なんか思ってたのと違うかも…?
時は西暦2214年。
幾度もの技術革新の結果、遂に外宇宙へ到達した人類。
叡智の結晶たる星間航行技術を足掛かりに、数多の惑星を開拓、今や思い思いに母なる
しかし、そんな人類には不満があった。
それは、自分たち以外の知的生命体が、全くと言っていいほど見つからなかったことだ。
机上の空論が単なる再現可能な技術にまで成り下がった現代。
本当はUFOもUSOも存在しなかったんじゃないか。単なる嘘だったのではないか。
そんな諦めの声が世界各国から飛び交った。
…だが幸か不幸か、UFOの実在はある日唐突に確定することとなった。
勉強代というには重すぎる出血を、人類に強いることを伴って。
『負荷率70%を突破!エンジン出力、急激に低下していますッ!』
『"ツィベルカ”轟沈!』
『敵艦正面、チャージ中!砲撃が来ますッ!!』
直後、放たれた光の刃が喧騒を諸共消し飛ばす。
艦橋を射抜かれた鉄のクジラは無数の爆発を連鎖させ、即座にその姿をただのデブリへと早変わりさせた。
『そんな…!』
『か、”カリギュラ"轟沈ッ!!』
『化け物めッ!』
旗艦を失い、大混乱へと叩き落とされた人類の艦隊へ、まるで生物のごときのっぺりとした表面を持つ、不気味な物体がにじり寄る。
『敵艦接近!』
『離脱だ!ジャンプ準備急げ!』
『はいっ!――ダメです!?妨害されていますッ!』
『なにぃ!?』
なぁにこれぇ…(困惑)
ワイ将一般宇宙人。
チリになった敵艦やら
あとついでに体もなんかすごいことになった。
得た情報によると、今のワイの肉体は、人間のメスの体を模したものになっているらしい。
まぁ見た目だけで中身までは再現しきれてないようだがね。
元々のワイは、人間たちがよく想像するグレイ何某的な感じじゃなくてな、どちらかというとメタリックな粘菌といった方が近い姿をしていた。
んで、今のワイ将がどうなのかというと…んー、ぶっちゃけアイドルっすね。
どうにも今の人間たちのトレンド的なアイドルらしい。
バリバリ前線組なのに、アイドルに傾倒してる暇なんぞあるんかとは思ったが、どうにも彼らの一部はこれが初陣の新兵みたいなのだ。
えぇ…(憐憫)初陣がこれとか可哀想すぎね?
こんなんもはや蹂躙じゃんよ。もちろんこっちの。
最初は勝てると戦とでも思ってたんかねぇ。
その割にはめっちゃ早い速度で壊滅していったけど。
眼下には今も尚蹂躙される人類艦隊。
なんとか逃げ出そうと躍起になってるみたいだが、火力と電子戦の二重砲火食らってどうにもならんみたい。
もう諦めて死ぬしかないね。
そうため息をついたまさにその時、人類艦隊から飛び出す一機の機影が。
最初は単独で逃げ出そうとした無謀の民が現れたのかと思ったが…ありゃあ違うね。
特攻。正しく蛮勇の民だった。
もっとも、そんな小さな戦闘機ひとつでジャミング艦の防御を抜こうなんざ、あまりにも不可能すぎて失笑ものなんですけどね。
エフジーとかいうバ火力ミサイルが残ってるなら話は別だが。
ま、ワイらも流石にそこはもうハッキリ脅威と認めてるかんね。
固有周波数は優先的にキャッチするよう設定してある。
んでもって、あの戦闘機からはエフジーの反応が感じられない。
はいっ絶望!(確信!)
