殴る、手足が飛ぶ、奴隷を鞭打つなどの残酷な描写があります。
おふとん中でイチャイチャするような描写も若干あります。
現代では普通に使う表現も、中世をイメージした世界観なのでその当時こんな表現だったか?と思って表現しています。
AIは使わずに書いていますのでかなり遅筆です。
当面週一位の頻度で投稿いたします。
のんびと書き進めていきたいと思いますのでご了承ください。
エルナ・グラウシュミットが休んでいるとそこに……・
「お助けください!神官様」
目の前の繁みがガサガサっと波打ち、はっとして身構えたセシリア。
その時には飛び出してきたモノが自分の前に跪き、地べたに頭を擦り付けていた。
「何っ?」
「お助けください!神官様!おねげえでございます!」
傍らに置いた宝杖に手を伸ばし、立ち上がりかけたセシリアの足元からまた声が上がった。
(えっ?これってわたくしに言っているの?)
立ち上がりかけた腰を下ろし目の前の男に視線を這わせる。
薄汚れ所々すり切れた茶色いシャツ。
元は白かったであろう裾の破れたズボン。
ボサボサにほつれ埃にまみれた縮れ毛。
痩せてごつごつ節くれだった太い指が目立つ両手。
それが「おねげえでございます」と繰り返している。
どうやら自分に何かしら頼みごとがあるらしい。
どきどきと早鐘を打つ心臓を落ち着かせるように深呼吸する。
「どうか、顔をおあげになってください」
セシリアは目の前の男にむかって声をかけた。
それでも、頭を地べたに擦りつけるモノは顔を上げない。
腰かけていた切り株から立ち上がり、そのまま膝を折り自らも地べたに座る。
そのモノの手を取りもう一度優しく声をかけた。
「どうか、顔をおあげになってください」
その声にようやく目の前の男がおずおずと顔を上げる。
痩せて泥で汚れている顔には、涙で潤んでいるが澄んだ黒い目があった。
(身なりはわたくしの居た孤児院と変わらないけれどまだ若い男の人ね。どこからきたのかしら?)
「わたくしはセシリア・アルデリア。なりたての神官です。して、なにかわたくしに頼みが……」
言いかけた言葉が終わらぬうちに、目の前の男が口を開く。
「あっしは、リオ。この先の樵小屋に住んでおりやす。神官様のお力で父をお救い下さい!!」
合点がいった。
(神官としてのわたくしの力を求めていらっしゃるのね。ならば、わたくしの勤めを果たすまで)
「お父様は、なにか命に関わるようなことになっておられるのでしょうか?」
「はい!もう三日もお熱が下がらねえ。食いもんも受け付けねえ」
涙がまた男の目から溢れる。
「日に日に弱ってこのままじゃ死んじまう!神官様!父を……、父の病を追い払ってくだせえ!」
言いながら泣き崩れる男の手をセシリアは強く握る。
これは行かねばならない。
教皇国の教えは慈悲と慈愛を世に、人に広める事!
セシリアはすっと立ち上がり男に告げた。
「わかりました。直ぐに参りましょう。では、わたくしにその方の所へ案内していただけますか?」
「へい。神官様ありがとうございます!」
リオはまた地べたに頭を擦りつけた。
セシリアはそんなリオを立たせ、自分は手早く身支度を整え、宝杖を手に立ち上がった。
「こちらです。はぐれないように付いてきて下せえ」
「では、手を……、わたくしの手を取って」
リオは、一瞬躊躇し、自分の手をズボンの裾でごしごしと擦ってから恐る恐るセシリアの手を握った。
節くれだって太い指につかまれた手に導かれるまま、繁みを分け入り、小枝をかき分け道なき森を進む。
右に大きめの枝をよけたと思えば、左側の下草に足を取られそうになる。
セシリアは右も左もわからぬまま、手を引かれ遅れないよう付いていくのが精いっぱいだった。
そして、少し離れた周りを取り巻くように同じ道のりを進む影。
幾人もの影が出す藪をかき分ける音や、草を踏みしだく音にはまったく気がつかなかった。
◇ ◇ ◇
ようやく開けた場所に出る。
そこだけ樹木を切り取ったように広がる草地の真ん中に小さな小屋があった。
どうやら古い樵小屋のようだ。
「ここです」
リオはセシリアを振り返りながら言い、ようやく我に返ったかのようにセシリアの手を離した。
「ご案内……、い……いただき……、あ……ありがとうございます」
すっかり息が上がったセシリアは、たどたどしく案内の礼を言った。
大きく深呼吸をくり返し、なんとか息を整えようとする。
小屋の扉がやや乱暴に開かれた。
「あんた!」
やや小太りでリオと同年代の女が叫ぶように呼び掛け、彼の後ろに立つセシリアに気づくと慌ててひれ伏した。
セシリアは慌てて彼を押しのけ女のもとに跪く。
「どうか、お手を、お顔をおあげください。わたくしはセシリア・アルデリア。病の方はどちらに?」
女を立たせて案内させ小屋の中に入った途端、セシリアは思わず顔をしかめ声を上げた。
「ひどい熱!」
病人の発する熱が籠って、室内の温度が上がったようにさえ感じるほどの熱気がぶわりと肌にまつわりつく。
寝台にがりがりにやせ細った老人が横になっていた。
顔だけは真っ赤に茹で上げられたようになり、ただ短くて浅い呼吸を繰り返している。
目は落ちくぼんで、唇はひび割れ、油を引いたような汗が額に浮かんでいる。
(これはいけません。一刻を争いますね……)
傍らに宝杖を置き、セシリアは横たわる老人のそばに近寄る。
法衣の袖を捲り上げて両の手のひらを彼に向けて祈った。
"診断“
闇雲に"治癒“魔法を行使しても効き目は薄い。
修行中口を酸っぱくして先輩神官に教えられた事を思い出し、手のひらから糸を伸ばすように治療部位を探る。
「神官様!お救い下さい!」
少し後ろでは呪文のように同じ言葉をくり返しながら床にひれ伏す男女がいた。
(うん?)
胸のあたりが黒く靄でもかかるように澱んだ邪気の塊が見えた。
老人の生気を吸い取り黄泉の国へと運び去ろうとする邪悪なもの。
(ここね。ならば祈りを)
宝杖を構え祈りとともに魔法を唱える。
"治癒“
セシリアの身体が白く光り、そこから伸びた帯が邪気に絡みつく。
このまま黒い澱みが消え去れば病は完治する。
しかし、なかなか邪気はしぶとい。
光の帯に蛇のように巻き付き、ともすればセシリア構えた宝杖に巻き付こうとさえする。
老人の身体が中空に浮き上がるほど反り返り黒い靄が吹き上がる。
セシリアの力はまだ微力だった。
一進一退の鬩ぎ会いは引いては押し返すが繰り返される。
いつしか額には大粒の汗が浮き、法衣の中もじっとりと湿っていく。
次第に息が荒くなり、目の前がふぅ~っと暗くなる。
それでも負けるわけにはいかない。
宝杖が震えるほど両腕に力が入る。
病との神官との闘いは、この後数刻に渡って続くのだった。
書き上げた続きの最新話迄投稿いたしました。
良かった、悪かったの反応がいただければ幸いです。
AIを」使っていませんので遅筆です。
ご了承ください。