目が覚めると、隣に知らない子がいた。
「……戦イ、オワリマシタヨ」
無理やり口を動かしているような知らない声、それを聞いて、私は気絶する前の状況を思い出す。周りには賊が倒れており、ぴくりとも動かない。
「やってくれたの?」
リッチちゃんは頷いた。Dランク以上は言葉が話せるが、なんとなく感覚でも何を思っているかわかるのだ。こちらを気遣う雰囲気が感じられる。そういえば、私の背中の叩かれた部分はどうなっただろうか。痛くはない。触ってみると、かすかな痛みがあったが、傷になってはいない。
思うに、これは種族:混血魔族の強力な治癒力が作用した結果ではないだろうか。ゲームでは戦った後は完全回復していたが。
おや、リッチちゃんが何か話したそうな雰囲気を出している。
「マスター、ワタシノ、ナマエ……」
リッチちゃんが口を動かす。発音自体は不明瞭だったが、発音自体が心に直接伝わってくる。
そうか、この子の名は、”アビエス”というのか。
Dランク内でもリッチは当たりに含まれる(尤も、TierSではないのだが)。遠距離攻撃タイプは運用上ダメージを負いにくい上、魔法は柔軟性に富み、発想次第で低ランク帯における初見殺しになりうる。彼女の属性はなんだろうか?
周りを改めて見ると、土の山が幾つかできていた、土魔法の適性があるようだ。『使役』『土』『植物』あたりが冒険者に倒されにくい且つコスパ・維持費が良い使役魔法を使うことができる。その点では大当たりだ。サンドワームたちとも相性は良いし。
そして、忠誠心も確信できる、今回も魔力切れで気絶した私を護りきってくれた。
「これからよろしくね、 アビエスちゃん。アビーでいい?」
話しかけると、 アビーちゃんは私の手をそっと握ってきた。握り返す、手はひんやり、すべすべしている。急にどうしたのだろうか。
「何?」
アビーちゃんは軽く俯いた。
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初戦を経て、3つのタスクを設定する必要がある。
まず、ダンジョンの増築だ。今はサンドワームを3体召喚して穴を掘らせている。
所有する6pt、これも増やさなければならない。
そして3つ目、私自身の実力を上げなければならない。
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例えばこのリッチの……アビーちゃんは、顔の片方はなんで闇堕ちしてリッチになったんだろうと思うくらいには整っていて進化が待たれるが、もう片方は腐り落ちていて生者のソレではない。面で隠してはいるものの、臭いもあるし、人なら誰もが魔物として排斥するだろう。だが、魔族である私は、血色の悪い人間で通る見た目だ。そしてきちんと水浴びもしている。
だから、別にニンゲンの街に潜り込んでもいいわけだ。
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そういうわけで、ゲームでも存在したお忍びでの弟子入り修行をすることにした。
しかし戦争中、国境付近の街に侵入なんてできるわけない……できてしまった。見た目が大人というに幼いからだろうか。ただ、一義勇兵としてだが。ここから訓練に参加、うまくいけばエース級兵士の訓練に参加できる。
ニンゲンに正体がばれる可能性はあまりない。鑑定スキル(真)はゲーム内ではCランク以上でしか発現しない設定だった。しかも確率で所得。だから、武人で持ってる人は少ないだろう。
そして、私は今なぜか、知らない女の子とその子の家の地下室にいた。
このゲーム世界は異世界ものにありがちな冷兵器の時代。魔法は特殊だから割愛する、取得率は低い。だから、私のような義勇兵には槍や、場合によっては干し草叉なんかが与えられるのだが、その稽古をつけてくれるらしい。
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それから1か月。私は槍の使い手としてニンゲン共に期待されていた。
良心が痛むよ……。
名前を奪ったわけではないです。