュー達もろとも巻き添えにしてでも攻撃を当てようとする。

 

 

 

「伏せて!」

 

 

ジンが迫ってくるのが見えてきてマリューは攻撃が来るのに備えてサイ達に伏せるように指示を出すが弾道がそのままマリュー達の方へと迫りつつありそれに気づいたキラが即座に膝を降ろし盾にすることでPFの装甲を使って弾丸を弾く。

 

 

「チッ、強化APSV弾でも」

 

「フッ、ミゲルがやられるのも分かる。少しは楽しめそうだな」

 

 

毒づくクルーゼに対してアレンを質の良い獲物を見つけたことで彼の雰囲気が強敵を求める野獣のような気配を纏っていた。

 

 

「お前らよくもみんなを!」

 

 

「リオ落ち着いて!」

 

 

しかしそんな二人の気など知らずリオはサイ達を傷つけようとしたジン二機に強い怒りを抱き左手に盾を、右手にライフルを装備したイグニスのスラスターを点火してキラの静止に耳を傾けず空中に飛んでいく。

 

 

「リオ君、落ち着きなさい!」

 

 

マリューの静止も今の彼には耳が届かずリオはジンに向かって特攻しようとしていた。

 

 

 

「む、突貫してくるとは」

 

 

「その意気はよし、だが勢いだけじゃ我々は倒せはしないぞ!」

 

 

クルーゼとアレンは無謀な特攻をするイグニスに対して愚行と断じて返り討ちにしようとしたが次の瞬間―

 

 

 

 

 

バキューン!バキューン!

 

 

 

イグニスがライフルを黒いジンの方に向けて引き金を引くと緑色の光線が発射され実弾と思っていたアレンはすぐさま避け、クルーゼも流れ弾に当たらないように距離を取る。

 

 

 

「ビーム兵器か!しかもあんなに小型化するとは・・・」

 

 

「チッ、考えなしに突っ込んできたわけではなかったか」

 

 

リオは二機のジンを撃ち落とすために乱射を続けるが素人の彼の攻撃がプロの二人に当たるはずがなく変則的な動きを捉えられずにいた。

 

 

「だが当たらなければどうということはない」

 

 

「そらそのままエネルギーを使い果たせ!」

 

 

このまませっかく回復したバッテリーが再び空っぽになりPFが切れてしまいそのまま逆にリオが撃墜されてしまう最悪の構図が描かれてしまう。

 

 

 

「マズイ、あのままじゃPFが・・・!」

 

 

 

マリューは機体のPFの特性を知っているのでこのままではリオがやられてしまうことを容易に想像できてしまい何もできない自分を歯がゆく思う。

 

キラもまた動きたいのに今の装備の重量ではとてもあそこまでは飛んでは行けずさらに今の装備であるビーム装備では万が一リオに当たったら大惨事であるからだ。

PFは物理は無効化できてもビーム系の耐性があるわけではないので当たればただでは済まない。だからこうして静観するしかなかった。

 

 

だがこの場にはリオを援護できる戦艦がいる。

 

 

 

「イグニス、戦闘を続行してますが苦戦中!」

 

「少尉、このままではイグニスがやられてしまいます!」

 

「分かっている、我々も黙って見ていられるものか」

 

 

ナタル達はこのままただ何もせず高い場所で安全を取るわけではなく、すぐにイグニスの援護の準備を行う。

 

 

「艦尾ミサイル発射管、7番から10番まで発射準備!目標、敵MS二機!」

 

 

彼女の指示通りに手順を行い艦尾部分から砲門が開きミサイル―ヘルダートの発射管がむき出しとなりミサイルが装填されていた。

 

 

「レーザー誘導!いいな、間違えてもシャフトや地表に当てるなよ!」

 

 

「イグニスには?」

 

 

「イグニスにはPFがある。ミサイル程度では落ちたりはしないが急げ!いつPFが切れてもおかしくない!」

 

 

ナタルは部下に注意を促しながら急がせて発射準備を完了させる。

 

 

「撃てー!」

 

 

 

彼女の掛け声を合図にヘルダートが発射されレーザー誘導に従ってミサイルはジン二機を追尾してく。

 

クルーゼとアレンは横やりを入れられたことに舌打ちをしながらリオから離れてミサイルをそれぞれ一つずつ撃ち落とし残りから逃れるためシャフトの裏に隠れ目標を見失ったミサイルはそのまま流れるままにシャフトに激突にし―

 

 

 

 

 

ドカーン!

 

 

 

 

 

 

 

大爆発を起こした。

そのまま次々とミサイルがシャフト部分に隠れた二機を追うが避け続けるジンによってすべてシャフトにぶつかり爆発を起こす結果に終わってしまった。援護によりイグニスは危機を脱することが出来たがその行動が今度は別の意味で最悪の展開を起こす羽目になった。

 

 

 

 

ギギギギ・・・ブチン!!!

