ファンタジーですが異世界転生者はいません。
登場人物はその時代に生きとし生けるもの。
人の生き死にの描写があります。
殴る、手足が飛ぶ、奴隷を鞭打つなどの残酷な描写があります。
おふとん中でイチャイチャするような描写も若干あります。
現代では普通に使う表現も、中世をイメージした世界観なのでその当時こんな表現だったか?と思って表現しています。
AIは使わずに書いていますのでかなり遅筆です。
当面週一位の頻度で投稿いたします。
のんびと書き進めていきたいと思いますのでご了承ください。
主人公の一人エルナ・グラウシュミットの旅立ちです。
孤児院から出た彼女は城門の外へ出るため長い列に並びますが……。
石畳の街路へ戻ると、町の喧騒が再びセシリアを包んだ。
人の流れは、ゆるやかに一つの方向へ集まっている。
その先――
高くそびえる灰色の城壁。
見上げるほどの高さで、町をぐるりと囲んでいる。
「大きい……」
思わず呟いた。
これほど近くで城壁を見るのは、生れて初めてかもしれない。
その高さに圧倒された
大聖堂の尖塔とはまた違う、頑丈に石組みされた重みのある壁だった。
城壁の中央には南へ向かう巨大な門。
荷馬車が列をなし、人々が順番を待っている。
馬の嘶き、異国の言葉、姦しい音の洪水。
門を通らなければ――
この国の外へは出られない。
セシリアは人の列へと歩み寄った。
周りきょろきょろしながら列の最後尾に並ぶ。
そのとき――
通りの反対側、串焼きを売る屋台の陰に立つ男が、
白い法衣をちらりと見た。
尊敬の対象ではなく値踏みをするような黒く光る瞳。
傍で串を焼く女を肘で小突く。
女も白い法衣にちらりと目をやる。
にやりとする目は笑ってはいない。
「若いのをひとり走らせろ。上玉が居たってな」
頷く女は屋台の後ろで洗い物をしている若者に声をかけた。
「聞いただろ。シドの村にひとっ走りしな!」
洗い物の手を止めたしゃがんでいる若い男。
短く黒い縮れっ毛で彫が深い顔。
折り曲げた足は長く背は高そうだ。
「ひとっ走りして、なんて言うんだい?」
「馬鹿かお前は、いちいち言わなきゃわかんないのか!」
黒目の男が小声で叱る。
「しょうがねえだろ。なりたてなんだよ俺は」
男が若者の耳元で囁くような声音で言った。
「ぽっと出の神官がいる。いいか。あいつは上玉だ。高く売れる」
「なんでだよ?」
「若い。顔もそこそこ。未通女(おぼこ)だ。防御魔法もまだ使えん」
そこまで言ってさらに声を顰める。
「"治癒"と"浄化"は使える。つまりいつでもどこでも使えるって事だ」
若者がにまりとする。
「つまり……甚振ろうが、汚そうが、元通り。壊しても、問題ねえってことか」
男がにやりと笑う。
「そういうことだ。わかったなら行け!村で病の年寄りを引っ張ってきな」
「金は?」
「いらねぇ。病が治るんだ。ただでな」
「場所はいつもの所かい?」
「あぁ、急げ。もっともあの調子じゃ俺達がのんびり追っても追い付くが…」
男はもう一度、白い法衣へ目を向けた。
隣りで長い黒髪を後ろでまとめた女が口元をほころばせながら頷く。
人の列の中で、少女はまるで気づいていない。
――自分が、狙われていることに。
◇ ◇ ◇
長い列は、なかなか進まない。
太陽が青い空の真上に来たころ――
ようやくセシリアの順番が回ってきた。
「これは神官様。大変お待たせをいたしました。どちら迄?」
門番の兵士が丁寧に頭を下げながら言った。
「はい。わたくしはセシリア・アルデリア。南の王国サナウスに慈悲と慈愛を届けに参ります」
イグナス大司教から渡された委任状を差し出しながらセシリアが答える。
「大層なお役目でございますね。道中に神のご加護がありますように」
「ありがとうございます。最初はどちらを目指せばよろしいいですか?」
「ここからまっすぐ街道沿いに南へ進んでいただければ、"シド"という小さな村がございます」
「"シド"ですね?」
「辿り着く頃がちょうど夕刻になると思われます。本日はそちらに宿泊していただければ」
「かしこまりました。ご丁寧にお教えいただきありがとうございます」
深く丁寧に一礼する。
門番達は皆恐縮して逆にぺこぺこと頭を下げセシリアを見送った。
(さぁ、頑張らねば)
決意も新たに城外へと一歩を踏み出す神官。
その姿を――
通りの影から、
いくつもの目が追っていたことを。
セシリアは、まだ知らない。
書き上げた続きの最新話迄投稿いたしました。
良かった、悪かったの反応がいただければ幸いです。
AIを」使っていませんので遅筆です。
ご了承ください。