God, I need help   作:nyasu

4 / 4
Who's she, sir?

心臓の鼓動がやけに煩い。

まるで、誰かの胸に耳を当てて音を聞いてるようだ。

そんな音のテンポは、だんだん間延びして、そして鳴っているのか鳴っていないのか分からないくらいの感覚になった。

 

これは、あれか、走馬灯と言う奴だろうか。

俺が死んだら世界はなくなるはずだから、ということは走馬灯出来てるから生きてると思う。

まぁ、死ぬ前に助かる方法色々考える的な奴だっけ、なんで死にかけてんだよ。

 

『走馬灯、人生の回顧録、魂の審判。科学的には脳内のガンマ波の増大によるもの、オカルティズム的には魂による極大のストレッサーへのアレルギー反応。主体的な時間による延命でもあるソレ』

「そ、その声は……さっき名前を知ったギャル!イヨではないか!」

『そうだけど、私は虎かよ』

「どういうこと?」

『あっ、これ、学がない系だ』

 

そこはかとなく馬鹿にされた気がする。

俺の目の前には止まったままのニンジャとギャルがいる。

ニンジャって名乗ってたし、多分ニンジャ。

 

「おい、どういうことなのか説明してくれよ。あっ、喋れるんか」

『落ち着いて聴いてください、貴方は死にました』

「えぇ……でも、えっ、今生きてるじゃん」

『死ぬってことは状態の変更であって、今は上書きされるまで完全に死んだって訳じゃないの。パソコンで削除しても場合によっては復元出来るでしょ、それ』

 

そうなんだ。

パソコン詳しくないけどゴミ箱にブチ込まれてるイメージだろうか。

というか、なんで死んだの。

 

『それは、ニンジャリアリティショックのせいよ』

「なんだその意味不明なトンチキな死因は」

『トンチキ?いいえ、ニンジャ固有アビリティによる存在位階の差を利用した情報負荷攻撃よ』

「なんて?」

 

さっきから訳がわからないよ。

もっと分かるように話してよ、イヨさん!

 

『よく聞いてご主人、SAN値チェックみたいなものよ』

「なるほど、分かる言葉にしてくれた」

『正直、それができる時点で相手がマズすぎる』

 

ど、どういうことなんだってばよ。

 

『結界を侵入してきて近付かれるまで気づかなかった。そして、名乗り上げによって分かったけど、奴は忍び刀十人衆の一人、朧で間違いない』

「急に中二だ……」

『日本類似クラスタで知らない者は居ない危険人物よ。そして、アレは宣名も兼ねた先制攻撃、アイサツ。ご主人は挨拶を返せなかったことで、攻撃を返せなかったのよ』

「分かんない、分かんないよ、アイサツって何!おはよーとかそういうことでしょ!」

 

俺は置いてけぼりだ。

情報量で殴ってくるんじゃねぇ。

 

『互いに死を覚悟する状況で隙を晒す挨拶、アイサツとは対等でなければ成立せず、相手が礼儀知らずでないと信頼しないと出来ない行為。故に、挨拶を返せないものは格下であり、礼儀知らずである。それは格下であるというラベリング、シツレイの最上級。スゴイシツレイ認定は、存在差のバフとなりダメージを増大させる』

 

凄い失礼なのは分かったけど、挨拶が攻撃なの?

攻撃っていうか、口撃?レベル差があればあるほどダメージ与えられる攻撃に格下認定でバフを乗せたってこと?

 

『でも、まだ助かる可能性はある。私の言霊は過去を捏造し、現在を歪め、未来を変える』

「そんなことが!」

『だって、ウチらマグった仲だし』

「マグ……えっ!?」

『アハッ、反応童貞すぎ……説明しよう!マグヌス・ヒエロス・ガモス、またの名を大聖婚、それは私達の運命から魂まで共有し同一とするもの』

 

不思議と言葉が響く。

言霊、言葉に力が宿ってるのが肌で分かる。

不思議な響きに身体の芯から熱が帯びる。

 

