養育ファミリア メジェド・ファミリア   作:思いついたら書く人

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とある青髪の少女は夢をみた。恐ろしい夢であった。七つの細い光が天へと昇り、バベルから大きな光が一つ昇る。多くの刀剣が女と対峙し無抵抗に折られ散らばる惨状。大きな口が街を呑み込み、鐘の音が街を壊す。バベルから黒き闇が蠢き既に赤き世界を染める。そしてトドメと言わんばかりに飛来する恐ろしいあの竜に勝てる者は居るのだろうか?アレは黒竜では無い。されど強力無比で人の手で出来る存在では無い。そう思えた。

目を覚まし少女は思う。オラリオは滅ぶのだと。英雄のいない街は滅ぶのだと。

このことは誰も信じてくれなかった。優しいあの人も言ってくれるのは大丈夫の一言。違う違うと少女は訴える彼女は逃げたいのだ滅ぶ運命のこの街から。

この日から少女は恐怖に怯え日々を過ごす。

そんな少女を神はみていた


正邪邂逅

 後に大抗争と呼ばれるその始まりの日は市民にとって日常と言っても差し支えない日であった。商人は商いを、職人は製造を、そして子供達は遊ぶそんな普通の日だった。しかし、一部の冒険者にとってはその限りではない。

 

 これまで何度も暴動を起こしていた闇派閥に対しての行動を起こす日であったのだ。闇オークションの保管庫の制圧に動く者たちガネーシャ・ファミリアの主力メンバーと見つけた本拠地をどうするかで話し合う者たちロキ、フレイヤ、ガネーシャ、メジェド、アストレア、ヘルメス・ファミリアの者達で分かれていた。

 

 但し彼らより闇の方が幾分か先をみていた。邪神はこの日の為に長らく準備をしていたのだから冒険者のその場、その場の対応では追いつく事が出来ない。

 

 結果として今日この日冒険者は敗北する。

 

 

 

 とある教会。其処に闇市の品物があるという情報を手に入れていたガネーシャ・ファミリアの主力は闇派閥ごと教会制圧に動いた。此処には多くの上級冒険者が揃っている。彼女らが居ればこれまでの情報で考えると何人かの幹部が居ても制圧は可能な戦力だ。

 

「シャクティ団長。全団員、配置につきました。突入いつでもいけます。」

「一気で片付けるぞ。全員突入――!」

 

 彼らは大きな声をあげて教会内に突入するそれが魔女の怒りを引き出す事になるとも知らず。

 

「我々はガネーシャ・ファミリア!憲兵だ!大人しく投降しろ!!!」

 

 そうして突入した教会の内部は彼女らにとっては想定外の光景であった。中にいた闇派閥や商人達が一人を除き地に伏していたのである。

 

「全滅……?私達が突入する前に?一体何が……。」

「――また騒々しくなった。次から次へと、雑音が絶えない……やはり今も昔も、オラリオはオラリオのままか。ここでは静寂にまどろむこともできない……嗚呼、嘆かわしい。やはり私はこの地が嫌いだ。」

 

 場違いなドレス姿の女がいる。顔覆われてわからない。けれど目立つ服装から始めて見る者だとわかる。

 

「(だ、誰……?闇派閥?)」

「(――コイツ、いつからそこにいた!?)この惨状はお前の仕業か?」

「他に誰がいる?」

「どうしてこんなことを?」

「今から死ぬものに答える義理はないな。五月蝿い(ゴスペル)」

 

 超短文詠唱の魔法。本来魔法は詠唱の長さに比例して威力が増す。けれど、その魔法によって教会内にいた多くのガネーシャ・ファミリアの者は闇派閥の者達と同じく地に伏す事となった。彼女らが目を覚ますのは日が落ちてから。

 

 それはちょうど天に八つの光が天に昇った時の出来事である。

 

 

 

 

 

 

 ロキ、フレイヤ、ガネーシャ、メジェド、アストレア、ヘルメス。これら六ファミリアの代表もしくは代表代理がギルドの一室に会していた。

 