 

 

 

 

「きゃあ!」

 

 

 

 

ミリアリアが悲鳴を上げる。無理もないことであり何故なら先程の何かが引きちぎれるような異音はシャフトが損壊したことでコロニーを支えるワイヤーが引きちぎれたからだ。

 

 

「じょ、冗談じゃない!」

 

 

キラはコロニーが損壊したことに憤りを感じながらリオからあの二機が離れたことを好機にすぐにスコープカメラを自分の顔の前に持っていきストライクの背中に装着してあるビーム砲を左手に持ち白いジンに照準を合わせる。

 

そしてそのまま引き金を引こうとすると―

 

 

 

「待って、それは!」

 

 

 

マリューがやめさせようとするがすでに引き金は引かれてしまう。

 

 

何故マリューが止めようとしていたか、それは今ストライクが装備してあるランチャーストライカーの主武器であるアグニは超高インパルス砲でありさっきイグニスが使っていたビームライフルとは比較にならないほど桁違いの威力を持つからである。

 

分かりやすく言えば、現在ストライクの火力は戦艦の主砲レベルといえばお分かりになるであろう。

 

 

 

 

 

 

ドキューン!

 

 

 

発射されたビームは巨大な赤い光線を描きながらクルーゼ機に向かっておりクルーゼは何かがヤバいと察して咄嗟に躱すがかすっただけでライフルとジンの右腕を持っていかれてしまうほどの損傷を受ける。

 

 

だがビームの勢いは止まらずそのままコロニーの内壁まで突き進んでしまい―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカーン!

 

 

 

 

 

 

強い光を放ちながらコロニー外壁にまで穴が開いてしまった。

 

 

 

「ああ・・・」

 

 

「なんて・・・ことだ・・・」

 

 

撃った本人であるキラは想像を上回る威力によって穴が開いてしまったこととそれを自分が引き起こしてしまったことにショックを受けてしまう。リオもまたコロニーに穴が開いたことに動揺していた。

 

 

「ラウ!」

 

 

アレンは機体に傷を負ったクルーゼに注意が逸れてしまった。だが、誰よりも早く冷静になったリオは注意が逸れた黒いジンに向けて再び銃口を向ける。

 

 

「ッ!今だ!」

 

 

この機を逃すまいとリオはスコープカメラで照準を合わせて即座に引き金を引く。

 

 

 

バキューン!

 

 

 

「クッ・・・しまった!」

 

 

 

アレンはギリギリで気づき上昇させて避けようとするが完全には避け切れずジンの左足を欠損させてしまう。

そのまま手傷を負いながら二人は穴の開いたところから撤退していく。

 

 

「アレン、大丈夫か⁉」

 

 

「ああ、アンタと比べたらマシな方さ・・・そっちは?」

 

 

アレンの方は片足を奪われただけで済んだのでそこまでひどくないがクルーゼの方は掠っただけで様々の機能がオーバーヒートしてしまいコックピット内では警報音が鳴り響いていた。

 

 

「こっちは所々やられている。それにしてもMSにあれほどまでの火力を持たせるとは・・・」

 

 

「ああ、さすがに度肝を抜かれた」

 

 

「それにしてはアレン、どこか嬉しそうな声をしているではないか」

 

 

「バレたか?」

 

 

 

手ひどくやられたというのにアレンの方はどこか嬉々を帯びた声色をしていた。

 

 

「ああ、まさか俺達がここまでやられるとは思っても見なかっただろ?それにあの緋色の機体、俺の隙を見逃さずに攻撃を仕掛けた度胸が気に入った!」

 

 

「フッ、アレンもしやお前あの機体のパイロットに当てられたのか?」

 

 

「ああ、こんな気持ちになったのは生まれて初めてだ。また次があれば殺り合いたい」

 

 

「まあ落ち着け。生きてさえいれば次がある」

 

 

「無論承知しているさ」

 

 

今までに感じたことがない高揚感にアレンは振り回されずにクルーゼと共にヴェサリウスに帰還していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェサリウスのMS格納庫ではジンの他に鹵獲したGが鎮座しておりイージスにはアスランが、グレースにはリーネがコックピットでそれぞれ機体のOSの再調整を整備兵と共に行っており素早いタイピングで次々とモニターに文字が浮かび上がり急場しのぎで組み上げたOSを再構築していく。

 

 

 

 

「こんなもんでいいかな?」

 

 

「リーネさん、こちらも装備の点検と充電は完了しました」

 

 

「そう、それじゃこれで終りね」

 

 

「はい、お疲れさまでした」

 

 

 

いち早く終わらせリーネは疲労が溜まった体を伸ばすことで疲れを逃がしていきコックピットから出てアスランがいるイージスまでリーネは蹴っ飛ばして無重力に従うままに進んで行く。

 

 

 

「うわぁ!」

 

 

「?」

 

 

あと数メートルの所で整備兵が突然声を出して驚いたそぶりを見てリーネは何故と思いつつイージスの所までたどり着きアスランがいるであろうコックピットを覗く。

 

 

「アスラン、どうかしたの?」

 

 

「ああ、リーネか。実はあっちの機器にまでいじってしまって・・・二人ともすまない」

 

 

どうやらアスランはOSの調整中にやりすぎてうっかり整備兵の使う機器にまで手を出してしまったらしくすぐに二人に謝るが当の整備兵は気にしていなかった。

 

 

「ああ、大丈夫です。外装チェックと充電は終わりました。そちらはどうです?」

 

 

