争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
ソーナの姉で魔王のセラフォルー・レヴィアタンはルンルン気分である。エクスカリバーの騒動を解決した妹たちのことが冥界で評価され、夏に行われる若手悪魔たちのお披露目公演にて注目の的になる。また念願だった『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』で姉妹共演が行えることに今から心臓がバクバクなのだ、撮影スケジュールを抜かりなくチェックし何度も台本を読み込んで気持ち悪い笑顔を浮かべている
「ノブちゃんも来るはずだからオファーしちゃおう☆」
赤龍帝の彼が出演してくれれば新たな視聴者層を獲得することができる。シトリー家との繋がりをアピールし邪な感情で近寄ってくる連中をシャットアウトする。伸元がシトリー家やソーナの協力者になってからもうすぐ10年ぐらいになるが、今のような関係を末永く続いてほしいと願うシスコン魔王であった
「なんなのよ!あの赤龍帝は‼」
お気に入りのグラスを素手で砕いたリアス・グレモリーの血圧は天井知らずで上昇中だった。別にダイスで『高血圧』の面が出たという訳ではない、自分が思い描いた未来と違う結末に憤りを露にしている
彼女の管轄する土地でコカビエルたちが暴れ、ソーナと赤龍帝たちが問題を解決したことで漁夫の利を狙っていたリアス個人として評価は下がり嘲笑のネタにされている。しかしグレモリー眷属という括りだと教会の所有するエクスカリバーを3本破壊し禁手に至った木場に称賛の声が集まっていた
「祐斗は何で教えてくれなかったの!」
騒動が終わったあとに呼び出して彼に問いただしても
「個人の復讐の為に動いていただけです!単独行動における罪は受けるつもりです」
という文言が返ってきた。そもそも彼女は木場に"赤龍帝と接触しコカビエルが現れたら報告"という命令を下していない、聖剣に対する憎悪を利用して優雅に高みの見物を決めこんで手のひらで動かしているつもりが道化を演じているのは自分自身だった
そして厄介な問題がリアスの目の前に立ちはだかる。戦闘に参加したグレイフィア以外に堕天使側に居を構える白龍皇が木場の活躍を吹聴したことだ、悪魔にとってエクスカリバーなどの聖剣は天敵である。それを砕いた木場に褒賞を与えなければならない、彼に何も与えなかったら"リアス・グレモリーは眷属の活躍を認めない薄情者"というレッテルがガムテープで貼られてしまうのだ
「今に見てなさい!赤龍帝」
彼女の思考は彼を潰すことだけに埋め尽くされている。動くのは今じゃなくて夏休みの行われる一大イベント、そこで全てを逆転するつもりだ
「これで全部だな」
「そっちの袋が重いだろ?私が持つ」
「これぐらい大丈夫だ」
スーパーから夏の日差しが照りつける屋外へ出た伸元とゼノヴィアは買い物袋を持って学園に向かっていた。今日はプール清掃が行われ生徒会の面々が駆り出されている。
学園長の投げたダーツが『生徒会』と記された範囲に刺さってしまい2年連続で選ばれてしまった。彼は生徒会には属していないので清掃を手伝わなくて良いのだが一応は関係者で暇だったので差し入れを持っていくことにした
「昼は蕎麦だったし晩御飯は何にするかな?」
「ある……ノブチカ、日本には暑い日にウナギというヘビみたいな生き物を食べると昔イリナから聞いたことがあるのだが」
主と言いかけたゼノヴィアは寸前で訂正した。自宅に住み着いた当初は「主」と言ってきたのだが彼の方がギブアップしてしまい名前呼びにしてもらった
はぐれ悪魔の討伐やコカビエルの撃退にて相応の報酬をセラフォルーから貰っているが、庶民にはウナギはおいそれと手が出せない、それならチラシ寿司に刻んだ穴子を混ぜてワサビ醤油を垂らしてみようと思い、伝えてみると頷いてくれた
「会長たちの眷属はどうだ?」
「神器を持たない者たちは小粒だが鍛え甲斐がある。荒削りだが匙も私との果たし合いに食らいついてくる」
「やる気満々という訳か」
現在の彼女は石動家のハウスキーパー兼シトリー眷属への戦闘指導を行っている。聖剣が使えなくなっても元エクソシストの経験値なら悪魔になって日の浅い面々を片手間であしらうことができる。2人なら負担も半分で済むので少し楽になった
「ただ全体的に火力不足が否めない」
「そこは俺も同意見だ」
リアスの眷属たちと見比べると決定打に欠けるのが現状である。攻撃の起点となる悪魔が存在せず搦め手やカウンター頼みの戦法が主体となりジリ貧なのだ、眷属たちをまとめる王のソーナの悩みの種であり中心となるアタッカーの育成やスカウトが急務となる
「気になっていたことなんだが」
「なんだ?」
「神滅具を扱えるようになって気持ちが変化することはなかったのか?」
「どういう意味だ?」
食べていたアイスキャンディーの袋と棒をゴミ箱に捨てたゼノヴィアの質問に彼はクエスチョンマークを浮かべてしまう