 ロキからはフィン、リヴェリア、ガレス。フレイヤからはオッタルとアレン。ガネーシャからは伝令役の冒険者が二名。メジェドからはポン太一人。アストレアからは輝夜とライラ。ヘルメスからはアスフィ一人。そしてギルド長ロイマンの計十二名での会議となる。

 

「各ファミリア代表、揃ったな。ではこれより、定例の闇派閥対策会議を始める。その前に、現状の体たらくはなんだ、お前達!連日のように暴動は絶えず、つい先日には大規模の奇襲さえ許しおって!」

「まあ、いいではないですかロイマン殿。確かに連日の暴動に対してこちらは後手に回ってばかりではありますが未だに死者はゼロ。そんな中、先日は闇派閥の拠点への奇襲。本日はガネーシャ・ファミリアが保管庫の制圧に向かっている。充分ではないですか?」

「充分な訳があるか!死者が出ていないことは素晴らしい!!だが、だがだ!工業区や商業区での被害は増える一方!先の大規模の奇襲は市民街!どうなっているのだ!ジンはどうした!!!」

「貴方が遠征に行かせているんでしょう?何を今更」

 

 ポン太とロイマンが言い争う。前者は死者が居ない更に現状維持ではなく進展もあるからよいではないかとの意見であり、後者は確かに死者が出ていないのはよいことだが被害の日々の拡大の対処するべきという意見。対立は然るべきである。

 

「二人とも落ち着いてくれ、会議を始められない」

「すみません。大人げなかったですね」

「なんですかあの人謝っているのに全然目が笑っていません。怖いです。……もう、帰りたい」

「古くからこの地にいるメジェドとギルドの対立は水面下で長年続いていたみたいですね。このような事態になって初めて知りましたが」

 

 一旦話しを戻そうとガレスが奇襲について話出す。

 

「ロイマンを庇うわけではないが……先の襲撃についての責任は儂にある。そこの狸人がいなければ、死者が出ていたかも知れん。護衛としておりながら情けないわ」

「ガレス殿。先の襲撃の事は仕方のないものだったかと。貴方方と憲兵団が想定していたのは『爆発物』による混乱……不審物ばかりに注意していたのが仇となりました。とはいえ白昼堂々の殺帝による凶行による死者を出なかったのは幸いでした」

「『爆発物』?どういうこと?」

「これまで盗まれた『撃鉄装置』、アレは『起爆』に使われるのではないかと踏んでいたのでしょう」

「知っていたのですか!?」

「いいえ、今この場でそう思っただけです」

「な、なるほど。確かにそのとおりです。我々は『爆弾』は戦闘の心得のない『信者』でも設置出来る危険物として警戒しておりました」

「それについては理解しました。どうせなら、先に共有しておいてほしかったものですが」

「あくまで予想に過ぎないものであったのが一点。もう一点『爆発物』を警戒し過ぎることで、敵の動きを誘えなくなるのは不都合だった」

 

 そのフィンの回答は正義の派閥には到底許せるものではなかった。そこからまた言い争っていると。アスフィの提案により一度休憩を取り会議を再開することとなる。

 

「さて、皆、頭冷えただろうか?これからは建設的な話をしよう。ポン太君、ジンは後どれくらいで帰還するだろうか?」

「うーん。今回はロイマン殿の依頼で七十階層まで行く事になっていたので今、帰還し始めてるくらいだと思います。なのでまだまだ時間はかかるかと」

「……そうか、では――各派閥何か共有したい事は?」

 

 それからは会議はスムーズに進み、強力なレベル6以上の戦士の眷属が新たに相手に加わった事、そして本拠地とも言える三つの拠点を発見した事が共有された。そして本拠地への奇襲について話し合おうしたその時、送還の光が昇る。

 

「やられた!!!会議をする時間はもう無い!皆、外に!!!」

 

 

 

 

 

 

