『攻撃できないキャスターで聖杯戦争を勝ち抜く方法』   作:牛☆大権現

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Draw

 

 爆炎が、雨の中で揺れていた。

 

 最後の大型ドローンが墜ちる。

 

 火花。

 

 煙。

 

 焦げた臭い。

 

 そして。

 

 その中心で。

 

 舩坂弘が、

膝をついた。

 

「バーサーカー!!」

 

 ヘレナが駆け出す。

 

 血が多すぎる。

 

 いや。

 

 もう、

どこが傷なのか分からない。

 

 肉。

 

 骨。

 

 焼傷。

 

 銃創。

 

 全部混ざっている。

 

「何でよ……!」

 

 ヘレナが叫ぶ。

 

「何でそこまでして動くのよ!」

 

 舩坂は答えない。

 

 荒い呼吸。

 

 それでも。

 

 まだ銃剣を離していない。

 

 アレクセイは、

その姿を見て言葉を失っていた。

 

 ここまで壊れて。

 

 まだ。

 

 戦うのか。

 

 その時だった。

 

 パンッ――!!

 

 乾いた銃声。

 

 全員が反応する。

 

 次の瞬間。

 

 遠方上空。

 

 新たなドローンが、

真っ二つに砕けた。

 

「……え?」

 

 アレクセイが顔を上げる。

 

 もう一発。

 

 パンッ――!!

 

 今度は二機同時。

 

 火花。

 

 墜落。

 

『新規狙撃反応!?』

 

 カウレスが叫ぶ。

 

『違う!』

 

『アサシンじゃない!』

 

 アレクセイは目を細めた。

 

 音が違う。

 

 ヘイヘの銃声は、

もっと静かだ。

 

 今のは。

 

 乾いていて。

 

 軽い。

 

 まるで。

 

 映画みたいな銃声。

 

 その時。

 

 道路脇。

 

 崩れた街灯の上。

 

 誰かが座っていた。

 

 帽子。

 

 コート。

 

 片手でコインを弾いている。

 

 男。

 

 細い目。

 

 笑っている。

 

「……間に合ったか」

 

 軽い声だった。

 

 アレクセイが固まる。

 

「アーチャー……?」

 

 男はニヤリと笑った。

 

「Howdy.」

 

 コインを弾く。

 

 キィン――……

 

 音。

 

 その瞬間。

 

 パンパンパンパンッ!!

 

 四連射。

 

 全部同時に見えた。

 

 空のドローンが、

ほぼ同時に爆散する。

 

『は!?』

 

 フラットが絶叫した。

 

『今どうやった!?』

 

『抜いてないよね!?』

 

 男――ボブ・マンデンは肩をすくめる。

 

「抜いたさ」

 

「見えなかっただけでな」

 

 アレクセイの背筋が震えた。

 

 黒田鉄山とは違う。

 

 でも。

 

 同じ。

 

 “認識できない速度”。

 

 その時。

 

 街灯の影から、

女が現れた。

 

 長い金髪。

 

 濡れた黒コート。

 

 片手に銀色の拳銃。

 

「遅いわよ、アーチャー」

 

「演出だよ、クララ」

 

 クララ・ウィンチェスター=ベル。

 

 アーチャー陣営。

 

 彼女は周囲を一瞥する。

 

 傷だらけの街。

 

 避難民。

 

 舩坂。

 

 ルーデル。

 

 全部を一瞬で観察する。

 

「……最悪の戦場ね」

 

 その声に感情は薄い。

 

 だが。

 

 ほんの少しだけ。

 

 嫌悪が混じっていた。

 

 空。

 

 ルーデルが笑う。

 

「新手か」

 

 低い声。

 

 ボブは帽子を軽く上げた。

 

「Howdy, pilot.」

 

「空は好きか?」

 

 ルーデルが笑う。

 

「好きだった」

 

 一拍。

 

「今は戦場だ」

 

 その瞬間。

 

 ボブの目が少し細くなった。

 

「そいつは残念だ」

 

 軽い声。

 

 でも。

 

 空気が変わる。

 

 決闘前の空気。

 

 アレクセイは息を呑む。

 

 分かる。

 

 この男。

 

 “決闘”へ持ち込もうとしてる。

 

『アレクセイ』

 

 エルメロイⅡ世の声。

 

『気をつけろ』

 

「何を」

 

『ボブ・マンデンは、“戦場”じゃなく“決闘”を作る』

 

 一拍。

 

『ルーデルとは、相性が最悪だ』

 

 その意味を理解する前に。

 

 ボブが笑った。

 

「なぁ、ライダー」

 

 コインを弾く。

 

 キィン――……

 

「Drawするか?」

 

 その瞬間。

 

 空気が凍った。

 

 ルーデルの目が、

初めて細くなる。

 

 戦争。

 

 空襲。

 

 爆撃。

 

 それら全部と違う。

 

 これは。

 

 個人と個人の勝負。

 

 西部劇。

 

 決闘。

 

 そして。

 

 アレクセイは初めて見た。

 

 ルーデルが、

“空”ではなく、

“相手自身”を見た瞬間を。

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