神の都合で全てが変わる世界で主人公やってます。   作:ラ メ ル テ オ ン

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一ノ瀬の尋問

 

「…嘘をつかないでください。そうやって道化を演じて油断したところを襲う作戦なんでしょう?」

 

「いや…俺が魔法使いから力を奪うくらいすごい奴なら認識阻害魔法くらい知ってんじゃねえの?こんなボロの出し方しないだろ」

 

「それは…そうですけど…」

 

俺の反論が的を得ていたのか言葉に詰まっている。これは…今が攻め時だな。俺は、

 

「お前…そういう年頃なのはわかるけど自分で考えた魔法設定を他人に押し付けておままごとしようとするのは…痛い痛い痛い痛い!」

 

「…ちょっと黙ってください」

 

一ノ瀬を頭の痛い子扱いして何とかこの状況を切り抜けようとしたが一ノ瀬は押さえつけている腕の関節を有らぬ方向に曲げて黙らせて来た…こいつ昨日から魔法少女とは思えないくらい暴力的なんですけど!

 

「この推論が違うなら違うでいいんですよ。問題は貴方に魔法が効いてなくて私の事を魔法少女だと認識してる事なんです」

 

長い話になるのか一ノ瀬は少しだけ押さえつけている力を緩めながら話し始める。

 

「何のために私たちが魔法を使って魔法を知らない人の目に映らない様に気をつけているかわかりますか?私達魔法少女はこの世界で異界から来る超常の存在と戦える唯一の存在です。魔法少女には世界を守る義務があるんです。それなのに強力な力を持つ魔法少女の力は昔から戦争に利用されて来ました。文明が発達し人口が爆発的に増えた現代でそんな事に巻き込まれると世界を守るどころじゃなくなるんです。

 

250年前の偉大な先人達がやっとの思いで完成させた記憶改変魔法が無ければ世界が何度滅んでいるか……貴方という存在は魔法少女達と世界をまた混乱に陥れる可能性あるんですよ」

 

一ノ瀬の話に俺は今回神が作った設定の世界に対する影響のデカさにに驚く。

 

おいちょっと待て…この前の超能力者のやつは人類の進化って事で歴史が変わっててもせいぜい20世紀くらいまでだったぞ…それが250年前…?いや…ここまで設定が作り込まれてるなら多分魔法が発展した歴史すら生み出されてる筈…そうなると……もう改変が始まった時代なんてわかるわけがない…

 

もうこんなの元の世界の知識なんかほとんど役に立たねえじゃねえか…ん?てか…

 

「…いやでも滅茶苦茶映像に残ってない?」

 

俺は一ノ瀬の話の矛盾点を言葉にする。

 

「それが今起きている貴方とは別の問題です。あの魔法少女が使っている変身アイテム、あれはおそらく1ヶ月前に護送中に奪われた最初の魔法少女が使っていたとされる強力なステッキ…ラブリーめるる君1号です」

 

「名前だっさ…」

 

一ノ瀬は俺と同じことを思っているのか俺を嗜める事はなく咳払いをして話を戻す。

 

「こほん…めるる君は1世紀くらいに出来た変身アイテムなので先ほども言った通りカメラに写ってしまいます。私は彼女を見つけ出してめるる君を取り返すかカメラに写らないように術式を書き換えなきゃいけません。

 

そこで提案があります。貴方の事を見逃す代わりに貴方が私達魔法少女にとって害がない事を証明してください」

 

「…具体的には?」

 

「その映像に映ってる魔法少女を捕まえるのを手伝ってください。この子の容姿見えてるんですよね?」

 

一ノ瀬の思惑は魔法の影響を一切受けない俺を使ってステッキ泥棒である西園を捕まえつつ俺自身がどう言う存在なのかを見極めて今まで通りの秩序ある世界を維持したいのだろう。

 

一ノ瀬がやろうとしている事は俺の求めている平穏な未来には欠かせない事だ。それに…西園がそんなにヤバいやつなら守ってもらうためにもこの提案は受けるべき…

 

だが…本当にここで俺が一ノ瀬に西園の正体を教えてもいいのか?

