『絶頂の守護者(ガーディアン) ―「イクイクの実」という最悪を授かった転生者は、不退転の努力で神域の覇道を行く―』 作:微糖コーヒー
1. 霧の監獄、スリラーバーク
「……死臭と、湿った腐敗の匂いだな。おまけに、魂の抜けた抜け殻がうじゃうじゃいる」
巨大な口を模した門をくぐり、魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)に浮かぶゴースト島『スリラーバーク』に足を踏み入れたアルスは、鼻腔をつく異様な気配に眉をひそめた。
サウザンド・サニー号の処女航海。新しい船の輝きとは対照的に、この島を覆う霧は、生者の「意志」をじわじわと削り取るような陰湿な重みを湛えている。
「ししし! ゾンビだ! 変わった生き物がたくさんいるぞ!」
ルフィは相変わらずの無邪気さで、襲いかかる動く死体たちを「しつけ」ているが、ナミ、ウソップ、チョッパーの『ビビリ三銃士』は、かつてない恐怖に神経を尖らせていた。
「アルス……! あれ、本物のゾンビよ! 切っても叩いても死なないなんて、どうすればいいのよ!」
ナミがアルスの背中にしがみつき、その細い指先を震わせる。
「……ナミ、落ち着け。あれはただの死体に、他人の『影』という名の神経信号を無理やり縫い合わせた、不格好な人形に過ぎない」
アルスは「見聞色」で島全体をスキャンした。
この島の支配者、七武海ゲッコー・モリア。
彼の『カゲカゲの実』は、対象の影を切り取り、死体に植え付けることで、影の主の性格や能力を反映したゾンビ兵を作る。だが、アルスの分析はさらにその先を行っていた。
(影とは、魂の写し鏡……すなわち、本人の神経ネットワークの外部投影だ。ならば、その『影』に直接パルスを流し込めば、本体もろとも絶頂させられるはずだ)
2. 三怪人の蹂躙と、消えない「感度」
「ホグホグホグ! 私の天才的な外科手術で蘇ったゾンビたちに、絶望するがいい!」
天才外科医ホグバックと、透明人間のアブサロム。
彼らはナミを掠い、自らの欲望のままに「花嫁」にしようと画策していた。
だが、その婚礼の間に、音もなく現れたのは、冷徹な殺気を纏ったアルスだった。
「……お前、今その汚い手でナミに触れようとしたな、アブサロム」
「な、なんだ貴様……! 俺は『スケスケの実』で透明だぞ! なぜ場所が──」
「……透明になろうが、お前の『性欲』という名の不快な神経の波長は、この島で一番うるさく響いているぞ」
アルスは無言で、透明な空間に向かって指を弾いた。
「──『深層剥離:透明な絶頂(インビジブル・パルス)』」
「──っ!? ぎ、あ、ああああああああああああッ!!!」
何もない空間から、突如として全裸(透明だが、能力の揺らぎで輪郭が見える)の男が弾け飛び、床をのたうち回った。
アルスはアブサロムの「皮膚」ではなく、彼の「視神経」と「快楽中枢」を、透明化の能力による光の屈折そのものを介して共鳴させたのだ。
「あ、あひ、あ……ッ!! 誰かに、触られて……っ、いや、全身を舐め回されているような……っ! やめろ、俺は、俺は王になる男……あ、ああああッ!!」
透明人間としての矜持。女を攫う卑劣な愉悦。
それらが今、自分自身の脳から溢れ出す「蜜」によって汚され、アブサロムは衆人環視(ゾンビたちの前)で、自分の身体を掻きむしりながら絶頂し、廃人のように果てた。
「……ホグバック。お前もだ。死体を弄ぶお前の指先が、二度とメスを握れないようにしてやる」
アルスは、ガタガタと震える天才外科医の眉間を指差した。
「──『外科的絶頂:神経の腐敗(メディカル・オーガズム)』」
「ホ、ホグ……ッ!? あ、ぎ、ぎゃああああああああああああああッ!!」
ホグバックは、自分が改造した死体たちの前で、自らの舌を噛み切らんばかりの絶頂を迎え、尊厳と共に「シンドリー」への歪んだ愛着をすべて排泄物として垂れ流した。
