『攻撃できないキャスターで聖杯戦争を勝ち抜く方法』 作:牛☆大権現
ゴゴゴゴゴ――――……
通信塔が、
脈動していた。
赤黒い光。
ケーブル。
アンテナ。
都市インフラ。
それら全部が、
一つの巨大な“何か”へ変わっていく。
「……おい」
アレクセイが顔を引きつらせる。
「冗談だろ」
通信塔の外壁が開く。
内部から現れたのは。
巨大な機械腕。
砲身。
無数の監視レンズ。
そして。
都市中のケーブルと接続された、
赤い中枢核。
『っ……』
カウレスが息を呑む。
『都市演算核……!?』
フラットが絶句した。
『マジかよ』
『都市そのものを、
疑似礼装生命体へ変換してる』
エルメロイⅡ世の声が低くなる。
『擬似使い魔化だ』
『しかもインフラ依存型』
『最悪だな』
アレクセイは歯を食いしばる。
都市そのものが敵。
規模が違う。
その時。
ヴィクトールが、
通信塔頂上から静かに見下ろした。
「紹介しよう」
冷たい声。
「戦争機械化都市」
一拍。
「“ヴァルキュリア・システム”だ」
次の瞬間。
都市全域の機械が、
一斉に起動した。
監視カメラ。
信号機。
ドローン。
全部が赤く発光する。
そして。
巨大砲身が、
ゆっくりアレクセイ達へ向く。
「っ!!」
『逃げろ!!』
Ⅱ世が叫ぶ。
轟音。
赤い閃光。
都市そのものの砲撃。
だが。
その瞬間。
植芝盛平が前へ出た。
「キャスター!?」
老人は静かだった。
腰を落とす。
呼吸。
ただ、
それだけ。
次の瞬間。
赤い砲撃が、
ぐにゃりと逸れた。
空へ。
雲を貫いて消える。
『……馬鹿な』
ヴィクトールが初めて動揺する。
植芝は静かに言った。
「怒りは、真っ直ぐじゃ」
一拍。
「だから流れる」
アレクセイは息を呑む。
今の。
砲撃そのものを返した訳じゃない。
“流した”。
その時。
都市機械群が再起動。
今度は全方向。
包囲。
「クソッ!」
アレクセイが護符を展開。
「火星護符!」
身体強化。
飛び込む。
機械腕を殴り飛ばす。
だが。
硬い。
しかも。
すぐ再生する。
『駄目だ!』
カウレスが叫ぶ。
『都市送電網から自己修復してる!』
真澄が歯を食いしばる。
「キリがない……!」
その時。
ルーデルの爆撃機が、
低く唸った。
「……なるほど」
低い声。
「兵器としては正しい」
ヴィクトールが笑う。
「理解したか」
「したとも」
一拍。
「だから嫌いだ」
次の瞬間。
爆撃機が急降下。
超低空。
通信塔へ一直線。
『ライダー!?』
「やめろ!」
ヴィクトールが叫ぶ。
だが。
ルーデルは止まらない。
「兵器はな」
低い声。
「人が持つから兵器なんだ」
37mm砲展開。
轟音。
通信塔外壁が吹き飛ぶ。
都市術式が揺らぐ。
『っ!?』
フラットが叫ぶ。
『都市制御一瞬乱れた!』
その時。
ヘイヘの狙撃。
パンッ――!!
中継アンテナ破壊。
続けて。
ボブの超高速射撃。
パンパンパンパンッ!!
監視網消失。
園部秀雄が、
静かに薙刀を構える。
真澄の符が地面へ走る。
舩坂弘が、
血まみれのまま立ち上がる。
アレクセイは見た。
全員。
戦い方が違う。
思想も違う。
でも。
今だけ。
同じ方向を向いている。
『アレクセイ!』
エルメロイⅡ世の声。
『核だ!』
『中央演算核を叩け!』
アレクセイが顔を上げる。
通信塔中心。
赤黒く脈動する、
巨大な魔力炉。
あれが。
都市戦場化の心臓。
「……行くぞ」
白い稽古帯を握る。
その瞬間。
ヴィクトールが、
初めて本気の殺意を向けた。
「貴様だけは」
冷たい声。
「ここで止める」
瞬間。
都市全域の機械群が、
一斉にアレクセイへ照準を向けた。