​『絶頂の守護者(ガーディアン) ―「イクイクの実」という最悪を授かった転生者は、不退転の努力で神域の覇道を行く―』   作:微糖コーヒー

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第10話:太古の島の残光と、蝋に刻まれる悦楽の呪印

 

 

 1. 巨大なる庭園(リトルガーデン)

 

 「……ここが、太古の島。リトルガーデンか」

 

 ゴーイング・メリー号が接岸したのは、巨大なシダ植物が空を覆い、噴火の音が絶えず響き渡る、文字通り時が止まった島だった。

 

 周囲に広がるのは、前世の図鑑でしか見たことのない恐竜たちの咆哮と、濃厚な生命の熱気。

 

 「ししし! すっげぇ、恐竜だ! 捕まえて食うぞー!」

 

 ルフィは興奮を隠しきれず、ゾロと「どっちがデカい獲物を獲るか」という勝負をしながら森の奥へと消えていった。

 

 アルスは一人、甲板で自身の指先を検分していた。

 

 ウイスキーピークでの「百人斬り」を経て、彼の能力はより精緻なコントロールが可能になっていた。

 

 (……この島には、不自然な『意志』が混じっている。バロックワークスの追手か)

 

 アルスの「見聞色」は、太古の生命エネルギーの中に、冷徹で作為的な「神経の波動」を捉えていた。それは、自らを「キャンドル・チャンピオン」と自称する狡猾なエージェント、Mr.3の放つ、粘つくような悪意だった。

 

 2. 蝋の檻と、凍りつく自尊心

 

 「ハ~ヒフヘホ! 私の『ドルドルの実』の芸術、とくと味わうがいい!」

 

 Mr.3の能力によって、ナミ、ゾロ、そして王女ビビが巨大なキャンドル・サービスの上に拘束された。

 

 降り注ぐ蝋の粉が、彼女たちの体を生きたまま像(フィギュア)に変えようとしている。

 

 「……アルス! 助けて……っ、体が動かない……!」

 

 ナミが叫ぶが、彼女の皮膚はすでに薄い蝋の膜に覆われ、呼吸すら困難な状態に陥っていた。

 

 「……美しい。芸術は完成してこそ意味がある」

 

 Mr.3が勝利を確信し、眼鏡を光らせたその時。

 

 「……芸術、か。なら、お前がその芸術の一部になるがいい」

 

 炎のゆらめきの中から、アルスが静かに姿を現した。

 

 彼の周囲数メートル、降り注ぐ蝋の粉が、まるで意思を持っているかのようにアルスを避けて地面に落ちる。

 

 「貴様、何をした!? 私の特製ワックスを弾くだと!?」

 

 「……弾いているんじゃない。お前のワックスを操る『神経の波長』を、俺の能力で『拒絶』の周波数に書き換えただけだ」

 

 アルスは無言でMr.3を見据えた。

 

 対象は、神経細胞そのもの。

 

 蝋を生成し、操作するために極限まで高められたMr.3の脳内演算。その電気信号の隙間に、アルスは「致死量」の快楽信号を滑り込ませた。

 

 「──『蝋人形の埋葬:快楽固定(キャンドル・プレジャー)』」

 

 「──っ!? ぎ、あ、あああああッ!!」

 

 Mr.3の体が、不自然な直立不動のまま凍りついた。

 

 だが、その内側では──。

 

 脳内のあらゆる神経回路が、暴走するドパミンの濁流に飲み込まれていた。

 

 彼が誇る「硬い蝋」が、彼の意志とは無関係に、ドロドロの液状となって全身の毛穴から溢れ出す。

 

 「あ、あふ、あ……ッ!! 溶ける……俺の理性が、快楽で溶けていく……ッ!!」

 

 知略を巡らせ、他者をハメることに悦びを感じていた卑小なプライドが、自らの能力によって引き起こされた「内側からの融解(メルトダウン)」によって粉砕される。

 

 Mr.3は白目を剥き、自分自身が作った蝋の海の中で、無様に腰をくねらせながら絶頂の果てに沈んでいった。

 

 3. 黄金のケアと、王女の献身

 

