​『絶頂の守護者(ガーディアン) ―「イクイクの実」という最悪を授かった転生者は、不退転の努力で神域の覇道を行く―』   作:微糖コーヒー

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第11話:白銀の惨劇、暴君ワポルと「永久震顫(えいきゅうしんせん)」

 

 1. 極寒の洗礼

 

 「……寒い。寒すぎるぞ、この島!」

 

 『偉大なる航路(グランドライン)』、ドラム島。

 

 メリー号を襲ったのは、すべてを凍りつかせるような極寒の吹雪だった。だが、船上の空気はそれ以上に凍りついていた。航海士ナミが、原因不明の高熱で倒れたのだ。

 

 「アルス……ナミを、助けてくれ……っ」

 

 ルフィが、かつてないほど悲痛な顔でアルスの袖を掴む。

 

 アルスはナミの額に手を当てた。その肌は焼けるように熱く、呼吸は浅い。

 

 「……リトルガーデンで、太古のダニに刺されたな。『ケスチア』──5日もあれば死に至る病だ。俺の能力で一時的に痛みを飛ばし、自己免疫をブーストさせることはできるが……根本的な治療には、医者が必要だ」

 

 アルスは指先を微細に振動させ、ナミの痛覚神経を「快楽による麻痺」で上書きした。

 

「……あ、ん……アルス……体が、軽くなった……」

 

 うわ言のように呟くナミ。だが、それはあくまで延命処置に過ぎない。

 

 「ルフィ、この山の頂上に医者がいる。お前がナミを背負って登れ。俺は……この国の『掃除』をしてから追いつく」

 

 「掃除?」

 

 アルスの視線は、雪原の向こうから迫る、巨大なブリキの潜水艦を捉えていた。

 

 2. クズ王の再来と、尊厳の解体

 

 「カバハハハ! この国は再び、この私……ワポル様が支配してやるのだ!」

 

 現れたのは、かつてこの国を捨てて逃げ出した暴君、ワポル。

 

 彼は『バクバクの実』の能力で何でも食べ、自らの血肉や兵器へと変換する。そして、彼は自分の国を「自分を治療する医者以外、病人は死んでもいい」という地獄に変えた張本人だ。

 

 「……おい、ブリキの塊」

 

 アルスが一人、雪原に立つ。

 

 ワポルは部下のチェスとクロマーリモを従え、下卑た笑いを浮かべた。

 

 「なんだ貴様は! 邪魔をするなら食べてやるぞ!」

 

 「……お前のような、他人の命を食い物にするだけのクズには、何を食べても、何を飲んでも、ただ『終わらない絶頂』という苦痛に変換される呪いを与えてやる」

 

 アルスは「見聞色」を全開にした。

 

 ワポルの身体は、食べたものを即座に消化・吸収するため、代謝スピードが異常に速い。

 

 それは、アルスの能力が伝達される速度もまた、通常の数倍であることを意味していた。

 

 「──『永久震顫:絶頂の虜囚(リミットレス・パルス)』」

 

 「──っ!? べ、べ、べ、…………ッ!!」

 

 ワポルが突如として、その巨大な口を大きく開けたまま硬直した。

 

 彼の身体を構成するすべての細胞が、今、同時に「絶頂の臨界点」を突破した。

 

 「バクバク」と咀嚼する悦び。支配する悦び。

 

 それらすべてがアルスの指先によって増幅され、暴力的な神経信号となって脳を焼き尽くす。

 

 ワポルは雪の上に崩れ落ち、自らの腹部を掻きむしった。

 

 「あ、あふっ、あぐっ、あああああッ!! 止まらん、止まらんぞ……ッ!! 雪を食っても、氷を食っても、全部が、全部が『蜜』に変わって、俺を、俺を壊していく……っ!!」

 

 ワポルはブリキの身体を無様に痙攣させ、雪原に黄色い液体を撒き散らしながら絶叫した。

 

 王としてのプライド。強欲という名の衝動。

 

 それらは今、自分の意志では一秒たりとも止められない「痙攣(けいれん)」という名の屈辱に成り果てた。

 

