勇者パーティーの変態はパーティーを辞めたい 作:相打ち
「ちょっと待って?」
あまりにも意味が分からない。確かに、他のパーティーメンバーからは嫌われている感じは無かった。でも、それは皆が大人な対応をしているだけで自分から辞めると言えば、喜んで辞めさせてくれると思っていた。なのに……。
「もう一度聞くけど辞めても良い?」
「「「「駄目」」」」
何度聞いても答えはオウム返しをされるだけ。何で?変態がパーティーにいるって実害しか無いだろ?そもそもそんな奴をパーティーに入れるなって話か?入れなきゃこんな事にならないし。
「理由を聞いても良い?僕がパーティーを辞めてはいけない理由を」
「じゃあ、パージ。逆に聞くけど、何故貴方はパーティーを辞めたいの?」
幼い頃から見慣れた顔の勇者がそう尋ねる。何故?だって?そんなの愚問だろ。皆も知ってる筈だ。僕がなんて言われているか。
「変態扱いが耐えられないからだよ。そもそも、僕はなんで変態扱いされなきゃいけないんだ?僕が何かやった?何もしてないのに、皆口揃えて変態変態って言うんだ。皆だって表だって言わないけど、実際はそう思ってるんだろう!?」
「そっか。パージには魔王を討伐するまで黙っていようと思ったけど、やっぱり無理だったね」
勇者がそんな事を言う。やっぱり?って何だよ。色々と聞きたい事はあったけど、それよりも賢者が口を挟んだ。
「言っとくけど、賢者であるボクは何度も言ったからね?言った方が良いって。結果的に言わなかったのは、勇者だからボクは何にも悪くないのさ」
「うわ、性格悪っ。自己保身ですぐ他人のせいにする。賢者さんっていつもそうやって上手い立ち回りして、自分の責任を無かった事にしますよね〜。流石です賢者さんそこに痺れる憧れる〜」
「魔女っていつも口だけだよね。あ、ごめん職業病だからか。喋ってないと死んでしまうから仕方無いね?申し訳無いボクとした事が配慮に欠けたね」
「おい、勇者。無視して続けろ。コイツらは引き取っとくから」
話の収拾がつかなくなった所で、傭兵さんが気を利かせてくれて二人の首根っこを掴み二人をその場から片してくれて。そこにいるメンバーは、僕と勇者だけになった。
「まず、ごめんね。私が一番に責任がある。後で全て無かったことにするつもりだったんだけどその前にパージに迷惑かけちゃったみたいで」
「良いよ、もう辞めるから」
「ねぇ、せめて辞める前に自分の事について知りたくないの?何で君が変態と呼ばれているのか」
勇者は口が上手い。そんな事を言えば気にならない訳が無い。
「それはね……神に選ばれし勇者パーティーのメンバーが持つ専用スキル、そしてもう一人のパージのせいなんだ」
「専用スキルってあれだろ?お前だったら、【断罪ノ一撃】みたいな」
そう言えば、僕は戦う場がいや。そもそも、僕は戦おうとしていた筈なのに、毎回何故か意識が途切れるんだよね。
「そうそう。賢者ちゃんだったら、【完全理解】。魔女ちゃんだったら【異次元詠唱】。パージにもあるんだよ、専用スキル」
やはり、無い訳が無かった。僕だって一応勇者パーティーの人間なのだから。でも一度も使った事が無かったから。憶測でしか無かった。本当にあるんだ。
「パージ。貴方のスキルはね、実は二つあるの」
「え?嘘!普通は一個だよね?最強じゃん。あれか、実は強すぎて封印みたいな」
「ねぇ、本当に聞く?今まで通りでいようよ。世の中知らない方が良い事があるの。パージだって知ってるでしょ?」
「だとしても、僕は自分の事を自分のスキルの事を知りたい。それに勇者。お前が言ったんだろ?知りたくないか?って」
今さら言えないは、流石に無しだ。勇者は苦虫を潰した顔をした後、頷いた。
「それが君の望みなら、勇者として応えない訳にはいかないね」
覚悟を決めた顔で勇者はそう言う。それに対して、僕も椅子に深く座り直した。
「君の専用スキルはね、【尊厳破壊】と【完全催眠】だよ」
「ちょっと待って!?」
淡々と言う勇者に対して、僕は混乱を隠せなかった。だが、勇者の話はまだ続く。
「それを使って君の第二の人格が魔王軍相手に無双している」
「ちょっと待ってよ」
頭がおかしくなりそうだった。何だよそれ、そんなの勇者パーティーの変態じゃん。