再・恋姫†無双~紅色の向こう側   作:乱A

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(`・ω・)さほど変わってはいませんが、少しばかり書き足している所があります。
と、いう訳で再出発。


第一節「終わる物語。そして…」

淡い光を放ち始める鏡。

その光はこの物語の突端に放たれた光。

白色の光に包まれながら、俺はこの世界との別離を悟る。

 

自分という存在を形作る想念。

その想念が薄れていくことを感じながら、それでも俺は心の中に愛しき人たちを思い描く。

 

みんな――――――。

俺のことをずっと支えてくれた仲間たち。

無口な恋、陽気な霞、口うるさい詠に、心根の優しい月。

敵対し、そして文句を言いながらも仲間となり、俺を助けてくれた曹操たち。

王としての責任、役割……そういったものを教えてくれた孫権たち。

力の無かった俺を助けてくれた、義侠に富んだ少女、公孫賛。

 

今まで出会った少女達の面影に包まれながら…世界は……光と共に…

 

終端へと導かれた………

 

 

 

 

第一節「終わる物語。そして…」

 

 

正史と外史の狭間、幾多の世界を(のぞ)む混沌とした空間。

その場所で新たに創造された外史で、愛紗や仲間達との再会を喜んでいる一刀を見守っている二人の人物が居た。

その二人は外史と呼ばれる世界を水鏡を通して見ている。

 

「さすがご主人様と言うべきか、やっぱりご主人様と言うべきか」

「まさか、あの始まりの外史を起点にこれ程数多くの外史が生まれるとはな」

「出会った女の子達全員を選んだこの外史。そして愛紗ちゃんに鈴々ちゃんに朱里ちゃん、それぞれの娘を選んだ三つの外史。さらには新たな出会いを育む三つの真なる外史、そして一番厄介なのが……」

「そう、物語の途中で望まない終端を迎えなければならなかったあの始まりの外史。だからこそ北郷一刀の心の中にはあの想いが過った、”もう一度”と……」

「でも、それはやはり終端が約束された行きつく先の「印」が「無」い、まさに『無印』の外史」

 

貂蝉と卑弥呼は創造されて行く外史、そして再生されて行く外史を見つめながらこれからどうするかを考えていた。

 

「とりあえず私は全員を選んだこの外史に降りてご主人様をサポートするわ。卑弥呼、貴女はどうするの?」

「うむ、ならば儂はあの『無印』を引き継ぐ外史を引き受けよう。新たなるファクターを引き入れれば物語は今までとは別の道筋を歩み出す筈じゃ」

「大丈夫なの?」

「やってみなければ判らん、引き入れる人物にもよるがな。なあに心配するな、これでも人を見る目は確かなつもりじゃ」

「なら任せるわ。向こうのご主人様の事もよろしくね」

「うむ、任された」

 

そして貂蝉は一刀の元へと行く為にその空間から消え去った。

 

「さてと、誰を引き込むかじゃが」

 

 

 

その頃、とある世界では……

 

 

―◇◆◇―

 

 

「アシュタロスは高速接近中です、射程内に入るまでもう時間がありません!『出撃!!』」

『了解!…これが―――最終決戦(ファイナルバトル)よ!』

 

"魂の結晶"、そして"コスモプロセッサ"を破壊した事でアシュタロスの野望は消え去った。

 

だがそれはルシオラを復活させる事が出来る唯一の可能性を…

 

俺がこの手で……

 

打ち消した瞬間でもあった。

 

 

 

神魔界への霊界チャンネルを封じていた妨害霊波は止まり、後は力の大半を失ったアシュタロスを倒すだけだった。

だが野望が潰えた奴は世界そのものを破壊する為に隠していた究極魔体を繰り出して動き出した。

 

やらせるかよ!

そんな事をさせたらアイツは、ルシオラは何の為に…。

アイツの為にもこの世界は絶対に守ってみせる!

どんな事をしても……。

 

究極魔体が放つ弾幕を掻い潜り、一斉攻撃を仕掛けたが魔体にはかすりもしなかった。

どうやら魔体の周りに張り巡らされたバリヤーは別の次元に繋がっていて攻撃自体、魔体には届かないらしい。

その後、合流したベスパの報告では奴のバリヤーは後ろの方に欠損部分があったらしいが、理性を捨てて破壊衝動のみとなった為に暴走した魔力はその欠損をも塞いでしまっていた。

 

「どうすりゃいいのよ?これじゃ手の出しようがないじゃない!」

「落ち着いて~、令子ちゃん~。怒っちゃいや~」

「でも美神さんの言う通り、あのバリヤーがある限り私達からは何も出来ません」

「くそっ、バリヤーを"通り抜ける"事さえ出来れば」

 

"通り抜ける"?

