​『絶頂の守護者(ガーディアン) ―「イクイクの実」という最悪を授かった転生者は、不退転の努力で神域の覇道を行く―』   作:微糖コーヒー

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第9話:月下の惨劇、百人の賞金稼ぎと「悦楽の地獄」

 

 

 1. 歓迎の裏側

 

 「ウイスキーピークへようこそ! 海の英雄たちに乾杯だ!」

 

 サボテンのような形の奇岩がそびえ立つ町、ウイスキーピーク。

 

 そこは、グランドラインに入ったばかりの麦わらの一味を、熱狂的な歓声と大量の酒、そして山のような料理で迎えた。

 

 「ししし! 最高だこの町! 食え食えー!」

 

 ルフィは両手に肉を持ち、サンジは美しい女性たちに囲まれて鼻の下を伸ばし、ウソップは自慢話に花を咲かせる。ナミもまた、酒豪ぶりを発揮して町中の男たちを飲み潰していた。

 

 だが、アルスだけは一口も酒を口にせず、喧騒から離れた影で冷めた視線を走らせていた。

 

「見聞色」で捉える町の鼓動は、祝祭のそれではない。

 

 背後の路地で、食器を運ぶふりをした「海賊狩り」たちが、ナイフの刃を研ぐ微かな金属音。そして、建物の上から放たれる、獲物を品定めするような数多の殺意。

 

 (……賞金稼ぎの町、か。バロックワークスの下っ端どもが。酒で意識を飛ばし、寝首を掻く……三流のやり口だ)

 

 アルスは、自らの神経系を「戦闘モード」へと移行させた。

 

 ゾロもまた、酔ったふりをしながら刀の柄に手を添えている。彼はアルスと視線を合わせ、わずかに口角を上げた。

 

 「……アルス、お前も気づいてるか。……何人いる?」

 

「百人、といったところか。……ゾロ、お前は外で暴れてこい。俺は、この『祝祭』の主賓たちに、特別なデザートを振る舞ってやる」

 

 2. 百人斬り、そして「絶頂の虐殺」

 

 深夜。酒宴が静まり返り、ルフィたちが(表向きは)眠りについた頃、百人の賞金稼ぎたちが一斉に牙を剥いた。

 

 「へへへ、麦わらの首を獲れば、社(エージェント)での昇進は間違いなしだ!」

 

 だが、彼らの前に立ちはだかったのは、月光を背負い、静かに佇む一人の男だった。

 

 「……誰一人、生きて夜明けを見ると思うなよ」

 

 アルスの声は、夜風よりも冷たかった。

 

 彼は腰の短刀を抜くことすらしなかった。

 

 両手を広げ、指先をわずかに動かすだけで、大気そのものが「快感」を媒介するメディアへと変貌する。

 

 「──『覚醒:悦楽の領界(フィールド・オブ・プレジャー)』」

 

 「──っ!? な、なんだ、この空気……っ、熱い、甘い……!!」

 

 襲いかかろうとした数十人の賞金稼ぎたちが、その場で一斉に動きを止めた。

 

 アルスの周囲数十メートルが、能力の「覚醒」によって支配された空間。

 

 そこでは、風が肌を撫でるだけで、あるいは一歩足を踏み出すだけで、脳の報酬系が焼き切れるほどの快楽信号が強制的に送信される。

 

 「あ、あぐっ、あああああッ!! 腰が、腰が抜ける……っ!!」

 

「助けてくれ、俺は、俺は戦いたいんだ、なのに、体が……ッ!!」

 

 月明かりの下、百人の男たちが、武器を捨てて地面を転げ回った。

 

 それは戦闘ですらない。

 

 一方的な「生理的蹂躙」。

 

 アルスは一歩、また一歩と、身悶える男たちの間を歩いていく。

 

 彼が通り過ぎるたびに、男たちの絶叫はより高く、より淫らな喘ぎへと変わり、やがて白目を剥いて泡を吹き、魂が抜けたように失神していく。

 