「教会にいた頃なんだが、聖剣を振うことができるようになったエクソシストは特権階級というか、"自分は選ばれたんだ"という意識が強くなって」
オカ研の木場と戦っている時や所持金を失って街で物乞いをしていた時のことを思い出して、確かにと思ってしまう。力を持てば『選ばれた人間だ!』『ひれ伏せ下民共』という意識が表に出てくる奴も一定数存在する
「神器や神滅具が発現しても石動伸元という個が変わる訳じゃないし、そもそも産まれた時からドライグのことを意識していたから」
「そうなのか…」
「嫌いな奴は嫌い、好きな奴は好き、少し波乱万丈な人生だけど普通の人間さ」
「つまりソーナ・シトリーは好きな悪魔という訳か」
「of course!」
その後もゼノヴィアからの質問に答えながら互いに知らない溝を埋めていく、しかし1番白熱したのは"キリストの復活に3日を擁したのなら仕事で疲れた現代人の休みが2日以下なのはおかしい"という内容だった
学園に到着しプールに向かうと生徒会の面々が水着の上にTシャツを着用した姿で、プール底や壁面の汚れと格闘していた。見て分かるように7月にプール清掃をしているということは駒王学園に水泳部は存在しない、変態コンビたちは入学当初に『水泳部を立ち上げる』ことを豪語していたが下心ありきの陳情が上に通ることはなかった
「差し入れありがとうございます」
「まだ時間が掛かりそうですね」
その言葉に反応したのかゼノヴィアは二刀流に構えたデッキブラシを装備してプールの底に着地したが苔で足を滑らせてしまい全身が水浸しになる
「三大勢力の会談?ここで?」
「授業参観の後なので少し先になりますが」
彼等が持ってきた差し入れで休憩となりアーシアや他のメンバーから感謝の言葉を受け取るとソーナから今後の予定を聞かされた。悪魔・堕天使・天使の代表が集まり和平に向けた会議が行われる
「なしてここで?もっと適した場所があると思うんですが」
「私もそう思って伝えたのですが、天界の天使たちは冥界の空気を嫌っているうえに自分たちのところに入れたくないみたいで、そこでサーゼクス様と堕天使のアザゼルが『人間界でやろう』と提言したら…」
大丈夫なのか三大勢力のトップは?冥界に苦手意識を持つ天使については100歩譲るけど、もっとマシな場所があるだろうよ、警備とかどうするつもりなのか?自分たちは強いから問題ないという脳筋思考の持ち主…だよな
「(俺には関係のないこ……)」
「申し訳ないですが石動君にも参加してもらいます」
ですよね~、なんとなくだけどあり得ると思っていたよ
「とりあえず堕天使と天使たちに土下座させましょう」
「カメラマンでも連れて歴史的な瞬間を収めてみるのも面白そうですね」
もし謝るのを渋ったら闇金ウシジマくんに掲載されていた複数の処刑方法を思い浮かべながらソーナと話していると
「ちょっといいかな?」
プール清掃が再開し細かい部分を終わらせ道具を片付け注水を開始した。女子生徒たちは汚れた体をシャワーで洗い流し、下着姿のゼノヴィアに興奮する匙がいたのでタオルで隠しているとオカ研の木場が姫島を連れてやってきた
「よくないから明日で頼む」
「ちょっとで済むから」
無論冗談のつもりで口にした。ライザー・フェニックスとの婚姻時にギクシャクした関係となったがエクスカリバー騒動にて気を許しあえる仲になった。グレモリー眷属の中でまともな会話が出来る悪魔なので邪険にはしていない
「ゼノヴィアの腹の虫が悲鳴をあげる前に帰りたいから手短に頼む」
2人を近くの椅子に座らせると余ってした差し入れの飲み物を提供し礼の言葉を貰った
「あの…以前はすいませんでした」
「問題ない、肩凝り腰痛を治すには至らなかっただけだ」
言うなれば格下の攻撃に眉をひそめるつもりはないということで、彼にとって得意としている自慢の攻撃が電気マッサージ以下の代物でしかないと皮肉られている
「コカビエルを撃退した貴方にお聞きしたいのですが、堕天使についてどう思いますか?」
「どう思うって?」
「私には堕天使の血が流れています」
彼女のカミングアウトと相談、そしてゼノヴィアの腹の虫は帰宅まで無事だろうか?多分無事じゃないだろうな、セミの鳴き声をBGMに姫島朱乃の過去が語られる
昨日は更新出来ずにすいませんでした(土下座)
ゼノヴィアが「ウナギ」発言ですが、食べたいという訳ではなく日本人は何でこの夏の時期に食べるだという疑問であり、「居候の身で贅沢するな」という意見は無しでお願いします。単なる日本の文化に興味を持っての発言です
また食事に関しても彼女に任せるとヤバいことになるので一緒に台所に立っています。なおお揃いのエプロン着用です
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
明日は高知で福永洋一記念
ユメノホノオはいないから勝ち目があるぞエコロクラージュと園田の大ベテラン小牧よ頑張れ