『故にご主人様への傷害致死は従僕である私に対しての行為とも言える。ならば、死に至る程の苦痛の半分は同一である私の物、だからご主人は九死に一生を得るのである!』

「すごい説明口調で色々言ってくれた!」

『時間がないよ、ご主人!走馬灯が終わったら、時間は戻る。私は肩代わりしたせいで動けなくなるから、ご主人の力で何とかしてね』

 

それはどういうという疑問の言葉が発する前に、周りが動き出す。

ドクンっと胸の内側を強く衝撃が走った時に、元の時間に戻ったと実感した。

そして、耳に聞こえてくる驚きの声。

 

「ヌッ!何故、死んでいない」

「ハァハァ……し、死んでない?馬鹿が一回死んだわ!」

 

効いてないぜと言うには余りにも消耗しているため、それは誤魔化さない。

嘘を本当に変える為の仕込みをしなくてはいけない。

 

「だが、貴様は取るに足らぬ格下にすぎない。あの巫女は……いや、そうか、貴様の死を肩代わりさせたか」

「それはどうかな?」

「何だと」

「お前の攻撃は確かに効いてたし、肩代わりなんかさせてない。俺の能力は敵の攻撃を食らうことで発動する。失礼と言われたから説明するけど」

「問答無用!」

 

目の前に、男がいる。

青いツナギ、青いマスク、その手には二本の刀が抜かれている。

どうして君達は話を聞かないんだ。

ええい、間に合え!

 

「俺は無敵になる!」

「何!?」

 

振り下ろされた刀よりも、俺の言葉の方が早かった。

一か八かだったが、俺の言葉に何かあると思った奴の認識によって、俺の嘘は本当になった。

奴のイメージする無敵の奴なら、難なく刀を止めれるんだろ。

手とかで止めるじゃなくて、そもそも斬れないとか言うイメージだったのか、俺は反応出来ないけど刀は俺を斬り裂けずに刃毀れしていた。

 

「オラァ!」

「フンッ!」

「うわぁ!?」

 

やはり、窮地で逆転する俺は主人公だった。

喰らえ、主人公パンチ!

しかし、よく分からない間に俺の身体は吹っ飛んだ。

視界がグルグル、何をされたかも分からない状態で無敵だから痛くはない。

でも、俺は地面に転がされていた。

 

「素人にも程がある。ならば、一時的な無敵効果。なるほど、お前達は言語術師か」

「それが分かったところで」

 

青いツナギ忍者の背後から銀色の煌めき、機械のブーツ、それが踵から火を吹き凄い速度で奴を襲う。

ブースターだ、しかもロケット!すごい、ロマンがある!

 

「道具に頼るとは、呪術師の質も落ちたものよ」

「止められた!?」

 

刀が、その蹴りを防いでいた。

片手で持った刀の側面、そこに金属の爪先が食い込むが、くるりと刀が回転すると直進するエネルギーは逸らされ、蹴りが明後日の方向に振り抜かれる。

 

「しまった!なんてね」

「お前のような術師は、この1000年に腐るほどいた、目眩ましは効かん!そこだ!」

「何故、うぐっ!」

 

目の前で、今にも斬られると思っていたギャルが爆発し、辺りを煙が包み込んだ。

よく分からないが本体ではなかったらしい。

目眩まし、だがそれも読んでいたのか、分かった素振りで刀が振るわれイヨのうめき声が聞こえた。

 

煙が晴れる。

そこには倒れるイヨと、俺とイヨを見下ろすニンジャがいた。

 

「ニンジャに対して奇襲は本来成功しない。それを成立させる事で、実力不足であるとデバフ掛けるつもりだったか。瞬間移動とは、俺でなければ成功していただろう」

「煙幕と転移の奇襲を文脈による位置確定で制限された!討論闘争を宣言、ニンジャ・朧!」

「考えたな、受けて立とう。俺のターン、先行は頂く。そも、奇襲に頼らなければならぬ時点で、貴様達は格下である。ここに格付けはなされた、終わりである」

「いいえ!ならば、隠れ潜むべきニンジャが姿を現している。それは本来の実力を出すことが出来ない状況ではないか?」

「やるな、だがこうも考えられる。隠れ潜まずとも問題ない実力者とな。なぜならば、俺は忍刀十人衆であるからだ」

 

