蛇遣い座のオデッセウスが転生して今度はドンナになるようです 作:久保サカナ
なんか普通にSwitch2とか出ているけれど連載当時の時代考証が面倒くさい為です()
まぁ、米花町の隣町だという時点でお察しください。
そして、とっぷり日も暮れて、1日の業務を全て終え偏在を回収した私である、流石にまだ中学生であるため並盛病院の夜勤シフトには入っていないのだ。
最も、私で無ければ対応出来ない急患や聖域からの任務が入った時用に専用のスマホは肌身離さず持ち歩いている。
隣町・米花町の病院は常にキャパオーバーである、特に霊安室が。
だが米花町で霊安室送りではなく怪我や病気で一命を取り留めるのは幸運だという見解もある、一般人ならば命あっての物種だ。
そのため、急患が並盛に回されて来る場合も少なくはない、私ならば光速で現場に急行出来る。
それに…私の超直感が「今日は早く帰るべき」と伝えて来るのだ、日中偏在達に妙な視線や気配を感じたのも理由だ。
(おじいちゃんも「見られているぞ」と伝えて来た)
あの視線と気配………相当な手練れと見た、まさか他の神の闘士が既に動いているのか?
「ただいま」
「ちゃおっス」
家の中に足を踏み入れると、足元から聞いた事のない声が聞こえて来た、視線を向けると黒のボルサリーノ帽を被り同じく黒のスーツを着た二足歩行する赤子が此方に挨拶をして来たのだ。
だが、私の医司としての目はこの赤子から凄まじいまでの「呪いの気配」を感じ取るのだった………星矢を呪うハーデスの剣がごとしだ、まるで「世界のための人柱を赤ん坊の姿に変えて強要している」様な………
「ただでさえ早く着いちまったのに、お前がなかなか帰って来ないから待ちくたびれたんだぞ」
「お前は何者だ………もしやアテナ以外の神に仕える闘士か?」
「へぇ…良いじゃねぇか。既に開花しているみてぇだな」
「あ〜!せっちゃん、おかえりなさい!!」
私達の間に走る緊張………を解きほぐしたのはキッチンから現れた母さんだ、手には夕食を用意する最中だったのだろう…お玉が握られている。
「母さん、この赤子は何処のどなただ?親戚の子ではあるまい?」
「それがね〜!「奈々さん、先に夕食にしませんか?瀬名姫も疲れた事でしょう」「お母さん…お腹空いた」そうね、そうしましょう。リボーンちゃんもそれで良いわよね?」
「ああ、良いぞ。家光の奴が「奈々の料理は世界一だ!!」って自慢してたから楽しみだぞ」
リビングから現れたのはマフィア嫌いで髪型になみなみならぬこだわりのある義兄…骸と暗くなる前に先に帰した凪である、母さんもその言葉を受けてキッチンに戻り、リボーンと呼ばれた赤子もリビングに向かうのだった。
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「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
夕食を食べ終えて、食後のお茶をいただき(夜なのでノンカフェインの麦茶だ)、一息ついた私達。
そして、改めて「この赤子は誰だ?」という話に帰結するのだが………母さんは「リボーンちゃんは沢田家の家庭教師になってくれるそうなのよ!お父さんからのプレゼントですって、お手紙が一緒に届いたのよ」と言って手紙を渡して来た。
そこには確かに父さんの筆跡で「いつも寂しい思いをさせて済まない、代わりと言っては何だが家庭教師を手配させて貰った。リボーンは俺の親友で今でこそ赤ん坊だが多くの生徒を立派に育て上げて来たスーパーティーチャーだ。きっとせっちゃんの力になってくれるだろう(要約)」と書いてあった。
なるほど、家庭教師か…だが、父さんがマフィアの若頭である以上、急にそんな手配をするなど絶対に裏がある。
何故ならば私の超直感がさっきから激しく警鐘を鳴らしているからだ、それに赤子を家庭教師につけるなど常識的に考えてありえないだろう………中学生でありながら病院で働く私が言えた義理では無いかもしれんが。
何よりもさっきから骸の様子がおかしい、骸は重度のマフィアアレルギーでマフィアはアレルゲンである、さっきから症状が出ている様だ。
「瀬名姫、家庭教師としてお前と話がしてぇんだ」
「良いぞ、食器を洗ってからな」
夕食は母さんがいつも作ってくれるため、食器洗いは私達3人で当番を決めてやっているのだ、今日の当番は私だった。
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そして、自室にて………骸と凪も一緒だ。
「単刀直入に聞かせてもらおう、リボーン、お前は何者だ?何の目的があって私達の家庭教師になるのだ?お前はおそらく……父さんの親友ならば裏社会の者だろう」
「それが分かってんなら、話が早いな。俺の本職は殺し屋だ、今は家光の所属しているボンゴレファミリーっていうマフィアに雇われている。俺の仕事はお前をそのマフィアの10代目のボスに育て上げることだぞ」
「何言ってんですか!?このアルコバレーノが!!そんな事許しませんよ!!!」
「骸、落ち着け」
「クフン……」
「話を戻すぞ?そのボンゴレファミリーの9代目は既に高齢でそろそろ引退を考えていたんだ、だが3人いた候補者が3人とも死んじまってな。お前に白羽の矢が当たったんだ」
そう言いながら候補者3人の死体の写真を見せて来るリボーン、ふむ、それぞれ銃殺、溺死と見せかけた絞殺、刺殺の後に埋められたといったところだろう………私は医司(ドクター)なため死体を見れば一目で死因が分かるのだ、職業病とも言う。
横に浮かぶおじいちゃんに目線をやると大変申し訳無さそうな顔をしている、おそらく創設者として自責の念に駆られているのであろう。
私がどうしたものか………と思考していると、いつの間にか丸いボディの梟…コクトーが私の肩に留まっていた、という事はつまり…!
