『攻撃できないキャスターで聖杯戦争を勝ち抜く方法』   作:牛☆大権現

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不死身の分隊長

 ドローン群が降ってくる。

 

 黒い。

 

 小さい。

 

 だが。

 

 数が多すぎる。

 

 避難民の悲鳴が響いた。

 

「逃げろ!!」

 

「子供を連れて行け!!」

 

 パニック。

 

 押し合い。

 

 転倒。

 

 その上空を。

 

 無数のドローンが旋回している。

 

『熱源ロック開始!』

 

 カウレスの声。

 

『マズい、完全に民間人狙いだ!』

 

 アレクセイの血の気が引いた。

 

「クソッ……!」

 

 護符を握る。

 

 だが。

 

 間に合わない。

 

 多すぎる。

 

 その時。

 

 舩坂弘が、

ゆっくり前へ出た。

 

 血まみれのまま。

 

 傷だらけのまま。

 

 雨に濡れた軍服を揺らしながら。

 

「バーサーカー!」

 

 ヘレナが叫ぶ。

 

「無茶よ!」

 

「無茶じゃない」

 

 低い声。

 

「間に合う」

 

 その瞬間。

 

 舩坂が走った。

 

 地面が砕ける。

 

「っ!?」

 

 アレクセイが目を見開く。

 

 速い。

 

 今まで重傷で動いていた男とは思えない。

 

 一直線。

 

 避難民の前へ飛び込む。

 

 次の瞬間。

 

 ドローンが一斉掃射。

 

 ガガガガガガガッ!!

 

 火花。

 

 銃声。

 

 コンクリートが砕ける。

 

 だが。

 

 舩坂は止まらない。

 

「おおおおおおッ!!」

 

 銃剣が閃く。

 

 一機。

 

 二機。

 

 三機。

 

 叩き落とす。

 

 だが。

 

 被弾。

 

 肩。

 

 腹。

 

 脚。

 

 血が飛ぶ。

 

「バーサーカー!!」

 

 ヘレナが顔を青ざめさせる。

 

 それでも。

 

 舩坂は前へ出る。

 

 避難民を背に。

 

 まるで。

 

 壁みたいに。

 

『……ッ』

 

 エルメロイが息を呑む。

 

『あれは』

 

 フラットが小さく呟く。

 

『英霊っていうか』

 

『塹壕だ』

 

 その瞬間。

 

 ドローン群の後方。

 

 大型機体。

 

 爆撃端末が浮上する。

 

「まずい!」

 

 真澄が叫ぶ。

 

「来る!」

 

 機銃展開。

 

 魔力収束。

 

 直撃すれば。

 

 避難民ごと吹き飛ぶ。

 

 その時。

 

 舩坂が、

静かに前へ出た。

 

 血が流れる。

 

 足元に溜まる。

 

 それでも。

 

 立つ。

 

「バーサーカー……?」

 

 アレクセイが呟く。

 

 舩坂は振り返らない。

 

 ただ。

 

 前を見る。

 

 その背中を見た瞬間。

 

 植芝盛平が、

静かに目を閉じた。

 

「……やる気じゃの」

 

 空気が変わる。

 

 重い。

 

 まるで。

 

 戦場そのものが、

この男へ集まってくるみたいに。

 

 ヘレナが目を見開いた。

 

「待って……!」

 

「それは駄目!」

 

 舩坂が、

銃剣を握る。

 

 強く。

 

 壊れた手で。

 

「まだ」

 

 低い声。

 

「死なせてもらえない」

 

 瞬間。

 

 魔力が爆発した。

 

 轟音。

 

 赤黒い光。

 

 傷口から、

まるで火みたいに魔力が噴き出す。

 

『真名解放――!』

 

 エルメロイが叫ぶ。

 

 舩坂が踏み込む。

 

 速い。

 

 今までとは比較にならない。

 

 一直線。

 

 大型ドローンへ。

 

「宝具――」

 

 血が飛ぶ。

 

 肉が裂ける。

 

 でも。

 

 止まらない。

 

「『まだ死なせてもらえない』」

 

 真名解放。

 

 瞬間。

 

 舩坂の身体が、

さらに前へ出た。

 

 本来なら倒れている。

 

 骨も。

 

 筋肉も。

 

 限界を超えている。

 

 なのに。

 

 進む。

 

 ただ。

 

 前へ。

 

「おおおおおおおおおッ!!」

 

 銃剣突撃。

 

 大型ドローンへ直撃。

 

 轟音。

 

 爆発。

 

 火柱。

 

 だが。

 

 終わらない。

 

 舩坂は爆炎の中を、

さらに走っていた。

 

 ドローン群へ。

 

 一人で。

 

 突っ込む。

 

『うわ……』

 

 フラットが引き気味に呟く。

 

『狂化低いのに、一番バーサーカーしてる』

 

 次々に爆発。

 

 火花。

 

 破片。

 

 血。

 

 それでも。

 

 舩坂は止まらない。

 

 その姿を見ながら。

 

 ルーデルが、

空で静かに笑った。

 

「……そうか」

 

 低い声。

 

「お前も、帰れなかった側か」

 

 その時。

 

 舩坂が初めて、

空を見上げた。

 

 ルーデルを見る。

 

 その目に。

 

 怒りはない。

 

 憎しみもない。

 

 ただ。

 

 酷く疲れた目だった。

 

「……帰したいだけだ」

 

 小さな声。

 

 でも。

 

 それは確かに、

空まで届いていた。

 

 次の瞬間。

 

 最後の大型ドローンが、

爆散した。

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