二人しか分からないやり取りの後に言い合いが始まった。

討論闘争ってワードだけは聞こえたけど、つまりどういうことなんだろうか。

常に置いてけぼりである。

 

「それはどうかしら、実力者だからと言って本物であるとは限らない。朧は1000年も前から知れ渡った名前、本人が生きてるはずもなく、名乗りによる呪術によって、過去の偉人を模倣し、実力を誤魔化していた。ならば、貴方自身にそれほどの実力はない!」

「本人であることを証明させに来たか。我が秘密を探ろうとは愚かな、だが良いだろう見せてやろう」

 

そう言って、朧は覆面を取っていく。

隠していた顔を、頭部を覆う布を、剥がしたのだ。

 

「なん……だと……」

「我が名はオボロ。忍刀十人衆が一人、妖刀髭切と膝丸の正統継承者、そして!」

 

その覆面の中身は、肉と皮のない髑髏。

骨だけの頭部がそこにはあった。

 

「1000年を生きる不死者である!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

愉悦者は嘲笑う~世界を書き換えて遊んでいたら、政府も軍も本気で世界の真実を探し始めた~(作者:ユーザーA)(オリジナル現代/ノンジャンル)

平凡な現代地球。▼そこへ転生した真白空は、退屈しのぎに世界へ”種”を蒔き始める。▼怪異、神話、都市伝説――。▼軽い思いつきで創ったはずの嘘は、世界によって歴史や伝承までも補完され、「最初から存在していた真実」へと変わっていく。▼政府も軍も研究者も、世界の真実を追い続ける。▼ただ一人、そのすべてが自分の遊びだと知る男は、今日も世界を眺めて静かに嘲笑う。▼こちら…


総合評価:479/評価:7.81/連載:14話/更新日時:2026年07月04日(土) 17:00 小説情報

TS少女は野蛮な世界を塗り替えたい(作者:きうりの魂)(オリジナル現代/冒険・バトル)

林檎が木から落ちるように殺人が勃発する世界。▼暴力が全てを肯定する世界で、TS少女は考えた。エネルギッシュ野蛮人しか居ないし、平和な空間が欲しいなあと。


総合評価:450/評価:7.31/連載:15話/更新日時:2026年08月11日(火) 23:30 小説情報

締切で月に吐いた嘘が、王国予算になりました ~三流記者の適当な新大陸予言を、月蝕の魔女だけが嘘だと知っている~(作者:喧々鰐々)(オリジナルファンタジー/コメディ)

三流新聞社の転生小心者記者ユーリは、締切前の穴埋め記事として「月の民が西の海の果てに大陸を見た」という怪しげな記事を書いてしまう。▼もちろん嘘だ。▼前世知識を少し混ぜただけの、来週には忘れられるはずの与太話だった。▼ところが翌朝、王都は大騒ぎ。▼教会は神託か異端かと騒ぎ、商人は存在しない新大陸に値札を貼り、王宮は西海調査の国家予算を組み始める。▼逃げようとし…


総合評価:723/評価:7.97/連載:37話/更新日時:2026年06月05日(金) 11:00 小説情報

デンレゼ過激派転生者(作者:翁。弁当)(原作:チェンソーマン)

まずは厄介オタクを生姜焼きにしてやるか。


総合評価:4133/評価:8.81/完結:56話/更新日時:2026年08月22日(土) 21:00 小説情報

もしかしたら俺はロボアニメの主人公かもしれない(作者:健康パワフル麦茶)(オリジナルSF/冒険・バトル)

崩星歴十四年。▼隕石由来と思われる強大な爆発と▼人工知能の暴走により、崩壊した世界。▼そんな中で生体電流を売り払い、▼旧文明の遺跡を発掘する電池人間(ワーカー)の少年がいた。▼梓ミコト。▼彼は今このときこのように頭の中に▼ナレーションが流れる特異体質に悩まされていた。▼しかしある日ナレーションの指示通り動いていると、▼遺跡から貴重な機甲兵を発掘する。▼機甲兵…


総合評価:817/評価:8.46/連載:8話/更新日時:2026年08月14日(金) 16:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>