お仲間たちもそれをわかってるからかねぇ、戦闘機無視して艦艇に火力集中させてんよ。
まぁ一撃必殺なしの戦闘機と比べたら|あっち(戦闘艦)の方が圧倒的に火力は上だもんな。
脅威度というものは常に更新され続けるものなのです。
あの蛮勇の民の脅威度は、あー人間に分かりやすく言うならF。
エフジーなしならこんなもんね。Fだけに。
という訳で、あの蛮勇の民は、お仲間たちからすれば取るに足らない羽虫にすぎない。
そしてワイもぶっちゃけ脅威には思ってない。
でも、なんでかねぇ…目が離せないんだわ。
ただの流れ弾に本気の回避を見せるアレの姿を見ていると、なんだか妙な気持ちになってくるんよな。
これが、応援したくなるという気持ちだったりするのだろうか…だとしたらワイクソだな。
お仲間沈めに行ってる相手を応援するとか頭おかしくなったとしか言えん。
頭イカれてもうたのは事実だけど。
そもそもこんな思考してる時点で頭おかしいじゃんね!
開き直ったクリア思考で観察を継続する。
どうせワイも
そらそら避けろ避けろ〜
おっ、右来てるぞ。避けられるか――避けたぁ!
おぉ!ブーストで突っ込むか、いけいけ〜!
随分頑張るなぁ。でももう少しでジャミング艦の対空圏内に入るぞ!
両手をギュッと握り締め、蛮勇の民の応援を続けていると、あっという間に時間が過ぎる。
気付けば目標のすぐ近くまで接近していて驚いた。
ここまで来たら一周まわって賞賛しかないわ。
Q:さて、ここからどうする?
…フフ、答えは決まってるだろうがね。
A:無謀にも直で突っ込みに行く戦闘機。当然脱出は――しませんっ!
自分もバリア張ってゴリゴリのバリア対決しとるぞ!
出力も桁違いだって分かってるだろうに…そこにシビれる憧れるゥ!
運命は決まったとばかりにおおはしゃぎ。
最期にいいもん見れたなぁと感嘆の息を吐くと、ここでまさかの事態が起こる。
ドドドドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンンンン!!!!!!
轟音が響き、盛大に花火が咲き誇ったのだ。
お仲間たちが驚愕する気配を感じる。
というかワイも驚いてる。死ぬほど。めっちゃ。
ゑ…
う、嘘だろ…あっ、あいつ…あいつ…!マジで単独で落としやがった!?
な、なにが、何が起こったんだ…!?
どういうことだ、何が起こったってんだよ!?
あんなちっぽけな戦闘機ひとつで艦を落とせる筈がない。
お仲間たちと同じく、心の底からそう思っていたワイには、目の前の事象が理解できなかった。
なんで艦が戦闘機に…?
どんな方法を…?
そんな思考ばかりがグルグルと周り続け――最終的にはどうでも良くなった。
よくよく考えたらワイもう処分されるだけの命だかんね。
考えたってしゃーないしゃーない。
わははは!あいつやりやがった!って笑っとくくらいがちょうどいいだろうさ。
ふふ、あーおもしろ。
ひとしきり笑い終え、スッキリ晴れやかな気持ちで
ありがとな、名も知らぬ英雄よ。
おかげで楽しい最期を過ごせたよ。
…なんて、綺麗に終えようとしたところに近づく影がひとつ。
んぉ?なんか流れてきたゾ。
どれどれ…えっ、えぇ…(困惑)
データベースを用いた検索の結果、見事一致したひとつの生体反応。…心底困惑した。
コイツ生きてたんか…こ、これが俗に言う奇跡っていうやつ?
戦慄するワイの前に現れたモノ。
その正体は、特攻の末散った筈の蛮勇の民であったのだ。
どうしよう…いやマジでどうするよ。
ほっといても死ぬだろうけど、ほっといたら最悪お仲間にムシャムシャされるかもしれんのよな。
いくらなんでもあんな偉業を成したこやつがムシャられるのは解釈違い…いやでも、どうしよ。
えぇ…ワイもう処分されるだけだと思ってたのに。
なぁんで最後の最後にこんな重大タスクが跳ね上がってくんですかねぇ。人生って理不尽…
……うぅーん。ウーム。
ハァァァァァァ…(クソデカため息)
どうせこのまま戻っても死ぬだけだし、ちょっとだけでも面倒見てやるか。
☆蛮勇の民ももれなくアイドルのファン――――!