「ああ、こちらも終了だ。しかしよくこんなOSで・・・」

 

 

お互いに作業が終わりアスランは未完成だったOSに対して毒づきながら広げていたキーボードをしまう。するとさっきからアスランの様子がおかしいことに気付いたリーネがアスランの前に出る。

 

 

 

「アスラン、何かあったの?」

 

 

「え、何かって?」

 

 

「とぼけても無駄。あなたさっきからずっと心ここにあらずって感じたっだ。さっきのOSの操作ミスとかもそうだったしいつものあなたならそんなミスしないのに」

 

 

「・・・そう見えたのか」

 

 

「うん、そう見えた」

 

 

 

正直にアスランは悩んだ。いくら同期のリーネとはいえキラの事を話しても大丈夫なのだろうかと考えているからだ。彼女とは付き合いが長いので口が堅いのはアスランも理解できるがそれで彼女まで足を引っ張てしまうのはどうかと思っていたがかといって同時に頑固な性格であることもあるのでしゃべるまでは絶対にコックピットから出さない腹積もりなのも読み取れる。

 

ここは覚悟を決めて話すしかないのでは?そう思いアスランはため息をついてキラについて話そうとした。

 

 

そしてリオについても。

 

 

 

「実は―」

 

 

 

 

 

 

 

ビービー

 

 

「「ん?」」

 

 

 

口に出そうとした瞬間警報音が鳴り響き出し何事かと思っているとアナウンスが状況を説明した。

 

 

 

『クルーゼ隊長機、ラフォード副隊長機、帰還。被弾による損傷あり。消化班、救護班はBデッキへ』

 

 

二人の隊長が帰還したがあの二人が傷を負ったことにリーネは信じられないという表情になるが最初にクルーゼ機が拘束ワイヤーで勢いを殺してやってきて機体は片腕を失ったっていた。

 

 

「隊長機が腕を・・・」

 

 

誰かがそう呟いていると続いてアレン機のジンがやってきて再びワイヤーで勢いを抑え、確認すると機体は片足を失うという損傷を受けていたことが分かる。

 

 

「副隊長まで足を・・・」

 

 

 

二人の実力はこの艦の誰もが知っているので皆が信じられないという顔を浮かべている。

 

 

 

「まさか・・・あの二機の仕業・・・!」

 

 

リーネはあの二機―特にイグニスがこのようなことをやったのではないかと考えており概ね的を射ていた。

 

 

(まさか・・・でもあいつなら・・・)

 

 

 

だがアスランはイグニスの方はともかくキラが乗っているかもしれないストライクならあり得ない話じゃないとあまり考えたくないことが一番説得力がある可能性だと考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジン撃退後アークエンジェルは地上に着陸しリオ達も開いてくれてたカタパルトデッキの入口に入っていった。ムウのメビウスもアークエンジェルの甲板に着艦した。

 

マリュー達はストライクの手で持ち運ばれアークエンジェル内に入るとともに降ろされた。

 

 

「ラミアス大尉!」

 

 

すると降ろされたことを確認した者たちが一斉にマリューの元に駆け寄ってきた。

 

 

「バジルール少尉!」

 

 

駆け寄ってきた者たちの先頭に立つナタルの姿を目にしたマリューは知り合いの無事を心から安堵の感情を抱いた。

 

 

「ご無事で何よりでありました!」

 

無論ナタル達も信頼できる上官の健在であることは彼女たちにとっても喜ばしい事実であった。

 

 

「あなた達こそよくアークエンジェルを、おかげで助かったわ」

 

 

互いの無事を喜んでいるとストライクとイグニスのコックピットのハッチが開きそこからキラとリオが現れ、最後に残された二機に乗っているのが子供であることにナタル達アークエンジェルクルーは予想だにしていなかった。

二人はリールに足を引っかけながらロープを掴んで降りてきた。

 

 

「おいおい何だってんだ?子供じゃないか!それも二人!」

 

 

パイロットがまだ年端も行かない子供二人が乗っていたことをアークエンジェルクルーを代表して口にしたのはこのアークエンジェルの整備主任であるコジロー・マードック軍曹であった。

 

 

「あの坊主どもがあれに乗ってたってのか」

 

 

周りに疑念などつゆ知らず地面に足をついたキラとリオは友達たちが駆け寄ってきてくれ二人はみんなを安心した表情で迎い入れていた。

 

 

「ラミアス大尉・・・これは?」

 

 

 

見ず知らずの少年たちの存在に思わずナタルはこの状況について上司のマリューに問いただすが彼女はどこから説明したらいいのか言葉を濁してしまっていると、

 

 

 

「へ~こいつは驚いたな」

 

 

気の抜けた声を出しながら紫色のパイロットスーツを着た男性―メビウスから降りてきたムウが彼らの前にやってきた。

 

 

「地球軍 第7機動艦隊所属 ムウ・ラ・フラガ大尉。よろしく」

 

 

自己紹介をしてから敬礼をするムウに対してマリュー達もすぐに敬礼の姿勢を取る。

 

 

「第2宙域 第5特務師団所属 マリュー・ラミアス大尉です」

 

「同じくナタル・バジルール少尉であります」

 

 

