転生したら人類最後のマスター・伏黒津美紀だった件   作:ゲーマーN

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2016年 東京

 呪霊――人間の身体から流れた負の感情が具現化し意思を持った異形の存在。日本国内での怪死者・行方不明者は年平均1万人を超えており、その殆どが呪霊による被害だと言われている。

 

「礼装起動(プラグ・セット)――瞬間強化(ブーステッド)!!」

 

 白を基調としたシンプルな制服風デザインの装束。上下に配された謎の黒ベルトが津美紀の胸元を押し上げ、短いスカートから伸びる長い脚を黒いタイツが包み込んでいる。その名を魔術礼装・カルデア――カルデアの制服を再現した魔術礼装のひとつにして、オルガマリーたちと共に結成した第三のカルデアを象徴する装束でもある。

 呪霊の突進を強化された身体能力で回避した津美紀は、鞄の中から抜き取ったハンドガンの銃口を呪霊の背中へ向け――

 

 バンッ!!

 

 ――発砲。呪霊の体内を、呪力を込めた漆黒の弾丸が貫いた。トンプソン・コンテンダー。トンプソン/センター・アームズ社が開発した単発式ハンティング・ピストルであり、体ひとつで戦うことを苦手とする津美紀が主要武器として選んだ銃火器だ。

 撃針やライフリングに魔術的細工を施しているほか、銃身自体も構築術式によって鍛造された呪具という、魔術と呪術のハイブリッド。勿論、銃弾の一つ一つにも魔力と呪力が込められており、その辺りの呪霊であれば――見ての通り、たった一発で葬ることができる。

 

「⋯⋯ふう」

 

 伏黒津美紀――万の構築術式と呪力を引き継いだとはいえ、彼女は前線で殴り合うようなゴリラではない。むしろ、カルデアでの経験から指揮こそを得意としている。そんな彼女が確立した戦闘スタイルは、構築術式によって鍛造した大量の魔術礼装と呪具で武装し、仲間の援護(サポート)に徹するというもの。

 とはいえ、呪術界が人手不足である以上、彼女一人で戦わなければならない場面も多い。そんなときのための武器の一つが、このトンプソン・コンテンダーだ。

 

「⋯⋯あと、何度か実戦で試してみないと分からないけど。⋯⋯でも、結構良い感じかな」

 

 トンプソン・コンテンダーを再び鞄の中へしまった津美紀は、スマートフォンで仲間たちに連絡を入れる。オルガマリー・アニムスフィアに、デイビット・ゼム・ヴォイド。人理修復の記憶を持つ、たった二人だけの同士。また彼女たちと同じ時を歩める――そう思うたび、嬉しくて仕方がなかった。

 何より、今はあの頃と違って時間がたっぷりとある。大切な人が生きていてくれることの有難さを噛み締めながら、津美紀は上機嫌のままスマートフォンの電源を落とした。

 

「――さーて、今日の夕食は何にしようかな?」

 

 

 

伏黒津美紀

超一流の魔術師であるオルガマリーとデイビットの協力のもと、構築術式を用いて製造した大量の魔術礼装と呪具で武装している。持ち歩いている鞄も、レフ・ライノールの虚数ポケットを再現した魔術礼装であり、その内部には見た目以上に大量の魔術礼装が収められている。

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