​『絶頂の守護者(ガーディアン) ―「イクイクの実」という最悪を授かった転生者は、不退転の努力で神域の覇道を行く―』   作:微糖コーヒー

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第8話:双子岬の静寂と、深淵なる「調律」

 

 

 1. 絶壁を越えた先の邂逅

 

 リヴァース・マウンテンの猛烈な急流を駆け抜け、麦わらの一味を乗せたゴーイング・メリー号は、ついに「偉大なる航路(グランドライン)」へと突入した。

 

 しかし、眼前に広がっていたのは無限の水平線ではなく、空を覆い尽くすほどの漆黒の壁──世界最大のクジラ、ラブーンの巨体だった。

 

 「なんだこれ……! 山か!? 山が動いてんのか!?」

 

 ウソップが腰を抜かし、ルフィが興奮で鼻息を荒くする中、アルスは一人、静かにラブーンの放つ「波動」を読み取っていた。

 

 ラブーンの頭部には、無数の傷跡がある。それは何十年もの間、赤い土の大陸(レッドライン)に頭をぶつけ続けてきた絶望の証明だった。

 

 (……このクジラ、神経が悲鳴を上げているな。これほどの巨体だ。溜まったストレスの総量は、人間数万人分にも匹敵する)

 

 結局、ルフィの「喧嘩(約束)」と、灯台守のクロッカスによる解説を経て、ラブーンの荒れ狂う精神は一時的な落ち着きを見せた。

 

 だが、その背後でアルスは、ラブーンを狙う奇妙な二人組──バロックワークスのエージェント、Mr.9とMiss.ウェンズデーを、すでに無力化していた。

 

 「……あ、あぐっ……。なんだ、この指先は……。俺の、俺の王族としての……あ、あああッ!!」

 

 Mr.9が涎を垂らして失禁し、気絶している傍らで、アルスはMiss.ウェンズデーこと、アラバスタ王国の王女ビビを見つめていた。

 

 「……お前、その瞳……。ただの賞金稼ぎじゃないな。国の重みを背負っている神経の細やかさだ」

 

 「……何、を……。貴様、何をしたのよ……」

 

 ビビが恐怖に震える。アルスは彼女の首筋に微弱なパルスを送り、その意識を一時的に奪った。

 

 2. 嵐の前の「メンテナンス」

 

 一味が双子岬を後にし、最初の島「ウイスキーピーク」を目指して帆を上げた夜。

 

 記録指針(ログポース)が指し示す予測不能な海流と天候に、ナミは極度の緊張状態に置かれていた。

 

 「……信じられないわ。海流も風向きも、これまでの知識が全く通じない。……私が、私がしっかりしなきゃ……」

 

 海図を握りしめ、キャビンで震えるナミ。

 

 東の海(イーストブルー)での過酷な八年間を乗り越えた彼女にとって、「失敗」は死を意味する。その強迫観念が、グランドラインの洗礼を受けて再燃していたのだ。

 

 そこへ、無言でアルスが入ってきた。

 

 「……ナミ。少し、手を休めろ」

 

 「アルス……。ダメよ、今私が離れたら、この船はどこへ流されるか……っ」

 

 「……お前の神経は、今にも焼き切れそうだ。……このままでは、島に着く前に脳がパンクする」

 

 アルスは強引にナミの肩を掴み、椅子に座らせた。

 

 彼は知っている。ナミという女性は、誰よりも責任感が強く、そして誰よりも「孤独な夜」に弱い。

 

 「……一度、すべてを吐き出せ。……これは、副船長としての命令だ」

 

 アルスの指先が、ナミのうなじ、そして脊椎の付け根に触れる。

 

 精密に制御された「イクイクの実」の波動が、ナミの神経系を優しく、だが暴力的なまでの快楽で包み込んでいった。

 

 「……あ、……ぁ……。アル、ス……っ、やめ、て……誰かに、見られ……っ!!」

 

 「……防音は完璧だ。……ルフィたちは甲板で騒いでいる。……お前はただ、溜め込んだ『毒』を流し出せばいい」

 

 アルスの指が、ナミの最も敏感な神経節を愛撫するように叩く。

 

 それは肉体的な接触を超えた、魂への直接的な干渉。

 

 ナミの理性の糸がプツリと切れ、彼女はアルスの胸の中で激しくのたうち回った。

 

 恐怖、不安、そして女としての欲求。それらすべてが「至高の絶頂」という名の奔流に飲み込まれ、浄化されていく。

 

 数分後。ナミは汗ばんだ体をアルスに預け、赤ん坊のような無垢な表情で眠りに落ちた。

 

 アルスはその寝顔を確認し、静かにキャビンを後にした。

 

 3. あとがき:性欲処理という名の聖域

 

 深夜。甲板ではゾロが修行を続け、サンジが夜食の準備をしている。

 

 アルスは自身の部屋に戻り、暗闇の中で自らの指先を見つめた。

 

 この船において、アルスの役割は多岐にわたる。

 

 戦闘員、整体師、そして──。

 

 グランドラインという地獄のような海を航海するにあたり、乗組員たちの精神的ストレスは計り知れない。

 

 特に思春期から成人期にかけての血気盛んな若者たちが集まるこの船において、性的な衝動やストレスの蓄積は、時に一味の結束を揺るがす不発弾となる。

 

 アルスは、自らの能力を「性欲の強制処理」として運用することに、一切の躊躇を持たなかった。

 

 それは愛欲ではない。

 

 サンジの騎士道が行き過ぎ、女性への執着が精神を汚染し始めた時。

 

 ウソップの恐怖心が限界を超え、パニック障害を引き起こしそうになった時。

 

 あるいは、ナミやロビン(後に加わるであろう)が、女性特有のホルモンバランスの乱れで判断力を欠きそうになった時。

 

 アルスは彼らを呼び出し、その指先一つで「余分なエネルギー」を排出させる。

 

 脳を焼き切る一歩手前の、だが後腐れのない純粋な生理的絶頂。

 

 それは、最悪の能力を授かったアルスにしかできない、最も効率的で、最も淫らな「船内メンテナンス」だった。

 

 「……副船長、か。……つくづく、俺は損な役回りだな」

 

 アルスは自嘲気味に笑い、横たわる自身のベッドを叩いた。

 

 明日には、歓迎の町「ウイスキーピーク」に着く。

 

 そこには、自分を殺しに来る百人の賞金稼ぎが待っている。

 

 彼らに与えるのは、仲間への「癒やし」とは真逆の、魂まで汚染する「絶望の快楽」だ。

 

 「……さて。……少しは楽しませてくれよ、バロックワークス」

 

 闇の中で、アルスの瞳だけが、獣のように紅く光っていた。

 

 

 

 




 【次回予告:歓迎の町、ウイスキーピーク。百人の賞金稼ぎを襲う、一晩中続く「絶頂の虐殺」。そして、王女ビビの真実】
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