『絶頂の守護者(ガーディアン) ―「イクイクの実」という最悪を授かった転生者は、不退転の努力で神域の覇道を行く―』 作:微糖コーヒー
1. 繁栄の裏側、水上の迷宮
「……美しい町だ。だが、湿り気が多すぎるな」
『偉大なる航路(グランドライン)』屈指の活気と美しさを誇る、水の都ウォーターセブン。
運河を縦横無尽に走る「ブル」の背に揺られながら、アルスは周囲の建物を観察していた。一見、平和で豊かなこの町だが、アルスの「見聞色」は、路地裏や造船所の喧騒の隙間に、針のように尖った「冷徹な殺意」が網の目のように張り巡らされているのを捉えていた。
「アルス! 早くしろ! 船を直す金を持っていかなきゃ!」
ルフィが、空島から持ち帰った黄金を換金した数億ベリーの現金袋を抱え、はしゃいでいる。ナミもまた、新しい服や宝の地図に胸を躍らせていた。
だが、アルスは知っている。この町で待っているのは、単なる修理ではない。
ゴーイング・メリー号という「仲間」との、残酷な決別。
そして、闇に潜む政府の暗殺集団『CP9』の影。
「……ウソップ。お前、その袋を離すなよ。……嫌な予感がする」
「へへ、わかってるって! この俺様が、一味の宝を掠め取られるわけないだろ!」
ウソップは鼻を鳴らすが、彼の神経は緊張でわずかに震えていた。アルスは無言で彼の首筋をなぞり、微弱なパルスで「過覚醒」を抑えた。
2. 暗殺者の休息、ロビンの失踪
事件は唐突に、しかし必然として起こった。
ニコ・ロビンが姿を消し、アイスバーグ市長の暗殺未遂事件が勃発。麦わらの一味は一夜にして「悪党」として町中から追われる身となる。
嵐の前触れである「アクア・ラグナ」が近づく中、アルスは町の外れ、仮面を被った暗殺者たちが潜む廃墟へと一人で踏み込んだ。
「……そこにいるのはわかっている。CP9」
闇の中から現れたのは、鳩を肩に乗せた冷静沈着な男、ロブ・ルッチ。そして、長い鼻を持つカク。彼らは造船所の職人として潜伏していた時とは、全く異なる「死の波動」を纏っていた。
「……麦わらの一味のアルスか。……お前の記録(データ)は読んでいる。……物理的干渉を介さず、対象を無力化する特異な能力」
「……データじゃ測れないものを、今から教えてやるよ。……お前たちのその、鋼のように鍛え上げられた『六式』の肉体。……それは、最高に感度が良い『楽器』だ」
ルッチが嘲笑するように、指銃(シガン)の構えを取る。
「……無駄だ。我々は精神を殺し、ただの兵器(凶器)として生きる訓練を受けている。快楽ごときで揺らぐほど、甘くはない」
「……試してみるか? 『凶器』が、ただの『発情した獣』に成り下がる姿を」
アルスは「武装色」で自らの視神経を強化し、ルッチの全身を走る「六式」特有の、極限まで緊張した神経節をロックした。
「──『暗殺者の死:六式崩壊(サイファー・プレジャー)』」
「──っ!? ぐ、……あ、…………ッ!!」
ルッチの巨体が、一瞬にして硬直した。
彼の筋肉は「鉄塊(テッカイ)」を発動していないにも関わらず、鋼鉄のように硬くなり、同時に、全身の毛穴から冷や汗が吹き出した。
「六式」を極めるために鍛え抜かれた彼の神経は、常人の数千倍の信号伝達速度を持つ。
その高速回路に、アルスは「終わりのない絶頂」のループを流し込んだのだ。
「あ、あふ、あ……。なんだ、これは……。脳が、沸騰、する……っ!! 殺意が、……快楽に、食われる……ッ!!」
常に冷徹を保っていたルッチの瞳が白濁し、鳩が慌てて飛び立つ中、彼は自分の指で自らの胸を突き刺さんばかりに身をよじった。
殺人を唯一の喜びとしてきた男にとって、それは自分の存在意義を根底から汚される、死以上の屈辱だった。