 

物語において敵キャラは主人公の障害物になる。しかしそれを乗り越える過程で主人公は少しずつ強くなっていく。

 

ここで俺が西園の正体をバラしたら成長イベントが発生しなくなってラスボスで詰んだりするんじゃないか?

 

魔法少女もので敵の魔法少女とか後々仲間になる可能性だってあるし…戦力確保にだってよくない影響を与えるのは確実だろう。

 

それに…俺は一ノ瀬と西園どちらが刺客、この物語の主人公なのか現状確信できるようなものはない。もし大勢側でありそうな一ノ瀬が刺客じゃなかった場合…西園が世界を救うヒロインだった時…そもそも世界自体がどうなるか…そこまで考えた時俺の口は自然と動き始めた。

 

「協力はしないけど命は助けてください!」

 

「…は?」

 

あまりにも自分勝手な言い分に一ノ瀬も呆気にとられているみたいでしばらくの間風の音が聞こえるくらいの無音が辺りを包む。

 

「貴方…私の話を聞いてたんですよね?」

 

「聞いた上で言ってます。正体は絶対誰にも言わないので解放して下さい」

 

そんな俺の一方的な要求に怒ったのか、

 

「あ、そうですか、わかりました。優しく言ってたから調子に乗ってるんですよね?」

 

一ノ瀬はそう呟くと俺の肘の関節をぐりぐりと捻じ曲げてくる。

 

「いだあああい!?待って!?それヤバいから!死ぬ!死んじゃう!」

 

「勝手にどうぞ。貴方の処分は私に一任されてるので貴方を殺しても私は罪に問われませんので。手足の関節全部滅茶苦茶にしてまだ承諾しなかったら解剖して貴方に魔法が効かない秘密を探ります」

 

「は!?お前は絶っ対…!主人公じゃねえわ!昨日からずっとバイオレンス過ぎる!」

 

「命の恩人に対しての台詞じゃないですね」

 

「別にキング俺の事殺す気なかったわ!だからお前は命の恩人じゃありませ…痛い痛い痛い!」

 

「どうでもいいですよそんな事。さっさと承諾してください」

 

こいつマジで容赦無い…このままじゃ本当に腕折られる…そんなことになっても意地はれるほど俺の心は強く無いぞ…だがもう少しこのまま…

 

「…もしかしてこのまま騒いでいれば誰かが助けに来るとか思ってます?」

 

「えっ…?」

 

俺の心情を見事に言い当てた一ノ瀬に俺は恐怖を感じる。

 

「私は優秀なのでロドリゲスがいなくても簡単な遮音魔法くらいなら使えるんです。ここでどれだけ騒いでも扉に耳を当てでもしない限り聞こえません」

 

ヤバい…用意周到すぎて怖い…!このままじゃ…俺の心と腕が…折れ…

 

「さあ!この関節が有らぬ方向に曲がる前に早く協力を…」

 

「や!やめ…!」

 

一ノ瀬が大声を上げて変なテンションに染まり始めた頃、

 

「おい…お前ら何してるんだ?」

 

「「へ?」」

 

屋上の扉が開かれて生活指導の先生が異常な状況に困惑の表情を浮かべながら話しかけてきた。

 

「あ…あれ…?なんで…」

 

えっ…?人が来ないんじゃ…いや!そんなこと考えてる場合じゃない!有耶無耶にするならここしか無い…!

 

「先生!助けてください!告白断ったら付き合わないと腕折るって脅されてます!」

 

「は!?」

 

「一ノ瀬…お前いったい何してるんだ…」

 

「ちょっと…!先生違います!そんな理由でこんな事してません!」

 

「じゃあ何で立花の事組み伏せてるんだ?」

 

「それは…その…」

 

「はい!言い淀んだ〜!それって!嘘ついてるって事ですよ…痛い痛い痛い痛い!先生見てないで助けて!」

 

一ノ瀬は相変わらず気に障ることを言うと腕を極めてくるが…こいつにだって学生としての立場がある。だから…

 

「…そもそも屋上は立ち入り禁止だろう…とりあえず2人とも職員室に来なさい」

 

「……わかりました」

 

今日のやりとりは俺の勝ちだ。本当に…死ぬかと思った…何とか今日中に対策考えないと本当に殺される…

 

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