優は家族に特訓で個性が覚醒したと伝え、コスモスの能力を複合個性「光の巨人」として登録し直した。個性として登録したことは3つ、
①巨大化の調節可能
②小さくなることも可能
③様々な光線を撃つことができる能力
の3つだ。特に3つ目の光線にはかなり多くの種類があるため、想像力によって効果が変わると言ってもいいだろう。
登録を終えた後、優は3年後の雄英高校入試に向けてコスモスから戦い方を学び始めた。
「私の戦い方は主に2つだ。それぞれルナモードとコロナモードと呼んでいる」
「ルナモードとコロナモード?」
「ルナモードは防御を、コロナモードは攻撃を主体とする戦い方だ」
「綺麗に分かれているのね」
「特にルナモードは優にとって価値のあるものになるはずだ。ルナモードは光の力で防御するだけでなく、技術のみで力を受け流すことがある」
「なるほど!」
コスモスは実践ほど身に着けるのに最適な訓練はないと称し、念力で木造の人形を作って動かすことで優に戦い方を教えた。どうやら、実体化するより念力を使う方がエネルギー消費効率が高いらしい。
優はある程度基本を覚えると、コスモスの操る人形に負けながらも実際に身体を動かすことで少しずつよくなっていった。そんな優にコスモスは3分間だけ身体能力が上がる小さな松明のような形のアイテムを渡した。
「これは?」
「コスモプラック、私の全力を3分間開放することができるアイテムだ」
「ありがとう、でもこれだと失くしそうで怖いわ」
「ふむ、確かに一理ある。ではコスモプラックの形を変えよう、優はどんな形がいい?」
「ん~~ブレスレット型はどう?」
「こんな感じか?」
コスモプラックが光ったかと思うと、青い石が埋め込まれたブレスレット型に変わった。
「これなら落とさずに済みそうね!」
「優の手首に大きさが合うように調整しておこう」
コスモプラックを得た優は光の使い方も覚えたいと思うようになったが、エネルギー消費量が多くなるので熱心に練習することができなかった。最初の数回は出力の調整が上手くいかず、暴発して一気に体力を持って行かれた。それでも優は自分にできることを考え、少しずつ着実に体術から身に着けていった。
◇ ◇ ◇
コスモスと優が出会って4ヶ月、冬休み中も夜間の活動を想定して暗い山で木の上を跳び回っていると突然視界の端が赤く光った。
「何!?」
光る方を見ると、大きな山火事が起こっていた。優はすぐに家の方へ逃げようとしたが、コスモスによって強化された視力が山火事の中で燃えている人影を見つけた。
「………助けなきゃ」
次の瞬間には、優は火事の現場へと走り出していた。コスモスに会ったことが優の心境を変化させたのだ。
優は熱く燃え盛る山をかなりの速度で駆け抜け、燃え続ける人影を見つけた。助けられるのか、そう思う間もなく優は声をかけた。
「大丈夫!?」
「あ、………」
「っ!!」
男の子の周りはあまりに熱く、立てなくなるほどの熱さだった。しかし、優は諦めずに少しずつ男の子へ近づいた。
「絶対に、私が、助けるから!!」
「っ!!」
汗が泉のように吹き出す中、何とか近づくと優しく抱きしめた。
「怖かったよね、熱かったよね」
「あっ、ああっ………」
「絶対に、私が、助けるから」
そのまま川へ落ち、優は意識を失った。すると右手首にブレスレットを着けていたコスモプラックが青く光り、コスモスが実体化した。
「優、自分の身も顧みず救おうとするのは我が身を滅ぼすぞ」
コスモスは2人を優しく抱き上げると、いつも鍛えている山へ飛んで戻った。
いつも訓練している場所まで戻ると2人をルナキネシスで浮かせ、2人の怪我を確認した。男の子は全身火傷、その上火傷が3度と重度が高く、優は男の子を抱きしめた影響でお腹周りが2度の火傷だった。
「これはひどい………個性か?」
コスモヒーリングでは間に合わないと判断し、ヒーリングシャワーで一気に2人同時に治癒すると火傷痕がどんどん消えていった。
「かなり力を使ってしまったな」
ゆっくり2人を降ろすと、優が起き上がった。
「あ、あれ……私………」
「優、人助けのためとはいえ、突っ走るのは良くない」
「すみませんでした………」
軽く説教すると、男の子が唸った。
「うう~~~っ………」
「彼も起きそうだ。後は頑張りなさい」
「わかった、ありがとうコスモス」
コスモスはコスモプラックに戻り、優は男の子が起きるのを待った。
燈矢は意識が飛ぶ直前のことを夢で見ていた。身体が炭化しそうなほど熱くなり、目も見えなくなりかけていたときに目の前に金髪の女の子が走ってきた。
「大丈夫!?」
「あ、………」
額の汗をぬぐいながらこちらへ向かって歩いてきているのが見えたが、既に身体は思うように動かなくなっている。それでも女の子は近づいてきていた。
「絶対に、私が、助けるから!!」
「っ!!」
何としても助けようとする執念、俺は無意識のうちに女の子とオールマイトを重ねていた。そして女の子は俺を優しく抱きしめた。
「怖かったよね、熱かったよね」
「あっ、ああっ………」
「絶対に、私が、助けるから」
そのまま全身が一気に冷えるのを感じ、また意識が深く沈んでいった。だが、不思議と怖くなかった。女の子が抱きしめてくれたからかもしれない。
「ん………」
目を開けると、そこは修業をしていた
「あ、起きた」
「!?」
突然左から声が聞こえ、左を向く前に金髪の女の子に覗き込まれた。俺は顔で助けてくれたあの子だとわかった。
「大丈夫?」
「ああ、君が助けてくれたのか?」
「そうだよ。身体はもう熱くない?」
「熱くない………」
「ならよかった!」
女の子の笑顔に一瞬ドキッとした俺がいた。
「何があったの?」
「実は………」
俺は家での出来事を全て打ち明けた。
「そっか、大変だったね。嫌じゃなかったらこの山にいたら?」
「え?いいのか?」
「うん、私はここでヒーローになるために鍛えてるんだ。ここなら私以外来ないし、個性が暴走した理由から少し離れるべきだよ」
「ありがとう」
そして互いに名前を言った。
「俺は轟燈矢。君は?」
「私は岳山優、よろしくね!」
燈矢を山に匿ってから、優は多めの弁当を持って山に行くようになった。しかし、たった1日で燈矢の存在は岳山家にバレた。いつもより多い量をお願いした優に疑問を抱き、優の母が後をつけたところ燈矢が弁当を食べている現場を目撃したのだ。しかし優の母は2人の距離が近いことに気づき、2人の仲を無理やり裂かずに事情を聴いた。
「お、お母さん!?」
「っ!!?ゴホッゴホッ!!!」
「えーーっとこれはですね………」
優と燈矢は全て包み隠さず言うと、優の母は家で燈矢を引き取ることを提案した。
「え!?いいの!?」
「本当にいいんですか?」
そのまま優の父と祖父に話を通し、あっさり燈矢を引き取ることになった。さらに個性の扱いが不安定な燈矢のためにアドバイスを送ったり、燈矢の熱耐性のなさにサポートアイテムを特注したりした。そして燈矢は轟家の過去を捨てて生まれ変わるために名前を変えることになった。新しい名前は「
「これからよろしくね、幸弥」
「よろしく、優」
幸弥は家族の温かみを知り、2人でヒーローを目指す日々が始まった。