ピートのその言葉が頭を掠める。

そしてその言葉は俺の頭の中で一つの作戦に至った。

今の奴は歩く砲台、その巨体もありったけの魔力を詰め込んだ火薬庫みたいな物だ。

ならばあのバリヤーを【通/過】して、あの巨体を【爆/裂】させれば……

 

その考えに至った以上、悩む必要など俺には無かった。

美神さんとの同期合体を解くと、二文字文珠に【飛/翔】と込めて飛び上がる。

 

「ちょ、ちょっと横島クン、何処に行こうって言うの。…何をするつもり?」

 

美神さんが呼び掛けて来る。

振り向いてその顔を見ると驚いている様な、怯えている様な、そんな顔だった。

 

「横島さん!」

「横島さん!」

「横島・さん」

「横島さん!」

「横島さん!」

「横島くん~」

「ヨコチマ!」

「横島!」

「ポチ!」

 

少竜姫様、

ピート、

マリア、

ヒャクメ、

魔鈴さん、

冥子ちゃん、

パピリオ、

ワルキューレ、

ベスパ、

 

皆も美神さんと同じ様な顔をしている。

俺がやろうとしている事が解っているみたいだ。

 

「アンタ一体何をするつもり?ちょっと降りて来なさい!」

 

美神さんは降りて来いと怒鳴りながらもその目からは涙を零していた。

冥子ちゃんやピート達も同じで、マリアの目も何処となく潤んでいる様にも見える。

 

ああ、俺なんかの為に泣いてくれる人が居たんだな。

 

「すみません美神さん。ほら、俺って馬鹿っスからこんな方法しか思い付かないんスよ」

「何言ってんのよ!普段から死にたくない死にたくない、死なないですむならウンコだって食べられるって公言してるのは何処の誰よ。いいから戻って来なさい、丁稚の分際でこの私の言う事が聞けないって言うの!」

「ダメ~~!横島クン~~、行っちゃダメ~~!」

「横島さん、止めてほしいのねーー!」

「そうです横島さん、止めて下さい!」

「行ったら・横島さん・死ぬ確率・100%・だから・行かないで」

「ヨコチマ、一緒にゲームする約束はどうするんでちゅか!」

「ポチ、こんな結果なんて…姉さんは何の為に!」

「横島…、貴様は…くっ!」

「落ち着いて考えましょう横島さん。きっと、きっと何か他に方法が…」

「あったとしたってもう時間が無いだろ、ピート」

 

俺はそう言い残して究極魔体に向けて飛んで行く。

背中越しに俺を呼ぶ声が悲鳴の様に聞こえて来る。

 

 

 

 

何とか究極魔体までたどり着き、バリヤーを【通/過】して二文字文珠に【爆/裂】と込めて魔体に向けて投げ付ける。

その際に走馬灯って奴なのか、今までの色んな思い出が過ぎって来る。

 

美神さんと出会って、時給250円の薄給でこき使われて。

まあ、後で5円上がったけどな…。

これからはがめつさはなるべく控えて下さいね。

 

300年間幽霊のまま一人ぼっちだったおキヌちゃん。

人間として生き返って、友達も増えて、

もう一人ぼっちじゃないよな。

 

パピリオ、せっかく長生き出来る様になったんだ、皆と仲良くやれ。

俺が言う事じゃないけどルシオラの分も幸せになれよ。

 

冥子ちゃんもプッツン癖治して、エミさんももうすこし美神さんと仲良くして下さい。

 

小鳩ちゃん、仮の結婚式だったけど結構ドキドキしてたんだぜ。

貧、お前はもう福の神なんだから小鳩ちゃんをしっかり守ってやれよ。

 

マリアもボケ老人の世話は大変だろうけど頑張れ。

 

魔鈴さん、時々奢ってくれた料理、美味かったですよ。

 

小竜姫様、貴女からもらった(霊力)で皆を護れそうです、有難うございます。

 

駄目神(ヒャクメ)、覗きは控えろ、経験者からの忠告だ。

まあ、世話になったな。

 