「……お前たちの正義は、俺の指先一つで、ただの『性欲』に書き換わる。……ロビンを返せ」
アルスは冷たく言い放つが、ルッチは絶頂の波に耐えながら、血を吐くような喘ぎ声で答えた。
「……ハァ、……ハァ……。……遅い。……彼女は、……すでに、……司法の島(エニエス・ロビー)へ……向かった……」
3. 性欲処理という名の「決意の調律」
一味の崩壊。ウソップとの決闘。ゴーイング・メリー号との別れ。
ロビンの裏切り(自犠牲)。
これ以上ないほどの絶望が、メリー号の小さな甲板に漂っていた。
海列車を追う決死の覚悟を決めたその夜。
ロケットマンの車内で、アルスはナミ、そして震えるチョッパーとサンジを個室へ呼び込んだ。
「……お前たち。……今から、お前たちの『迷い』を、すべて焼き切ってやる」
「アルス……。私、もうどうしたらいいかわからないの。……ウソップを置いて、ロビンも行っちゃって……」
ナミが泣き崩れる。サンジもまた、タバコを持つ手が震え、騎士道という名の自尊心がボロボロになっていた。
「……泣くな。……お前たちが抱えているのは、優しさという名の『弱さ』だ。……エニエス・ロビーに乗り込むには、その弱さは邪魔になる」
アルスはナミの腰を引き寄せ、同時にサンジの脊椎に掌を当てた。
「──『断絶の覚悟:白濁の浄化(クリーニング・エモーション)』」
「──あ、……ぁああああああああああああッ!!!」
「……う、……ぐ、おおおおおおおおおおッ!!!」
爆発的な絶頂が、二人の脳を白く染めた。
悲しみ、悔しさ、迷い。それら複雑な感情を、アルスは「圧倒的な生理的歓喜」によって上書きし、強制的に脳を初期化(リセット)した。
それは愛撫ではない。
明日、世界政府という巨大な敵に挑むための、戦士としての「完全覚醒」。
数分後、ナミとサンジは、汗だくのまま、しかし一切の曇りがない鋭い瞳で立ち上がった。
「……ありがとう、アルス。……私、もう迷わないわ。……あいつらを、ぶっ飛ばしてロビンを連れ戻す!」
「……クソ野郎。……お前のその指先、たまには役に立つな。……最高の料理を、司法の島で振る舞ってやるぜ」
アルスは、彼らの瞳の輝きを確認し、静かに窓の外を見つめた。
嵐(アクア・ラグナ)の中、海列車は進む。
目指すは、不夜島エニエス・ロビー。
そこには、二十年間の孤独を背負った女性が、救済という名の「絶頂」を待っている。
4. あとがき:性欲処理という名の「最前線(フロントライン)」
海列車の個室で、アルスは一人、自身の指先を見つめていた。
一味の中に亀裂が入り、絆が試される時、アルスの役割はより「非情」なものとなる。
ルフィの単純明快な「怒り」を、戦闘力へと変換するための神経刺激。
サンジやナミの「迷い」を、絶頂という名のカタルシスで消し飛ばす処置。
そして、ウソップという脱落者。アルスはウソップをあえて助けなかった。彼自身が、自らの足で「絶頂(限界)」を超えて戻ってくるのを信じているからだ。
アルスは、一味全員の「人間的な綻び」を、自らの能力という名の「針」で縫い合わせている。
それは、誰も知らない、そして誰にも語られない、一味の真の結束の裏側。
「……ニコ・ロビン。……お前が望むのは『死』じゃない。……魂を激しく揺さぶられ、生を実感する『歓喜』だろう?」
アルスは独りごち、闇夜に光る司法の島の灯火を見据えた。
次は、世界政府への宣戦布告。
アルスの指先が、800年の歴史の闇に、淫らな光を灯そうとしていた。
【次回予告:司法の島エニエス・ロビー。世界政府への宣戦布告。ロビンを救うため、アルスが放つ禁じ手『全域絶頂:不夜城の陥落』。CP9を待つ、人智を超えた『地獄の宴』】