お互いの自己紹介が終わりムウは姿勢を楽にして用件を尋ねる。

 

 

「乗艦許可を貰いたいんだがねぇ、この艦の責任者は?」

 

 

ムウが責任者について聞くとナタルの顔が曇りマリューが怪訝そうにしているとナタルは重苦しくありつつも事実を報告する。

 

 

「艦長以下、艦の主立った士官は皆戦死されました。よって今はラミアス大尉がその任にあると思いますが」

 

 

「ええ?」

 

 

「無事だったのは艦にいた下士官と十数名のみです。私はシャフトの中で運良く難を・・・」

 

 

「艦長が・・・そんな・・・」

 

 

彼女の口から語られた戦死報告にマリューは信じ難い事実にショックを受ける。

 

 

「やれやれなんてこった・・・あーともかく許可をくれよラミアス大尉。俺の乗ってきた船も落とされちまってね~」

 

 

「あ・・・はい、許可致します」

 

 

ムウもある程度落ち込むがすぐにマリューに本題の件を聞き彼女もまだ立ち直り切れていないが無理やり冷静となって乗艦の許可をした。

 

 

「で、あれは?」

 

次にムウが気になったのはリオ達でありマリューは何故彼らがいるのか事情を説明する。

 

 

 

「御覧の通り民間人の少年たちです。襲撃を受けた時なぜか工場区に居て私がGに乗せました。隣にいる彼も下層にあった二機の内一機のGに乗っていました」

 

 

「!」

 

マリューの説明を聞きながらキラを見るムウだがその隣にいるリオの姿を見た時、彼自身にも何故だかは分からないが奇妙な感覚を覚えた。

 

「キラ・ヤマトとリオ・スメラギといいます」

 

 

「ふーん・・・」

 

 

リオの名前を聞いて驚くナタルを横目に先程の奇妙な感覚について心の奥底にしまいながらムウは興味深そうに二人を見つめている。

 

 

「か、彼らのおかげで先にもジン1機を撃退し二機だけは守ることが出来ました」

 

 

続いての戦況報告に今度はナタル達がどよめいていた。

 

 

「ジンを撃退した?あの二人の子供が?」

 

 

信じられないという空気を漂わせるナタル達を横目にムウは次に気になったことを聞く。

 

「俺はあれのパイロットになるひよっこ達の護衛で来たんだがねぇ。連中は・・・」

 

「ちょうど指令ブースで艦長へ着任挨拶をしている時に爆破されましたので・・・共に・・・」

 

「・・・そうか」

 

 

部下の安否を確認するがナタルから彼らが艦長と共に爆発に巻き込まれたことを知りムウは彼らの死を悼み、すぐに気を取り直してムウ達はキラ達の方に歩み寄ってくる。

 

 

「な、なんですか?」

 

 

「君がこの機体を?」

 

 

「は、はい」

 

ムウは目の前にいるキラにストライクを動かしたのかと聞くとキラは肯定し、それによってムウの中にあった疑問は確信に変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、コーディネイターだろ?」

 

 

「!」

 

 

 

 

「おい・・・あんた・・・!」

 

 

 

ムウの問いかけに図星を当てられたキラは驚き周りがどよめくのに対してキラ以上にそのこと(・・・・)を気にするリオが詰め寄ろうとするがキラが手で遮って抑え、キラは彼の質問に答える。

 

 

 

 

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

キラは包み隠さずに肯定すると銃を持っていた下士官たちが銃を構えようとし、トールがキラとムウの間に割って入り、リオは銃を構える下士官に向けて鋭い視線を向けてキラを庇う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ヴェサリウスでは残された二機についての反省会及び作戦会議行われていた。

 

 

「ミゲルがこれを持って帰ってくれて助かったよ」

 

 

「これがなければあの二機に手をこまねいて負傷を負った私たちは笑いものにされていたことだ」

 

 

ミゲルが持ち帰ったストライクとイグニスとの戦闘記録映像を流しながらクルーゼとアレンの説明を聞くのはアスランとリーネとミゲルを含めた緑服を着るパイロット達だった。

 

 

「オリジナルのOSの不完全性については全員承知しているはずだ」

 

 

「なのになぜ!この二機の内一機だけがこんなに動けるかは分からん」

 

 

「だが我々がこんな物を残したまま立ち去って行く訳にはいかなくなったことは明白だ!」

 

 

「捕獲できぬとなれば今ここで破壊する。戦艦もな。先の動きが悪かった機体も私たちが戦った時には良くなっているからどちらも侮らずにかかれよ」

 

 

 

説明を終えて忠告を促しながら二人は人差し指と中指を伸ばす系統の敬礼を行った。

 

 

『は!』

 

 

クルーゼとアレンの敬礼に合わせてアスラン達も敬礼を交わし、それに続けてアデスが次の指令を出す。

 

 

 

「ミゲル、オロールは直ちに出撃準備!Ⅾ装備の許可が出ている。今度こそ完全に息の根を止めてやれ!」

 

 

「「はい!」」

 

 

 

ブリーフィングが終了し、オロールとミゲルは自分たちの機体の準備に取り掛かる。

 

だが他にも出撃したい者が後二人いた。

 

 

「アデス艦長!私も出撃させて下さい!」

 

