ダウナーお姉さん(偽)魔術師は現代世界で帰還した勇者を差し置いて無双する   作:ゆきゆき@ダウナーお姉さん

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Ep.11 (面倒くせぇなコイツ……)

 

◇ファミレス

 

「おいおい、この私をナメているのかい? そんな簡単な仕事を私がやるなんて世界の損失……おっと、それはなんだい? なに、ちょっと見せてくれるだけでいい。え? 仕事受けないとダメ……? クックック、なるほど。それならこの正義の化身である私がその仕事を引き受けてあげよう。勘違いするなよ? 別にそれに釣られた訳じゃなくて私自身が決めたからだ。フッフッフ……アーッハッハ!」

「さっさと行けや」

「分かった分かった、私に任せるといい。このダウナー「はよいけ」……はぁ」

 

 いつものように佐伯クン(一見美女に見える政府の男)が私に仕事を斡旋する。

 今回の内容は単純明快、街中で湧いた妖魔の討伐である。

 

 本来、妖魔というのは街中で発生することなど無いが……ある程度以上の強さを持っているなら話は別だ。

 

 要するに、街中で発生した妖魔というのはすごく強いのだ。まぁそれも街の外と比較して、というだけであり……低級の魔術師で倒せてしまうものも多い。

 

 

 今回私に任されたのは、その『ある程度以上の強さ』を持つ妖魔だ。

 というか、その妖魔を新人に任せるから監督やれ、といった内容の仕事である。

 

 新人監督なんか私にやらせてんじゃねぇ、といつもなら言うのだが今回は仕方ない。佐伯クンが良い物をくれるらしいのでね。

 

 

「ねぇほら、せっかくこのダウナーお姉さんが仕事受けたげるんだからさ……ここ奢ってくれても良くない?」

「お前1人で1万円分も食ってるだろうが。流石にダメだ、お前が払え。大体胃袋どうなってんの?」

「えー、ケチ」

「ケチじゃありません」

 

 佐伯クンは伝票を私の前にそっと置いた。

 チッ、ダメか。

 

 私はずずっ、とぶどうスカッシュを飲み干した。

 これが一番美味しいんだ。異論は認めない。

 

 

「まぁいいや、仕方ないから私がやってあげるよ。それじゃあまたね」

「おいしれっと逃げて払わせようとしてんじゃねぇぞ。金持ってるだろお前」

「チッ」

 

 これだから人間は……

 

 

 

 

 

◇ファミレスその2

 

 

「なるほど、キミが新人ってわけね……いや、ユウ君だったのか……それなら普通に喜んで受けたんだけどな、話をもうちょい聞いとけばよかった」

「あの、ところで今日はどこへ?」

「なぁに、聞いてないの? 深夜の公園で目撃情報があってね……あ、忘れてるかもしれないから言っておくと、妖魔は基本夜に活動するんだよね」

「初耳なんですけど」

「教育係とかいないの?」

「いなかったです」

 

 そかぁ……魔術学園にでも通わせてみる?

 いや、でも手続きを私がやるとなると面倒だから、これは言わないでおこう。

 

 

「ふーん、まぁいいや。はぐっ、はぐ……つまり今日は夜遅くまでずずっ、待機ってわけ……もぐもぐもぐもぐ……」

「行儀悪いですよ」

「いいんだ、私はそれが許される」

「誰でも変わりませんよ……」

「許せなかった……ダウナーお姉さんの行儀が悪いなんて……!」

「勝手に自己矛盾起こさないでください。というかなんでダウナーお姉さんにそんな拘ってるんですか……?」

 

 お? それ聞いちゃう?

 ならば語らねばなるまい……ユウ君にも教えよう。私の〝ダウナーお姉さん〟への執着の理由を。

 

 

「あっやっぱ長くなりそうなんでいいです」

「そう? それじゃあ夜まで……解散ッ」

「あ、そういえばこれ代金って……」

「あー、うーん……まぁ今回は私が払ってあげよう」

「そもそもあなたしか食べてないんだから、そりゃそうでは……?」

「感謝することだね」

 

 ユウ君は何か言いたそうな顔をしたが、結局何も言わなかった。

 言いたいことは言うべきだぜ、少年……!

 

 

「少年呼びダウナーお姉さんっていいよね……」

「急に変なこと言い出すのやめてくれません?」

 

 

 

 

 

◇深夜・深月公園

 

 

『クックック……アーッハッハ! ついにワタシの本格的な出番というワケですねぇ!?』

「誰ですかこの人?」

「美少女ロボットのドミノちゃんだ……! 念の為に連れてきたんだ。一応キミの補佐はこの子が担当する」

『えー? ワタシ一機で十分じゃないですかぁ?』

「って言ってますけど、俺帰っていいですか?」

「まぁまぁ、待ちたまえ」

 

 しれっと帰ろうとしているユウ君をとっ捕まえ、私は彼に説得を開始する。

 

 

「ダウナーお姉さんにキミの活躍を見せてはくれないのかい?」

「別に見せたいとは……そっちのロボットもやる気あるみたいですし、ここは任せてもいいんじゃないですか?」

『ワタシは構いませんよぉー!!』

「ふ、ふふ……それだと私が怒られちゃうんだけど?」

「お姉さん、誰かが言っていました。バレなきゃ犯罪じゃないんです」

「キミそんな強かな感じだったっけ? いやまぁ、ドミノに任せてもバレないけどさ……」

 

 えー、でもでもぉ……私、ユウ君の活躍が見た『ご主人様ァ! 見つけましたぜ……ぶっ殺してやりますよぉ〜ッ!!』

 

「大声出すんじゃねぇよこのポンコツが!!」

「うっさ」

 

 ドミノの目の前には、狼のような姿の妖魔がいた。

 サイズのわりに存在感が強い……異常なほどに。

 

 

「お姉さん、これ結構強いですよ。あのロボットは大丈夫なんですか?」

「それは問題ない。なんてったって私も制作に関わっているからねぇ」

『【武装展開】———〝暴炎(ばくえん)神龍(しんりゅう)セット〟』

「ふざけてんの?」

「ふ、ふざけてない」

 

 ドミノの右腕が変形し、真紅の輝きに包まれる。

 内部に隠されていた拡張異空間より無数の武装が展開され、彼女の右腕の周囲は二十を超える銃器で囲われていた。

 

 そして、さらに内部の異空間から一本の剣が抜き出された。

 

 私が秘密裏に処理したドラゴンの角から作成された魔剣……赤竜の剣だ。

 その剣は圧倒的な熱量を内包しており、これを使えばどんな物だろうとバターのように斬れてしまう。

 

 

『がうっがうっ……ぐるるぅっ!』

『がるるるる……!』

「どっちが妖魔の鳴き声だよ」

 

 下の方じゃない? 多分……

 

 

 

 




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