蜘蛛子さんの休暇、スライムを添えて。 作:自称最悪の邪神
あ、そうだ。
あの蟻の死体放置したまんまじゃね?
お残しは私の信条に反する!
そう思って、振り返ると蟻の死体は無くなっていた。
ええっ?!
何で?
ホラーですか?!
「蟻はどうなったの?」
私が話しかけると、一瞬きょとんとした顔をした後、
「ああ、無くなったのが不思議なんすね。実は、コイツの影の中に入れて持って行ってるんすよー。」
そう言ってゴブタは狼の内の一体を指した。
あ、いや。
正確には狼の影を指していた。
マジで?
空間魔術の一種か何か?
それにしてはそれらしい気配が全く無かったんですけど。
ここも何か、変なシステムの付けられた世界なんだろうか?
でもDがそう何度も同じ事をするなんてちょっと考えられないしなー。
そうして考えながら森の中をてくてく歩いていく。
……疲れた。
そりゃそーよ。
さっきまで死ぬ気で逃げてたんだもん。
なんで私は未だに自分の足で歩かされているんだ。
気の利かないゴブリン(仮)に向けて不満のオーラを放ってみるけど、全く意に介さぬ様子。鼻歌まじりに森をずんずん進んでいく。
狼たちは私の視線に気づいたようで、こちらをチラチラと見てきている。
気になるんなら背中に乗せてくれやしませんか。
あ、狼の中の一匹がこっちに近づいて来た。
乗せてくれるんですか。
あでもコレ、私の身長だとすっごい跨りにくい。
お子様サイズにはキツイわコレ。
うおおお。
足がつりそう。
あ。
下半身を蜘蛛にして登る。
毛並みにいい感じに足を引っかけてあっさりと背に乗ることができた。
いやー。
恥ずかしいね!
やっぱ疲れていつも以上にアホになってしまっているかもしれない。
にしてもこの狼はいいワンコだ。
気が利くし、手触りもいい感じにモフモフだし。
乗せてくれた礼も兼ねて狼の首辺りを撫でてモフモフを堪能する。
ぐぅおおぉぉ……
突然の異音。
うわ。
今のお腹の音?
私の?
そういえば私、ここに来てから何も食べてないじゃん!
猛烈にお腹が空いていたことに気付く。
あー。
蟻のこと確認したときに見せてって言って外に出してもらえば良かったなー。
そしたら足をポリポリ齧れたのに!
前を歩いていたゴブタがぴたりと足を止めた。
狼たちの耳もぴくっと動く。
結構いい音鳴ったからなー。
「腹減ってるんすか?」
こくりと頷く。
なんかおやつプリーズ。
さっきの蟻でもいいよー。
「ジャイアントアントに追い回されてたなら、そりゃ腹も減るっす。」
ゴブタはそう言いながら腰の袋を漁る。
取り出したのは、昔話で出てきそうな筍の皮の包み。
「ほい」
ぽいっと投げられる。
反射的にキャッチ。
「とりあえず、これ食べておくといいっすよ!」
開けてみると中にはおにぎり。
おにぎりて。
まあこの包みならありがちな中身だけど、今までの展開とのギャップが凄い。
まあとりあえずいただきます。
おいしい。
中身はツナマヨ。
めっちゃ現代感溢れる具材だな!
どういう世界観なんだこれは……
無言でもぐもぐおにぎりを食べながら森の中を進んでいく。
いや、元からロクに喋ってないけど。
不意に前方の景色が開ける。
「よし、森を抜けられたっすね。」
そこには大きな街道があった。
3話かけてやっと森を出ました。
投稿できる文字数になったらすぐ投稿しちゃってるので小刻みになっちゃってるからなんですけども……
蜘蛛子さんのハイテンションな地の文を再現するのは難しかったんだなと感じています。
別人になってそうな気がしてやばいです。