 

「艦長、私にも」

 

 

二人のいきなりの志願にアデスが疑問を抱くがクルーゼが諫めに入る。

 

 

「機体がないだろ、それに君はあの機体の奪取という重要任務を既に果たした」

 

 

「ですが残された二機の奪取は愚か破壊すらできない有様ですよ!全然果たせていません!」

 

 

「だがそれを鑑みても二人の功績が帳消しになることはないはずだ。安心して二人は英気を養え」

 

 

「ですが・・・!」

 

それでも食い下がろうとアスランとリーネが反論しようとするがアデスが強い口調で諭す。

 

 

「今回は譲れアスラン、リーネ。ミゲル達の悔しさも君に引けは取らん」

 

 

「「・・・」」

 

 

 

二人はアデスの諭しに押しとどまったがアスランはキラとリオの事が気がかりになっており歯がゆそうにし、リーネは自分の功績を常に気にしており僅かでも傷をつけたイグニスに対して強い敵意を抱いており汚名返上するにはイグニスを倒すしかないと思い込んでいるので悔しそうに顔をにじませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アークエンジェルのハッチ内部ではリオとトールに加わってサイとカズイもキラを庇っていた。

 

 

 

「な、何なんだよそれは!」

 

「トール、リオ・・・・」

 

 

キラがコーディネーターであると知った瞬間、彼に対する士官のこの態度に温厚なトールが激怒した。

 

 

「コーディネイターでもキラは敵じゃねえよ!さっきの見てなかったのか!どういう頭してんだよお前らは!」

 

 

そしてトール以上に士官達の行動に激しい不快感と憤慨した気持ちを抱いたリオも腹の中から湧き上がってくる言葉を言い放つ。

 

 

 

「俺は!あんた達みたいなナチュラルだとかコーディネイターって理由で蔑んだり見下したりする奴が俺は大っ嫌いなんだ!さっさとその銃降ろしやがれ!」

 

 

 

 

怒髪衝天を貫くリオの気迫に銃を持った士官たちはたじろいでしまう程にリオは頭に血が上っていた。

 

 

「リオ、落ち着いて!」

 

 

「キラ・・・けどこいつら・・・!」

 

 

だがさすがに直情的に怒りをぶつけるリオを抑えるためにキラが肩に手を置いて諫めようとしていた。

 

 

 

「その子の言う通りよ。銃を降ろしなさい」

 

 

 

いまだにおさまりが着かないリオを落ち着かせるためにもマリューが前に出て銃を持った士官たちを諫め彼らも渋々言うとおりに銃を降ろした。

 

 

「ラミアス大尉、これは一体・・・」

 

 

 

彼女に詰め寄るナタルは何故ここにコーディネイターがいることに不思議でならないのだがマリューは当然のように答える。

 

 

「そう驚く事もないでしょう?ヘリオポリスは中立国のコロニーですもの。戦渦に巻き込まれるのが嫌でここに移ったコーディネイターが居たとしても不思議じゃないわ」

 

 

 

先程なぜあそこまでコーディネイターという理由だけで敵意を向けられたのか。それはこの世界ではそれほどまでにナチュラルとコーディネイターの確執は根深いものであるからだ。

 

 

 

 

 

遅まきながら簡単に説明しよう。

 

コーディネイターとは生まれつき遺伝子を調整されて生まれる存在、逆にナチュラルは遺伝子をいじっていない存在という二つの種族がある。

 

コーディネーターは身体能力だけでなく遺伝子に応じてその才能を発揮していくためにそれ故にナチュラルはコーディネイターに蔑み、劣等感、ひどい時は化け物扱いされてしまいコーディネイターの方もナチュラルに対して自分達には及ばないと見下しておりそれがこの戦争を引き起こした遠因ともなる程関係は悪循環している。

 

だがそのコーディネイターという存在が現れたのが皮肉なことにナチュラルの望みから生まれ出でたことによるものだがそれはまたの話になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナタルの質問に答えたマリューはキラの方を向いて“違う?キラ君”と彼に戦争が嫌でここにいるのではと確認をとる。

 

 

 

「ええ、まぁ・・・僕は1世代目のコーディネイターですから・・・」

 

 

 

 

キラが1世代目のコーディネイターであることにクルー達はひそひそと驚いていた。

 

 

1世代目とは親が生まれてくる子供をコーディネイターとして遺伝子を調整して生まれさせた存在の呼称である。

 

 

「両親はナチュラルって事か?」

 

 

ある程度キラについての事が纏まってムウは頭を後ろに持っていきながら騒ぎにしてしまったことを謝罪する。

 

 

「いや悪かったなあ。とんだ騒ぎにしちまって俺はただ聞きたかっただけなんだよね」

 

 

 

そんなムウにズカズカと近づくのはキラのおかげである程度落ち着きを取り戻しつつも結構不機嫌なリオだった。

 

 

 

「そっちよりもキラの方に謝ってくれ」

 

 

「え?」

 

 

「キラだってあまりその話をされるのは嫌なんだから一番迷惑かけられたのはキラだからな」

 

 

 

 

そう厳しく言われて頭を掻きながらムウは“ああー”と確かにそれもそうだと納得してキラの方に向かって謝る。

 