ワルキューレ、お前にブチのめされたからこそ、俺はあの一歩を踏み出せたんだよな。

あれはお前なりの激励だったと思っておくよ。

 

ベスパ、お前からは父親だけじゃなく、姉も奪う事になっちまった。

だけどルシオラの為にも世界を救いたいんだ、自己満足かも知れないけどな。

 

愛子、卑怯な言い方だけど俺の分も青春してくれ。

 

お袋、親父、親不孝してごめんな。

 

ピート、タイガー、ジーク、がんばれよ。

 

雪之丞、結局勝負は俺の勝ち越しじゃ。ザマーミロ。

 

唐巣神父、髪を信じて。

 

カオス、長生きし……不老不死なんだったな。

これ以上老け様は無いんだろうが。

 

西条、美神さんを支えてやれよ、あ・く・ま・で・も・兄貴としてな。

美神さんに手を出したら呪っちゃる!

…後、ハゲろ。

 

なんてな。

まったく、俺らしくねーなこんなの。

本当なら『死ぬ前に一発ーー!!』ってな具合に美神さんに飛び掛って行くんだけどな。

だけどしょーがねーよな、このままじゃ世界そのものが無くなっちまうんだから。

 

そうそう、ここは開き直ろう!

俺は世界の美女・美少女の味方。

まだ見ぬ綺麗なねーちゃん達を救う為に戦うんじゃ!

ピートや雪之丞といった男連中?まあ、あいつらはついでだついで。

 

だから、無駄死にじゃないから。

せっかく貰った命だけど。

いいよな、ルシオラ。

 

 

 

 

【爆/裂】の文珠で究極魔体は吹き飛び、迫り来る爆炎の中で俺はルシオラの、彼女の懐かしい声を聞いた気がした。

 

 

昼と夜の間の一瞬の隙間。

 

    短い間しか見れないから……

 

            綺麗。

 

 

ああ、ルシオラ――

あの夕陽、もう一度だけ……

一緒に見たかったな。

 

 

 

―◇◆◇―

 

美神の…

仲間達の願いも虚しく、横島忠夫の姿は吹き荒れる爆炎の中に飲み込まれ消え去って行った。

 

「よ、横島さん?……横島さぁーーーんっ!」

「「「嫌ぁーーーーっ!」」」

 

ピートの叫びは冥子達の叫びを呼び……

        ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

「そ、そんな…。嘘、嘘ですよね、横島さんが、そんな…。嘘だって言って下さいカオスさん!」

「生憎じゃが、マリアに嘘を吐く機能は…無い」

 

マリアからの通信を受けたカオスは拳を握り締めながら事の真相を伝え、おキヌは涙を零しながら膝から崩れ落ちる。

 

「あの馬鹿、何一人だけでカッコつけてるワケ!?」

「嘘ジャーーッ!きっと何時もみたいに死ぬかと思ったと言いながら帰って来るんジャーーッ!そうに決まってるんジャーーッ!」

「横島君、結局君は"また"勝ち逃げをすると言う訳か。…卑怯者!」

「神は…いや、我々は彼を救えなかったんだな」

「ごめんなさい横島君。ごめんなさい…」

「横島…、あのくそったれが……。馬鹿野郎…」

 

「馬っ鹿野郎ぉぉぉーーーーっ!」

 

助ける事も、力になる事も出来なかった彼らはただ、泣く事しか出来ず。

 

「横島クン、横島クン、横…島……、横島クーーーーーンッ!」

 

意地っ張りだった彼女も、彼の名を呼びながら泣き叫ぶ事しか出来なかった。

 

 

―◇◆◇―

 

後の世で魔神大戦と呼ばれるこの戦いはこうして終わりを告げた。

一組の男女の悲恋、そしてその命と引き換えに。

 

魔体を焦がすその炎は夜空を紅く染める。

皮肉にも、燃え上がる炎が夜空に漂う雲を染め上げた紅色(くれないいろ)は、まるで彼等が一番見たがっていた…

 

真っ赤な夕陽の様だった。

 

 

《続く》

 

 




(`・ω・)タイトルの再・恋姫†無双~紅色の向こう側~の「再」は舞台が再生された無印外史だからです。

( ・ω・ )後、ラストでおキヌちゃんがカオスに詰め寄るシーンからは個人的には「ヤマト2199後期ED・JUJUの『Distance』を脳内再生しています。
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