3. 性欲処理という名の「影の修復」
戦いは、影を1000体取り込んだルフィ(ナイトメア・ルフィ)と、モリアの自滅によって終結した。
だが、影を抜かれていた一味や被害者たちの精神的ダメージは甚大だった。影が戻ったとはいえ、それは他人の身体(ゾンビ)に無理やり適応させられていたことによる「魂の拒絶反応」を引き起こしていたのだ。
夜明け前。サウザンド・サニー号の医務室(兼、アルスの調律室)。
「……ナミ、ロビン。それと……ブルック。こっちへ来い」
新しく仲間になったガイコツの音楽家、ブルック。彼は五十年間、たった一人で霧の海を彷徨い、影を奪われ、孤独という名の地獄を生き抜いてきた。
「……アルスさん。私のような骨に、あなたの『温もり』は届くのでしょうか。……あ、私、皮膚がないので感じないんですけどね。ヨホホホ!」
「……笑うな、ブルック。お前のその『骨』に刻まれた五十年の孤独は、骨髄の奥で今も悲鳴を上げている」
アルスはブルックの頭蓋骨に掌を当てた。
イクイクの実の能力。
それは、肉体を持つ者だけに効くのではない。
「魂の波長」が存在する限り、アルスの指先は、その「生」への渇望を快楽へと変換できる。
「──『鎮魂の調べ:黄泉の安らぎ(スカル・プレジャー)』」
「……っ!? あ……、……ああ……。温かい……。私、……生きていて、よかった……。あ、死んでるんですけどね……。は、あ……ああああッ!!」
ブルックの空洞の眼窩から、涙(魂の雫)が溢れ出す。
五十年の孤独。仲間を失った絶望。
それらが、アルスの「魂の愛撫」によって、至高の多幸感へと昇華され、浄化されていく。
続いて、ナミとロビン。
アブサロムに狙われた恐怖と、影を奪われた倦怠感に沈む彼女たちを、アルスは同時に抱き寄せた。
「……まとめて、その『影の穢れ』を抜いてやる。……声を出していいぞ。ここは、魔の海域だ」
「……アルス……。私、怖かったの。……自分が自分じゃなくなるみたいで……っ」
「……フフ、……あなたの指先。……影を奪われていた時よりも、ずっと深く、私の中をかき回してくれるのね」
アルスの指先が、二人の腰、そして背骨の基部を捉える。
三人の波長が重なり合い、サニー号の静かな夜に、最も淫らで、最も慈悲深い「浄化の喘ぎ」が響き渡った。
影の戻った彼女たちの身体は、アルスの「指先の魔法」によって、より瑞々しく、より強固な「生命の輝き」を取り戻していった。
4. あとがき:性欲処理という名の「生命の灯火」
夜が明け、スリラーバークに朝日が差し込む。
アルスは甲板で、新しく仲間になったブルックが奏でる「ビンクスの酒」を聴きながら、自身の指先を見つめた。
ゾロは、バーソロミュー・くまから受け取った「ルフィの苦痛と疲労」を、アルスの『極限調律』によってなんとか耐え抜き、深い眠りについている。
サンジは、アブサロムへの怒りを、アルスの『強制的排出』によって「守るための闘志」へと昇華させた。
アルスは、一味の誰もが抱える「魂の傷」を、自らの能力で暴き出し、それを「快楽」という名のカタルシスで上書きし続けている。
それは、汚れた仕事だ。
だが、その汚れを引き受けるアルスがいるからこそ、麦わらの一味は、いかなる闇の中でも「光」を失わずにいられる。
「……さて。……次は、シャボンディ諸島か」
アルスは、遠くに見える巨大なマングローブの群生を見据えた。
そこには、世界の頂点に君臨する「神」を自称するクズ共が待っている。
「……天竜人。……お前たちのその『神聖』という名の傲慢を、俺の蜜で泥まみれにしてやる」
アルスの瞳が、朝日に照らされて黄金色に輝いた。
【次回予告:シャボンディ諸島。天竜人チャルロス聖への『神罰』。一味崩壊の危機。黄猿の光速を越える、アルス命がけの『絶頂の防波堤』】