 

「さっきは悪かったな、突然気にしてることを言っちまって」

 

 

「いえ、そんなことは・・・」

 

 

キラの方はこのムウという人が悪い人間じゃないことはさっきの態度を見えれば分かるのでそこまで気にしていなかった。その後ムウは再びリオの方を向いて彼の顔をまじまじと凝視していた。

 

 

 

「こ、今度はなんだよ・・・」

 

 

「君はナチュラルなのか?」

 

 

「・・・そうだけど何?」

 

 

 

「いや、今のは確認のために聞いただけでここからすごく奇妙なことを聞くがいいか?」

 

 

 

「・・・内容による」

 

 

 

 

リオの許可をもらってムウはとても不思議なことを聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、前に俺とどこかであったこと(・・・・・・・・・・・)あるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムウの想像の斜め上を行く発言にキラ達とマリュー達が驚きを隠せない中、リオは“はあ~⁉”とメンチを切るように態度を余計に悪くした。

 

 

 

「いきなり何聞いてくるんだよ!あんたみたいなズカズカと人のプライバシーに入ってくるような奴俺の知り合いには一人もいねえよ!」

 

 

「わ、悪かたってば俺は君を見かけてた時にどこか既視感を感じてそれで聞いただけなんだが・・・すまん気のせいだった」

 

 

「自信がないなら最初から聞くな!」

 

 

「リオ、どうどう・・・」

 

 

 

さっきから第一印象を最悪に捉えていたムウとリオの関係はあまり良くなくキラ達がリオを止めに入る光景を見てムウは“これは嫌われたな”と諦観してしまうが気を取り直してそれにしてもと言いストライクとイグニスを見上げる。

 

 

 

 

「ここに来るまでの道中これのパイロットになるはずだった連中のシミュレーションを結構見てきたが、奴らのろくさ動かすにも四苦八苦してたぜ」

 

 

「俺もそれに当たるけどな」

 

 

ムウはストライクをうまく動かしたキラとリオに対して遠巻きに評価するがリオは自分がキラ程上手じゃないことは百も承知で一言嫌味を付け加えてこれにはムウも苦笑いしながらその場を離れようとした。

 

 

 

「大尉!どちらへ?」

 

 

いきなりどこかに行こうとするムウにナタルが場所を問う。

 

 

「どちらって俺は被弾して降りたんだし外にいるのはクルーゼ隊だぜ?」

 

 

ムウの機体に傷をつけたのがザフト・連合どちらにも名を轟かせるクルーゼ隊がここにいることにマリュー達は静かに驚く。

 

 

「あいつはしつこいぞ~こんな所でのんびりしてる暇はないと思うがね」

 

 

 

 

言いたいことを全部言い切ってムウはアークエンジェルの奥へと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後のアークエンジェルは大忙しで物資搬入を急いでおりある者は必死に生存に必要な水を持ってくるように厳しく指示を出し、ある者は機体の整備及び修理を急がせ、そしてある者たちは居住スペースで待機を命じられ内二人の少年はベッドの壁にもたれかかりながら眠っていた。

 

 

 

 

 

 

「この状況で寝られちゃうってのもすごいよな」

 

 

 

眠っているキラとリオの様子を見ながらカズイはこんな緊急事態な状況下でぐっすり寝ていることに不思議そうに呟く。

 

 

 

「疲れてるのよ・・・キラとリオ、本当に大変だったんだから」

 

 

 

そんな二人を気遣うようにミリアリアが二人の苦労を慰めるように言うがそれでもカズイはどこか釈然としなかった。

 

 

 

 

「大変だったか・・・ま、確かにそうなんだろうけどさ」

 

 

「何が言いたいんだカズイ?」

 

 

もったいぶるカズイにサイが答えるように急かすとため息を吐くように答える。

 

 

 

「別に、ただキラにはあんな事も大変だったで済んじゃうもんなんだなって思ってさ」

 

 

カズイは彼自身が溜め込んでいた疑問と不安を吐き出す。

 

 

「キラ、OS書き換えたって言ってたじゃん、あれの・・・それっていつさ?」

 

 

「いつって・・・」

 

 

未完成のOSを再構築したのはいつかと聞かれサイは答え濁しながらもまさかと思い至った。

 

「キラだってあんなもんの事なんか知ってたとは思えない。じゃあアイツいつOS書き換えたんだよ?」

 

 

その場にいた全員も同じ考えに至った。それはキラがストライクに乗っていた時しかなかった。

 

 

「キラがコーディネイターだってのは知ってたけどさ、遺伝子操作されて生まれてきた奴ら―コーディネイターってのはそんな事も大変だったでできちゃうんだぜ」

 

 

 

「・・・」

 

少なくともカズイ自身の視点から見たナチュラルとコーディネイターの差の事実にサイはただ黙って聞くしかできなかった。

 

「ザフトってのはみーんなそうなんだ・・・そんなんと戦って勝てんのかよ地球軍は・・・」

 

 

カズイの語るザフトと圧倒的な能力の高さによる脅威の大きさを想像できてしまった3人とカズイの空気はとても重いものとなっていた。

 