 その日アリーゼは途轍もない不安に駆られ、自らの主神アストレアの元へと駆けて行っていた。定例会議の出席をライラに代わってもらい兎に角、全力で向かって行っていた。いつもならアストレア様が何処にいるかなんてアリーゼには分からない。かの女神は優しい方だから不安を抱えている市民の元へと行かれているから。けれど、そのおかげで今日は何処にいるかわかる。

 

 あの襲撃の被害を受けた人達を治療しているところだ。

 

「アストレア様!」

「アリーゼ?どうしたの?そんなに慌てて」

「ご無事ですか!何だかすごく寒気がして、貴方様を探さなきゃって、私……!」

 

「………。ふむ。先を越されてしまったみたいだな。正義を司る君だけは真っ先に葬り、この地を混沌に染めたかったんだが――コングラッチュレーション、アストレア。そちらの眷属に感謝しろ。」

 

 目の前に闇がある。漠然とそう思った。そう思えるほどのオーラがその邪神にはあった。だから動けない。ただ神の御言葉に耳を傾けることしかできない。

 

「ならば、見届けろ。生贄に選ばれなかった以上、これより始まる『邪悪』を。正義を司る君が最後まで――」

「貴方は――」

 

 その神は言いたいことを言った後にはその場をゆらりと離れる。アストレアが逃すまいと追いかけようとしたその時、神の送還が始まった。

 

 

 

 

 

 

 この瞬間、瞬時に動けた冒険者はゼロ。上級冒険者でさえ狼狽える。神の想定外に瞬時に対応出来る者はいない。

 

ひとーつ。

 

 だからこそ、闇の眷属にまた、一歩遅れをとる。相手にとってこの光は合図なのだから。

 

ふたーつ。

 

 敵は動き出す。敵が勝機を見出す為にはこの瞬間の働きが重要だから。

 

みーっつ。

 

 信者は本拠地から出てくるなんて野暮な事はしない。市民に紛れ街中で強襲する。冒険者は動揺で目線が天に。

 

よ―っつ。

 

 幹部は悠々と動き出す。冒険者の恩恵が失われているから。そんなのは敵ですらないから。ただ蹂躙するのみ。

 

五つ。

 

 暴食と静寂が動き出す。恐怖を与えよう。安全な場などないのだと。理解させよう。終わりを。

 

むーっつ。

 

 もう人々が正しく理解し始める。もう、これまでとは違う何が起きると理解せざる負えなくなる。

 

七つ

 

 オラリオ中から刀剣が動き出す。市民を守る為に、決して死者を出さない為に。されど幾分数が多く敵がバラけている。もう万の刀剣ではカバーしきれない。

 

八つ、九つ……十一。

 

 四柱の神の送還により深く傷をつけられたダンジョンには、ウラノスの祈祷はもう意味を成さない。モンスターが溢れ出る。

 

「『生贄』は終わった。さぁ、行こう――」

 

 声が響く。それは殺される恐怖によるもの。それは快楽によるもの。それは悲しみによるもの。それは怒りによるもの。それは絶望によるもの。それは享楽によるもの。

 

 それは憎しみによるもの。

 

「――聞け、ウラノス。時代が名乗りし暗黒のもと、下界の希望を摘みに来た。『約定』は待たず。『誓い』は果たされず。この大地が結びし神時代の契約は、我が一存で握りつぶす。全ては神さえ見通せぬ最高の『未知』――純然たる混沌を導くがため。」

「傲慢?――結構。暴悪?――結構。諸君らの憎悪と怨嗟、大いに結構。それこそ邪悪にとっての至福。大いに怒り、大いに泣き、大いに我が惨禍を受け入れろ。」

「――我が名はエレボス。原初の幽冥にして、地下世界の神なり!」

 

 その宣言はオラリオ中に届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 送還の光が静まったオラリオにペカペカと場違いな光が灯る。

ベル編どうしようか?

  • 別の小説として書いて
  • ここで時系列に沿って書いて
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