 戦いはルフィの活躍と、巨人族ドリーとブロギーの誇り高き助力を得て終結した。

 

 だが、キャンドル・サービスに拘束されていたナミとビビのダメージは深刻だった。

 

 蝋の粉によって呼吸器を傷め、さらに長時間の緊張と恐怖によって、彼女たちの神経系はパニックの一歩手前にあった。

 

 その夜、メリー号の医務室。

 

 「……ナミ、ビビ。無理に動くなと言ったはずだ」

 

 アルスは、呼吸が浅く、顔を紅潮させている二人をベッドに横たわらせた。

 

 特にビビは、祖国アラバスタへの焦燥感から、常に自律神経が過覚醒の状態にあり、今の戦闘でそれが限界を超えていた。

 

 「……アルス、お願い。……私を、楽にして。このままじゃ、心が壊れちゃう……」

 

 ビビが、震える指先でアルスの袖を掴んだ。

 

 ナミもまた、アルスの「指先」がもたらす究極の解放を知っているがゆえに、潤んだ瞳で彼を見つめていた。

 

 「……わかっている。……二人まとめて、その『毒』を抜いてやる」

 

 アルスは二人の間に座り、片方の手でナミのうなじを、もう片方の手でビビの脊柱の基部を捉えた。

 

 「──『二重奏(デュエット):神経の安らぎ』」

 

 アルスの体を通じて、二人の波長がシンクロし始める。

 

 それは、バロックワークスの暗殺者に与える「地獄」とは正反対の、魂の奥底まで洗い流すような、清冽な絶頂の奔流。

 

 「……あ、んっ……!! アルス、あ……ああああッ!!」

 

「……は、あ……っ、気持ち……いい……なによ、これ……っ!!」

 

 二人の女性の声が重なり、医務室の空気が一気に熱を帯びる。

 

 彼女たちが抱えていた死への恐怖、重責、そして行き場のないストレスが、アルスの「調律」によって純粋な生命エネルギーへと変換され、一気に体外へと排出されていく。

 

 数分後。汗に濡れたシーツの上で、ナミとビビは互いの手を取り合ったまま、至福の表情で眠りについた。

 

 アルスはその光景を見届け、静かに部屋の明かりを落とした。

 

 4. あとがき:性欲処理という名の「聖域」

 

 深夜の静寂。アルスは一人、甲板で月を見上げていた。

 

 一味の中に女性が増え、さらに王女という「守るべき重荷」が加わったことで、アルスの役割はより不可欠なものとなっていた。

 

 サンジは相変わらず女性陣にメロメロだが、その行き過ぎた「騎士道」によるフラストレーションは、時に料理の味に影響する。

 

 ゾロは強敵を求めるあまり、精神が研ぎ澄まされすぎて不眠に陥ることがある。

 

 そしてルフィは、無謀な戦いのたびに、その寿命を削るような代謝のブーストを行っている。

 

 アルスは、彼ら全員の「性欲」や「衝動」を、一手に引き受けていた。

 

 それは、汚物処理のような蔑んだ仕事ではない。

 

 この地獄の海を渡り切るための、もっとも純粋で、もっとも慈悲深い「聖域の管理」だ。

 

 アルスの指先一つで、仲間の歪んだ欲望は浄化され、翌朝には澄み渡った瞳で冒険に挑むことができる。

 

 その代償として、アルスは彼らの「淫らな記憶」と「弱さ」を、すべてその身に刻み込んでいく。

 

 「……副船長、か。……俺がこの能力を授かったのは、お前たちの夢を『汚れ仕事』で支えるためなんだろうな。……ルフィ」

 

 アルスは自嘲気味に笑い、水平線の向こうにある、雪の島──ドラム島を見つめた。

 

 そこには、仲間の命を繋ぐための「医者」がいるはずだ。

 

 「……さあ、次は雪山か。……凍てついた神経を、俺の熱で焼き切ってやるとしよう」

 

 

 

 




 【次回予告:雪の降る島、ドラム王国。国を捨てたクズ王・ワポルを襲う、一生震えが止まらない『永久絶頂の刑』】
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