するとミリアリアがハッと先程の話でどうしても辻褄が合わない人物が一人いたことを思い出し口を開いた。

 

 

「じゃあリオは?リオはザフトのMSを撃退したじゃん」

 

 

 

ミリアリアが掲示した事実にトールとサイがハッとした表情で顔を上げる。だがカズイの方はいまだ暗かった。

 

 

 

「それはきっとリオが乗る機体に助けられたってのが有力だろ。なんせキラにOS書き換えてくれるまでうまく動けなかったしさっきの二機のMSだって最後の一発は気が逸れたのがあっただけでそれ以外は全部外れてたし・・・」

 

 

「けどさ、リオだってあんなの乗って戦っただけでも十分スゲーじゃん!俺らじゃ出来たかどうか分かんねぇし」

 

 

どうしてもコーディネイターの凄まじさから頭が離れず思わずリオを過小評価してしまっているカズイに対してトールがリオのいい所を示して弁護するがそれでもキラと比べたらどうしても考えてしまう。

 

 

「分かってるよ、俺もリオがすごいのは知ってるけど、どうしてもキラの凄さが頭から離れなくて―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのことはキラの前で言うんじゃねぇぞ」

 

 

 

 

 

するとキラとは向かい側のベッドで寝ていたはずのリオが不機嫌そうにゆっくりと目を開けて目を覚まし。どうやら途中から聞いていたようだ。

 

 

 

「ご、ごめんリオ・・・お前を軽んじてるわけじゃないんだけど」

 

 

 

 

カズイはすぐに謝るがリオは首を横に振って否定した。リオが不機嫌そうにしているのは自分の事を言われたことではなくもっと別の所にあった。

 

 

「いやそうじゃない、別に俺は自分の事で怒ったりはしない」

 

 

サイはリオの言動を証拠に数秒考え込んだ末に考えられるのはさっきの地球軍に対する態度を思い浮かべ答えが分かった。

 

「もしかしてキラの事でか」

 

 

 

その答えにリオは口では答えず静かに首を縦に振った。

 

 

「そうだ、俺は自分の事なら我慢できるがあんまり親友が嫌がるような話題を聞くのは好きじゃない」

 

 

「ごめん、本当に悪気はなかったんだ!」

 

 

本当の原因を知ってカズイはさっきみたいに激怒されるのが怖くなり許しを請うように頭を45度の角度に折り曲げて深く謝罪するがリオはカズイの頭をクシャクシャと撫でてそれ以上は何もしなかった。

 

 

「分かってる、お前が悪い奴じゃないってのは前から知ってる」

 

 

拍子抜けするくらいリオはあっさりとカズイを許した。さっき地球軍の兵士たちに激怒したのは見ず知らずの他人でありながらキラを種族の違いだけで勝手に敵として銃を向けてきたからであって友達という関係があるからこそ頭を滅茶苦茶にされるくらいで済んでいる。もしカズイ達が他人だったらこれじゃ済まない。

 

だがリオは“ただ”と付け加えて大事なことを警告として伝える。

 

 

 

 

「キラが起きてる時にやるのはおすすめしないから次からは気をつけろ。いいな?」

 

 

 

リオの忠告が4人の耳から頭の中に一言一句の狂いなく入っていき4人は目線を合わせながら気を付けようという意思を向け合い再びリオの方を見て返答に応じるように頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リオ達が自分達の話をしていると間にも現アークエンジェルでの上官に位置するマリュー、ナタル、ムウはブリッジで状況整理とこれからの事を話そうとしていた。マリューが受話器で部下からの報告でコロニーの住人たちが無事に避難したのともっとマズイ方の報告を受け安心と落ち込みが混ざったため息を吐きながら受話器を戻した。

 

 

「コロニー内の避難はほぼ100%完了しているという事だけどさっきので警報レベルは9に上がったそうよ」

 

 

「シェルターは完全にロックされちまったって訳か。あーけどそんじゃあのガキどもはどうすんだ?」

 

 

マリューの現在の状況を聞いてムウはリオ達の事をどうすればいいのかという話になりマリューが何故と言いたげな顔になった。

 

 

「もうどっか探して放り込むって訳にもいかないじゃないの」

 

 

「彼らは軍の機密を見た為ラミアス大尉が拘束されたのです。このまま解放する訳には・・・」

 

 

 

規律に厳しいナタルは本来機密であるはずの二機のMSを目撃しただけに飽き足らずその内二人の少年がMSに乗り勝手に動かしたのだからそれ相応の処罰が必要と考えている。

 

 

「じゃー脱出にも付き合ってもらうってのか?出てきゃド派手な戦闘になるぞ」

 

 

だがムウの言うことにも一理ありこのままついてくれば彼らの身の安全は保障できなくなるからでそこがどうしても不安要素となる。すると黙っていたマリューが二機のMSの使用を進言する。

 

 

「ストライクとイグニスの力も必要になると思うのですけど・・・」

 

 

「あれをまた実戦で使われると⁉」

 

 

「使わなきゃ脱出は無理でしょ?」

 

 

ナタルとしてはこれ以上機密が漏洩するのは得策ではないとするがマリューとしては脱出するには必要になるしもうザフトに5機も奪われているので今更機密の意味などない。

 

