ホロウを逝くレヴナント 作:新エリー都の吸血鬼
巨体な怪物を相手にツグミは身構え、剣を向けると巨体な怪物はツグミに向かって突進してくる。
巨体を生かした怪物は腕を振り下ろしてツグミを攻撃し、ツグミは素早く横に飛びながら避けた。
振り下ろされた腕は地面を抉り、大きな窪みを作る。
そんな光景を見てもツグミはものともせずに駆け出し、怪物の懐に飛び込むと剣で切り裂く。
何度も何度も切り掛かり、ツグミの攻撃を疎ましく思ったのか怪物は腕を振り回し、飛び上がって体の重さを生かして落ちてきたりと攻撃を仕掛けてくるがツグミはそれを意図も容易く避け、飛び込み、攻撃する。
怪物の攻撃を回避し続けたツグミだが一瞬の隙を突いた怪物の攻撃を受け、剣で伏せぐと後方に吹き飛び、地面をブーツで擦りながら止まった。
「……しつこいね」
ツグミはそう言って剣を構え、怪物の隙を伺う。
怪物はツグミを睨む様に唸り声を挙げ、腕を軽く地面を叩く。
一瞬の静寂の中、それは瓦礫の欠片が落ちた音で破られ、怪物がツグミに向かって突進する。
ツグミは慌てず身構え、左腕に力を入れると右腕が大きく、鋭い爪が生えた。
オウガ。
ツグミの頭にその言葉が過り、扱い方も把握すると突進してきた怪物をはね除ける様に変化したオウガの左腕で弾き飛ばした。
弾き飛ばされた怪物は怯み、大きな隙を見せた所をツグミは見逃さずオウガの左腕の爪を怪物に大きく突き立てた。
怪物は大きな雄叫びを挙げ、ツグミは逃がまいと更に深く爪を突き立て、致命傷を与えると勢いよく爪を引き抜いた。
怪物は小さな唸り声を挙げながら倒れ、そのまま消えてたのを確認したツグミは一息ついていると無数の気配をツグミは感じ取った。
周りからゾロゾロと怪物達が現れ、それを見たツグミは剣を構えた時、突如して急激な渇きを覚え、苦しみ、膝をついた。
「な、なに……!?」
訳も分からない渇きに苦しむツグミを他所に怪物達は接近し、ツグミを攻撃しようとした瞬間、怪物達は何処から途もなく撃たれた銃弾を受け、そして素早い動きで怪物達を雷撃を纏った鉈状の剣で切り裂かれた。
ツグミは乾きを覚え、虚ろな目で状況を確認しようとするとツグミの前に小さな兎の様な何かが駆け寄ってきた。
『大丈夫!?怪我は無い?』
兎は心配そうに言うがツグミは乾きでまともに声が出せない状態だった。
兎が心配そうに見つめているとそこへ三人の人影が駆け寄ってきた。
「店長!片付いたぜ!て、そいつ大丈夫か?何か苦しんるぞ?」
「そのマスク。
「あら、珍しいわね。あんまり人前に出てこない種族なのよ。それにちょっとマズいわね……」
そう言ってピンクのツインテールをした女がツグミの前まで来るとツグミの両頬を挟むように掴んで状態を見る。
『マズいって……どんな風に?』
「
女のその言葉に側にいた白いツンツン髪の機械の様な男が慌て始めた。
「そうだとしたら早く飲ませねぇと!?でも、俺は機械人だから人間の血なんて出せねぇし!」
「なら、私の血を分けるわ」
そう言ってその男の側にいた短い銀髪の女が服を少しはだけさせて首を出した時。
「ちょっと待ちなさいアンビー!何してるの!?」
「何って……吸血鬼は首から血を吸うって映画でよくやるから」
「それは映画の話でしょうが!直接飲まさなくても良いし!それに飢えた
『なら、どうするのニコ?このままじゃ危ないんでしょ?』
「うーん……手はあるんだけどこれは依頼の……あっ」
ニコと呼ばれた女は何かを取り出そうとして落っことした。
その落っことした物をツグミが見た時、本能のままに手に取り、一気に飲み干した。
「あぁー!?やめてぇ!それは今日の依頼で持ち帰る品なのよー!」
ニコが慌ててツグミからそれを取り上げようとしたが時既に遅く、完全に飲み干された空になった入れ物が地面に転がった。
側には満足そうにしているツグミ。
ニコは顔をひきつらせて空になった入れ物を手にして愕然としながらガクリッと首を下に向けて落ち込んだ。
「お、親分……」
「……どんまい」
「どんまいじゃないわよー!どうすんのよぉー!アレを持ってくるだけで数百万ディニーは約束されてたのよー!」
ニコはそう言って喚き散らす。
ツグミはそれを見て何だか申し訳なくなる中、兎は嬉しそうに側にきた。
『取り敢えず危険が去って良かったよ。私はパエトーン。プロキシだよ。よろしくね』
「プロキシ?」
ツグミはプロキシの意味が分からずに首を傾げていると兎ことパエトーンも首を傾げた。
『プロキシを知らないの?』
「
「それって……プロキシの意味が分からないくらいに死んで記憶を失った可能性があるって事か?」
「おそらく。彼女の渇きも長い事、血を接種していないに限り起こらない現象。つまり、彼女は長い間、このホロウにいた可能性がある」
アンビーの推測にツグミは他に手掛かりが無い以上、きっとそうなんだろうと思った時、パエトーンが話す。
『だとしたら置いて行けないよ……またあの現象が起きたら大変だし、ホロウから出よう。それに……ニコの依頼も果たせなくなっちゃったみたいだし……』
「わーたーしーのーディニーがぁー!!」
側で悲痛な叫びを響かせるニコを尻目にパエトーンは苦笑いする。
ツグミとしても他に行き場は無く、渡りに船だと思いながら頷く。
「うん。よろしくお願い。私は……柊木ツグミ」
『柊木ツグミさん。うん、覚えたよ!』
「俺はビリーってんだ!此方はアンビーで、そこで落ち込んでるのが親分のニコだ!」
「ぶい」
ビリーから紹介を受けたアンビーが無表情でブイサインをし、ニコはと言うと。
「私のディニー!うわぁーん!」
『いつまでも落ち込んでるのニコ……』
まだ叫んでいた。
余程、堪えたのか空になった入れ物を天に仰ぐ様に泣き叫ぶ姿に全員、困り果てるのだった。