 「……お前の身体は、今後一生、空気を吸うだけで絶頂し、震え続ける。……それが、この国を捨てた王への、民衆の怒りの代弁だ」

 

 アルスはワポルを雪の底へと蹴り飛ばし、ルフィたちの後を追って山を駆け上がった。

 

 3. 雪山の頂と、心の治療

 

 ルフィの根性と、雪山の魔女ことドクター・くれはの治療により、ナミは一命を取り留めた。そして一味は、青い鼻のトナカイ──トニートニー・チョッパーを新たな仲間(船医)として迎えることになる。

 

 その夜、ドラムロックの城内。

 

 「……ナミ、起きたか」

 

 「……アルス。助けてくれて、ありがとう。ルフィからも聞いたわ……あなたがワポルを片付けてくれたって」

 

 病み上がりのナミは、まだ顔色が白い。だが、彼女の瞳には、死の淵を彷徨ったことによる激しい動揺が残っていた。

 

 そして、その隣には、初めての「外の世界」の暴力に怯えるチョッパーがいた。

 

 「……チョッパー。お前もこっちへ来い。……お前たちの張り詰めた『神経』を、俺が整えてやる」

 

 アルスは、怯えるトナカイの頭を優しく撫で、ナミの隣に座らせた。

 

 「──『鎮魂の調べ:微睡の王国』」

 

 アルスの両手から、温かな、それでいて心の奥底を愛撫するような波動が放たれる。

 

 ナミの病後特有の神経過敏。

 

 チョッパーが長年抱えてきた「化け物」と呼ばれた孤独の傷。

 

 それらが、アルスの「指先の魔法」によって、優しく、淫らなほどの安らぎに包まれて溶けていく。

 

 「……あ、……ぁ……。アルス、不思議ね……。あんなに怖かったのに、今は、とっても……幸せ……」

 

 「……なんだろう、これ……。心の中が、ぽかぽかして……お、お、俺、幸せになっても、いいのかな……」

 

 二人はアルスの腕の中で、互いの体温を感じながら、深い、深い眠りへと落ちていった。

 

 それは、死と隣り合わせの航海の中で、アルスだけが与えられる、唯一の「安息の地」だった。

 

 4. あとがき:性欲処理という名の「規律」

 

 ドラム島を後にし、一味はついにアラバスタ王国へと向かう。

 

 船内では、新しい仲間であるチョッパーの歓迎会が開かれていたが、アルスは一人、甲板で自身の指先を冷やしていた。

 

 彼が行う「性欲処理」や「神経調律」は、一味の規律を保つための不可欠な儀式だ。

 

 サンジの爆発しそうな欲求を、料理に集中させるための「排出」。

 

 ゾロの研ぎ澄まされすぎた殺意を、研磨するための「鎮静」。

 

 そして、ナミやビビといった女性陣が、極限状態でも「自分を失わない」ための「カタルシス」。

 

 アルスは、一味の「負の感情」をすべて自分の能力で吸い上げ、それを「快楽」という形で無害化し、海へと捨てる。

 

 その代償として、アルス自身の脳には、仲間たちの最も醜く、最も淫らで、最も脆い部分の記憶が蓄積されていく。

 

 「……チョッパーという医者が入ったが、奴にこの『汚れ仕事』はできまい」

 

 アルスは自嘲気味に笑った。

 

 精神の病、魂の歪み。

 

 それらを救えるのは、医学ではなく、アルスという名の「悪魔」の指先だけなのだ。

 

 「……さあ、アラバスタだ。……クロコダイル。お前の砂漠に、俺が『絶頂の雨』を降らせてやろう」

 

 暗い海に、アルスの冷徹な眼光が突き刺さる。

 

 航路の先には、砂塵に巻かれた亡国と、一人の王女の悲鳴が待っていた。

 

 

 

 




 【次回予告:砂漠の王国、アラバスタ。立ちはだかる七武海クロコダイル。砂の一粒一粒までを感度3000倍に変える、アルス究極の『砂漠の葬列』】
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