 一晩中続いたのは、剣劇の音ではなく、終わりのない絶頂の合唱だった。

 

 夜が明ける頃、ウイスキーピークの町には、尊厳を完全に失い、廃人同然となった百人の男たちが、泥濘の中で折り重なっていた。

 

 3. 王女の素顔と、冷酷な指先

 

 騒動の最中、アルスは町の外れで、一人の女性を追い詰めていた。

 

 Miss.ウェンズデー。正体は、アラバスタ王国の第一王女、ネフェルタリ・ビビ。

 

 「……Mr.0の正体を知るために、あんな組織に潜入していたのか。……愚かな王女だ」

 

 「……何よ、あなたに何がわかるのよ! 私の国は、今この瞬間も失われようとしているのよ!」

 

 ビビが孔雀(クジャク)一連(スラッシャー)を構える。だが、アルスは一瞬で間合いを詰め、彼女の手首を掴んだ。

 

 「……落ち着け、王女。お前の神経は今、絶望と焦燥でパニックを起こしている。……その状態で何を話しても、ルフィの心には響かない」

 

 「……っ、離して! 何をする気……あ、あぁ……っ!!」

 

 アルスの指先が、ビビの首筋にある「大椎」のツボに触れた。

 

 能力による強制的な鎮静。

 

 ビビの瞳から、それまで張り詰めていた緊張が涙となって溢れ出した。

 

 彼女の体から力が抜け、アルスの腕の中に崩れ落ちる。

 

 「……安心しろ。お前の国を救うのはルフィだ。……だが、お前のそのボロボロになった精神を救うのは、俺の役目だ」

 

 4. あとがき:船内における「性欲処理」の実践

 

 翌朝、ビビを一味に迎え(暫定的だが)、メリー号はウイスキーピークを後にした。

 

 ルフィたちは昨晩の騒動を「面白い魔法だったな!」で済ませていたが、ビビだけは、アルスに対して言いようのない恐怖と、そして抗い難い「依存」を感じ始めていた。

 

 それは、船内の医務室でのことだった。

 

 「……ビビ、こっちへ来い。……昨晩の能力の残滓を抜いてやる」

 

 「……な、何を……。私は大丈夫よ。そんな破廉恥な……」

 

 「……お前の体は、すでに俺の能力を覚えている。……無理に抑え込めば、判断力が鈍り、敵の策に嵌るぞ」

 

 アルスは無言でビビを椅子に座らせ、背後に回った。

 

 彼にとって、これは性的な奉仕ではない。

 

 バロックワークスという巨大な敵、そして七武海クロコダイルという「砂漠の王」に挑むためには、ビビという駒を常にベストな状態に保つ必要がある。

 

 「……あ、……んんっ…………!!」

 

 アルスの指先が、ビビの脊椎をなぞる。

 

 それは、彼女が王族として、一人の女性として、これまで厳格に律してきた理性を、一瞬で溶かす魔法。

 

 ビビの細い指がシーツを掴み、彼女は声にならない声を上げた。

 

 数分後、彼女の脳内には一切の曇りがなくなり、冷徹なまでの判断力が戻っていた。

 

 「……ふぅ。……最低の男ね、あなたは」

 

 「……最高の褒め言葉だ」

 

 アルスは汗ばんだ指先を拭い、部屋を出た。

 

 甲板からは、サンジの「ナミさーん! ビビちゃーん!」という叫び声が聞こえる。

 

 仲間を守るための、聖域としての「癒やし」。

 

 敵を滅ぼすための、深淵としての「絶頂」。

 

 アルスの航海は、いよいよクロコダイルという巨大な標的を捉え始めていた。

 

 「……砂の王か。……その渇いた神経、俺の蜜で満たしてやるとしよう」

 

 

 

 




 【次回予告:リトルガーデン、巨人族の決闘。Mr.3のキャンドルサービスを襲う、溶けることのない絶頂の炎】
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