勇者パーティーの変態はパーティーを辞めたい   作:相打ち

2 / 2
2話

 

「ちょっと待って?」

 

あまりにも意味が分からない。確かに、他のパーティーメンバーからは嫌われている感じは無かった。でも、それは皆が大人な対応をしているだけで自分から辞めると言えば、喜んで辞めさせてくれると思っていた。なのに……。

 

「もう一度聞くけど辞めても良い?」

 

「「「「駄目」」」」

 

何度聞いても答えはオウム返しをされるだけ。何で?変態がパーティーにいるって実害しか無いだろ?そもそもそんな奴をパーティーに入れるなって話か?入れなきゃこんな事にならないし。

 

「理由を聞いても良い?僕がパーティーを辞めてはいけない理由を」

 

「じゃあ、パージ。逆に聞くけど、何故貴方はパーティーを辞めたいの?」

 

幼い頃から見慣れた顔の勇者がそう尋ねる。何故?だって?そんなの愚問だろ。皆も知ってる筈だ。僕がなんて言われているか。

 

「変態扱いが耐えられないからだよ。そもそも、僕はなんで変態扱いされなきゃいけないんだ?僕が何かやった?何もしてないのに、皆口揃えて変態変態って言うんだ。皆だって表だって言わないけど、実際はそう思ってるんだろう!?」

 

「そっか。パージには魔王を討伐するまで黙っていようと思ったけど、やっぱり無理だったね」

 

勇者がそんな事を言う。やっぱり?って何だよ。色々と聞きたい事はあったけど、それよりも賢者が口を挟んだ。

 

「言っとくけど、賢者であるボクは何度も言ったからね?言った方が良いって。結果的に言わなかったのは、勇者だからボクは何にも悪くないのさ」

 

「うわ、性格悪っ。自己保身ですぐ他人のせいにする。賢者さんっていつもそうやって上手い立ち回りして、自分の責任を無かった事にしますよね〜。流石です賢者さんそこに痺れる憧れる〜」

 

「魔女っていつも口だけだよね。あ、ごめん職業病だからか。喋ってないと死んでしまうから仕方無いね?申し訳無いボクとした事が配慮に欠けたね」

 

「おい、勇者。無視して続けろ。コイツらは引き取っとくから」

 

話の収拾がつかなくなった所で、傭兵さんが気を利かせてくれて二人の首根っこを掴み二人をその場から片してくれて。そこにいるメンバーは、僕と勇者だけになった。

 

「まず、ごめんね。私が一番に責任がある。後で全て無かったことにするつもりだったんだけどその前にパージに迷惑かけちゃったみたいで」

 

「良いよ、もう辞めるから」

 

「ねぇ、せめて辞める前に自分の事について知りたくないの?何で君が変態と呼ばれているのか」

 

勇者は口が上手い。そんな事を言えば気にならない訳が無い。

 

「それはね……神に選ばれし勇者パーティーのメンバーが持つ専用スキル、そしてもう一人のパージのせいなんだ」

 

「専用スキルってあれだろ?お前だったら、【断罪ノ一撃】みたいな」

 

そう言えば、僕は戦う場がいや。そもそも、僕は戦おうとしていた筈なのに、毎回何故か意識が途切れるんだよね。

 

「そうそう。賢者ちゃんだったら、【完全理解】。魔女ちゃんだったら【異次元詠唱】。パージにもあるんだよ、専用スキル」

 

やはり、無い訳が無かった。僕だって一応勇者パーティーの人間なのだから。でも一度も使った事が無かったから。憶測でしか無かった。本当にあるんだ。

 

「パージ。貴方のスキルはね、実は二つあるの」

 

「え?嘘!普通は一個だよね?最強じゃん。あれか、実は強すぎて封印みたいな」

 

「ねぇ、本当に聞く?今まで通りでいようよ。世の中知らない方が良い事があるの。パージだって知ってるでしょ?」

 

「だとしても、僕は自分の事を自分のスキルの事を知りたい。それに勇者。お前が言ったんだろ?知りたくないか?って」

 

今さら言えないは、流石に無しだ。勇者は苦虫を潰した顔をした後、頷いた。

 

「それが君の望みなら、勇者として応えない訳にはいかないね」

 

覚悟を決めた顔で勇者はそう言う。それに対して、僕も椅子に深く座り直した。

 

「君の専用スキルはね、【尊厳破壊】と【完全催眠】だよ」

 

「ちょっと待って!?」

 

淡々と言う勇者に対して、僕は混乱を隠せなかった。だが、勇者の話はまだ続く。

 

「それを使って君の第二の人格が魔王軍相手に無双している」

 

「ちょっと待ってよ」

 

頭がおかしくなりそうだった。何だよそれ、そんなの勇者パーティーの変態じゃん。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

異能コレクターは気がつかない(作者:永戸陽介)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

異世界転生に憧れる少年、天童達志。▼しかし流石にトラックに轢かれる覚悟は無かったので、思い通りの夢を見る事ができる「明晰夢」に目をつけた。▼苦節4年の歳月をかけ、遂に夢の中で体を自由に動かす事に成功!ただその世界は、目標のファンタジー異世界には程遠い、ビルがいくつも立ち並ぶ都市だった。▼いつか世界も自由に変えられるようになった日に備え、彼は自分が今まで記録し…


総合評価:37/評価:-.--/連載:28話/更新日時:2026年07月23日(木) 08:13 小説情報

善意100%の悪役成金豚野郎「ぶへへ!どぉやら、お困りのようでんなぁ〜?」(作者:枕がデカすぎる下っ端モブ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

※架空の異世界ファンタジー系ゲームの悪役成金豚野郎に憑依転生した可哀想なヤツが主役の物語です。▼※小説内ゲーム作品の主人公はコイツではありません。▼■ゴールトン・デン・ガーランド伯爵▼『肥満・金満・傲岸不遜! おカネにガメつい“黄金卿”』▼主人公たちの前に立ちふさがる中ボスの一人。▼「それでお金が稼げるなら、買えるものなら命すら買いあげる」というのがモットー…


総合評価:74/評価:-.--/連載:1話/更新日時:2026年05月14日(木) 15:53 小説情報

貞操逆転世界で『くっころの似合う男騎士枠』を狙ってみた。(作者:くっ!殺す!!)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 その為に魔物をベルセ◯ク並みのぶち殺し方してたら男女関係なく怖がられてんだけどどう言う事?


総合評価:3932/評価:8.22/連載:9話/更新日時:2026年05月05日(火) 10:59 小説情報

目指せ、脱ヒーロー社会!(作者:悪魔さん)(原作:僕のヒーローアカデミア)

人口の約8割が〝個性〟という名の超能力を持ち、その能力を活かしたヒーローが活躍する世の中。▼そんな時代を生きる政治家が、超人社会に物申す!▼敵と戦ってるのはヒーローだけじゃない!▼これは、一人の無個性の青年が政治家として新時代を築く為に駆け上がる物語。


総合評価:9526/評価:8.36/連載:39話/更新日時:2026年08月03日(月) 21:37 小説情報

魔法少女世界で俺のエンカテーブルがクール系に偏り過ぎてるんだが(作者:TSから逃げるなぁぁ!!卑怯者おぉ!!)(オリジナル現代/冒険・バトル)

「大変だお前ら!魔物が現れ」「私には関係無い。」「騒ぎ立てる程の事ではないわ」「私が出る必要が無い…」「…………」「貴様に言われずとも分かっている!」「たぞああぁあああぁああッんああああぁあぁああ」


総合評価:1296/評価:7.86/連載:10話/更新日時:2026年07月27日(月) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>