「オイ、何だその梟は、お前のペットか?」
「コクトー、お前が来たという事は…!」
「神託(オラクル)である、瀬名姫………ボンゴレファミリーの10代目になるのである、これはアテナと聖域からの勅命である」
「わかった、ならば引き受けよう。10代目とやら、なってやろうではないか」
「瀬名姫!?」
「お姉ちゃん…」
「随分と物分かりが良いじゃねーか」
「だが、その前に私の自己紹介をしておくべきだろう」
そう言いながら、私は首にかかっていた蛇遣い座の紋章が刻まれたペンダントを目の前で翳す、するとペンダントは光を放ち、次の瞬間には黄金に輝くとぐろを巻いた蛇の中央に佇む賢者のオブジェと化した。
リボーンは警戒して銃を私に向けるが、私の聖衣装着の方が早い!
そして、私は蛇遣い座の黄金聖衣を装着、黄金聖闘士としての正装でリボーンと対峙するのであった。
「私は戦女神アテナに仕える黄金聖闘士がひとり、蛇遣い座の瀬名姫」
「黄金聖闘士だと………!?」
聖闘士とは、この世界に於ける異能者の頂点にして、力に溺れて無辜の民草を虐げた者に対する処刑人である。
裏社会…マフィア専門の復讐者とは別に存在し、世界中の異能者に対する抑止力として神話時代から存在して来た………アルコバレーノといえど例外ではない。
なにせ、人類が発展したにも関わらず未だに対処法の一切存在しない神々の侵略や人智を超えた怪物から人類を守り続けたのも戦女神アテナと聖闘士である、アテナと聖闘士が存在しなければ人類はとっくの昔に滅亡していただろう。
「リボーン、私は病める者、傷つく者、呪われる者を見ると治さずにはいられぬのだ。何処の神かは知らぬがその呪い、解呪してやろう」
「治せるのか!?」
神 杖 起 動 (ゴッドロッドインヴォーグ)
そして、私はアスクレピオスの神杖を掲げ、かつてクロノスに呪われたアテナを解呪した時の様にリボーンにかかっていた呪いを解いた。
すると、リボーンの姿は赤子から大の大人の姿に変化…いや、戻ったではないか!
「マジでか…!呪いが解けやがった!!」
感極まった様に呟くリボーンに対して、私は医司としての説明義務を果たす、これはクロノスの悪戯とは訳の違う複雑かつ高度な呪詛なのだ。
「あくまで、一時的なものだ。今の私の解呪ではせいぜいが、1週間ほど大人の姿に戻すのがやっとだ」
私の言葉を聞いて、落胆を表情に浮かべるリボーン。しかし、私は彼を安心させる様に言葉を続けた。
「だから、リボーン!私の患者になれ、あと他のアルコバレーノも紹介してくれ。呪われる者に対して理解を深め、多くのサンプルを集めて比較する事が完全なる解呪には必要なのだ!!」
「ああ、なってやろうじゃねぇか。俺たちは家庭教師と生徒でありながら医司と患者………面白くなって来たな」
そして、私はリボーンに対して手を差し伸べる………彼は私よりも大きな手で私の手を取った。
「群れアレルギーもマフィアアレルギーもアルコバレーノの呪いもかつては不治の病とされていた──だが、今は違う!医術の進歩により治療法が確立されたのだ!」(ギュッ)
並盛町は米花町からの難民を受け入れて発展して来た、という歴史があります。
ただ、治安も悪化するため土地や建築物や町民を守るべく風紀委員会による独裁が必要でした。
米花町においては畑で栽培されている爆弾と銃火器の旬である春先には、市場に爆弾と銃火器が流通して並盛町にも出荷されるため「持たない、持ち込ませない、作らない」のスローガンを掲げた爆発物処理資格持ちの風紀委員による巡回と取り締まりが並盛町の春の風物詩です。
おら、こんな町嫌だ!友枝町に行くさ!!
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