 

「あの坊主達は了解しているのかい?」

 

 

「今度はフラガ大尉がどちらかに乗られれば」

 

 

「おい!無茶言うなよ!どっちも俺に扱えるわけがないだろ!」

 

 

「ええ・・・?」

 

 

これ以上民間人を乗せるわけにはいかないとしてムウに二機の内どちらかに乗ってほしいと言うがムウがどの機体も乗りこなせないという発言にナタルは困惑を隠せない。

 

 

「あの坊主が書き換えたっていうOSのデータ見てないのか?あんなもんが普通の人間に扱えるのかよ」

 

 

「ですがストライクの方はまだしもイグニスなら」

 

 

「あれはあれで初心者向けになってるし完全にあの金髪の坊主に合わせてるから俺が乗ったんじゃ意味ないし」

 

 

 

イグニスの現在のOSはナチュラルでも使えるようになっているがキラがリオがマニュアルを読みながら操縦しているのを知って初心者でも動かせるようにサポートが付いたOSに書き換えているので実質リオだけにしか扱えない。

 

 

 

「なら元に戻させて、とにかくあんな民間人の・・・しかもコーディネイターの子供と操縦の基礎さえできていない子供に大事な機体をこれ以上任せる訳には・・・」

 

 

 

必死になってナタルは軍属でもない二人が勝手にMSを動かすことを看過できず思わずキラに対しての差別発言でマリューは悲しそうな目となっているのに気づかず声を荒げるがこの中で一番の年長者であるムウは冷静に諭す。

 

 

 

「そんでどっちかに乗ってのろくさ出てって的になれっての?」

 

 

 

ムウの言うとおり使えないMSはただのでくの坊であり二人は何も言えなくなりムウも仕方ないという風な素振りをする。他に案がない以上もはや選択の余地などなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェサリウスの通路でアスランがパイロットスーツを着てどこかに向かおうとしておりその顔はとても切羽詰まった様子だった。

 

 

 

(確認しなくては・・・本当にキラなら俺が行かなくてはあの機体は落とされてしまう・・・!)

 

 

 

アスランが内心ここまで焦っているのはもちろんキラの事でイージスの一番近くにあったストライクの上におりその上隊長機と副隊長機に傷を負わせたのだから信憑性は高いと推測しており彼はハッチが閉まる前にイージスに乗ろうとしていた。

 

 

すると目の前にヌッと一つの人影が現れた。

 

 

 

「リーネ!なぜここに?」

 

 

人影の正体は同じくパイロットスーツを纏ったリーネがそこにいた。

 

 

「やっぱり考えることは同じねアスラン」

 

 

「同じって?」

 

 

 

リーネと移動しながらアスランは何のことやらと言う素振りをして誤魔化そうとするが内心キラとの事がバレているのではと冷や汗を流しているがリーネはとぼけなくていいからと見抜かれてしまう。

 

 

 

「このままあの二機に私たちの顔に泥を塗られたままで悔しいしさ、二人で手柄頂いちゃお」

 

 

「え?」

 

 

 

「あれ、違ったの?」

 

 

 

「あ、ああ」

 

 

 

だが思っていたものとは違い人一倍出世欲があるリーネはアスランが無断で行こうとするのが父に認められたいのでは思い込んでいたが的が外れてしまいリーネの頭に疑問符が浮かび上がる。

 

 

 

 

「じゃあなんでパイロットスーツなんて着ていこうとするの?」

 

 

 

 

リーネはクルーゼ隊でもアスランと同じかそれ以上に聡いことを知っているのでこれ以上は誤魔化せないと理解しアスランは白状した。

 

 

 

「あのストライクに乗っているのは俺の友達かもしれないんだ」

 

 

 

「え、あの白い機体のパイロットが?」

 

 

 

「ああ、キラ・ヤマトと言うんだ。俺達と同じコーディネイターなんだ」

 

 

「え⁉それ本当?」

 

 

 

 

アスランの抱えていた予想外の内容に普段冷静なリーネの表情が崩れてしまう程に驚き、それでようやっとアスランの様子のおかしさに合点がいった。

 

 

 

「なるほど、それで今からその子を連れ込もうと焦ってたって訳ね」

 

 

「まだ確証には至ってないがクルーゼ隊長とラフォード副隊長に傷を負わせられるとしたらアイツしか思いつかない」

 

 

それからしばらく沈黙が続くが重い空気を切り裂くようにリーネがある提案をしてきた。

 

 

「それなら私がその他大勢をやるからあなたはストライクとかいう機体を抑えればいいんじゃない」

 

 

「え?」

 

 

 

まさか乗ってくれるとは思っておらずアスランはてっきり戦場なんだから甘いことは抜かすなと言われるかと想像していた。

 

 

 

「だって友達なんでしょ?それならあなたの言うことをちゃんと聞いてこっちに来てくれるはずだしさ」

 

 

「リーネ・・・恩に着る」

 

 

 

「いいよ私もあのイグニスっていう奴落としたかったし・・・それはそれとして後でジュースおごってね」

 

 

 

一人だけで抱えると思っていた重荷を誰かと共有できることにアスランは安心感を覚えながらリーネと共にMSデッキに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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