その男、ギルド戦力につき~当方、ギルド職員。世界支配のために本日も残業中~   作:onakatarumi

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1章 第11話 上級冒険者と捕縛クエストの実行

 

 『輝ける道』が拠点にしている借家へと向かう道すがら。ルナはムクロから任務の詳細と、そして今回の顛末の説明を受けた。

 

「まあ、あんたの調査のかいもあって、調べるべき対象が絞れたからな。あとはトントン拍子だ。資産の流れそのほかを洗って『輝ける道』が黒だと確定。勘付かれて逃げられても困るから、こうして急遽拘束する流れになったわけだ」

 

 その説明に対して、ルナはいくつか気になる点があったが、その場では口にしなかった。『輝ける道』の拠点が近づいていたからだ。

 

 到着と同時に衛兵団による拠点の包囲、周辺住民の避難が速やかに行われ。

 

 衛兵団所属の突入要員が扉を叩き、罪状を読み上げて投降を促す。

 

「『輝ける道』の諸君! 君たちには危険魔具の不正流出に関わった疑いがある! 速やかに武器を捨てて出てきなさい! この周囲は完全に包囲されている! また抵抗した場合、冒険者倫理法ならびに国務執行――」

 

 投降を促す言葉は最後まで語られることは無かった。

 

 『輝ける道』の拠点が爆発したからだ。

 

 突入要員であった衛兵団の者達は、吹き出す炎のよって丸焼けとなり、のたうちまわる。

 すかさず、何人かの同僚が飛び出し、消化のための魔法を行使しようとする。

 

 その間にも、扉のみならず、窓という窓から炎が吹き出し、あたりは黒煙で覆われた。

 

 黒煙は燃焼によるものだけではない。黒煙の量があまりに多すぎた。

 煙幕の役割と、更には探知妨害の魔法効果を含んだそれであった。

 

 ルナが持つ『探魔の銀盤』の表示が乱れていることがその証左であった。

 

 戦闘になった際の前衛役を任されていたルナは即座に抜剣し、それに備える。

 この煙幕を利用して『輝ける道』のメンバーが離脱を試みていることは明らかだった。

 

拡散(スパルガ)炎の矢(サギッテ・イグニ)!」

 

 爆発によって動揺する衛兵団の囲いに対して、炎上する借家の中から魔法が撃ち込まれる。流石というべきか、衛兵団の者たちは即座に大盾を構えてそれを防ぐ。

 

 だが、それは次の行動への対処を遅らせるための一撃だった。

 中層でモンスターに対して見せたのと同様の戦法が、今度は同胞たる人間に対して用いられている。

 

 炎の中から飛び出す人影が三つ。ルナも会ったことのある『輝ける道』のメンバー達だった。

 

 それぞれが、最も包囲の列に乱れがある部分をめがけて突き進む。

 

 それは、火に巻かれた突入要員救助のために動いた部分であった。

 

 身体強化の魔法もかけているのだろう。その突進の速度は早い。

 衛兵団の囲いが破られると見て取り、ルナは前に出ようとした。

 

 そこで。秋虫の鳴き声の様な高音がルナの耳を突いた。

 

 それは黒い鎧を着込んだ監査騎士団の者たちが構えた武器から響く音だった。

 『無弦の鉄弓』と似た拵えだが、その杖長はより長く、人の肩から指先ほど。

 

 杖身が光を放ち、その光が強くなるのと同期して、リリリと途切れて鳴っていた秋虫音がリィィィとひと続きの音となる。

 

「ほう。『瀑布の鉄弓』か」

  

 緊迫した状況下で、ムクロの妙に呑気な声で呟くのと。その『瀑布の鉄弓』の杖身の先から、無数の鉄針が撃ち出されるのは同時だった。

 

 射撃の先は無論のこと、突進してくる『輝ける道』のメンバー達。

 

 全員がダンジョンで見たものとは異なる甲冑姿で、明らかに防御力が高いと知れるものだった。

 

 その甲冑に鉄針が殺到し、次々と命中する。

 鉄が鉄を叩く音。しかし、連続し過ぎていて全く耳慣れない非日常音が響き渡り。

 

 それに混じり、硝子が割れる様な音が聞こえた。

 

 それは冒険者が、ダンジョンの中で最も聞きたくない音であった。

 体力値が削られて0となり。次の一撃が肉体を傷つけることを確約する音。

 

 そして。甲冑の防御を突き破られ、体力値も削り取られた『輝ける道』のメンバー達が、()()

 

 幾つもの鉄針が突き刺さり、突き破り。赤い血と肉を撒き散らし、体積を減らしながら、その身体は跳ね回った。

 

 五体満足の身体が死体と呼ぶにも憚られる物体となって初めて、射撃が止む。

 

 三人の中級冒険者達が、一瞬で屠られていた。

 ここが地上であり、彼らの力が減退していることを考えても、あまりにも容易くもたらされた死。

 

 監査騎士団。国家権力が振るう、国家武力。

 そのあまりの強大さに、同じ側に属しているはずの衛兵団たちでさえ息を飲み。

 そして。

 

「来るぞ」

 

 誰にも聞き取れないような小声で、ムクロが警告を発した。

 

 リィ、と短い秋虫音。しかし、衛兵団も監査騎士団もだれも『鉄弓』を使用していない。音源は炎上する借家の中だった。

 

「まあ向こうも」

 

 馬上槍めいた、巨大な鉄針。

 

「持ってるわな」

 

 それが空気を断ち、ムクロの一言を二つに断つほどの勢いで射出され、監査騎士団の一人へと突き刺さった。

 

 直後、爆発。

 

 直撃を受けた監査騎士団は原型をとどめず、周囲の衛兵たちも吹き飛ばされる。

 そして、射出された鉄針を追うようにして人影がひとつ飛び出す。

 

「ルークか!」

 

 『輝ける道』の最後の生き残り、ルークは崩れた包囲を飛び越え、走り去る。 

 

 

 爆心地から離れていた故に、そして高レベルのステータスゆえに無事だったルナは、飛び出した人影の正体を見て取ると、即座に追撃を開始した。

 

 

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